ポイ活で確定申告は必要?税金がかかる条件や注意点を税理士が解説!

2021/09/08更新

この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

買い物などで付与されるポイントを上手く貯め、有効利用することでトクする「ポイ活」。ポイ活でたくさん得をすると確定申告が必要になるのでしょうか? 給与をもらう会社員がする場合と個人事業主がする場合で違いはあるのでしょうか?

今回はポイ活の確定申告について解説します。

POINT

  • ポイントは、その種類や使われ方によって、課税の対象となるもの、ならないものに分かれる
  • ポイ活のみの所得で確定申告が必要になるケースは少ないが、給与とポイ活以外の収入がある人は計算しての確認が必要
  • 個人事業主はポイ活に関わらず確定申告をするので、ポイントの種類に応じた処理が必要

そもそも「ポイ活」とは?

「ポイ活」とは、さまざまな方法でポイントを上手に貯めたり、使っていく活動のことをいいます。一括りにポイントといっても「付与されるのはどこか」「何に使えるのか」など、その内容はさまざまですが、ポイ活でいう「ポイント」には次のようなものが挙げられます。

一般的な例 概要
ショップポイント 百貨店やスーパーマーケット、家電量販店など小売店舗で商品購入時に付与されるポイント
ECサイトのポイント ECサイトでの商品購入時に付与されるポイント
クレジットカードのポイント クレジットカード利用時に付与されるポイント
ポイントサイトで獲得したポイント 一過性の作業に応じて付与されるもの
広告のクリック、ゲームへの参加、アンケートへの回答、サービスの利用申込などに応じて付与されるポイント
継続的に付与されるもの
ポイントサイトの新規会員紹介、紹介した会員の活動に応じて得られるポイント
臨時的なキャンペーンで得たポイント 企業や団体が一時的なキャンペーンのために付与するポイント
例:携帯電話事業者やインターネットプロバイダなどが、新規利用者に対して期間限定でポイントを付与する等
国や自治体の施策で得たポイント 国や自治体の施策で得られるポイント
例:総務省「マイナポイント事業」
  農林水産省「Go To Eatキャンペーン事業」
アフィリエイトで得たポイント アフィリエイトを行い、商品紹介・購入等に応じて得られたポイント

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ポイ活で税金が発生する場合は?

ポイ活では、買い物をする、アンケートに回答するなど、何らかの行動を起こしたことに対して、各種ポイントが付与されます。

ポイントは、その種類や使われ方によって、課税の対象となるもの、ならないものに分かれます。個人事業主の方は特に、ポイントの種類によって値引きであったり雑収入であったりと、使用したときの取り扱いが異なることに注意しておきましょう。

また、ポイントを受ける内容によって、所得の区分が異なってくることにも注意が必要です。一般消費者である給与所得者などは、基本的には確定申告の心配はありませんが、高額なポイントを受ける場合には所得を集計して確認することが必要です。

大前提

  • ポイント保有…課税対象ではない
  • ポイント使用時…判断
一般的な例 課税/非課税 備考
ショップポイント 「値引き」とみなされるため非課税 医薬品購入、または株式購入に使用した場合は所得金額・所得控除金額に反映が必要
ECサイトのポイント 一時所得として課税 保有のみでは課税されず、利用時に課税
クレジットカードのポイント 一時所得として課税 保有のみでは課税されず、利用時に課税
ポイントサイトで獲得したポイント
一過性の作業で付与されたもの
一時所得又は雑所得として課税

懸賞など臨時的なものは一時所得
アンケートなど対価性のあるものは雑所得

保有のみでは課税されず、利用時に課税

ポイントサイトで獲得したポイント
継続的に付与されるもの
雑所得として課税(副業として) 保有のみでは課税されず、利用時に課税
臨時的なキャンペーンで得たポイント 一時所得として課税 保有のみでは課税されず、利用時に課税
国や自治体の施策で得たポイント 一時所得として課税 保有のみでは課税されず、利用時に課税
アフィリエイトで得たポイント 雑所得または事業所得として課税 保有のみでは課税されず、利用時に課税

課税・非課税の分かれ目

ポイントが税金の対象になるのは、「経済的利益」に該当する場合です。経済的利益とは、ざっくりいうと、「お金ではないが、それを受けることによってお金を受け取ったのと同じことになる」ということです。

例えば、買い物で1,000ポイントを使用した場合、お金は支払っていないけれど1,000円分の買い物ができますよね。つまり、ポイント利用によって1,000円分の経済的利益を受けたことになるのです。

