間違い注意!Suica(スイカ)のチャージやポイントカードの仕訳はどうする?

2021/03/31更新

この記事の執筆者柳原つつじ

電車に乗るたびに切符を買っていた頃は随分昔のような気がします。JRならばSuica(スイカ)でチャージしておいてピッとかざせば簡単に改札を行き来できます。また、Suicaで自動販売機のジュースはもちろん、売店などでも買い物ができるようになりました。ただ、便利になるのはなによりですが、会計処理するときにどう仕訳するべきか、ちょっと困ってしまいます。同様にポイントカード、商品券、プリペイドカードも会計上の処理に迷いがちなところ。一つずつ見ていきましょう。

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POINT

  • Suicaのチャージは「貯蔵品」
  • ポイントカードは「値引き」で考える
  • 商品券、プリペイドカードは「雑収入」

「Suicaのチャージ=交通費」は間違い?

鉄道会社の発表によると、SuicaやPASMO(パスモ)をはじめとした交通系電子マネーの1ヶ月あたりの利用件数が、2015年5月で1億2000万件を初めて突破し、過去最高記録を更新したそうです。事前にチャージしておけば、いちいち切符を買わなくても、簡単に改札を通ることができるのですから、利用が広がるのも当然でしょう。

しかし、そのチャージの料金は、どのように会計処理すればよいかご存知でしょうか? 電車の運賃に使うのだから交通費だと単純に考えるのは、実は間違いです。

なぜならば、チャージした段階では、鉄道会社に金銭を預けているだけだからです。鉄道会社にサービスの提供を要求できるけれども、まだその権利は行使していない状態なので、「貯蔵品」という資産勘定として振り分けます。

そして、実際に乗車したときに使った額を「貯蔵品」から「旅費交通費」に振り替えていきます。また、最近は、交通系電子マネーでいろんなものが購入できますから、例えば売店で文具を買った場合は、「事務用消耗品費」に振り替えていきます。この方法ならば、交通費以外に使った場合も、その内容に応じてスムーズに仕訳を行うことができます。

ちょっと面倒ですし、税務的にはもう少し簡便な方法も行われているようですが、これからも交通系電子マネーの利用範囲は広がることを考えると、この原則に則っていたほうがよいでしょう。ちなみに「貯蔵品」ではなく「仮払金」の勘定などを用いてもOKです。

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カードのポイントは値引き?収入?

交通系電子マネーと同様にポイントカードの利用も、すっかり日常となりました。財布にポイントカードが何枚も詰め込まれている人もいるのではないでしょうか。

そのポイントカードを使って、業務に必要な物を購入することも十分あり得ます。その場合の会計処理について考えたいと思います。どう仕訳するかについて説明する前に、「総額」と「純額」について踏まえておきましょう。

「総額」とは、その名の通り、かかった費用と収益のすべての金額を指します。一方で、「純額」とは、かかった費用と収益を相殺した金額のことです。会計で用いるのは「総額」の考え方ですよね。かかった費用と収益のすべてを記載していくのが原則です。

ただし、例外として、値引きや返品などが行われた場合など、実務上の煩雑さがある場合、純額での経理が容認されているケースもあります。そう、ポイントカードのポイントを活用した購入もこれが当てはまるのです。

それは

「ポイント分の金額を引いてもらったという値引きとして考えるか」

あるいは

「ポイント分の金額を受け取ったという収入として考えるか」

です。

前者の場合は「純額」で考えるために、本来は1,000円の消耗品について、ポイントを利用して800円で買った場合は

借方 貸方
消耗品費 800 現金 800

となります。現金のやりとりだけ考えればいいのですから、非常にシンプルです。

一方で、後者の場合は「総額」で考えるために、同じケースでは、

借方 貸方
消耗品費 1,000 現金 800
雑収入 200

となるので、ちょっと複雑な計算になります。ポイントでの購入は、値引きとして考えたほうが、会計上はシンプルです。

ただし、ポイントの額が年間で50万円以上の場合、個人だと申告が必要な一時所得としてみなされることがありますし、また、キャッシュバックの場合は総額で処理しなければならないなど、いくつか例外はあるので注意しましょう。

ポイントカードの会計処理については、まだ議論中のところもあり、今後方針が固められていきそうです。

商品券、プリペイドカードを使ったときは……

商品券やプリペイドカードをもらうこともあるかもしれません。そのときは「雑収入」として処理してください。うっかり忘れて、簿外資産にならないように気をつけましょう。このときの雑収入勘定は、不課税となります。1万円の商品券の場合、帳簿上は下記のようになります。

借方 貸方
商品券(非) 10,000 現金 10,000

そして、その商品券を使って、備品を購入した場合です。例えば、3万円する備品を1万円の商品券を使って購入すれば、下記のようになります。

借方 貸方
消耗品(課) 30,000 商品券(非) 10,000
現金     20,000

商品券だけではなく、ビール券などの金券類の交換については、非課税取引となり、消費税がかからないことも押さえておきましょう。

今後もICカードやポイントカードなど非現金でのやりとりは、活発になっていくことでしょう。今回、書いた内容についても、新たな取り決めがなされる可能性があります。最新情報をチェックしつつ、原則的な考え方を頭に入れておきましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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この記事の執筆者柳原つつじ

出版社勤務を経て、フリーエディター、コラムニスト。歴史、伝記・評伝、経営、書評、ITなどを得意ジャンルとして、別名義で著作多数。ここでは、脱サラフリーランスならではの視点で、お役立ち情報をお届けしたいと思います。

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