確定申告書の書き方を項目別にわかりやすく解説!入手方法も併せて紹介

2024/02/16更新

この記事の監修田中卓也(田中卓也税理士事務所)

所得税の確定申告をする際「どこに何を書けば良いかわからない」「確定申告書の見方がわからない」と悩んだことがある人もいるでしょう。記載欄を間違えると、税金の計算を正しく行えない可能性がありますから、どこに何を書けば良いのかを理解しておくことが大切です。

今回は確定申告書の書き方について、項目別に解説します。

確定申告書の種類

確定申告には、所得税の確定申告と消費税および地方消費税の確定申告があります。一般的に確定申告というと、所得税の確定申告を指すことが多いでしょう。本記事では、所得税の確定申告について、確定申告書 第一表と第二表の書き方を解説していきます。ただし、確定申告書には、第三表と第四表もあります。まずは、それぞれの種類の違いについてご説明します。

なお、確定申告書にはAとBの2種類があり、所得の種類によって利用する確定申告書が異なっていましたが、2022年12月をもって確定申告書Aは廃止となりました。2023年1月以降申告を行う2022年分の確定申告では、すべての人が同じ確定申告書の様式で確定申告を行います。

また、確定申告の期日後に申告を修正するときに使用していた第五表の「修正申告書」も2022年12月をもって廃止となりました。第一表に修正申告欄が設けられています。

確定申告書 第一表

確定申告書 第一表は、収入や所得、控除の額などをまとめた書類です。確定申告をする人は、全員が第一表を作成して提出しなければいけません。

確定申告書 第二表

確定申告書 第二表も、確定申告をする人全員が提出しなければならない書類です。第二表には、第一表の記載内容の根拠や詳細について書きます。

確定申告書 第三表

確定申告書 第三表は、申告分離課税を申告する人のみ提出する書類です。申告分離課税とは、所得に課税する方法の1つで、下記にあるように土地や建物を売却したときの譲渡所得や株式等を売却したときの譲渡所得等があるときは第三表で対応します。

一方、給与や事業で得た所得などは総合課税方法なので、第一表と第二表の記載で対応します。申告分離課税に該当する所得がある人は、確定申告書 第三表に必要事項を記入して、第一表、第二表といっしょに税務署に提出してください。

申告分離課税に該当する所得の主な例

  • 土地や建物を売却したときの譲渡所得
  • 株式等を売却したときの譲渡所得
  • 上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択する場合)
  • 先物取引にかかる雑所得
  • 山林所得
  • 退職所得の受給に関する申告書を提出していない退職所得

確定申告書 第四表

確定申告書 第四表は、損失申告を行うときに利用します。青色申告事業者が赤字(純損失)を翌年以降に繰越控除する場合や、雑損失の金額を翌年以降に繰り越す場合などに作成し、第一表、第二表と合わせて提出します。

雑損失の金額とは、災害、盗難、横領によって資産に受けた損失額のうち、災害等が生じた年分の雑損控除として控除しきれない金額のことです。この際、保険金や損害賠償金などで補填される金額は除きます。

赤字の場合の確定申告についての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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確定申告書 第一表の書き方

確定申告書 第一表は、確定申告をする人は必ず提出が求められる申告書です。用紙の上部には、提出先の税務署名、提出日、申告する年度、「確定」の文字を入れるようにしてください。

ここでは、確定申告書 第一表の各種項目の書き方について、確認していきましょう。

確定申告書 第一表

個人に関する情報

「納税地」および「現在の住所又は居所事業所等」の欄には、自宅または事務所などの住所を記入します。住所地以外の居所や事業所を管轄する税務署で確定申告する場合は、居所または事務所の住所を記入し、あてはまる住所地を◯で囲みましょう。

その他、「個人番号(マイナンバー)」「生年月日」「氏名」「フリガナ」「世帯主の氏名」「世帯主との続柄」「電話番号」といった個人に関する情報を記入します。なお、「令和 年1月1日の住所」には、確定申告をする年の1月1日時点の住所を記入します。例えば、令和5年分の確定申告をする場合には、この欄には「令和6年1月1日の住所」となります。記入する住所が、先に記入した「現在の住所又は居所事業所等」と同じであれば「同上」と記入すれば問題ありません。

