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原価率とは?計算方法や業種別の目安、原価率を抑える方法を解説

監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

事業を営むうえでは、原価率を意識する必要があります。売上だけを追っていては、利益を最大化することはできません。できるだけ原価率を抑えて、効率良く利益を上げていきましょう。

ここでは、原価率の計算方法や、原価率を抑えるための具体的な対策について解説します。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

原価率とは売上高における原価の割合

原価率とは、売上高における原価の割合を示す数字です。消費者にとって原価率が高いということは、それだけ良い物を安く手に入れられる可能性が高いということになります。しかし、販売する側にとっては、原価率が高ければ、その分1個を販売したときに得られる利益が少なくなります。

原価率が高すぎると、多くの売上を上げても利益が少なく、経営を圧迫する可能性があるでしょう。一方で、原価率が低すぎると消費者が製品に不満を抱く可能性があります。もちろん、原価率が低くてもそれに見合った付加価値を付与できていれば問題ありませんが、そうではない場合は「割高」と思われる原因になり、消費者離れにつながることもあります。

なぜ原価率を把握しておいた方がいいのか?

原価率を把握し、適切にコントロールすることは、企業の利益の確保や健全な経営につながります。

そもそも、企業の利益の大元となるのは売上高です。その売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益(粗利)で、人件費や事務所家賃といった固定費などは、基本的に売上総利益から支払うことになります。一定の売上総利益を確保できなければ、赤字になったり、資金不足に陥ったりする可能性が高くなるのです。

必要な売上総利益を確保するためには、売上高と売上原価のバランスを見る必要があります。このバランスが原価率です。原価率を意識して適切に保つことが、製品のクオリティ維持につながり、営業利益や純利益といった利益の確保につながります。

原価率はどうやって求める?

原価率は、下記の式で算出することができます。

【原価率の算出方法】
原価率=売上原価(製造原価)÷売上高

原価率を計算するためには、「売上原価」と「売上高」を知らなければいけません。売上高は、一定期間の本業による売上の合計額です。一般的には、一会計期間中の売上を指す場合が多いでしょう。

一方、売上原価は、下記の式で求められます。

【売上原価の算出方法】
売上原価=期首(商品)棚卸高+当期仕入高-期末(商品)棚卸高

棚卸高は、棚卸を行って商品在庫の数を確認して、評価額の計算をすることで求められます。棚卸や評価は、決算時に必ず行う処理です。

過去の会計期の売上高と売上原価は、どちらも損益計算書に記載されています。

原価率が上がる原因になる「ロス率」

ロス率とは、売上に貢献できなかった売上原価がどのくらいあるのかを示す数字です。

例えば、ある商品を1,000個仕入れたものの、そのうち5個を品出しの際に破損してしまった場合、995個しか販売することができません。さらに、そのうち10個が売れ残って使用期限を過ぎてしまったら、販売することはできなくなります。

一般的にロスが生じる原因とは、以下の3つがあげられます。

  • 廃棄ロス:賞味期限切れや損傷などの理由で商品を廃棄する
  • 機会ロス:顧客からの注文に対応できなかったために生じる
  • 棚卸ロス:帳簿上の在庫量と、実際の在庫量が合わないことから発生する

このうち特に、「廃棄ロス」と「機会ロス」は経営の悪化に直結します。「どのような原因でロスが生じているか?」という視点はたいへん重要です。

具体的には、仕入ミスや在庫の破損・劣化、市場のニーズの変化などが原因となることが多いです。仕入個数を間違えて大量に仕入れてしまったり、在庫品をうっかり破損してしまうことで、ロスが起こるのです。一方、特に人的ミスがなくても、市場のニーズが急速に変化してロスが出てしまうこともあるでしょう。

