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領収書の正しい書き方は?発行時や保管時、インボイス制度導入後の注意点を解説

監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

領収書は、社会人なら誰もが見たことがあるありふれた書類です。しかし、その正しい書き方や保管方法となると、よくわからないという人が多いのではないでしょうか。

ここでは、領収書がどのようなもので、自分が事業者として発行するに当たってどのようなルールがあるのかご紹介します。また、事業で必要なものを購入したときに受け取った領収書をどう取り扱えばいいのか、保管方法やインボイス制度導入後の対応方法についても見ていきましょう。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

領収書とは?

領収書とは、商品・サービスの提供者が、商品・サービスの対価としてお金を支払った人に対して発行するもので、金銭授受を証明する書類です。「領収証」と呼ばれることもありますが、民法では「受取証書」で、どちらも意味は同じです。

「金銭の授受があった」事実がわかる書類であれば、領収書との記載がないもの、例えばレシートや「金銭受取受領書」、「代済」と記載がある請求書や納品書等も、領収書として扱われます。

なお、実務においては請求書兼領収書が同一の様式となっている場合もあります。これは病院やクリニックなど慣習において請求と金銭授受のタイムラグが少ない場合に用いられることが多く、その場合でも金銭の授受を証明するための書類ですので請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものでOKとされています。

レシートとの違い

レシートは、一般的な領収書と違って、宛名(お金を支払った人)が記載されていません。そのため、「領収書とは違う扱いになるのでは?」「経費精算には使えないのでは?」と考えてしまいがちです。

しかし実際は、宛名の記載がないレシートでも、発行者名や金額、日付などがしっかり入っていれば、問題なく領収書として認められます。宛名入りの領収書と扱いが変わることもありません。

その理由は、領収書とはあくまで「金銭授受があったことを証明する書類」であり、宛名は必ずしも必要ではないと考えられているからです。

むしろ、手書きの領収書の場合、「品代」だけ書かれていて内容が分からなかったり、日付が空欄など不備があったりすることもあるでしょう。情報が過不足なく記載されているという意味では、レシートのほうが領収書よりも優れています。特段の事情がなければ、「必ず領収書もらっておく」必要はないものと考えます。

内閣府の見解や実務の扱いでは、「金銭授受があったことを証明する書類」といえるのは、「金銭の受取人(証書の発行人)」「金銭を支払った人(弁済者)」「弁済の日付」「ある債務の弁済として一定金額が受領された旨の情報」の4つが記載されている必要がありますが、弁済者の求めがない場合には弁済者の記載は省略しても差し支えないとされています。

領収書の役割

取引において、領収書には、大きく分けて下記の3つの役割があります。

  • 金銭授受があったことを証明し、二重請求や過払いを防ぐ
  • 法人・個人事業主が税務調査に対し、売上金や経費の存在を示す
  • 会社内部の経費の支払いにおいて、不正を防ぐ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

金銭授受があったことを証明し、二重請求や過払いを防ぐ

領収書がないと、代金を支払った・受け取ったことを客観的に証明できないので、二重請求や過払いが起こる可能性があります。領収書があれば実際に金銭のやり取りがあったと証明できるので、そのようなトラブルを回避できます。

法人・個人事業主が税務調査に対し、売上金や経費の存在を示す

領収書は、売上金や経費が存在することを証明する書類です。申告の際に提出する必要はありませんが、法人も個人事業主も保存義務があるので、保存期間中は、保存をしておく必要があります。なお、税制改正により、2022年分の所得税の確定申告から、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合も領収書の保存が義務化されました。

そして、領収書を保存しておらず、万が一、税務調査が行われた場合に提示できなければ、経費として認められないこともありえます。領収書の必要な保存期間は、後述します。

会社内部の経費の支払いにおいて、不正を防ぐ

業務での経費精算に領収書を提出することで、「実際は5,000円しか使っていないのに1万円と申告し、差額の5,000円を着服する」といった経費の不正使用を防げます。

領収書の書き方にルールはある?