この欄は住民税課税のデータとして有用となります。住民税については「前年の所得の状況に応じて、翌年1月1日の住所地で課税される」という決まりになっていますので、この欄にこのように記載することで「令和5年分の所得の状況に応じて、令和6年1月1日の住所地で課税される」ということになるのです。

「職業」は「自営業」などではなく、「青果小売業」などと具体的に書いてください。「屋号・雅号」は、屋号・雅号がない人は記入不要です。

また「種類」は、該当する場合のみ、あてはまる欄すべてに◯をつけます。項目と該当者は下記表のとおりです。なお、国外転出時課税制度とは、国外転出をする人が株式など、1億円以上の対象資産を所有している場合、その対象資産の含み益に所得税および復興特別所得税が課税される制度のことです。

種類の項目と該当者
項目 該当者
青色 青色申告者
分離 確定申告書 第三表(分離課税用)を使用する場合
国出 国外転出時課税制度の適用を受ける場合
損失 確定申告書 第四表(損失申告用)を使用する場合

収入金額等

「収入金額」等の欄には、「(ア)」から「(サ)」まで、複数の種類があります。合計額ではなく、それぞれの種類別に記入しましょう。該当の収入がない場合は、無記入で構いません。なお、「(ア)」および「(イ)」の区分欄には、帳簿の保存状況によって、「1」~「5」までのいずれかの数字を記入します。それぞれの概要は下記のとおりです。

事業収入の区分欄に記入する番号とその概要
番号 概要
1 電子帳簿保存法の規定にもとづく優良な電子帳簿の要件を満たし、電磁的記録によって保存した届出書(または電磁的記録による承認申請書)を提出し、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録による備付けおよび保存を行っている場合
2 会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合(「1」に該当する場合を除く)
3 総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳している場合(「1」または「2」に該当する場合を除く)
4 日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)以外の簡易な方法で記帳している場合(「2」に該当する場合を除く)
5 上記のいずれにも該当しない場合(記帳の仕方がわからない場合を含む)

なお、所得には10種類の区分があります。このうち「利子所得」は「収入金額等」の欄に項目がありません。「所得金額等」の欄にのみ記載します。また、退職所得と山林所得は確定申告書 第三表で申告します。 ここでは、それ以外の区分についてご紹介します。

事業(ア)~(イ)

「事業」の「営業等(ア)」「農業(イ)」には、事業で得た収入の金額を記入します。収支内訳書または青色申告決算書の収入の金額の内容を転記しましょう。区分欄は上記表を参考に該当する番号を記入してください。

不動産(ウ)

不動産収入がある人は「不動産(ウ)」に、所得収支内訳書または青色申告決算書の収入の金額の内容を転記します。

配当(エ)

株式などの配当金収入について、「配当(エ)」に記入します。ただし、特定口座(源泉徴収あり)で受け取った配当は申告不要です。

給与(オ)

「給与(オ)」は、給与をもらい、年末調整を受けている会社員などが記入する欄です。源泉徴収票の支給金額を記載します。複数ある場合は、合計額を書きます。「所得金額調整控除」の対象になる場合は、区分も記入してください。区分欄に記入する番号とその概要は下記表のとおりです。

給与収入の区分欄に記入する番号とその概要
番号 概要
1 給与等の収入金額(税込)が850万円を超え、申告者本人、同一生計配偶者、もしくは扶養親族のいずれかが特別障害者である場合、または、23歳未満の扶養親族がいる場合
2 給与所得と公的年金等の雑所得がある場合で、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等の雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合
3 「1」「2」のいずれにもあてはまる場合

雑(カ)~(ク)