では、すべてのポイントが経済的利益になるのかというと、そうではありません。「特定のお店で、買い物に応じてポイントが付与され、そのお店で利用可能なもの」は経済的利益に該当しないとされています。例えば、家電量販店やスーパーマーケットでそのお店やグループ独自のポイントで、他では使用できないポイントなどが当てはまります。

このポイントは、頻繁に利用されるお客さまに対しての「値引き」のようなものであり、通常の商取引である以上、値引きを受けることが経済的利益にはあたらないと考えるからです。

なお、抽選キャンペーンなどに当選するなどの臨時的、偶発的に発生するポイントはこの商取引からは外れたものと考えられますので、経済的利益に該当し課税対象となります。

所得区分とは

個人の所得税は、1年間の所得(儲けや稼ぎ)が課税の対象となりますが、具体的な計算では所得を給与所得、事業所得など10種類の所得に分類して、異なる方法でそれぞれの所得を計算します。

ポイ活によるポイントが課税対象になる場合も、その内容によって所得区分が変わってきます。

「一時所得」になるポイント

一時所得とは、給与所得など他の所得区分に該当しない所得のうち、営利目的でない臨時的な所得、対価性のない所得などのことです。一時所得に該当するものとして、生命保険の一時金や懸賞の賞金品などが挙げられます。

ポイ活で得たポイントが一時所得に該当するケースとしては、一般消費者などが買い物で共通ポイントを得た場合、各種キャンペーンなどでポイントを得た場合などがあります。ほとんどの方がこのケースに当てはまるでしょう。

「雑所得」になるポイント

雑所得は、他の所得区分に該当しないもののうち、上記の一時所得にも該当しないものが該当します。雑所得に該当するものとして、公的年金や副業による所得などが挙げられます。

ポイ活で得たポイントが雑所得に該当するケースとしては、副業でアフィリエイトなど継続的な業務によってポイントを得た場合や、アンケートへの回答など対価性のあるポイントを得た場合などがあげられます。

「事業所得」になるポイント

事業所得とは、小売業やサービス業など事業を行うことによって得る所得のことです。事業所得の収入には、本業による売り上げのほか、事業に付随して受ける経済的利益も含まれます。

ポイ活で得たポイントが事業所得に該当するケースは、経費の支払や事業用資産の購入などでポイントを得た場合などです。

ポイ活で税金が発生するタイミング

ポイ活で税金が発生するタイミングとして、「ポイントを得た時点」と「ポイントを使用した時点」が考えられます。

ポイントは有効期間があるものがほとんどで、ポイント付与時点で収入にした場合、使用しないうちに期限切れで失効してしまう恐れがあります。ですので、実際に経済的利益を確認できるタイミングとしては、ポイントを使用した時点が適切でしょう。

ただし、ポイントを電子マネーにチャージした場合は、その時点で現金と同様のものとして自由に使えるようになるので、チャージ時点での所得とするのが適切です。

個人事業主がポイ活をする場合

個人事業主の場合は基本的に確定申告をすることになります。

個人事業主がポイ活をする場合、事業に付随するものなのか、プライベートに関するものなのかで所得の区分が変わってきます。しかし、現実的なことを考えると、買い物などで使用したポイントが、そもそも何で得たポイントだったのかというのを把握することは困難です。

確定申告にあたっては、ポイント使用時の目的が事業のものか、プライベートのものかで所得を区分するという方法も認められると思います。

「ポイ活」と関係なく、本業で確定申告する場合

各種カードや電子マネーを使用していると、ポイ活の意思がなくてもポイントを得ることになります。ポイントを使用するときには、事業で使用したか、プライベートで使用したかを把握しておく必要がありますね。

なお、ポイント使用にかかる具体的な経理方法については後で説明します。

「ポイ活」で経費になるものは?

アフィリエイトなどでポイントを得ること自体を目的として業務を行う場合には、アフィリエイトサイトを運営するために必要なネット関連の費用やPC、ソフト等などが経費になるでしょう。

給与所得者がポイ活する場合

一時所得が50万円を超える場合には、確定申告をしましょう。

給与所得者のポイ活は、ほとんどが一時所得になりますので、一時所得の計算方法を説明します。一時所得の計算方法は次のとおりです。

一時所得 = 収入金額 - 必要経費 - 特別控除額(最高50万円)

所得税を計算する段階では一時所得をさらに1/2にして計算します。収入金額は1年間でポイントを使用した金額です。必要経費は収入を得るために直接要した金額となりますが、このケースでは経費がありません。