領収書には、決まった様式(フォーマット)はありません。しかし、作成の際に必ず守るべきことが2つあります。

【領収書発行時の注意点】

  • 金銭授受が完了した事実を証明するための事項を記載する
  • 改ざん防止措置をとる

公的な領収書として認められるものにするためには、記載する項目や書き方に一定のルールがあります。ここでは、領収書を発行する際に気をつけるべきポイントを、項目別に紹介します。

タイトル

最上段に「領収書」と記載します。できるだけ大きくわかりやすく記載しましょう。仮になくても領収書として扱われますが、領収書であることを端的に示した方が親切です。

No.

必ずしも記載する必要はありませんが、発行する領収書に通し番号をつけておけば管理がしやすく、税務調査の際もスムーズです。番号に抜けがなければ、すべての領収書がきちんと管理保管されていることがわかるからです。

発行日

支払者から代金を受け取った日付を記載します。西暦、和暦のどちらでもかまいませんが、「22.4.1」や「R4.4.1」などと省略せず、「2022/4/1」や「令和4年4月1日」とすべて記載します。

領収書の宛名

支払者に確認し、支払者の氏名や会社名を記載します。株式会社や一般社団法人といった名称は「(株)」「(一社)」などと略さず、正式名称で記載しましょう。社名が聞き取りにくい場合や漢字・綴りがわからない場合は、支払者に紙に書いてもらい、それを見ながら記入するのがおすすめです。「株式会社」が会社名の前につくのか、後ろにつくのかにも注意してください。

なお、支払者に「上様で」「空欄で」といわれた場合は、要望に従って書いてかまいません。ただし、相手からの申し出がない場合は、必ず支払者に確認して正式名称を記載しましょう。

金額

実際に受け取った金額を記載します。改ざんを防止するために、頭には「¥」または「金」をつけ、3桁ごとに「,(カンマ)」を打ち、末尾には「※」や「-」「也」といったマーク・文字を記載します。

例えば、3万6,800円の商品の領収書であれば、「¥36,800-」や「金36,800也」など金額を記入しましょう。つづいて、内訳欄に税抜金額と消費税額を記載してください。

2019年10月に消費税が10%に引き上げられましたが、一部の商品・サービスに軽減税率が適用されています。領収書の対象となる商品・サービスに消費税10%のものと8%のものが混在する場合は、軽減税率対象品目(消費税8%のもの)とそれ以外(消費税10%のもの)を区別して記載してください。

なお、2023年10月1日からはインボイス制度が導入されます。課税事業者で適格請求書発行事業者になる場合は、インボイス制度に適応した領収書の書き方が必要になります。

但し書き

但し書きは必須項目ではありませんが、何に対して支払ったのかを明確にするために記載するのが一般的です。

「お品代として」といった書き方では何の代金なのか明確でなく、税務調査で経費として認められない可能性がありますので、できる限り具体的に記載するのがポイントです。「飲食代として」「プリンターインク代として」など、わかりやすく記載しましょう。

発行者

発行者の欄には、商品・サービスの提供者である自身の店舗名・企業名と住所、連絡先を記載します。記載方法は、手書き、印刷、ゴム印など、何でもかまいません。

発行者を記載した部分に少しかかるように屋号印や社印を押すことが一般的ですが、押印は領収書の必須項目ではないので、なくても大丈夫です。ただし、領収書の偽造防止の観点から、商習慣として押印することが多いといえます。

収入印紙

収入印紙は、印紙税という税金を払うために発行される証票です。印紙税とは、領収書や不動産売買契約書などを作成する際に課される税金を指しています。作成した文書が、印紙税法が定める20種類の「課税文書」に該当し、かつ記載金額が規定の額を超えている場合は、印紙税の納税が必要です。購入した収入印紙を文書に直接貼り付けて納税します。

領収書は「課税文書」に当たり、受取金額が5万円以上になると収入印紙の貼付が必要です。貼付すべき収入印紙の金額は、売上代金の場合と売上代金以外の場合、領収書に記載された受取金額によって、下記のように異なります。