「雑」には、「公的年金等(カ)」「業務(キ)」「その他(ク)」の種類別に記載します。業務は事業所得以外の副業などが該当します。その他は、暗号資産や公的年金以外の生命保険の個人年金などが該当します。区分欄には、業務に関する雑所得の金額の計算上、現金主義の特例を適用する場合は、(キ)の区分欄に「1」を記入します。

また、(ク)の区分欄は、個人年金保険に関する収入がある場合には「1」を、暗号資産取引に関する収入がある場合は「2」を、個人年金保険に関する収入および暗号資産取引に関する収入の両方がある場合は「3」を記入します。

総合譲渡(ケ)~(コ)

総合譲渡とは、総合課税の譲渡に関する収入です。ゴルフ会員権や金地金、船舶、機械、特許権、漁業権、書画、骨董、貴金属などの資産の譲渡から生ずる収入がこれにあてはまります。なお、譲渡した資産を取得してから譲渡するまでの保有期間により、短期と長期に分けられます。保有期間5年以内の場合は「短期(ケ)」、保有期間が5年を超える場合は「長期(コ)」です。

一時(サ)

「一時(サ)」には、懸賞の賞金や生命保険の一時金など、臨時的な収入の金額を記入します。

所得金額等

「所得金額等」の欄にも、収入と同じ項目が設けられています。ただし、総合課税の「利子」だけは、収入と所得が必ず一致するため、「所得金額等」にしか項目がありません。該当する所得がある人は、「所得金額等」の欄にのみ記載してください。なお、「収入金額等」に金額が入っている項目は、必ず所得にも金額が入ります。経費を差し引いた結果が0になった場合は「0」を書き入れてください。

「営業等(1)」と「不動産(3)」の欄は、収支内訳書や青色申告書の金額を転記します。それ以外の欄は、経費を差し引いた金額を書きます。給与所得者と公的年金受給者は、それぞれ「給与所得控除」と「公的年金等控除額」を差し引いた金額を書きましょう。

「給与所得(6)」の区分欄には、給与所得者の特定支出控除を受ける場合のみ記入します。また、この場合には「給与所得者の特定支出に関する明細書」ほかを添付しなくてはなりませんので、注意してください。

所得から差し引かれる金額

「所得から差し引かれる金額」には、各種控除を記載します。控除を利用できる条件に当てはまる方は、控除額を記入しましょう。

社会保険料控除(13)

社会保険料控除(13)」の欄には、国民年金保険料や厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料といった、社会保険料の額の合計を記入します。給与から天引きされているものだけでなく、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合にも社会保険料控除として適用できるので、漏れなく記入することが重要です。

小規模企業共済等掛金控除(14)

小規模企業共済等掛金控除(14)」には、小規模企業共済やiDeCoなどの掛金の全額を記入します。

小規模企業共済等掛金控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

生命保険料控除(15)

生命保険や民間の介護保険などに加入している場合、支払った保険料・契約年月日・保険の内容に応じた控除額を「生命保険料控除(15)」に記入します。

地震保険料控除(16)

地震保険に加入している場合、支払った保険料に応じた控除額を「地震保険料控除(16)」の欄に記入します。なお、2006年12月31日までに契約した一定の旧長期損害保険料に該当するものでも地震保険料控除として申告できますので、漏れのないように記入してください。

寡婦、ひとり親控除(17)~(18)

寡婦控除またはひとり親控除を適用する場合には、その控除額を「寡婦、ひとり親控除(17)~(18)」に記入します。ひとり親控除を適用する場合のみ、区分欄に「1」を記入してください。

寡婦控除、ひとり親控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

勤労学生、障害者控除(19)~(20)

勤労学生控除または障害者控除を利用する場合には、「勤労学生、障害者控除(19)~(20)」の欄に控除額を記入します。

勤労学生控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

配偶者(特別)控除(21)~(22)

配偶者控除または配偶者特別控除を適用する場合には、「配偶者(特別)控除(21)~(22)」に控除額を記入します。なお、配偶者特別控除の適用を受ける場合は「区分1」の欄に「1」と書いたうえで、「その他」の「配偶者の合計所得額(56)」に配偶者の所得金額を記入する必要があります。

