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法定調書とは?種類や提出義務者、受け取ったときの対処法を解説

監修者 : 渋田貴正(税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士)

法定調書は、源泉徴収票や支払調書などを含めた書類の総称です。60種類あり、税務署への提出が義務づけられています。

法定調書がどのようなもので、何のために作成されているのか。法定調書を発行する際の流れや、法定調書を受け取ったときの取り扱い方法についても解説します。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

法定調書とは、税務署へ提出が義務付けられている書類の総称

法定調書とは、「所得税法」「相続税法」「租税特別措置法」「国外送金等調書法」によって、税務署への提出が義務付けられている書類の総称です。1つの書類を指すわけではないため、「法定調書」と言われたときは、どの書類を想定しているのかを確認しましょう。

法定調書の種類

法定調書にはさまざまな種類があり、現行法では60種類あります。規定している法律別に、いくつか例をご紹介します。

【所得税法に規定されている法定調書の例】

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書

【相続税法に規定されている法定調書の例】

  • 生命保険金・共済金受取人別支払調書
  • 損害(死亡)保険金・共済金受取人別支払調書
  • 退職手当金等受給者別支払調書

【租税特別措置法に規定されている法定調書の例】

  • 上場証券投資信託等の償還金等の支払調書
  • 特定口座年間取引報告書
  • 非課税口座年間取引報告書

【国外送金等調書法に規定されている法定調書の例】

  • 国外送金等調書
  • 国外財産調書

主な法定調書の種類とその提出義務者

法定調書を作成し、税務署へ提出する義務を負う者は、法定調書の種類によって異なります。主な法定調書6種とその提出義務がある者をそれぞれ説明していきます。

この6種の法定調書は、支払が確定した年の翌年1月31日までに取りまとめて税務署に提出が必要です。

1.給与所得の源泉徴収票

会社員やアルバイトをしていると年末や年明けに「源泉徴収票」を勤め先から渡されます。雇用して、給与を支払う事業者は、必ず作成をしなければならない書類です。また、この源泉徴収票は、支払額が一定の金額を超える場合には税務署にも提出義務があります。

税務署に提出すべきものは年末調整を受けているかどうかに応じて以下の通りになります。

【年末調整を受けている人】

  • 役員の場合:150万円を超えて支払われた給与等
  • 弁護士、司法書士、税理士等の場合:250万円を超えて支払われた給与等
  • その他の場合:500万円を超えて支払われた給与等

【年末調整を受けていない人】

  • 副業(乙欄)の場合:50万円を超えて支払われた給与等
  • 年収が2,000万円を超えたため年末調整を受けていない場合:全員
  • 年の途中で退職した場合:250万円(役員は50万円)を超えて支払われた給与等

なお、税理士や弁護士などの士業に関しては、会社との契約および業務の内容により、給与になる場合と報酬になる場合があります。

給与所得になる場合は、従業員と同様に給与所得の源泉徴収票を発行します。顧問契約などで士業が事業所得として報酬を受け取っている場合は、源泉徴収票ではなく、③で説明する「報酬・料金、契約金および賞金の支払調書」を作成し、交付します。

2.退職所得の源泉徴収票

退職所得の源泉徴収票も同じく退職金を支払った者に対して作成して交付します。こちらも給与所得の源泉徴収票と同じく税務署への提出の範囲は所得税法で決まっています。なお、死亡により退職した場合は相続税法の規定に該当しますので、退職所得の源泉徴収票の対象とならないので注意しましょう。

3.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

フリーランスで原稿や対象業務を依頼されている場合、この支払調書を目にする機会も多いでしょう。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、フリーランスや弁護士などに源泉徴収の対象となる報酬を支払った企業や個人が作成し、税務署へ提出します。ただし、従業員を雇っていない個人事業主は「源泉徴収義務者」ではないため、源泉徴収をすることも支払調書を発行する必要もありません。

基本的には年間5万円を超える報酬が、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲となりますが、報酬の種類によって金額が異なる場合もあるので、不明な場合は、税務署や税理士などの専門家に相談をしましょう。