【売上代金別の収入印紙の金額】

受取金額 収入印紙の金額
5万円未満 (収入印紙の貼付不要)
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円
1,000万円超 金額に合わせて変動し、最大20万円(受取金額が10億円超の場合)

※国税庁:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

【売上代金以外の収入印紙の金額】

受取金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上 200円

※国税庁:No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

収入印紙は、郵便局やコンビニエンスストアなどで購入できます。領収書に添付した後、はがして転用されることを防ぐために消印処理をします。消印処理とは台紙と印紙の模様部分とをまたいで押す印のことでこのようにすることによって印紙の再利用を防ぐのです。

なお、クレジットカード払いで決済された場合、印紙は不要です。また、領収書を電子データで発行する場合も、印紙は必要ありません。

領収書の発行方法

必要項目がしっかり記載されていれば、領収書の形式は自由です。文具店に売られている手書き用の領収書でも、自分で作ることもできます。店舗の場合、レジから印刷できるレシートでも問題はありませんし、領収書印刷機能のあるレジスターもあります。

ただし、複数枚発行が必要な場合などは、Excelのテンプレートや会計ソフトの領収書発行機能を活用するといいでしょう。面倒も少なく、管理の観点からもおすすめです。

発行する領収書の形式は、従来どおりの紙形式と電子データ形式の2種類があります。

以前は、「商品・サービスの代金を支払った人は、商品・サービスの提供者に対し紙の領収書の発行を請求できる」というルールだったので、領収書も紙形式に限られていました。しかし、民法改正により、2021年9月1日より「商品・サービスの代金を支払った人は、紙の領収書の交付または電子データ形式での領収書の交付を請求できる」となりました。

ただし、電子データでの領収書発行体制が整っておらず、電子データでの領収書発行に大きな負担が生じるような場合は「不相当な負担」として、商品・サービス提供者が電子データ形式での発行を拒否することが可能とされています。

一方で、電子的な受取証書を提供するためのソフトや物的設備が整備されているのに「顧客から電子的な受取証書の提供を請求された従業員がたまたまその操作方法を知らなかった」ことのみを理由にその請求に応じなかったケースは「不相当な負担」にはあたらないとされているので、中小法人であっても徐々に電子データでの領収書発行体制を整えておくべきでしょう。

領収書を発行する際の注意点

続いて、商品・サービスの提供者が領収書を発行する際、注意しておきたいポイントをご紹介します。

代金を支払った人に領収書の発行を求められれば、拒否はできない

民法486条に「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求できる」と定められています。

商品・サービスの代金を支払った人から領収書の発行を求められた場合、商品・サービスの提供者は拒否できず、紙または電子データで領収書を交付しなくてはいけません。

紙の領収書で記載金額が5万円以上だと収入印紙が必要

紙の領収書を発行する場合、記載金額が5万円以上だと規定額の収入印紙の貼付が必要です。なお、収入印紙が必要かどうかの判断は、本体価格によって判断されます。

例えば、本体価格が4万8,000円、消費税額が4,800円、総額が5万2,800円の場合、領収書上に税抜金額と消費税額の内訳をしっかり記載していれば、本体価格が5万円未満なので収入印紙の貼付は不要です。しかし、税抜金額と消費税額の内訳を明記せず、「総額5万2,800円(税込)」といった書き方の場合、消費税額が不明なので税務調査で指摘を受ける可能性があり注意が必要です。

たとえば、上記の例でいえば「総額5万2,800円 税抜価格4万8,000円」という記載であれば、消費税額が容易に計算できることから収入印紙の貼付は不要となります。

なお、電子データで領収書を発行する場合は、金額に関係なく印紙税はかかりません。電子データを作成・交付する行為は、印紙税が発生する条件である「文書の作成」に当たらないためです。

内容に不備があった場合は、相手から回収して再発行する

領収書の内容に不備があった場合は、交付した相手から領収書を返却してもらい、新たに再発行します。

複写式の領収書を手書きで発行している場合は、不備があった領収書原本には大きくバツ印をつけておきましょう。そうすれば、不正ではなく書き損じであることがわかりやすくなります。