なお、配偶者控除、配偶者特別控除の該当者が国外居住親族で、「親族関係書類」および「送金関係書類」を給与などの支払者に提出・提示している場合は控除の「区分2」の欄に「2」を、上記以外の場合は「区分2」の欄に「1」を記入しましょう。

配偶者控除、配偶者特別控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

扶養控除(23)

扶養控除を適用する場合には「扶養控除(23)」に控除額を記入します。なお、扶養控除に該当する者が国外居住親族で、「親族関係書類」および「送金関係書類」を給与などの支払者に提出・提示している場合は「区分」の欄に「2」を(扶養親族が複数いる場合も同じ)、上記以外の場合は「区分」の欄に「1」を記入することとなります。

扶養控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

基礎控除(24)

基礎控除の欄には、合計所得金額に応じた控除額を「基礎控除(24)」に記入します。

基礎控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

雑損控除(26)

災害や盗難などによる損害がある人は、「雑損控除(26)」に控除額を記入します。

医療費控除(27)

年間の医療費が10万円を超えるか、セルフメディケーション税制の対象となる人は、「医療費控除(27)」に控除額を記入します。セルフメディケーション税制を利用する場合は、区分欄に「1」を記入してください。

  • 総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%を超える場合

医療費控除については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

寄附金控除(28)

控除対象となる自治体や団体に寄附をした人は、寄附金額に応じた控除額を「寄附金控除(28)」に記載します。

税金の計算

確定申告では、所得税の計算を自分で行います。

課税される所得金額(30)

「所得金額等」の「合計(12)」から「所得から差し引かれる金額」の「合計(29)」を差し引いた金額を「課税される所得金額(30)」に記入します。なお、この際、1,000円未満の端数は切り捨てで記入してください。

上の(30)に対する税額(31)

課税される所得金額を元に計算した税額を「上の(30)に対する税額(31)」に記入します。税額の算出方法については下記を参考にしてください。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円から194万9,000円まで 5% 0円
195万円から329万9,000円まで 10% 9万7,500円
330万円から694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円から899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円から1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円から3,999万9,000 円まで 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

その他、「配当控除(32)」「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(34)」「住宅耐震改修特別控除等(38)~(40)」といった項目については、利用できる場合に記入してください。その後、算出した税額から、給与や報酬から源泉徴収された源泉徴収税額を差し引いて納税額または還付額を求めます。

その他

各項目に該当するものがある人のみ、「その他」に記入します。年金以外の所得がある場合は「公的年金等以外の合計所得金額(55)」に金額を書き入れましょう。その他、「青色申告特別控除や専従者給与(控除)額の合計額(57)」などに該当する金額がある場合は、所定の欄に金額を記入してください。

延納の届出

所得税の延納を希望する人のみ、「延納の届出」に希望額を記載します。なお、延納する税金には規定の利子が発生します。

還付される税金の受取場所

確定申告の結果、還付される税金がある人は受け取りを希望する納税者本人の金融機関の情報を「還付される税金の受取場所」に記入します。還付される税金がなければ、記入する必要はありません。

確定申告書 第二表の書き方

確定申告書 第二表には、第一表の内容の根拠を記載します。まずは、上部の「令和◯年」「◯◯申告書」に、それぞれ申告年度と「確定」の文字を入れましょう。なお、各項目に記載されている番号は、第一表と連動しています。

確定申告書 第二表

住所・屋号・氏名

住所と氏名、フリガナを、それぞれの欄に記入します。屋号がある場合は併記してください。

所得の内訳

確定申告書 第一表の「所得金額等」の詳細を記載します。支払いを受けた相手別に、収入金額と源泉徴収税額を書きましょう。たとえ同じ種類の所得でも、支払者別に収入と源泉徴収税額を記載しなければいけません。例えば、取引先が10社ある個人事業主であれば、10社それぞれの年間売上額と、源泉徴収税額を書きます。