また、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、税務署に提出が必要でも、報酬の支払先への提出は義務付けられていません。昨今は取引先への支払調書の発行を取りやめる事業者も増えています。取引先から支払調書が届かなくても、所得税の確定申告はできますので、慌てず確定申告作業をしましょう。

4.不動産の使用料等の支払調書

不動産の使用料等の支払調書は、不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価などの支払をする法人と不動産業者である個人が作成して、税務署へ提出する必要があります。提出範囲は1年間の使用料の支払いが15万円を超えるものが対象です。ただし、貸主(大家さん)が法人の場合には、礼金など一時的に支払ったものが15万円を超えるかどうかで判断します。

ただし、不動産業者である個人事業主の場合、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいるなら、提出義務がありません。

5.不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産等の譲受けの対価の支払調書は、譲り受けた不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の対価の支払をする法人と不動産業者である個人が提出します。提出範囲は1年間の支払金額が100万円を超えるものが対象です。

ただし、不動産業者である個人の場合、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいるなら、提出義務がありません。

6.不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」は、不動産、不動産の上に存する権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買または貸付けのあっせん手数料の支払をする法人と不動産業者である個人が提出します。

ただし、不動産業者である個人の場合、主に建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業を営んでいる場合は、提出義務がありません。

法定調書合計表と法定調書の違い

法定調書は、支払う個人ごとに作成して税務署に提出します。このとき、前述した6種類の法定調書には、法定調書の種類別に、枚数や支払った金額の合計、源泉徴収をした税額などを集計した「法定調書合計表」を添付します。

法定調書合計表と法定調書は、セットで税務署に提出する必要があります。

法定調書の必要性

税務署は、金銭の支払いがあった事実を法定調書として提出させることで、金銭の流れを把握します。法定調書は脱税をすることを防ぐことに役立ちます。

例えば、フリーランスの人が報酬100万円の仕事をした際、本人が所得税の確定申告をしなかったり、60万円の報酬であったりと過少に申告したとしましょう。このとき、100万円の報酬支払いをした企業が支払調書を税務署に提出していれば「申告がない」もしくは、金額が合致しないということがわかり、どちらかが間違っているという事で、税務署は確認をするというわけです。

法定調書には原則マイナンバーを記載する

金銭の支払いが関係する法定調書には、支払いを受けた人のマイナンバーと支払った企業の法人番号(支払元も個人事業主の場合、支払元のマイナンバー)を記載して税務署に提出する必要があります。ただし、支払いを受けた人に交付する法定調書にはマイナンバーを記載してはいけません。

例えば、税務署に提出する給与所得の源泉徴収票には、従業員のマイナンバーと支払った企業の法人番号の記載が必要ですが、従業員に交付する給与所得の源泉徴収票には、従業員のマイナンバーは記載してはいけないのです。

源泉徴収票や支払調書の発行方法

源泉徴収を行っている事業者が、源泉徴収票や支払調書を発行する際の流れについて知っておきましょう。法定調書発行時の注意点と併せてご説明します。

事前に必要な届出

源泉徴収票を提出するのは、従業員や役員への給与の支払いをしている源泉徴収義務者です。役員や従業員に対して給与を支払うことが決まったら、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しましょう。従業員を雇用していない役員だけの会社でも、役員への給与を支払うのであれば提出が必要です。

源泉徴収票・支払調書の書き方

源泉徴収票や支払調書は、給与計算ソフト等から出力する場合が多いでしょう。手計算や手書きをする場合は、最新の法令や税制を確認して適用することと計算間違いに気を付けてください。源泉徴収票と支払調書の書き方や記載する内容、発行時期は下記のとおりです。

源泉徴収票

源泉徴収票には、その年の1月1日~12月31日までに支払った給与の額や預かった所得税額、社会保険料の金額などを細かく記載する必要があります。

支払調書

支払調書には、その年の1月1日~12月31日までに支払った報酬について、「原稿料」「講演料」といった区分別に記載します。また、それぞれの報酬から差し引いた源泉徴収税額(所得税額)も記入します。