クレジットカード決済の場合、領収書発行は不要

クレジットカード決済が行われた場合は、原則として領収書の発行は不要です。クレジットカード決済は、決済の時点で代金を受け取っているわけではないので、売り手に「金銭授受を証明する書類」である領収書を発行する義務はないからです。代わりに、クレジットカードの利用明細書を渡すのが一般的です。

ただし、領収書の発行が禁止されているわけではないので、売り手がサービスで領収書を発行する場合はあります。顧客からの要求された場合は、通常の領収書に「クレジットカードにてお支払い」などと記載して対応します。この書類は、領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても課税文書にはあたらないのです。

例えば、百貨店で、クレジットカードで商品代金を支払うケースを想定してみてください。その際、百貨店からクレジットカード会社に支払い情報が送信され、後日その決済額から手数料を差し引いた額がクレジットカード会社から百貨店に入金されます。百貨店と消費者間で実際には金銭の授受はないことから課税文書にはあたらないのです。

押印は必須ではないが、商習慣上押されることが多い

領収書に押印がなくても、税法上の扱いは変わりません。ただし、経費精算に関わる社内ルールで押印を必要としている会社もあるため、顧客から押印を求められることがあります。

ただし、印紙税法上の課税文書にあたる場合、必ず「消印」処理はしておいてください。「消印」処理がなされてないと、後日、その印紙が不正利用される可能性もありますし、過怠税といって本来納めるべきだった印紙税の3倍の額が課される可能性もあります。

インボイス制度導入後の領収書の発行について

2023年10月1日から「インボイス制度」が導入され、請求書や納品書、領収書の発行についても新しいルールが適用されます。インボイス制度では、売り手である登録事業者(適格請求書発行事業者)が買い手から求められたときは、「インボイス(適格請求書)」を交付する必要があるとされています。

インボイス制度において発行が義務付けられるインボイスとは、売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税を伝えるための書類のことです。インボイスには、下記の事項を記載する必要があります。

インボイス(適格請求書)に記載する内容

インボイスには、必ず記載するべき項目がいくつかあります。相手の氏名または名称や取引日付、取引内容のほか、消費税の税率や税額、発行者の名称などを記載しましょう。

(1)格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

適格簡易請求書(簡易インボイス)に記載する内容

小売業や飲食店業、タクシー業などのように、不特定多数を相手にした商売では、顧客の名前を確認してインボイスを発行することが難しい業態も存在します。

そこで、不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に関わる取引は、インボイスの代わりに「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を発行しても良いとされています。

簡易インボイスは、下記の事項を記載したものです。

※国税庁:適格請求書等保存方式の概要

(1)適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)
(5)税率ごとに区分した消費税額等または適用税率

簡易インボイスは、税率ごとに区分した消費税額か適用税率どちらかの記載で良く、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の記載が不要です。

個人事業主がインボイスの発行を求められた場合の対応は?

インボイス制度では、買い手は売り手からインボイス・簡易インボイスの発行を受け、それを保存しておかなければ、原則、消費税の仕入税額控除を受けることができません。消費税の仕入税額控除とは、課税売上にかかる消費税額から課税仕入にかかる消費税額を控除するものです。

インボイス制度における取引では、例えば下記のようなケースが考えられます。

1.課税事業者AがB社から3万円で商品を仕入れ、消費者に3万5,000円で販売

2.A社は仕入れの際にB社に3,000円の消費税を払い、販売の際に消費者から3,500円の消費税を受け取る

3-1.B社に3万円を支払った領収書があれば、3,500円からすでに支払った3,000円分の消費税を控除できるので、A社が納める消費税額は500円になる

3-2.B社発行の請求書や領収書がない場合は、支払った3,000円分の消費税を控除できないので、A社は3,500円の消費税を納めることになる

消費税の仕入税額控除が受けられないと消費税分の金額をすべて自社で支払うことになるため、買い手はほぼ間違いなく、売り手にインボイス、もしくは簡易インボイスの発行を依頼するでしょう。