所得の種類が多くて書ききれない場合は、別途「所得の内訳書」を添付してください。この書式は、国税庁のWebサイトで入手できます。

総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項

総合課税の譲渡所得や一時所得がある人は、該当する「所得の種類」と「収入金額」「必要経費等」の他、収入から経費を引いた「差引金額」をそれぞれ記入します。

特例適用条文等

転廃業助成金や、中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除といった特例の適用を受ける場合、該当条文を「特例適用条文等」に記載します。

保険料控除等に関する事項

住所などの記入欄の右に、保険料控除等に関しての記載事項があります。第一表で記入した「社会保険料控除(13)」「小規模企業共済等掛金控除(14)」「生命保険料控除(15)」「地震保険料控除(16)」の詳細をそれぞれ記入します。

「うち年末調整等以外」には、給与所得の源泉徴収票に記載されていない金額について書きます。そもそも年末調整を受けていない人は、すべての項目の「支払保険料等の計」をそのまま転記します。

本人に関する事項(17)~(20)

「本人に関する事項(17)~(20)」には、「寡婦」「ひとり親」「勤労学生」「障害者」「特別障害者」のうち、該当する内容に◯をつけます。寡婦に該当する場合は、理由についてもチェックをいれてください。ここに◯をつけた人は、第一表の「所得から差し引かれる金額」に、内容に応じた控除額を記載することになります。

雑損控除に関する事項(26)

雑損控除を利用する人は、火災、盗難といった原因を「損害の原因」に、その損害を被った年月日を「損害年月日」に、損害を受けた資産を「損害を受けた資産の種類など」に記載します。さらに、「損害金額」「保険金などで補填される金額」「差引損失額のうち災害関連支出の金額」を記載します。災害関連支出とは、住宅や家財の取り壊しや除去などにかかった金額です。

寄附金控除に関する事項(28)

寄附金控除の対象となる寄附をした人は、「寄附先の名称等」と「寄附金」を記載してください。寄附した件数が多く書ききれない場合は、寄附先の名称等へは、一部のみ記載して、寄附金の合計額を記載します。

配偶者や親族に関する事項(20)~(23)

「配偶者や親族に関する事項(20)~(23)」は、配偶者控除や配偶者特別控除、寡婦控除、ひとり親控除など、控除の対象となっている親族がいる場合に記入する欄です。それぞれ、「氏名」「個人番号(マイナンバー)」「続柄」「生年月日」を記入します。また、配偶者や親族が、障害者・国外居住などの場合は、該当の欄に「◯」をつけてください。なお、16歳未満の親族の場合、「住民税」の「16」に◯をつけましょう。

事業専従者に関する事項

事業専従者がいる場合、「事業専従者の氏名」「個人番号(マイナンバー)」「続柄」「生年月日」「従事月数・程度・仕事の内容」「専従者給与(控除)額」を記載します。

事業専従者控除、青色事業専従者給与については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

住民税・事業税に関する事項

住民税は、所得税の確定申告をすれば、そのデータが居住している地方自治体と共有されるため、あらためて申告する必要はありません。しかし、別居している配偶者や親族、事業専従者がいる場合には、「上記の配偶者・親族・事業専従者のうち別居の者の氏名・住所」に氏名と住所を記載します。その親族が国外に居住している場合は、国外に◯をつけてください。

また、青色申告をしている人で親族が事業に携わっている場合、あらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することで、該当する親族への給与を必要経費とする青色事業専従者給与の特例を利用ことができます。しかし、青色事業専従者給与ではなく、配偶者控除や扶養控除といった所得控除を適用した方が節税になる場合は、所得控除を適用することが可能です。なお、青色事業専従者給与の特例と配偶者控除等は併用できません。

このように、確定申告で青色事業専従者給与の特例を適用しなかった場合でも、住民税や事業税においては青色事業専従者を適用することができます。その場合、「所得税で控除対象配偶者などとした専従者」に、該当する人の氏名と給与額を記入します。

