スモールビジネス(個人事業主、中小企業、起業家)の
業務や経営にまつわる疑問や課題をみんなで解決していく場
検索
メニュー
閉じる
ホーム 青色申告 青色申告承認申請書はいつどこに出す?わかりやすい青色申告の始め方

青色申告承認申請書はいつどこに出す?わかりやすい青色申告の始め方

監修者 : 田中卓也(田中卓也税理士事務所)

個人事業主が青色申告をするためには、定められた期間内に所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出しなければいけません。そこで本記事では、青色申告のメリットや青色申告承認申請書の提出方法、提出期限などを詳しく解説していきます。新たに青色申告をしてみようと思っている方は、まず何から始めればよいのか知っておきましょう。

なお、青色申告は法人にもありますが、ここでは個人事業主の青色申告についてご説明します。

青色申告と白色申告の違い

個人事業主の所得税の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれの申告方法の違いやメリットを理解した上で選択しましょう。

青色申告

個人事業主が所得税の確定申告をするためには、まず、年間の売上と経費を集計して所得を算出しなければいけません。そのためには、年間の取引について記録をつける必要があります。これを「記帳」といいます。

青色申告は、取引を複式簿記もしくは簡易簿記で記帳し、記帳内容に従って正しく申告している個人事業主のための申告方法です。このような個人事業主に対しては、複数のメリットが用意されています。

なお、青色申告できる所得は、事業所得、不動産所得、山林所得のみです。それ以外の所得については、青色申告をすることはできません。

白色申告

青色申告に当てはまらない方法で記帳をしている人や、青色申告の承認を受けていない人の申告、事業所得、不動産所得、山林所得がない人での申告は、白色申告と呼ばれます。白色申告は、記帳が簡単で提出書類も少なく済む一方、青色申告で利用できる各種メリットを得ることはできません。

青色申告のメリット

青色申告には、主に下記の5つのメリットがあります。それぞれについて簡単にご説明します。

青色申告特別控除

青色申告をすることで、最大65万円、最大55万円、最大10万円、いずれかの控除を受けられます。この制度を利用することで、必要経費に上記特別控除額が加算されることで、課税所得がおさえられ、所得税額が少なく済みます。そのため、所得税額から算出される住民税や国民健康保険料(税)が軽減されます。

なお、青色申告特別控除の適用額は下記の条件によって決まります。

<青色申告特別控除の金額別の要件>

  • 65万円:55万円控除の要件に加え、e-Taxによる申告(電子申告)か対象の帳簿を電子帳簿保存している
  • 55万円:複式簿記で記帳していて、貸借対照表と損益計算書に添付。確定申告期限までに申告
  • 10万円:簡易簿記で記帳していて、損益計算書を確定申告書に添付

65万円控除、55万円控除の場合、申告期限に間に合わなかった場合や、そもそも所得の種類が「事業規模に満たない不動産所得」「山林所得のみ」の場合は、最大10万円控除となります。

純損失の繰越し・繰戻し

青色申告では、事業を行う上で発生した赤字(純損失)について、翌年以降3年にわたって繰越しをすることができます。これを「純損失の繰越控除」と言います。赤字の年は、当然、所得税の納税は発生しません。それだけでなく、当年の赤字を翌年以降の黒字と相殺することができるので、翌年以降も税額を抑えることができるという制度です。

また、赤字が出た年の前年が黒字で、その年も青色申告をしていれば、損失を前年に繰戻して税金の還付を受けることも可能です。これを「純損失の繰戻し還付」と言います。繰戻し還付制度は、還付請求があった場合にその内容を調査して還付を決めることになっているので、税務署からの問い合わせや、場合によっては税務調査があることを留意しておきましょう。

青色事業者専従者給与

青色事業者専従者給与は、個人事業主と生計を共にしている配偶者や15歳以上の親族に事業を手伝ってもらって給与を支払った際、支払った給与額を経費にできる制度です。ただし、事業に従事した期間などの定めがあり、事前の届け出が必要です。白色申告にも同様に専従者控除がありますが、上限があるので、青色申告のほうが節税になります。

貸倒引当金

貸倒引当金は、取引先の倒産などによって売掛金や貸付金などの金銭債権などが回収不能になった場合を想定し、貸倒引当金として期末時点の売掛金残高等を一括評価してその5.5%以下までを経費計上できる制度です(金融業の場合は3.3%)。

少額減価償却資産の特例

通常、10万円以上の備品や設備等を経費で購入した場合、減価償却が必要です。しかし、青色申告の場合、少額減価償却資産の特例を利用すれば、30万円未満の減価償却資産について、全額を一括で経費として計上することができます。

青色申告を行うためのステップ

白色申告と違い、青色申告をするには事前に手続きが必要です。青色申告を行う手続きは、下記のとおりです。

1. 開業届を提出する

青色申告をするためには、管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」、通称「開業届」を提出している必要があります。

そもそも、個人事業主として事業を開始したら、1か月以内に税務署に開業届を提出しなければいけないと定められています。そのため、多くの個人事業主は、すでに開業届を提出しているでしょう。しかし、中には、「開業届を出すほどでもない副業のつもりが、いつの間にか本業になっていた」という方もいるかもしれません。そのような場合は、早急に開業届を提出しましょう。