ただし、正式なインボイス・簡易インボイスを発行できるのは、あらかじめ申請を行った登録事業者(適格請求書発行事業者)のみに限られています。さらに、課税事業者でなければ、登録事業者の申請を行うこともできません。

これらの一連のルールにより、インボイスの発行依頼を受ける側の売り手事業者は、課税事業者・登録事業者となるか、登録事業者の申請はせずに取引先に理解を求めるかのどちらかを選ぶことになります。

登録事業者になる場合は、2023年10月1日の制度開始に間に合うように申請を行うと共に、インボイス制度に対応した領収書発行システムや会計システム、取引先管理システムなどを整えておく必要があります。

インボイス制度の導入とその影響については、以下記事で解説していますので、参考にしてください。

受け取った領収書はどう扱う?

一般的に領収書は、発行する機会よりも受け取る機会が多いものです。受け取った領収書を法人・個人事業主が税の申告に使った場合、税法上一定期間保存することが義務づけられています。

【税法上、領収書の保存が義務づけられる期間】

  • 法人事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間※青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)
  • 個人事業主(青色申告)7年間※前々年分の事業所得及び不動産所得の金額が300万円以下の方は5年
  • 個人事業主(白色申告)5年間
  • 副業(前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円超の場合)…5年間※2022年分より

これに加え、課税事業者が納める消費税について、支払額が3万円以上の場合は、仕入税額控除を適用するために領収書等の保存を必要とするルールもあります。

領収書を適切に保管しておらず、税務調査の際に提出できなかった場合、その年の経費申告が認められない場合があります。領収書は失くしてしまったとしても、基本的に再発行してもらうことはできません。売り手は領収書を再発行する義務はなく、再発行したことで不正使用される可能性も考えられるからです。

ただし、売り手によっては再発行依頼に応じてくれる場合もあります。応じてくれた場合、再発行された領収書には「(再)」などのマークがつくのが一般的です。

電子データの場合

領収書を電子データで受け取った場合は、電子取引制度の保存要件を満たした上で電子データのまま保存することになります。

保存要件は、保存されたデータが改ざんされていないことを担保する「真実性の確保」と、保存されたデータを検索・表示できる「可視性の確保」の2つです。

インボイス制度導入後の場合

現行制度では、金額が3万円未満であれば領収書等がなくても仕入税額控除が可能ですが、インボイス制度の導入後は、金額にかかわらず買い手は売り手から領収書(インボイス・簡易インボイス)の交付を受けた上で保存しておかないと、原則、仕入税額削除が受けられなくなります。

なお、3万円未満の公共交通機関の利用など、一部例外となるものもあります。

領収書がない場合

公共交通機関の交通費や香典やお祝い金、見舞金、取引先と割り勘にした飲食代など、領収書が出ないものを経費として計上するには、出金伝票を使用するのが一般的です。日付や支払先の社名、金額、支払内容、目的を記載し、告別式・葬式の案内状などがあればいっしょに保管しておきます。

クレジットカードの利用明細や交通系ICカードの利用履歴など、実際に支払いがあったことを証明できる書類が他にあれば、それらを利用することも可能です。交通費などは、日付、出発地、目的地、訪問目的、金額等を記載して交通費の内訳明細を作成しておけば、社内の経費精算に使えるのはもちろん、税務調査でも提出できます。

ICカードで支払った場合は、利用履歴の一覧を入手するのがおすすめです。

インボイス制度にもとづいた領収書の発行・管理を

領収書には、「金銭授受を証明し、二重請求や過払いを防ぐ」「法人・個人事業主が税務調査に対し、売上金や経費の存在を示す」「会社内部の経費の精算作業において、内部不正を防ぐ」という3つの役割があり、従業員・事業主を問わずビジネスに携わる人にとって身近なものです。

発行の際に間違いがあるとトラブルの原因になるため、記載内容に必要事項が過不足なくそろっているかよく確認し発行することが大切です。一方で、受け取った領収書についても、法律の規定に則って管理・保存する必要があります。

2023年10月1日からインボイス制度が始まると、領収書の形式なども新しいルールに対応する必要があります。しっかり備えておきましょう。

photo:PIXTA

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