特別控除額は最高50万円で、「収入金額-必要経費」が50万円未満の場合は「収入金額-必要経費」の額となります。つまり、控除による赤字は出ないということです。

この算式からわかるとおり、一時所得には最高50万円の特別控除がありますから、「○○ジャンボで高額商品の代金が全額ポイント還元された」などでない限り、ほとんどの方は一時所得がゼロになると思います。

個人事業主がポイントを使用した場合の経理処理

ここでは個人事業主がポイントを使用して備品を購入した場合の経理処理を紹介します。なお、以下の設例では現金での支払いを前提としていますが、主にプライベートで使用している電子マネー(事業用の資産には載せていない)で支払う場合は、「現金」を「事業主借」としてお読みください。

事業用の備品に特定のお店のポイントを使用した場合の仕訳例

事業用の備品10,000円につき、お店のポイント2,000円を使用し、残額8,000円を現金で支払った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 8,000 現金 8,000

特定のお店のポイント使用は、通常の商取引の値引きと変わらないことから、2,000円の値引きを受けたものとして、8,000円を消耗品費として経費とします(値引処理)。

また、次に紹介する両建処理によることも認められます。

事業用の備品に共通ポイントを使用した場合の仕訳例

事業用の備品10,000円につき、共通ポイント2,000円を使用し、残額8,000円を現金で支払った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 10,000 現金 8,000
雑収入(消費税不課税) 2,000

共通ポイントの使用は、2,000円相当の経済的利益を受けたものとして、10,000円全額を消耗品費としたうえで、2,000円分の雑収入を計上します。なお、この雑収入は消費税の対象外取引となりますが、事業に付随するものですから事業所得に含まれます。

プライベートの備品にお店のポイントを使用した場合の仕訳例

プライベートの備品10,000円につき、お店のポイント2,000円を使用し、残額8,000円を事業用の現金で支払った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
事業主貸 10,000 現金 8,000

特定のお店のポイント使用は、通常の商取引の値引きと変わらないことから、2,000円の値引きを受けたものとします。また、事業用の現金でプライベートの支払いをしているため、事業に関係ないものとして「事業主貸」を使用します。

プライベートの備品に共通ポイントを使用した仕訳例

プライベートの備品10,000円につき、共通ポイント2,000円を使用し、残額8,000円を事業用の現金で支払った

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
事業主貸 10,000 現金 8,000

プライベートでの共通ポイントの使用は、2,000円の経済的利益を受けたものとして、「一時所得」に該当します。また、事業用の現金でプライベートの支払いをしているため、事業に関係ないものとして「事業主貸」を使用します。

なお、一時所得が50万円を超えると税金の対象になってくることから、ポイント使用について集計できるようにしておく必要がありますね。

ポイ活で申告が必要な場合の集計方法と注意点

前述の通り、所得税では所得を区分して計算する必要があります。個人事業主は、事業所得に区分されるポイ活の収入は帳簿づけの範囲内ですから問題ないと思いますが、プライベートにかかる一時所得や雑所得に区分されるポイ活の収入は帳簿づけの対象外となります。

一時所得や雑所得に帳簿づけの義務はありませんが、確定申告が必要かどうかを判断するためには1年間の収入を集計しなければなりません。ポイントサイトなどで履歴が見られる場合には、そのデータをダウンロードしておく、スクショを取るなどして、あとで集計できるようにしておきましょう。

また、一時所得と雑所得も別計算になりますから、例えばアンケートに回答したときのポイントなど、雑所得に区分されるものは別途把握できるようにしておきましょう。

ただし、よほど高額なポイント還元がない限りは、ほとんどの方が50万円の特別控除の範囲内に収まり、さらに給与所得の方であれば給与以外の所得20万円以下の範囲内にも収まるものと思われることを申し添えておきます。

ポイ活で申告漏れをしないために

電子マネー等の普及に伴って、ポイ活を行う人も増加しています。国税庁もポイントに関する取り扱いを公表するなど、適正な納税のための情報を整備しています。

ポイントサイトでの履歴確認やツール、自分で意識的に記録するなどして、確定申告が必要か意識するようにしましょう。必要に応じてすぐに申告時に対応ができるようにしておくことをおすすめします。

今後、ポイ活の広まりによっては、その収入について正しい申告がなされているかが重点的にチェックされる可能性もありますので、注意しておきたいところですね。

参考リンク
国税庁HP No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い新規タブで開く

photo:Getty Images

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この記事の執筆者宮原 裕一(税理士)

宮原裕一税理士事務所新規タブで開く」代表税理士。弥生認定インストラクター。
弥生会計を20年使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。経営者のサポートメンバーとして会計事務所を営む一方、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

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