小規模企業共済とは?メリット・デメリットと概要をマンガで解説

スモールビジネスを営んでいると、耳慣れない専門用語が現れるもの。そんな言葉を解説するマンガ連載です。ただし解説してくれるのは……。神出鬼没の謎のヒーロー?!
第13回は「小規模企業共済」です。個人事業主や中小企業経営者には退職金の制度はありません。その代わりに加入できるのが「小規模企業共済」です。
掛金の全額控除など、メリットがたくさんある制度なのですが、あまり聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。
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小規模企業共済はスモールビジネスの退職金制度
毎月一定の金額を積み立てておき、仕事をやめるときに受け取れる制度です。退職金がないフリーランスや中小企業経営者にとって、退職金制度のように使うことが可能になります。
加入資格があるのは「個人事業主」や「中小企業の役員や経営者」。会社員や、一定規模以上の会社の役員や経営者は加入することができません。
掛金は1,000円から70,000円まで。500円刻みで自由に設定することが可能です。
運営しているのは、中小企業基盤整備機構(中小機構)という、国から100%の出資を受けた独立行政法人です。

小規模企業共済のメリットとデメリット
小規模企業共済のメリットとデメリットをまとめました。
メリット
- 掛金は全額所得控除
例えば、毎月30,000円を積み立てると、年間での積立額は360,000円になります。この金額を確定申告の際の「所得」から引くことができるのです。仮に課税される所得金額400万円の人が360,000円の控除を受けると、109,500円もの節税になります。
参考:中小機構「小規模企業共済」掛金の全額所得控除による節税額一覧表より - 積立金を上限に貸付を受けられる
一度払い込んだ掛金を戻してもらうことはできません。しかし、事業をしていてお金が足りなくなったときは「一般貸付制度」など、低い金利で即日に利用できるさまざまな貸付制度があります。ある程度安心して掛金を払い込めそうです。 - 受取時にも所得控除が受けられる
歳をとって廃業する、病気で役員を退任といった理由で共済金を受け取る場合、退職所得または公的年金等の雑所得に該当します。
それぞれに税法上の取り扱いが違いますが、どちらを選んでも税制的なメリットがあります(共済金を受け取った年には確定申告が必要になりますので注意して下さい)。
なお、共済金の受取方法は退職金のように一括での受取と、年金のように分割での受取を選ぶことができます。
デメリット
- 加入期間が12か月未満だと掛け捨てになってしまう(共済金が受け取れない)
- 加入期間が20年未満だと元本割れのリスクがある
どちらのデメリットも、加入期間が短いときに起こります。現状はフリーランスだけど、近いうちに大企業への就職を目指している、というような場合には注意です。

知らないのならぜひ知ってほしい!小規模企業共済
小規模企業共済は全国で153万人(2021年3月現在)の人が加入しています。多くの人が加入している制度なのですが、どうも僕の周りのフリーランス仲間は知らない人が多いようです。
一方、同じように毎月積み立てをして、掛金が全額所得から控除できる「iDeCo(イデコ)」という制度があります。こちらは証券会社が広告や宣伝をしているために、かなり多くの人が知っている印象です。
小規模企業共済は「共済」、iDeCoは「金融商品の制度」なので同列の比較はできませんが、税制のメリットは似ているところもあるので、せめてこの二つは比較をしてみてもいいのではないかと思います。
ちなみに、僕自身はかなり以前から小規模企業共済に加入しています。
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