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源泉徴収とはなにか?概要と歴史を解説

源泉徴収と聞くとサラリーマンや公務員などの給与所得者が給料から差し引かれるものと考えている人は多いはずです。そもそも、源泉徴収とはどういったものなのか?源泉徴収について説明します。

年末調整と確定申告の納付書の書き方とは?

POINT
  • 源泉徴収とは徴税事務を簡素化するため所得税を差し引くこと
  • 源泉徴収の義務者は企業だけではない
  • 「電子申告」による源泉徴収と年末調整の未来

源泉徴収の歴史

源泉徴収とは、所得税を給与や報酬などからその支払いをする前に控除することです。日本では戦時中の昭和15年(1940年)にナチスドイツに見習い始まりました。当時は軍事費用を効率的に徴収するために導入されたと言われていますが、戦後になっても税金を効率的に徴収できるという理由から、廃止されることはなくそのまま続いている税金の納付方法です。

その後、昭和22年(1947年)には税務職員の不足などから、雇用主が給与所得者に代わって年末に扶養親族などの所得控除を計算して、税額の精算手続きまで行うことが決定しました。ここから、「年末調整」がスタートしました。当時は雇用主が行った精算に対し、税務署で再度精算業務をしていたようですが、昭和26年(1951年)に年末調整は雇用主側ですることが法律で決まったことから現在に至っています。

源泉徴収とは具体的にはどんなもの?

源泉徴収とは、給与や報酬などの支払いをする際に、先に所得税として差し引いておくことです。その差し引いた所得税は翌月10日までに税務署に支払うことが必要となります。

さらに企業などが年末に扶養控除などを考慮した年末調整をすることで、サラリーマンや公務員などの給与所得者が確定申告する必要もなくなり、税務署の負担が少なくなります。

給与所得者は税務署に行くこともなく、国も効率よく税金を徴収できるので良いこと尽くしのようにも思えますが、デメリットもあります。サラリーマンや公務員などの給与所得者は、毎月の給与から所得税などが源泉徴収されているため、納税意識が希薄となりがちです。納税意識が希薄になるということは、税金の使い道に対しても意識が薄くなってしまいます。

源泉徴収と年末調整はサラリーマンや公務員など個人が確定申告の手間を省き、税務署など国の徴税事務を簡素化するメリットがありますが、個人の税金に関する意識を希薄にするというデメリットがあります。

源泉徴収の義務者は企業だけなのか

源泉徴収の義務者(「源泉徴収義務者」)は企業だけではありません。給与や報酬を支払う個人事業主、学校や官公庁なども源泉徴収義務者となっています。

ただし、個人で給与を支払っていても源泉徴収をしなくていい場合があります。個人事業主で、常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている場合や、給与や退職金の支払いはなく弁護士などに報酬や料金のみ支払っている場合です。

なお、会社や個人事業主などが新たに給与の支払いを始めて、源泉徴収義務者になる時には、新しく事務所等を開設してから「給与支払事務所等の開設届出書」の書類を1か月以内に提出することになっています。

個人事業主であっても、アルバイトなどを雇って業務をする場合は、源泉徴収義務者になると自覚して手続きをしっかり行いましょう。

源泉徴収と年末調整の今後

2016年(平成28年)1月からマイナンバー制度も始まり、企業などでは従業員に対しマイナンバーの提出を義務付け、源泉徴収とマイナンバーを紐づけしています。

一方では、企業などの事務負担を減らし、給与所得者における納税意識の改革などの観点から、将来的に源泉徴収をした後の年末調整を廃止することも検討されていました。ただ、現状のまま企業などの年末調整を廃止すると、個人での確定申告提出者の数が現在の3倍以上に増えることとなり、税務署が対応できなくなるため廃止までは至りませんでした。その代りに「電子申告」が開始されています。近い将来、年末調整が無くなる日があるのかもしれませんね。

とはいえ、サラリーマンや公務員などの給与所得者であっても、源泉徴収される所得税に意識を向けていくことで、税金の使い道にも意識が向くはずです。各個人が納税の意識を向上させることが、今後の日本に必要となってきているのではないでしょうか。

photo:Thinkstock / Getty Images

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