個人事業主になるには?必要な手続きとメリットやデメリットを解説

2024/01/16更新

この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

個人が事業を行うには、副業として行う、個人事業主になる、法人を立ち上げるといった方法があります。ここでは、個人事業主になるための手続きと、個人事業主になるメリット・デメリットについて解説します。

【利用料0円】はじめてでもカンタン・安心な「開業届」の作成はこちらをクリック新規タブで開く

無料お役立ち資料【一人でも乗り越えられる会計業務のはじめかた】をダウンロードする新規タブで開く

無料お役立ち資料【はじめての会社経営】をダウンロードする新規タブで開く

個人事業主とは「個人で事業を営む人」のこと

事業とは、一定の目的を持って反復・継続して行われる、独立した仕事のことです。例えば、経常的にアクセサリーを作ってショップで販売するのは「事業」ですが、引越しなどで出た不用品をフリーマーケットで売るのは事業ではありません。個人事業主とは、この事業を、会社などを設立せずに個人で営んでいる人のことです。

個人事業主とフリーランスとの違い

どの程度の反復・継続性、独立性があれば「個人で継続して事業を営んでいる」個人事業主に当たるかについては、明確な定義はありません。その仕事で生計を立てる意思があるか、本業なのか会社員の副業なのかといったことなどを総合的に見て判断します。税務署に開業届を出したから事業になるというわけではなく、あくまで実態で判断しなければいけません。

個人で働く人を指して「フリーランス」といったりもしますが、フリーランスとは、特定の団体に所属せず、個人で仕事を請け負って働く働き方のことです。これに対し個人事業主は、「継続して事業を営んでいる人」を指す点で異なっています。

個人事業主と法人との違い

法人とは、法律により人と同じ人格が認められた組織や団体のことです。株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人などさまざまなものがあり、設立の方法もそれぞれ異なります。事業内容は同じでも、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人は「個人事業主」、株式会社やNPO法人として事業を営んでいる場合は「法人」になります。

個人事業主になるための手続き

個人事業主になるには、法人のように法務局で登記をする必要はありません。税務署に開業届を提出する必要はありますが、もし開業届を提出していなくても実態として事業であれば、その事業を行っている人は個人事業主です。

個人事業主として開業する手順の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

管轄の税務署に開業届を提出する

開業届は、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人が開業した際に税務署に提出する書類です。事業を開始した日から、1か月以内に提出しなくてはいけません。用紙は、税務署の窓口で受け取れるほか、国税庁のWebサイトでもダウンロードできるので、入手して必要事項を記載したうえで、所轄の税務署に持ち込むか郵送して提出します。

個人事業の開業・廃業等届出書

開業届の書き方

  1. 1.
    納税地の税務署名と提出する日付を記載します。
  2. 2.
    「納税地」欄には納税地としたい場所の住所を記入し、その住所がどこであるか、「住所地(自宅の住所)」「居住地(海外に住んでいるが活動場所は日本にある場合など)」「事業所等(店舗やオフィスの住所)」から1つ選んでチェックを入れます。
  3. 3.
    自宅以外にオフィスや店舗、事務所などを構えている場合は、その下の「上記以外の住所地・事業所等」欄に、その住所を記載します。ただし、オフィスの住所を納税地とする場合は、「納税地」欄にオフィスの住所を記入し、「上記以外の住所地・事業所等」欄に自宅住所を記入します。
  4. 4.
    「氏名」欄に氏名、「生年月日」欄に生年月日、「個人番号」欄にマイナンバーを記載します。
  5. 5.
    「職業」欄に職業を記載します。職業によっては、業種に応じた個人事業税を支払わなければならない場合があります。
  6. 6.
    「屋号」欄に屋号を記載します。決めていなければ空欄で構いません。
  7. 7.
    「届出の区分」欄の「開業」にチェックを入れます。
  8. 8.
    「所得の種類」欄の該当する所得にチェックを入れます。個人事業主の多くは「事業(農業)所得」です。
  9. 9.
    「開業・廃業等日」欄に開業日を記載します。
  10. 10.
    「青色申告承認申請書」や「課税事業者選択届出書」など、この開業届といっしょに出す書類がある場合は、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄の「有」にチェックを入れます。
  11. 11.
    「事業の概要」欄に、どのような事業を始めるのかを、できるだけ詳しく記載します。例えば、「弁当の調理・宅配」「Webサイトのデザイン作成」「Web広告の作成」といった具合です。
  12. 12.
    専従者や使用人がいる場合は、「給与等の支払の状況」欄に、それぞれの人数と給与の支払い方(月給、日給など)を記入します。税額の有無欄は、専従者の源泉徴収を行うかどうかです。給与を支払うなら、通常は源泉徴収を行うので、「有」にチェックを入れます。
  13. 13.
    源泉徴収税は原則として毎月納める必要がありますが、給与の支給対象者が10人未満の場合、申請すれば年2回にまとめられます。申請を希望する場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」欄の「有」にチェックを入れます。
  14. 14.
    給与を支払う場合は、「給与支払を開始する年月日」欄に、支払った日または支払予定日を記載します。

