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確定申告で社会保険料の控除を受ける方法

健康保険料などが給与から天引きされているサラリーマンなどは、年末調整で会社が所得税の計算をしてくれるため、社会保険料が税金の計算で控除になっているということを知らない方が多いようです。
では、個人事業主の場合はどうでしょうか? 個人事業主の場合は、税金の計算で控除されるものはすべて自分で把握して資料を集めなければなりません。今回は、その控除のひとつである「社会保険料控除」について説明します。

POINT
  • 対象となる保険料は公的なもの
  • 家族の社会保険料も控除できる
  • 国民年金等の控除には証明書が必要

社会保険料控除の対象になる保険料とは

社会保険料控除は、税金の対象となる所得金額から自分が支払った社会保険料を差し引いてくれる制度で、所得控除と呼ばれるもののひとつです。計算式で控除に上限のある生命保険料控除とは違って、その年に支払った社会保険料が全額控除されます。

さて、その社会保険料ですが、『保険料』という言葉から民間の保険会社の「個人年金」や「医療保険」の保険料と勘違いされる方もいるようです。社会保険料控除の対象となる保険料等は、つぎのようなものが該当します。

1. 健康保険、国民年金、厚生年金保険などの保険料の本人負担分
2. 国民健康保険の保険料(税)
3. 後期高齢者医療保険料
4. 介護保険料
5. 労働保険料(雇用保険)の本人負担分
6. 国民年金基金や厚生年金基金の掛金
7. その他一定の社会保険料

家族の社会保険料を支払ったときなどは

社会保険料控除で控除できるのは、その保険料を支払った本人ですが、生計一親族(同じ財布で暮らしている家族)の分を負担したときは、家族の分も合わせて控除を受けることができます。

たとえば、会社員が加入する社会保険制度の場合、扶養(ふよう)している専業主婦/主夫の配偶者や子どもには、健康保険料がかかりません。
しかし、個人事業主が加入する国民健康保険料(税)にはそもそも扶養家族の概念がないため、収入のない専業主婦/主夫でも子どもでも国民健康保険料(税)の支払いが必要です。そのため、生計一親族の国民健康保険料(税)を事業者が支払っている場合は、家族の分も合わせて社会保険料控除を受けることができるのです。

ただし、介護保険料や後期高齢者保険料など一部のものは本人の年金から天引きされることがありますが、この場合は天引きされた方の控除となりますので気を付けてください。

また、社会保険料控除の対象となる金額は、その年に実際に支払った金額となります。1月から12月までの間に支払ったものなので、年度で送付される保険料の通知書などの金額とは当然違ってきますから注意しましょう。

なお、過去に滞納があった分をまとめて支払ったり、前納制度で前払いをした場合でも、その支払った年で全額控除できますので、事業の儲けが多くなった年に支払ってしまうのもひとつの方法です。

控除を受けるための手続きや必要書類は

さて、確定申告で社会保険料控除の適用を受けるには、つぎのような記載と添付書類が必要になります。まずは記載方法ですが、確定申告書Bの様式で説明すると次のように記載していきます。

1. 第二表の(12)社会保険料控除の欄に「社会保険料の種類」と「支払保険料」を記載し、合計金額を計算します。

160119_deduction_02.png

2. つぎに、その合計金額を第一表の(12)社会保険料控除の欄に記載します。

160119_deduction_03.png

社会保険料控除そのものはこの2か所への記載だけでOKです。
あとは、基礎控除などの他の所得控除とともに所得金額から控除され、控除される金額×所得税率の分だけ税金が安くなるという結果となります。

つぎに、控除を受けるための添付書類ですが、国民年金保険料と国民年金基金の掛金についてだけ控除証明書等の添付が必要になります。
また、現金納付などのため控除証明書発行時点から差がある場合には、現金納付した領収証も必要になります。あらためて年明けに日本年金機構へ再発行を依頼することも可能です(ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル0570-058-555)。再発行については例年窓口が混み合っているようですので早めに手続しておいた方がよいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
社会保険料は健康保険や年金など誰もが関係してくる公的な支払いです。とはいえ、国民年金と国民年金基金以外については控除証明書がないので、控除を受け損ねているかたもいらっしゃるようです。逃してしまうともったいないですから、ぜひ今のうちから資料を手元に置いておきましょう。

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photo:Thinkstock / Getty Images

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