なお、特に、ふるさと納税を行った場合ですが、第二表の「寄附金控除に関する事項(28)」に記載した金額と同額を、必ず上記の都道府県・市区町村への寄附(特例控除対象)に記入するのを忘れないようにしてください。この欄に記入することにより、ふるさと納税の住民税(特例分)に反映されることになります。もちろん、共同募金・日赤その他の寄附、都道府県条例指定寄附、市区町村条例指定寄附に該当する場合も、漏れなく記入する必要があります。

第二表の住民税・事業税に関する事項は記入漏れがあったとしても、所得税の税額計算には影響しないため、記載漏れに気付かないケースも散見されています。ご注意ください。

個人事業主は確定申告書の前に決算書を作成する

個人事業主の確定申告では、確定申告書の作成前に「青色申告決算書」または「収支内訳書」(白色申告の場合)を作成する必要があります。

確定申告書には、青色申告決算書や収支内訳書の内容を転記する箇所が複数あります。あらかじめ準備を進めておいてください。なお、作成した青色申告決算書や収支内訳書は、確定申告書に添付して税務署に提出します。

青色申告決算書、収支内訳書については別の記事で解説していますので、参考にしてください。

確定申告書の入手方法

確定申告書は、税務署や国税庁のWebサイトなどで入手できます。都合の良い方法で書類を用意しましょう。なお、「やよいの青色申告 オンライン」や「やよいの白色申告 オンライン」のようなクラウド申告ソフトを使用する場合、最新の確定申告書に対応して出力できるので、用紙を別で入手する必要はありません

国税庁のWebサイト

国税庁のWebサイトでは、確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書といった申告書類をダウンロードできます。なお、ダウンロードできる確定申告書はPDF形式です。直接入力することはできないので、印刷して手書きで確定申告書を作成してください。

税務署

各地域の税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場でも、確定申告書などの用紙は、入手できます。この場合、窓口の受付時間などにご注意ください。確定申告のやり方を説明した「確定申告の手引き」も入手ができるので、確定申告書を作成する際に参考にできます。

なお、税務署にはそれぞれ管轄がありますが、確定申告書類や手引きは全国共通ですから、出先で入手することも可能です。確定申告時期は税務署の入り口付近に置いてある場合が多いため、担当者に声をかける必要もありません。

確定申告書等作成コーナー

確定申告書等作成コーナーは、国税庁が公開している確定申告書等の作成システムです。画面の案内に従って必要な数字を入力していくと、確定申告書が自動で作成されます。作成した確定申告書は、印刷して税務署に持ちこみや郵送することも、e-Taxで電子申告することも可能です。

ブランクの確定申告書ではなく、必要事項を記入した後の確定申告書をかんたんに作れますから、積極的に活用しましょう。ただし、作成できるのは確定申告書や青色申告書、収支内訳書などのみです。個人事業主の売掛帳や仕訳帳などの帳簿は、別途作らなければいけません。

確定申告ソフト

確定申告ソフトの多くは、ソフト上で作成した確定申告書や関連書類をそのままe-Taxで送信、印刷して郵送、もしくは税務署窓口に提出ができるようになっています。

確定申告書は、税務署窓口でもらった用紙や国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成したもの以外でも受け付けてもらえます。特に個人事業主は、帳簿類と確定申告書をまとめて作成できるソフトを使うことで、効率良く確定申告を進められるでしょう。

確定申告書の訂正方法

作成した確定申告書に間違いがあったときは、訂正をします。提出前であれば、間違えたところを二重線で消して、上または下に正しい数字を書き直します。どこの修正なのかがわかるように、書き直した数字から該当の記載欄に矢印を引きましょう。訂正印は必要ありません。パソコンで作成した場合は、訂正した書類を再度印刷するか、再作成してe-Taxで送信してください。