税務署に提出するまでの流れ

源泉徴収票や支払調書は、1年間の最後の支払いが終わるまで作成することができません。最後に支払いが行われる給与額や最後の報酬額が確定したら、書類を作成しましょう。なお、源泉徴収票の作成をする際は、年末調整も併せて行う必要があります。また、源泉徴収票については、給与の支払いを受けた本人に対して交付する義務があります。

その後、すべての源泉徴収票と支払調書を取りまとめて、法定調書合計表に集計金額を記入し、該当の年の翌年1月31日までに税務署に提出します。

提出枚数が100枚以上の場合は電子での提出が必要

前々年の法定調書の提出枚数が100枚以上であった場合は、紙ではなく電子で法定調書を提出する義務があります。

例えば、2020年1月に100枚以上の法定調書を提出していた企業は、2022年1月の法定調書の提出を電子で行います。2022年に提出する法定調書の枚数で判断するわけではないため、間違えないようにしましょう。また、100枚は、個々の法定調書の枚数ではなく、合計枚数です。前々年に源泉徴収票が80枚、支払調書が25枚あった場合は、電子での提出が必要です。

なお、電子での提出とは、e-TaxまたはCDやDVDなどの光ディスク等が該当します。インターネットを介して提出を行えるe-Taxの利用が便利です。

法定調書を受け取ったらどうする?

法定調書を受け取った方は、法定調書の種類に応じた対応をとりましょう。代表的な法定調書について、どのように扱えば良いのかをご紹介します。

給与所得の源泉徴収票を受け取った場合

勤務先から受け取った源泉徴収票は、そのまま保管しておきましょう。年末調整を受けていて所得税の確定申告をする予定がない人であれば、特に何もする必要はありません。住宅ローンなどを組む際などには必要になる場合がありますので、大切に保管しておきましょう。

なお、年末調整をしていなかったり、医療費控除の申告などがあったりして所得税の確定申告を行う場合は、源泉徴収票に記載されている数字が必要です。確定申告書に源泉徴収票の添付は不要ですが、金額を確認しながら確定申告を行ってください。

退職所得の源泉徴収票を受け取った場合

「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出したうえで退職金を受け取った場合は、退職所得の源泉徴収票を使うことは基本的にはありません。

ただし、退職後に個人事業主として開業して赤字が出た場合には、青色申告を行うのであれば退職所得と赤字を相殺できるケースもあります。その際には退職所得の源泉徴収票の数字も所得税の確定申告書に反映させます。

基本的にどこの企業でも、退職金を受け取る際には「退職所得の受給に関する申告書」の提出を求めますから、通常は保管しておくだけでいいでしょう。提出していなかった場合は、書類の記載内容をもとに所得税の確定申告を行います。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を受け取った場合

支払調書を受け取ったら、自分が計算した売上額や所得税の源泉徴収税額と、支払調書に記載された金額が合致するか確認しましょう。相違がある場合は原因を探り、必要に応じて、取引先へ内訳についての問い合わせなどを行ってください。あくまで支払調書は、前年に支払われた報酬に対して届け出る書類なので、12月の取引で翌月の1月に支払われる報酬は記載されていません。そのあたりも認識しておくようにしましょう。

なお、支払調書は、所得税の確定申告書への添付は不要です。また、そもそも個人への交付義務がないため、交付されないこともあります。

法定調書について理解を深めておこう

法定調書を作成する担当者は、いつ、どのようなスケジュールで作成と提出を行わなければいけないのかを把握しておかなければいけません。

弥生給与」なら、従業員の源泉徴収票の作成はもちろん、法定調書合計表の作成も可能です。電子的提出義務化にも対応しています。毎月の給与計算や年末調整業務をスムースに進められます。

法定調書を受け取る社員や個人事業主は、法定調書を受け取る場合は、記載内容を確認し、保管しておきましょう。自身の収入を示すものですから、安易に捨ててしまわないようにしてください。

また、個人事業主は、所得税の確定申告の際に支払調書を確認することもあるでしょう。源泉徴収された報酬の仕訳は、悩むこともあるので、「やよいの青色申告 オンライン」などの申告ソフトがあれば容易です。日々の取引を報酬や源泉徴収税額含めて、記録していれば、支払調書が得意先から届かなくても、すぐに申告作業が行えるので、あんしんです。

photo:PIXTA

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