状況によって開業届といっしょに提出するべき届出

状況によっては、開業届といっしょに下記の書類も提出が必要になります。当てはまる場合は、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」欄の提出する書類にチェックを入れたうえで、提出しましょう。

開業届といっしょに提出することがある書類とその目的
必要なケース 提出すべき書類 目的
青色申告を行いたい場合 所得税の青色申告承認申請書 青色申告事業者になる
家族を従業員として雇う場合 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 家族を青色事業専従者として、その給与を経費に算入する
従業員を雇って給与を支払う場合(開業届で「給与等の支払の状況」を記入した場合は不要) 給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書 従業員を雇用して給与を支払う場合、源泉徴収した所得税の納付書などが送付される
従業員を雇って給与を支払う場合(給与の支給人員が常時10人未満の場合) 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書 源泉徴収税(事業者が従業員の給与から天引きして集めた所得税)を毎月納めるのではなく、年2回まとめて納付できる

これに加え、業種によっては、都道府県に「個人事業開始申告書(事業開始等申告書)」の提出が必要です。提出先や提出期限は都道府県によって違うので、開業地の都道府県の規定に従ってください。

個人事業主には青色申告事業者と白色申告事業者がある

個人事業主には、確定申告の方法の違いで「青色申告」と「白色申告」があり、何も手続きをしないと白色申告になります。

青色申告ができる青色申告事業者には、最大65万円の青色申告特別控除や、家族従業員に支払った給与を経費にできる青色事業専従者給与、赤字の繰越や繰戻しができるなど、白色申告事業者にはないメリットがありますので、青色申告事業者になっておくのがおすすめです。

個人事業主が青色申告業者になるには「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、税務署長の承認を受けなくてはいけません。

青色申告と白色申告の主な違い
青色申告(特別控除65万円) 青色申告(特別控除55万円) 青色申告(特別控除10万円) 白色申告
条件 不動産所得・山林所得・事業所得のいずれかがある人
申請 原則として青色申告をしたい年の3月15日までに所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出(提出した翌年に申告をする確定申告から適用される) 必要なし
提出書類
  • 確定申告書※1
  • 青色申告決算書※2
    └貸借対照表
    └損益計算書
  • 確定申告書※1
  • 青色申告決算書
    └損益計算書
  • 確定申告書※1
  • 収支内訳書
記帳方法 複式簿記 簡易(単式)簿記でも可 簡易(単式)簿記
確定申告の期限 2月16日~3月15日
  • 青色申告特別控除65万円控除・55万円控除は申告期限内の申告と納税が必須
申告方法
  • e-Tax
  • 優良な電子帳簿保存をしている場合は、郵送・税務署への持ち込みでの提出も可
  • 郵送
  • 税務署へ持ち込み
  • e-Tax
  • 郵送
  • 税務署へ持ち込み
  • e-Tax
  • 郵送
  • 税務署へ持ち込み
その他の要件 e-Taxによる申告または、優良な電子帳簿保存をしている - - -
税制上の優遇措置 青色申告特別控除(65万円) 青色申告特別控除(55万円) 青色申告特別控除(10万円) なし
その他
  • 赤字を3年繰り越せる(もしくは繰り戻しできる)
  • 減価償却資産(30万円未満)は一括経費にできる
  • 青色事業専従者給与で家族への給与を経費にできる※3
申告の手続きや準備が簡単
  • ※1確定申告書にはAとBの2種類がありましたが、確定申告書Aは2023年(令和5年)1月から廃止され、2022年(令和4年)分の確定申告からは一本化されて、確定申告書となります。
  • ※2青色申告決算書は損益計算書、「売上」「仕入」に関する内訳書、減価償却に関する内訳書、貸借対照表の4ページで構成されます。
  • ※3不動産所得で、事業的規模ではない場合は、青色事業専従者給与は適用できません。

