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支払調書とは?発行義務の範囲や書き方、提出期限、提出方法について解説

監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

事業者が税務署に出さなくてはいけない書類はたくさんあります。「支払調書」もそのひとつです。

ここでは、支払調書とはどのようなもので、提出義務のある事業者の要件、どんな場合に作成・提出しなければならないのかを解説します。

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支払調書は報酬などを支払った企業が税務署に提出する書類

支払調書とは、報酬や料金の支払いをした企業や個人事業主が、「誰に、どんな内容で、年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類のことです。

支払調書は、税金に関する4つの法律規定により、税務署への提出が義務付けられている「法定調書」の一種です。法定調書は全部で60種類あり、そのうち34種類が各種支払調書となっています。

法定調書の提出義務者は、法定調書を作成し、対象となる年の翌年の1月31日までに税務署に提出しなければいけません。

支払調書の種類

支払調書は支払内容によって細かく分けられており、数多くの種類がありますが、主なものは次の4つです。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、源泉徴収の対象となる報酬をフリーランスや弁護士などに支払った企業や個人が作成し、税務署に提出するものです。基本的には、同じ相手に年間5万円超の報酬を支払った場合に作成・提出が必要となりますが、報酬の種類によっては多少違う点があります。

例えば、外交員や集金人に対する報酬・料金、広告宣伝のための費用については、同じ相手に年間50万円超の支払いがなければ、提出の必要はありません。

なお、支払調書の提出が求められるのは、源泉徴収義務者だけと考えがちですが、法人(人格のない社団などを含む)に支払われる報酬、料金などで源泉徴収の対象とならないもの、あるいは、支払金額が源泉徴収の限度額以下であるため源泉徴収をしていない報酬、料金などについても、提出範囲に該当するものは、この支払調書を提出しなければならないので注意してください。

不動産の使用料等の支払調書

不動産、不動産の上に存在する権利、総トン数20t以上の船舶、航空機の借受けの対価などの支払いをする法人と不動産業者である個人は、不動産の使用料等の支払調書を作成・提出する必要があります。ただし、不動産業者である個人で、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる場合、提出義務はありません。

不動産の使用量等の支払調書の作成・提出が必要になるのは、同じ相手に年間15万円超の報酬を支払った場合です。なお、不動産の貸主が法人の場合は、家賃や賃借料は含まず、権利金や更新料等、一時的に支払ったものが15万円を超えているかどうかで判断されます。

不動産等の譲受けの対価の支払調書

譲り受けた不動産、不動産の上に存在する権利、総トン数20t以上の船舶、航空機の対価の支払いをする法人と不動産業者である個人は、不動産等の譲受けの対価の支払調書を作成・提出します。ただし、不動産業者である個人の場合、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいるなら、提出義務はありません。

作成・提出が必要になるのは、同じ相手への支払金額が年間100万円を超える場合です。

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

不動産、不動産の上に存在する権利、総トン数20t以上の船舶、航空機の売買または貸付けのあっせん手数料の支払いをする法人と不動産業者である個人は、不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書を作成・提出する必要があります。

ただし、不動産業者である個人の場合、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいるなら、提出義務はありません。作成・提出が必要になるのは、同じ相手への支払金額が年間15万円を超える場合です。

支払調書の提出が求められる理由

支払調書の提出が求められるのは、納税者が正しく税金の申告をしているか、税務署が確認するためです。

税務署は、支払調書発行義務者から支払調書を受け取ることで、お金が誰から誰にいくら支払われたのかを把握できます。報酬を受け取った側から税の申告を受けた際、支払調書の内容と突き合わせることで、申告内容が正しいかを確認しているというわけです。

また、上記、取引が源泉徴収対象取引である場合には、「正しく源泉徴収義務がなされているか」という点もチェックポイントになります。源泉徴収対象取引であるのに、正しく源泉徴収がなされていなければ、「源泉徴収義務違反」といって、支払者にペナルティが課せられる場合がありますので注意が必要です。

なお、このような場合、源泉徴収がなされていない場合がほとんどなので、本来の源泉所得税の納付期限から遅れることが多くなります。その場合、本税のほかに不納付加算税や延滞税といった罰則も課される可能性があります。

支払調書の提出が必要な範囲

支払調書を提出する必要がある支払いの範囲は、支払調書ごとに定められており、すべての支払いが対象になるわけではありません。

例えば、一般的に企業で扱われることが多い「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の場合、範囲は次のように決まっており、これに該当しない支払いについては支払調書の提出は不要です。

【区分別・支払調書の提出が必要な範囲】

区分 提出範囲
外交員、集金人、電力量計の検針人およびプロボクサー等の報酬・料金 同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金
広告宣伝のための賞金
馬主に支払う競馬の賞金 その年中の1回の支払賞金額が75万円を超える支払いを受けた人に関わるその年中のすべての支払金額
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
その他の支払い(プロ野球の選手などに支払う報酬や契約金、弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等) その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの

なお、法人に支払われる報酬・料金等で源泉徴収の対象とならないものや、支払金額が源泉徴収の限度額以下であるために源泉徴収をしていない報酬・料金等についても、提出範囲に該当する場合は、支払調書の提出が必要になります。

支払調書の書き方

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」など、支払調書の書式は国税庁のWebサイトで手書用と入力用のフォーマットをダウンロードできます。

支払調書の記載事項

支払調書の記載項目について、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を例に解説しましょう。

支払を受ける者:氏名、住所、マイナンバーまたは法人番号

支払調書を作成する日における支払いを受ける者の住所(居所)または所在地、氏名(個人名)または法人名などの名称を、契約書等で確認して記載します。単に屋号のみの記載は間違いです。「個人番号又は法人番号」の欄には、支払いを受ける者のマイナンバーまたは法人番号を右詰めで記載します。

ただし、支払いを受ける人に支払調書の写しを交付する場合には、マイナンバーを記載して交付することはできませんので、注意してください。マイナンバーを記載がもとめられるのは税務署といった諸官庁に提出する場合です。例えば、「民間会社が一個人に支払調書の写しを交付する」といったような場合には、マイナンバーを記載することはできません。

区分:原稿料、印税、翻訳料など

原稿料、印税、翻訳料など、支払った報酬や料金の名称を記載します。印税については、「書き下ろし初版印税」と「その他の印税」を区別して記載します。

細目:書籍名や支払い回数など

以下の区分によって記載します。

(1)印税:書籍名
(2)原稿料、さし絵料:支払回数
(3)放送謝金、映画・演劇の俳優等の出演料:出演した映画、演劇の題名等
(4)弁護士等の報酬、料金:関与した事件名等
(5)広告宣伝のための賞金:賞金の名称等
(6)教授・指導料:講義名等

支払金額:1年間に支払いの確定したもの

1年間のうちに支払いが確定したものを記載します。源泉徴収の対象外となる報酬・料金等や未払いの報酬・料金等の記入漏れに注意しましょう。支払調書の作成日時点で未払いがある場合は、各欄の上段に未払額を内書きします。

源泉徴収税額:1年間に源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の合計額

1年間に源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の合計額を記載します。支払調書の作成日時点で未払いがあり、まだ徴収していない所得税および復興特別所得税がある場合は、未収納税額を内書きします。

なお、徴収の猶予を受けた税額がある場合は、その税額は含めません。

摘要

以下の4つに該当する場合は記載します。

(1)診療報酬のうち家族診療分については、その金額を記載するとともに、金額の頭に四角囲みで「家族」と記載

(2)災害により被害を受けたため、報酬、料金等に対する源泉所得税および復興特別所得税の徴収の猶予を受けた税額がある場合には、その税額を記載するとともに、金額の頭に◯の中に「災」と記載

(3)広告宣伝のための賞金が金銭以外のものである場合には、その旨とその種類等の明細を記載

(4)支払いを受ける方が「源泉徴収の免除証明書」を提出した方である場合、その他法律上源泉徴収を要しない方である場合には、その旨を記載

支払者:支払者の氏名(名称)、所在地、電話番号、マイナンバーまたは法人番号

マイナンバーを記載するのは税務署などの諸官庁に提出する分のみです。支払いを受ける本人にも支払調書の写しを交付する場合、本人に渡す分にはマイナンバーは記載してはいけない点に注意してください。

支払調書の提出方法

支払調書の提出期限や提出方法は、下記のとおりとなります。提出方法は、支払い調書の枚数が多い場合に提出方法が限定されたり、提出しなかった場合の罰則もあったりしますので、注意が必要です。

提出期限

報酬・料金等を支払った翌年の1月31日までに、納税地などを管轄する税務署長に支払調書を提出します。

枚数が多い場合はメディアを使用

支払調書の提出方法は、e-Tax、光ディスク(CD・DVD)等、書面、クラウド等の4つから選択できます。クラウド等というのは、クラウド上のファイルに法定調書に記載すべき事項を記録したうえで、税務署長にその閲覧・記録権限を付与する方法で、これを選ぶにはあらかじめ「認定特定電子計算機による申請等の開始(変更)届出書」を税務署長に提出する必要があります。

なお、支払調書を含む法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった当該法定調書の提出枚数が100枚以上になる場合は、書面による提出はできず、e-Tax、光ディスク(CD・DVD)等、クラウド等のどれかの方法によって提出しなくてはいけません。

提出しなかった場合の罰則

支払調書の提出義務があるにもかかわらず提出しなかった場合は、所得税法違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金になる可能性があります。

なお、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、税務署への提出は義務ですが、報酬の支払先への支払調書の写しの交付は義務付けられていません。商取引や慣習で発行している企業もありますが、昨今は経費削減やペーパーレスの観点から発行することを見直し、報酬の支払先への支払調書の発行や交付を取りやめる事業者も増えています。

photo:PIXTA

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