“自宅兼事務所”事業者のための確定申告ガイド どこまでOK?家賃・光熱費の按分

2021/03/31更新

この記事の執筆者柳原つつじ

個人事業主の方のなかには、自宅が事務所を兼ねていることも少なくありません。かく言う私もそうなのですが、判断に困るのが「家賃」「光熱費」「通信費」などについて、どれくらい経費にできるのかということ。プライベートでも使用しているのですべて経費にはできませんし、かといって仕事で使っていることも事実なので、まったく経費にできないのもツラい。何割くらいを経費にできるのか――。その計算法を説明していきます。

POINT

  • 業務用のスペースは全床面積の何割か
  • 業務用で用いる時間(日)は1日(1週間)の何割か
  • 家族構成が関係する家事按分もある

家賃はスペースで考える

自宅兼事務所での家賃、光熱費や通信費などは、何割程度を経費にして、何割程度を個人的な支出とするのか。その割合のことを「按分率」(あんぶんりつ)と言いますが、どのようにして按分率を計算するかはケースバイケースで、明確には定められていません。

では、何割でもいいかといえば、もちろんそんなことはなく、万が一、税務調査が入った際に、客観的に妥当性を説明できる数字でなければなりません。いくつか方法があるので紹介していきましょう。

まずは、スペースで決める方法です。自宅の間取り図などをもとに、まずは全体の床面積を出して、そのうちのどれくらいを業務用に使っているのかを計算します。私の場合は、3LDKのうち一部屋分が、業務用のスペースとなるので、全体の床面積のうち、それが何割程度かを計算することになります。

スペースに応じた按分率は、家賃を経費にするときなどでよく使われる基準です。例えば、家賃が10万円の場合、仕事のスペースが20%、生活のスペースが80%だとすれば、2万円を経費として計上するという考え方です。

床面積を基準にするのは、主観が入りにくいので、第三者にも説明がしやすいのではないでしょうか。家賃と同様に、礼金・更新料といった費用も、スペースで按分するとよいでしょう。

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バカにならない電気代も按分しよう

スペースとは異なる方法で、按分したほうがよい類の経費もあります。光熱費は「どれくらい使ったか」という使用率で、按分率を決めることが一般的です。

例えば、1日のうち、電気を点けている時間が12時間としましょう。そのうち、4時間は業務を行っているとすれば、電気代の3分の1を経費とします。

また、電気代については、コンセントの差込口の数で計算するという方法もあります。自宅に全部で20個のコンセントの差込口があったとして、そのうちの5個はパソコンなど業務用で使用しているとすると、電気代の5分の1を経費とするような考え方です。

ただし、同じ光熱費でも、ガス代や水道代は経費として認められないことが多いです。業務中の食事代が経費にならないとの同じく、飲食業のように直接業務に関係ない限りは、水道代やガス代は経費にできないと思っていたほうが無難でしょう。

どうする、プロバイダ料金?

最後にインターネットなどの通信費については、どうでしょうか。これも電気代と同じ考え方で、使用率を考えればうまくいきそうです。

週3日は仕事でインターネットを用いるという人は、7日で割って0.43ですから、月額のプロバイダ料金から約4割を経費にあてればよいということになります。

しかし、もし、同じ回線を家族も使っているとなると、また計算式が変わってきそうです。例えば、奥さんと一緒に同じ回線を共有している場合、奥さんが使っている時間は当然、業務外となりますから、それを踏まえたうえで、使用率を弾き出さなければなりません。

税金というと、冷たい数字が並んでいるイメージが強いですが、家事按分するにあたっては、家族構成というパーソナルな部分を考慮する場合もあるということですね。

「これで確定申告も終わったー!」

と思ったら、家事按分のことをすっかり忘れていた、ということは比較的よくあることではないでしょうか。面倒くさいから昨年の分はいいか……と思うことなく、業務で使っている分はしっかりと経費に計上して、節税するようにしましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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