このように「何らかの理由で販売できなくなってしまった商品や材料」が多ければ多いほど、ロス率が上がり、ロス率が上がると原価率も上がってしまいます。

ロスと原価率がどのように連動するのか、いくつか例を挙げてご紹介します。

【原価率の計算例】

  1. 100個の商品を1個80円で仕入れて、すべてを120円で販売した場合の原価率
    売上原価:80円×100個=8,000円
    売上高:120円×100個=1万2,000円
    原価率:8,000円÷1万2,000円=約66.7%
  2. 100個の商品を1個80円で仕入れて、95個を120円で販売、5個を廃棄した場合の原価率
    売上原価:80円×100個=8,000円
    売上高:120円×95個=1万1,400円
    原価率:8,000円÷1万1,400円=約70.2%
  3. 105個の商品を1個80円で仕入れて、100個を120円で販売、5個を廃棄した場合の原価率
    売上原価:80円×105個=8,400円
    売上高:120円×100個=1万2,000円
    原価率:8,400円÷1万2,000円=70.0%

ロスをできるだけ減らすためには、ヒューマンエラーを防ぐ管理体制を検討するとともに、適切な在庫量を分析し、キープできるようにしておくことが大切です。

ロス率の求め方

ロス率を求める計算式は下記のとおりです。

【ロス率の算出方法】
ロス率=ロス金額÷売上高×100

ロス金額とは、実際にロスしてしまった金額がいくらなのかということです。通常価格から値引き販売をした場合は、「値引き額×値引きした個数」、商品の破損や期限切れなどによって廃棄した場合は「通常の販売額×廃棄した個数」で計算します。

【ロス率の算出例】
100個の商品を仕入れて、90個を120円で販売、5個を100円で販売、5個を廃棄した場合のロス率

売上高=120円×90個+100円×5個=1万1,300円
ロス金額=(120円-100円)×5個+120円×5個=700円

700円÷1万1,300円×100=約6.2%

原価率の目安はどのくらい?

同じ価格の製品を販売したとき、原価率が低ければ低いほど多くの利益を得ることができます。しかし、原価率を下げすぎると製品の価値を保てない可能性があります。業種や経営方針、取り扱う製品に応じた適切な原価率を設定することが大切です。

とはいえ、まったく指針がないまま、自社の原価率が適正かどうかを判断するのは困難です。そこで、「経済産業省企業活動基本調査」の結果から、製造業、卸売業、小売業それぞれの業種の2020年度の原価率の平均をご紹介します。

なお、この調査の調査対象は、従業者50人以上で資本金または出資金が3,000万円以上の企業です。調査対象よりも小規模な企業の原価率とは、必ずしも一致しない可能性があります。

製造業

製造業の2020年度の売上高は、1企業当たり204億9,470万円でした。一方、売上原価は165億6,980万円です。原価率は下記のようになります。

【2020年度の製造業の原価率】
165億6,980万円÷204億9,470万円×100=約80.8%

2016年度からの製造業の原価率の推移は79.8%、79.5%、80.4%、81.1%となっているため、おおよそ80%前後が目安になると考えていいでしょう。

卸売業

卸売業の2020年度の売上高は、1企業あたり371億1,570万円でした。売上原価は325億810万円です。原価率は下記のようになります。

【2020年度の卸売業の原価率】
325億810万円÷371億1,570万円×100=約87.6%

2016年度からの卸売業の原価率の推移は88.3%、88.6%、88.6%、88.2%ですから、おおよそ88%前後が目安になるといえるでしょう。製造業者と小売業者の間に立って商品の流通を行う卸売業は、他の業種に比べて原価率が高い傾向にあります。

小売業

小売業の2020年度の売上高は、1企業あたり252億8,000万円でした。売上原価は179億9,940万円です。原価率は下記のようになります。

【2020年度の小売業の原価率】
179億9,940万円÷252億8,000万円×100=約71.2%

2016年度からの小売業の原価率の推移は71.4%、71.7%、71.8%、71.8%、71.2%となっています。2020年度に原価率が低下していますが、71.5%前後が目安と考えられるでしょう。小売業は、今回紹介した業種の中では最も原価率が低い業種となっています。

ただし、上記はあくまでも業種別の目安です。それぞれの企業の経営方針や、具体的な取り扱い商材によって原価率は変わります。これまでの原価率の推移なども参考に、自社にとって最適な原価率を検討することが大切です。