所得税の青色申告承認申請書の書き方

青色申告承認申請書は、税務署の窓口で受け取れるほか、国税庁のWebサイトでもダウンロードできます。所得税の青色申告承認申請書の書き方は下記のとおりです。

所得税の青色申告承認申請書

青色申告承認申請書の書き方

  1. 1.
    納税地の税務署名と提出する日付を記載します。
  2. 2.
    「納税地」欄には納税地としたい場所の住所を記入し、その住所がどこであるか、「住所地(自宅の住所)」「居住地(海外に住んでいるが活動場所は日本にある場合など)」「事業所等(店舗やオフィスの住所)」から1つ選んでチェックを入れます。
  3. 3.
    自宅以外にオフィスなどを構えている場合は、その下の「上記以外の住所地・事業所等」その住所を記載します。ただし、オフィスの住所を納税地とする場合は、「納税地」欄にオフィスの住所を記入し、「上記以外の住所地・事業所等」欄に自宅住所を記入します。
  4. 4.
    「氏名」欄に氏名、「生年月日」欄に生年月日を記載します。
  5. 5.
    「職業」欄に職業を記載します。
  6. 6.
    「屋号」欄に屋号を記載します。屋号を決めていない場合は空欄でもかまいません。
  7. 7.
    「職業」欄の下に、青色申告を始めたい年を書きます。ここは西暦ではなく年号で記入します。例えば、2022年に開業し、初年分から青色申告をするなら「(令和)4(年)」です。
  8. 8.
    店舗などが複数ある場合は、「1 事業所又は所得の起因となる資産の名称及びその所在地」に、その名称と住所を記入します。
  9. 9.
    「2 所得の種類」の所得の種類には該当する所得区分にチェックを入れます。
  10. 10.
    「3 いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無」の該当する箇所にチェックを入れます。過去に、取消しを受けたことも取りやめたこともない場合には、「無」にチェックを入れます。
  11. 11.
    「4 本年1月16日以後新たに事業を開始した場合、その開始した年月日」は、この届出を提出する年の1月16日以降に開業した場合に、その日付を記入します。すでに開業しているなど、あてはまらない場合は空欄でかまいません。
  12. 12.
    届出をする事業内容が、親族などから相続したものである場合には「5 相続による事業継承の有無」の「有」にチェックを入れ、相続を開始した日付と誰から相続した事業であるか、被相続人の氏名を記入します。あてはまらない場合は、「無」にチェックを入れます。
  13. 13.
    「6 その他参考事項」は、青色申告をする際の帳簿方式について、あてはまるものにチェックを入れます。最大65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は、「(1)簿記方式」の「複式簿記」に、10万円控除の場合は「簡易簿記」に丸をつけます。

    さらに、「(2)備付帳簿名」の「現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・総勘定元帳・仕訳帳」にチェックを入れますが、この欄は使う可能性があるもので構いません。

    なお、最大65万円の青色申告特別控除を受けるために最低限必要な備付帳簿は総勘定元帳と仕訳帳です。10万円の青色申告特別控除を選択する場合は、(1)の「簡易簿記」、(2)の「現金出納帳」にチェックを入れます。

青色申告の税制メリット

青色申告には、白色申告にはない税制メリットが多くあります。青色申告事業者になると適用できる税制メリットについて、詳しく見ていきましょう。

最大65万円の青色申告特別控除がある

正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳し、記帳にもとづいた貸借対照表および損益計算書を提出してe-Taxなどで期日までに確定申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除があります。申告の方法や帳簿の保存方法、提出方法によっては、青色申告特別控除の金額は55万円に、複式簿記ではなく簡易簿記を選択した場合や申告期限に合わなかった場合は青色申告特別控除の金額は最大10万円です。

