課税証明書・非課税証明書とは?取得方法と必要なシーンを解説

2022/05/30更新

この記事の監修者齋藤一生(税理士)

課税証明書や非課税証明書は、市区町村役所等で取得できる住民税の課税額(または非課税であること)を証明する書類です。

ここでは、課税証明書の取得方法や、課税証明書が必要になるシーンなどについて詳しく解説します。

課税(非課税)証明書とは課税額を証明する書類のこと

課税(非課税)証明書は、所得額や住民税の課税額を証明する書類で、自治体が発行します。住民税を納税している場合は課税額、住民税非課税の場合は「非課税」と記載されます。

引用元:島根県邑南町「所得証明書等のサンプルについて」新規タブで開く※様式は各自治体によって異なります。

課税証明書は「全項目証明」と「課税額証明」の2種類がある

課税証明書には、「全項目証明」と「課税額証明」の2種類があります。

「全項目証明」には、所得金額、課税額、所得控除の額とその内訳、課税標準額(住民税の計算根拠となる金額)などが細かく記載されます。

一方、「課税額証明」は課税額の証明ですから、記載されているのは、住民税の金額のみです。課税証明書を利用する目的によって、全項目証明なのか、課税額証明が必要なのか取得の際には事前に確認をしておきましょう。

なお、具体的な名称や記載の形式は、各自治体によって異なります。

主な利用目的は「どのくらい所得があるか」の証明

課税証明書には、所得額や課税額が記載されているため、「どのくらい所得があるのか他者に証明しなければならない」といったときに利用できます。

なお、所得の証明は「所得が一定以上であることを証明する」という場合だけでなく、「所得が一定以下であることを証明する」という場合にも必要です。

例えば、遺族年金の申請をする場合、年金を受け取る遺族が亡くなった方に生計を維持されていた証明(年収850万円以下であれば生計を維持されていたとみなされます)をするために、課税証明書を提出することがあります。

課税証明書と納税証明書の違い

課税証明書には、住民税の課税額やその算出根拠などが記載されています。一方、納税証明書には、住民税の課税額(納付すべき額)に加えて、納税済みの額についても記載されており、未納額がある場合はその金額も記載されます。

課税証明書が必要な人とは?

収入の証明をするにあたって課税証明書を使う人は、課税証明書以外の方法では収入の証明ができない人です。

会社員などの給与所得者であれば、源泉徴収票で収入を証明できます。自営業者やフリーランスの人は、所得税の確定申告書を所得の証明に利用できますが、確定申告書は一度提出した後で修正申告をすることができるため、正式な書類とは認められない場合もあります。このようなときは、自治体が発行した課税証明書を利用する必要があるでしょう。

課税証明書の取得には手数料がかかりますし、証明書発行の申請書の記入など、手続きも必要です。他のもので代用できるのであれば、わざわざ課税証明書を使う必要はありません。実際に、確定申告書の控えがあれば、それで済むことも多くあります。

ただし、保育園の申込みなど、一部の手続きにおいては所得の証明として課税証明書が指定されていて提出が必要なことがあります。必要書類として「所得証明書」と書かれていれば源泉徴収票でも問題ありませんが、「課税証明書」が指定されている場合は、取得しなければいけません。

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課税証明書が求められるケース

続いては、課税証明書の提出が求められる主なケースについてご紹介します。なお、下記はあくまでも一例で、これ以外の時にも課税証明書の提出を求められることがあります。

児童手当の申請

児童手当は、所得額によって対象となるか、ならないかが決まります。そのため、申請時に課税証明書のような所得を証明できる書類の提出を求められることがあります。

ただし、提出が必須というわけではありません。児童手当の申請は各自治体に対して行うものですから、通常は所得額について改めて証明をしなくても、自治体側で情報を持っています。提出を求められた場合にのみ用意しましょう。

保育園・学童の申込み

保育園や学童に申込みをする際、保育料を決める、保育料を免除するなど、状況によって課税証明書を提出しなければならないことがあります。これも該当の市区町村に居住して住民税を支払っている方であれば、基本的に必要ないでしょう。

しかし、別の地区から転入予定の方など、申込みをする保育園・学童のある自治体で所得額を確認できない状況にある場合は、課税証明書が必要になることがあります。

奨学金等の申請

奨学金などを申請する際は、家計を支えている人全員の所得証明が必要な場合が多いでしょう。所得証明として利用できる書類の種類は、奨学金の種類などによっても異なりますが、中には課税証明書以外の所得証明書を受け付けないというケースもあります。

公的年金等の受給手続き

公的年金等の受給手続きをする際には、個別の事情によりさまざまな書類が必要になります。場合によっては、課税証明書の提出を求められることもあります。

ローンの申込み

住宅ローンなどを組むにあたっては、収入を証明できる書類が必須です。給与所得者は源泉徴収票で代用できますが、フリーランスの方は、確定申告書や課税証明書など、金融機関が認める書類の提出が必要です。