原価率を抑えるためにできること

原価率は、売上原価÷売上高で算出されます。そのため、原価率を抑えたいときは、売上原価を下げるか売上高を上げれば良いということになります。

ここでは、原価率を抑えるための具体的な対策について見ていきましょう。

仕入量を見直す

自社にとって最適な在庫量を把握し、キープすることでロス率を減らせば、原価率の低下につながります。仕入量が多すぎると、それを保管するためのコストも増加しますし、劣化や使用期限切れなどの原因になります。特に、飲食店など消費期限の短い材料を扱う店舗では、無駄を出さない発注を心掛ける必要があるでしょう。

反対に製造業などの場合は、大量発注をすることで仕入単価を下げられることもあります。自社にとって最も効率が良い仕入れ方を検討することが大切です。

仕入先を見直す

仕入先の見直しによって、これまでよりも効率の良い仕入れができ、原価率を抑えられる可能性もあります。

例えば、これまで1,000個単位でしか発注できなかった商品を100個単位で仕入れられるようになれば、細かい在庫量の調整が可能です。また、より安い仕入先を見つけられれば、その分売上原価を下げられます。

仕入れる物を見直す

これまでよりも安い材料を使えば、売上原価を下げることができます。ただし、材料費が安くなったことで製品のクオリティが下がってしまうと、顧客離れや消費者離れが起こる可能性もあります。品質とのバランスを考えて検討しましょう。

在庫の管理方法を見直す

特にロス率が高い企業では、在庫の管理方法を見直すことで原価率を抑えられる可能性があります。ロスが起こる原因を調べて、該当のトラブルが起こりにくい管理方法を検討してみてください。在庫の管理方法見直しは、取引先や顧客への影響がない、自社だけで完結できる対策の1つとなりますので、積極的に行いましょう。

製品の製造工程を見直す

製品を製造するうえでの工程の見直しも、原価率を抑えるのに役立ちます。無駄な工程があれば、それを省くことで、原価率を抑えることが可能です。

また、飲食店の場合は、規定以上に多くの食材や調味料を使っていないか定期的にチェックすることも大切です。

原価率が低い商品に注力する

多くの企業は、1つの製品ではなく複数の製品を販売しています。原価率ができるだけ低い製品の広告宣伝に力を入れるようにすれば、全体の原価率を抑えることができるでしょう。原価率が高い売れ筋商品と原価率が低い商品がある場合、セット販売を行うといった手法も効果的です。

商品の種類を抑える

商品展開の幅を狭くして大量仕入れした方が、少しずつ多くの種類を仕入れるよりも効率が良い場合があります。経営方針にもよるので一概にはいえませんが、商品の種類を抑えて売れ筋商品や原価率の低い商品に注力するのも1つの方法です。

販売価格を上げる

販売価格を上げれば、同じ数を売り上げたときの売上高が高くなり、その分原価率を下げられます。ただし、販売価格を上げたことによる顧客離れや消費者離れが起こり、販売数が減ってしまうと逆効果です。

販売価格の見直しは、競合他社の値付けや顧客のニーズなどを見極めたうえで慎重に行うことが大切です。

原価率を意識した経営を行おう

原価率を意識し、適切に保つことは、利益の最大化や安定経営につながります。まずは、現在の自社の原価率と、過去の原価率の推移を確認してみてください。そのうえで、同業他社との比較や顧客のニーズなどを踏まえた、自社にとっての適切な原価率を検討することが大切です。

同時に、より効率の良い経営を行うために、業務の無駄やロスを洗い出し、製品クオリティに影響のない範囲で原価率を抑えていくことも重要です。

弥生販売 プロフェッショナル」を活用すれば、商品の在庫状況を月単位で確認できたり、売上原価の一括更新もできるため、入出庫や在庫金額の管理をスムーズに行えます。商品の在庫切れによる販売機会の損失を事前に確認出来たり、商品回転率を確認することで、廃棄ロスや過剰在庫を防止する判断にも役立ちます。

さらに、「弥生会計」を導入することで経営分析もできます。こうしたソフトを利用して、自社の経営に役立てていきましょう。

photo:PIXTA

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