青色事業専従者給与を経費にできる

「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」を提出することで、家族従業員に支払った給与を経費として計上できます。

純損失の繰越と繰戻しができる

事業で赤字を出した場合、その損失額を翌年から最大3年間繰越ができます。また、純損失の繰越をしない代わりに、損失の全額もしくは一部を前年の所得金額から控除して再計算した差額の還付を請求する、繰戻しによる還付請求が可能です。ただし、繰戻し還付の場合、税務署に「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出する必要があります。

貸倒引当金の経費計上が可能

取引先の倒産などで売掛金等が回収できない場合に備え、損失を見込んで積み立てておく「貸倒引当金」を経費として計上できます。

少額減価償却資産の特例

取得価額が30万円未満の減価償却資産を購入した場合、その年の経費として一括で減価償却費を計上できます。

個人事業主になるメリット

青色申告をするには、その所得が「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3種類に限って認められます。個人事業主ではなく、雑所得になる範囲で副業をしている場合には、青色申告はできません。副業を行っていた人が個人事業主になった場合、青色申告ができるだけではなく、下記のようなメリットがあります。

定年がない

個人事業主の場合は、会社のように退職時期が定められていません。勤務時間や勤務期間など、働き方を調整しやすいので、一般的な定年に関係なく働けます。

開業は簡単で費用も発生しない

法人の設立には、法人登記申請のための費用や手間がかかりますが、個人事業主なら費用をかけずに開業できます。

働き方を選べる

個人事業主の働き方は自由なので、自分でスケジュールを組むことができます。また、自分の行動が収入にダイレクトに反映されるので、実力次第で収入を増やすことが可能です。

要件を満たせば最大65万円の青色申告特別控除が適用できる

青色申告事業者になると、最大で65万円の青色申告特別控除が受けられます。ただし、複式簿記方式で記帳する、確定申告の期限内にe-Taxによって確定申告を行う(もしくは、優良な電子帳簿保存)など、いくつかの要件を満たす必要があります。

法人に比べると決算を簡単に済ませられる

法人の場合、経理事務が多く、帳簿付けや税金計算の正確性を担保する必要性などから、決算や確定申告(消費税や法人税)の際は、税理士に依頼するケースが多いでしょう。しかし、個人事業主の場合、確定申告ソフトを利用すれば、法人税ほどには計算が複雑ではないため、確定申告を自分で行う人もある程度います。

個人事業主になるデメリット

個人事業主になると、ご紹介したように多くのメリットがあります。その一方で、雑所得として副業を行う場合に比べ、個人事業主になることはデメリットも伴います。

帳簿作成と確定申告をしなければならない

個人事業主として活動すると、所得金額が48万円を超えた場合は確定申告をしなくてはいけません。さらに、最大65万円もしくは最大55万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記方式での記帳が必要になります。確定申告ソフトや会計ソフトを利用すれば、複式簿記の知識がなくても帳簿付けや確定申告は可能ですが、そういったソフトの導入が必要です。

社会的信用度が下がるおそれがある

個人事業主は法人に比べて、社会的信用度が低い傾向があります。そのため、金融機関から事業のための融資を受けたくても却下や減額されたり、大手の取引先とは直契約が結べなかったりする可能性もあるでしょう。また、社会的信用度の低さから、住宅ローンに通りづらい、クレジットカードが作りづらいといったことも起こりえます。

社会保険料を全額払う必要がある

給与所得者の場合、年金や健康保険の保険料は、所属している企業や団体が半額支払ってくれます。しかし、個人事業主は全額自分で支払わなくてはいけないため、自己負担金が増えます。また、国民健康保険では、健康保険にあるような出産手当金や傷病手当金もありませんし、法律上被雇用者に認められている育児休暇、有給休暇といった制度もありません。

個人事業主になる際の注意点

勤め先をやめて個人事業主になる場合も、会社に勤めながら、これまで副業としてやってきたことを事業化し、会社員と個人事業主の2本立てでやっていく場合も、それぞれ気をつけたいことがあります。個人事業主になる注意点について、状況別に詳しくご説明します。