公営住宅の入居申込み

公営住宅の中には、入居できる方の所得に制限をかけている物件もあります。このような物件への入居を希望する場合は、課税証明書などの所得が証明できる書類の提出が必要です。

課税証明書の取得方法

続いては、課税証明書を取得するために必要なものと、取得可能な場所などについて紹介します。課税証明書を取得しなければならなくなった際の参考にしてください。

取得に必要なもの

課税証明書の取得には、主に下記の3点が必要です。

  • 課税証明書を発行する申請書(名称は自治体によって異なります)
  • 身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など)
  • 手数料(自治体によって異なりますが、200~350円程度)

証明書発行の申請書のフォーマットは自治体によって異なりますが、主に下記のような内容を記入します。

  • 課税証明書が必要な人の住所・氏名・生年月日など
  • 窓口に来た人の住所・氏名・生年月日など
  • 何年分の課税証明書が必要なのか
  • 課税証明書が必要な理由

また、申請に必要な身分証明書は、マイナンバーカードや運転免許証など、写真付きのものなら1種類、それ以外の場合は2種類の提示が求められます。

取得できる場所

課税証明書は、自治体が発行するので、役所の窓口の他、郵送で取り寄せることもできます。その場合は、証明書発行の申請書や身分証明書のコピー、手数料金分の定額小為替、返信用封筒など、必要な書類を送りましょう。詳細はそれぞれの自治体のWebサイトに記載されていますから、事前に確認してください。

その他、マイナンバーカードとクレジットカードを使ったオンライン申請や、コンビニ・郵便局などでの取得など、自治体によりさまざまな方法が利用できます。

なお、課税証明書は、住民税をもとにします。住民税は、その年の1月1日現在の住所地で、前年分(1月1日から12月31日まで)の1年間の収入等にもとづいて、年度毎に決定して課税されます。そのため、その年の1月1日時点の住所を管轄する自治体に申請が必要です。1月2日以降に引っ越しをした場合は引っ越し先の役所ではなく、「その年の1月1日時点の住所」があった自治体に申請が必要なので間違わないようにしましょう。

参考
東京都千代田区「税の証明のコンビニでの交付」新規タブで開く

課税証明書を取得できる人

課税証明書を取得できるのは「本人」「同居親族」または「本人から委任状を預かった代理人」です。

課税証明書を発行するための申請書には、証明が必要な人の住所や氏名などを書く欄と、窓口に来た人の住所や氏名などを書く欄、証明が必要な人と窓口に来た人の関係を書く欄がありますから、正確に記入してください。

課税証明書交付申請書の書き方

課税証明書、非課税証明書を取得する際に必要な書類が「課税証明書交付申請書」です。なお、申請書は各自治体によってフォーマットが異なります。今回は東京・千代田区を例に記載方法を紹介します。

1.「どなたの証明書が必要ですか」の欄

最初に課税証明書、非課税証明書を請求したい本人の情報を記入する必要があります。

現住所の欄を記入するか、1月1日時点で現住所と異なる場所に住所を置いていた際は、1月1日の住所の欄に記入します。現住所と変更がない場合は、現住所の項目を記載するとともに、1月1日の住所の欄項目の右側にある同上にチェックを入れてください。また、氏名と生年月日も忘れずに記載しましょう。

2.「窓口に来られた方が代理の場合に、ご記入ください」の欄

代理で申請する際に記載が必要になる項目です。代理で申請する人の住所、氏名、委任者との関係とあわせて、委任状が必要になるので準備しておきましょう。

3.「何が必要ですか」の欄

まず左側の必要な証明書の項目内にある「ア.課税・非課税証明書(扶養等記載 あり・なし)」「イ.課税・納税証明書(扶養等記載 あり・なし)」「ウ。納税証明書」いずれかの中から、必要な書類を選択してください。

次に右側の必要な年度・証明・枚数の項目から、いつの、何が、何枚必要になるのか記載しましょう。なお、所得額は証明年度の前年の1月~12月までの合計額が表示されます。令和3年分であれば、令和2年分の所得内容が記載されるので注意しましょう。

4.「必要な理由は何ですか」の欄

提出先と使用目的それぞれの項目で、該当するものにチェックを付けてください。

必要に応じて課税証明書を活用しよう

会社勤めをしている方にとっては、課税証明書が必要なシーンは限定されるといえるでしょう。しかし、場合によっては、源泉徴収票や確定申告書ではなく、課税証明書を求められることもあります。

課税証明書の取得方法や記載内容、必要な場面をついて知っておくことが大切です。

photo:PIXTA

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この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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