ただし、間違えた内容で提出してしまったときは、時期や内容に応じて以下のいずれかの対応をとる必要があります。

訂正申告

訂正申告は、確定申告期間中に間違いに気が付いたときの申告方法です。正しい内容の確定申告書を作成して、税務署に持ち込み、または郵送します。このとき、余白に赤字で「訂正申告」と記載してください。また、当初の確定申告書のコピーを添付する必要があります。

e-Taxの場合、申告期限内であれば訂正後の申告データを作成して、送信すれば完了です。特に訂正したデータを送信したことを税務署に連絡する必要はありません。最後に送信したデータを申告データとみなすためです。追加で添付書類を提出する必要がある場合には、申告書等送信票(兼送付書)とともに提出します。

なお、還付申告を行っていて、すでに還付手続きの処理が終わってしまっていた場合、通常の訂正申告では対応できない可能性があります。還付申告の間違いに気付いたときは、すみやかに管轄の税務署に連絡をして、対処法を問い合わせてください。

修正申告

修正申告は、確定申告期間後に、税金を本来よりも少なく申告していたことに気が付いたときの訂正方法です。確定申告書 第一表の上部「令和◯年分の所得税及び復興所得税の◯◯申告書」に、修正申告をする年と「修正」の文字を入れて、修正申告書を作成します。種類欄の「修正」にも◯をつけます。修正する理由については、第二表に記載してください。

修正申告は、遅れると延滞税が増えるなどのデメリットがあります。間違いに気が付いたらすぐに修正することが重要です。

更正の請求

更正の請求は、申告期間後に、税金を多く申告していたことに気が付いたときの申告方法です。更正の請求書と、理由を記載した書類を管轄の税務署に提出します。なお、更正の請求ができるのは、申告を間違えた年の法定申告期限から5年以内です。

確定申告の修正については、別の記事で解説していますので、参考にしてください。

確定申告書をかんたん、正確に作成するためには確定申告ソフトが便利

確定申告書には、数多くの数字を記入する必要があります。手計算、手書きで作成すると間違いが起こる可能性が高まるでしょう。確定申告ソフトや確定申告書等作成コーナーを活用して、できるだけ自動計算、自動入力で作成することで、間違いを防ぐようにしてください。

収支内訳書や青色申告決算書を作成する必要がある個人事業主の人には「やよいの青色申告 オンライン」や「やよいの白色申告 オンライン」がおすすめです。銀行明細やクレジットカード明細などの自動取込、自動仕訳で、簿記の知識がなくてもかんたんに帳簿をつけられます。青色申告決算書、確定申告書も画面の案内に沿って操作するだけでかんたんに作成できますから、確定申告業務の効率化にお役立てください。

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初心者にもわかりやすいシンプルなデザイン

初心者にもわかりやすいシンプルなデザインで、迷うことなく操作できます。日付や金額などを入力するだけで、確定申告に必要な書類が作成可能です。

取引データの自動取込・自動仕訳で入力の手間を大幅に削減

銀行明細やクレジットカードなどの取引データ、レシートや領収書のスキャンデータやスマホで撮影したデータを取り込めば、AIが自動で仕訳を行います。入力の手間と時間が大幅に削減できます。

確定申告書類を自動作成。e-Tax対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに

画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書等の提出用書類が自動作成されます。青色申告特別控除の最高65万円/55万円の要件を満たした資料の用意も簡単です。インターネットを使って直接申告するe-Tax(電子申告)にも対応し、最大65万円の青色申告特別控除もスムースに受けられます。

自動集計されるレポートで経営状態がリアルタイムに把握できる

日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に利益が出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。

この記事の監修田中卓也(田中卓也税理士事務所)

税理士、CFP®
1964年東京都生まれ。中央大学商学部卒。
東京都内の税理士事務所にて13年半の勤務を経て独立・開業。
従来の記帳代行・税務相談・税務申告といった分野のみならず、事業計画の作成・サポートなどの経営相談、よくわかるキャッシュフロー表の立て方、資金繰りの管理、保険の見直し、相続・次号継承対策など、多岐に渡って経営者や個人事業主のサポートに努める。一生活者の視点にたった講演活動や講師、執筆活動にも携わる。

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