会社を辞めて個人事業主になる場合

事業を始めるときは、事業決済専用のクレジットカードがあると便利です。個人カードを使う方法と、法人カードを作る方法がありますが、個人カードを使う場合は、会社に在籍しているうちに作っておくとスムースに進みます。

会社を辞める際は、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、預けていた年金手帳などを忘れず会社から受け取りましょう。健康保険証の返却と国民健康保険や任意継続の健康保険への切り替え、年金の変更などの手続きも必要になります。

会社に勤めながら副業で個人事業主になる場合

副業を禁止している会社もあるので、まずは就業規則を確認しましょう。副業の額面合計(副業が給与以外の場合は副業の所得合計)が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。

個人事業主になるために必要な準備とは?

個人事業主になるためには、さまざまな準備が必要です。やらなければいけないことと、やった方が良いことをまとめてご紹介します。

個人事業主になる際に必ずやること

個人事業主になるために、必ずやらなければならないことは下記の2つです。

開業届を提出する

開業から1か月以内に、開業届を所轄の税務署に提出します。

社会保険に関する手続きをする

自治体の窓口を訪れ、国民健康保険(任意継続の健康保険に加入している場合を除く)と国民年金に加入します。職種によっては、健康保険組合に加入できる場合もあります。

個人事業主になる際にやっておいた方がいいこと

個人事業主になる際にやっておいた方がいいことがいくつかあります。これらをしなくても個人事業主にはなれますが、日々の業務をスムースにこなしたり、将来起こりうるトラブルに備えたりなど、安心につながることでもありますので、時間があるときにやっておきましょう。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済とは、中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業経営者・個人事業主のための退職金積立制度です。毎月1,000~7万円の範囲で自由に積み立てができ、退職・廃業時に、積み立てた額に応じた金額が受け取れます。積立金は全額が所得控除の対象となっており、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度も利用できます。

事業用の銀行口座を開設する

事業用の銀行口座を開設し、オフィス・店舗の家賃の引落しや事業用クレジットカードの支払いをその口座から行うようにすれば、手間をかけずにプライベートでの支出と事業上の支出を分類できます。

確定申告に向けた準備をする

確定申告を行うためには、日々の取引を帳簿に記録する必要があります。手書きだと大変ですが、確定申告ソフトなどを導入すれば簡単に記帳できますし、確定申告時の手間もかかりません。

個人事業主になるなら「やよいの青色申告 オンライン」の導入を

今まで業務になる副業(雑所得)として確定申告を行ってきた人が、開業届を出して個人事業主になると、要件を満たせば最大65万円の青色申告控除が受けられる、3年間は赤字の繰越ができるなど、数々のメリットがあります。

最大65万円もしくは最大55万円の青色申告控除を受けるには、複式簿記の方法による記帳、確定申告時に記帳にもとづいて貸借対照表・損益計算書を提出するといった要件を満たす必要があります。すべて自分でやるのは大変ですが、確定申告ソフトや会計ソフトを導入すれば、自分で比較的簡単に記帳・確定申告ができるのは、個人事業主の強みです。

やよいの青色申告 オンライン新規タブで開く」なら、会計知識のない初心者でも簡単に記帳・確定申告が行えます。日々の取引を入力しておけば、簡単な操作で確定申告に必要な貸借対照表と損益計算書が作成可能です。個人事業主になろうとする方は、ぜひ「やよいの青色申告 オンライン」の導入をご検討ください。

photo:PIXTA

この記事の監修者渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、起業コンサルタント®。
1984年富山県生まれ。東京大学経済学部卒。
大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。
在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年独立し、司法書士事務所開設。
2013年にV-Spiritsグループに合流し税理士登録。現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
著書『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’21~’22年版新規タブで開く

初心者事業のお悩み解決

日々の業務に役立つ弥生のオリジナルコンテンツや、事業を開始・継続するためのサポートツールを無料でお届けします。

  • お役立ち情報

    正しい基礎知識や法令改正の最新情報を専門家がわかりやすくご紹介します。

  • 無料のお役立ちツール

    会社設立や税理士紹介などを弥生が無料でサポートします。

  • 虎の巻

    個人事業主・法人の基本業務をまとめた、シンプルガイドです。

事業のお悩み解決はこちら