なお、開業届には提出期限が定められていますが、期限を過ぎても現状では罰則などはありません。開業届は、事業をしていることの証明になりますので、必ず控えをもらうようにしましょう。

また、開業年に「青色申告承認申請書」を提出する場合、開業日を記載するので、開業届を提出することで青色申告の承認申請書に記載が必要な「開業日」が証明できます。

2. 青色申告承認申請書を提出する

開業届を提出したら、次に「所得税の青色申告承認申請書(以降、青色申告承認申請書)」を提出します。開業届と青色申告承認申請書は同時に提出することもできますから、開業時点で青色申告をする予定の方は、いっしょに出してしまった方が、手間がかかりませんし、提出忘れもないでしょう。

3. 原則として複式簿記で帳簿をつけ、青色申告決算書を添えて確定申告をする

青色申告承認申請書を提出した後は、日々の取引を記帳して、最終的に「青色申告決算書」を作成することになります。記帳は、複式簿記(最大65万円か最大55万円の控除)か簡易簿記(最大10万円の控除)で行います。

青色申告のための帳簿付けは、「簿記の知識が必要で難しい」と思われがちです。確かに、手書きで帳簿をつけるのであれば、簿記の知識が必須といえます。しかし、会計ソフトを使えば、簿記の知識がない人でも簡単に複式簿記での記帳が可能です。

やよいの青色申告 オンライン」なら、55万円控除や65万円控除に対応した帳簿や確定申告書類の作成が簡単にできますし、e-Tax対応なので、最大65万円控除の適用もできますので、ぜびご活用ください。

青色申告承認申請書の書き方

青色申告承認申請書は、税務署に行ってその場でもらうこともできますし、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。ダウンロードした場合は、PDFの書式ファイルにそのままパソコン上で必要事項を入力できます。もちろん、印刷して手書きで必要事項を記入してもかまいません。

ここでは、55万円や65万円の控除を受ける場合の青色申告承認申請書の記載方法について解説します。

入力項目 記入方法
【A】◯◯税務署長 提出先の税務署名を記入
【B】日付 提出日を記入
【C】納税地 該当するものを選択し、住所と電話番号を記入(住民票のある自宅であれば「住所地」を選択)
【D】上記以外の住所地・事業所等 該当する事業所があれば記入
【E】氏名、生年月日、職業、屋号 それぞれ記入(屋号はなければ未記入で問題ありません)
【F】令和◯年 該当する年を記入
【G】1 複数の事業所がある場合に記入
【H】2 該当するものに〇をつけます
【I】3 事実に従って記入(初めて青色申告承認申請書を提出する場合は「無」に〇をつける)
【J】4・5 該当する場合は日付等を記入(該当しなければ未記入で問題ありません)
【K】6(1) 「複式簿記」に〇をつけます
【L】6(2) 「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」「預金出納帳」「総勘定元帳」「仕訳帳」に〇をつけます
【M】6(3) その他、記載すべきことがあれば記入

青色申告承認申請書はどうやって提出する?

青色申告承認申請書の準備ができたら、税務署に提出します。続いては、青色申告承認申請書の提出先や提出期限などについて説明します。

青色申告承認申請書の提出先は住所地管轄の税務署

青色申告承認申請書は、基本的に住民票のある住所地を管轄する税務署に提出します。ただし、納税地を事務所住所や居所などに指定している場合は、そちらの住所を管轄する税務署に提出しましょう。

青色申告承認申請書の提出方法は3通りある

青色申告承認申請書の提出方法は、税務署への持ち込み、郵送、e-Taxの3通りです。

郵送で提出する場合は、青色申告承認申請書の控え用も準備し、必要な額の切手を貼り返信先を記載した返信用封筒を忘れずに同封してください。控え用の申請書と返信用封筒を同封しておくと、税務署が申請書を受領した日付を入れて返信してくれます。

青色申告承認申請書の控えは、青色申告事業者であることの証明になります。そのほかには、屋号で事業用の銀行口座を作ったり、金融機関から融資を受けたりする際などにで、必要になる場合がありますので、控えを作成して保管しておくと安心です。

青色申告申請書の提出期限は青色申告を行いたい年の3月15日

青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告を行う年の3月15日までです。例えば、2021年は白色申告で申告をしていたけれど、2022年分の申告から青色申告をするのであれば、2022年3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

なお、事業を開始した日がその年の1月16日以降の場合は、事業を開始した日から2か月以内が提出期限です。たとえば、2021年10月1日が開業日ということであれば、青色申告承認申請書の提出期限は2021年11月30日ということです。

ただし、開業日が1月1日~1月15日の場合は、2か月以内ではなく、3月15日が提出期限です。また、提出期限が土日祝日と重なったときは、翌平日が期限となります。

青色申告承認申請書の提出はお早めに

青色申告を行うためには、青色申告承認申請書の提出が必須です。その年の確定申告を青色申告で行うためには、期限内に青色申告承認申請書を提出しなければいけないため、早めに手続きを行うことが大切です。

また、期限を過ぎてしまった場合は、翌年分の申告のために早めに青色申告承認申請書を出しておくことをおすすめします。青色申告には多くのメリットがありますから、積極的に制度を活用していきましょう。

photo:PIXTA

c_bnr_fltblue_online-2
閉じる
ページの先頭へ