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起業コンサルタントが解決!「友だち起業」をトラブルに発展させないための鉄則とは

学生時代の友だちと。あるいは会社在籍当時の同僚と——。新規にビジネスを始めるにあたり「友だち同士で起業したい!」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、「友だち同士の起業には“落とし穴”がある」と警鐘を鳴らすのは、起業コンサルタント®として年間の相談数は300件超を誇り、『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』等、多数のビジネス系の著書を持つV-Spirits代表・中野裕哲先生。

起業・開業の専門家である中野先生に、友だち同士で起業する際の「成功のポイント」についてお話を伺いました。

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友だち同士の起業は「仲違いが生じやすい」

——本日の取材テーマは「友だち同士で起業する」です。中野先生のもとにもそうした相談は多いですか。

中野裕哲先生(以下・中野):

実際かなり多いですね。シニア世代になってからの起業では「友だち同士で……」となるケースはさすがに少ないですが、20〜30代、ないし40代はじめの方ではなかなか多い印象があります。

己が成長すればするほど「自分でできること」の範囲が拡がり、チャレンジ精神もある若いうちこそそうした発想になるのだと思います。

——ひと昔前は「技術・営業・財務のそれぞれの分野で強い人同士が組むとうまくいく」といったような成功のもありましたよね。最近ではいかがですか。

中野:

確かに、昭和を支えた名立たる企業の成功譚にはそうしたエピソードが多いですよね。でも最近はそのあたりの背景がわりあいシンプルで「地方に行って友だち2人で喫茶店を開業したい」とか、「歩んできた道が異なる仲間同士で起業する」とかいったケースのほうが多いかもしれません。

ただ、そうしたケースこそ「後から揉め事が生じやすい」とも言えます。

——以前「スモビバ!」で中野先生を取材させていただいたときにも、友だちと起業する場合は「将来に仲違いしてしまうなど、特有の失敗リスクも生じる」とお話いただきました。本日はその点を詳しく伺えますか?!

中野:

友だち同士の起業で“仲違いが生じやすい”のは、私の経験則として間違いないと思います。私の肌感覚だけならまだよいのですが、そうした空中分解が「ビジネス界隈のトレンド」になりつつあり、金融機関など融資元も警戒していることであると理解しておかなければなりません。

——友だち同士の起業だと、金融機関から「貸し渋られる」かもしれない?

中野:

はい。金融機関はデータを根拠にしているはずですから、私が思っているよりも事態はより深刻かもしれません。私の経験から申し上げても、経営陣同士で意見が合わず、最終的にビジネスがうまくいかなくなってしまうケースはたびたび見てきました。

仲違いが生じやすいパターンとは?

——具体的にはどういうパターンですか。

中野:

もちろん単純な「方向性の違い」というパターンもありますが、諍いになるのはやはり「お金の問題」ですね。

例えば、Aさんが100万、Bさんが200万を出資して法人設立したとしましょう。しかし実際にビジネスをやってみると、Aさんはやり手で仕事ができる、Bさんはあまり仕事ができない……。

——十分あり得るパターンですね。

中野:

最初のうちは仲よく会社を運営できるでしょう。しかし、会社が成長していくにつれAさんはこう思います。「自分のほうが仕事しているのに、Bさんのほうが保有する株の時価総額が多いのはおかしい!」と——。

——でもBさんのほうが出資比率は大きいですから、そうなるのも仕方ないですよね。

中野:

はい、Bさんの理屈もわかります。ですが、だからこそ2人の折り合いが合わず、最悪の場合は裁判につながることもあるんです。また、これとは反対に、法人としての借金が膨らんだときなどもトラブルになりやすい。

——会社が成長したときの利益配分、そしてリスクに対する責任の所在、ですか。

中野:

そうです。いくら友だち同士と言っても「人間 対 人間」です。友だち同士のままならお互いの欠点を補え合えるのかもしれないし、だらしないところも我慢できたかもしれない。でもビジネスとなるとそうはなりません。

——お互いの欠点が「実害」として襲いかかってくるかもしれない。

中野:

はい。会社が成長したときのリターンをどうするか。そして、会社が不足の事態に陥ったとき責任の所在をどうするのか——。そうしたことをあらかじめ摺り合わせておかないと、必ずトラブルにつながります。

友だち起業をトラブルに発展させないための「鉄則」

——友だち同士で起業する際に注意すべきポイントとは?

中野:

友だち同士の起業は“最初”が肝心です。その時点でわからないことがあれば、私のような専門家のもとへ相談に来ていただきたい。それも「みんな一緒に(起業する全員)」揃って相談に行くことが重要です。

実際は1人で来るケースがとても多いんですよ。そうすると、その方1人の“身の上相談”のようになってしまう。専門家の立場からその先の会社運営で生じやすい“仲違いのリスク”についてお話しても、その方1人では話が前に進まないんです。

——例えばどういうリスクについてお話されるのですか。

中野:

先ほど申し上げた「リターンと責任」の話につながりますが、もう少し具体的に言うと「成果や責任に対するリターンの考え方」です。先ほどのAさん・Bさんのように、その先で会社にもたらす利益を考えず同じ利益配分にしてしまうと、あとから誰かしらに不満が生じる可能性があります。

また、誰かを代表取締役に据えて、それ以外が役員となるような際も代表取締役になった方は他の方よりも「会社が倒産したとき」「訴訟を起こされたとき」のリスクを背負うことになりますから、そのリスクを無視してリターンを等分にするとトラブルにつながりかねません。

——友だち同士だからこそ“なあなあ”で始めてしまいがちですよね。「とりあえずお前、いってきてくれよ」みたいな。

中野:

そう、それが非常に危険なんです。あらかじめきちんと合意を得ておくべきことは「覚書」などで文書に残しておいたほうがよいでしょう。ただ、友だち同士だとそうしたことを敬遠しがちです。覚書を堅苦しいと感じるとしても必要最低限の“話し合い”の場を持ち、意識を合わせておいていただきたい。

——だからこそ「みんな一緒に相談に来てほしい」。

中野:

そうですね。さらに、起業に関する課題といえば「資金調達」がありますが、融資を検討される方々はなおさら専門家のアドバイスが必要です。

友だち2人でカフェを開業するとしましょう。Aさんは飲食業未経験者、Bさんは飲食業経験者。この場合どちらを代表に据えたほうが「融資を受けやすい」と思いますか。

——準備資金を持っているほうとか、やる気があるほうとか?

中野:

そういう側面も配慮されてよいですが、たとえAさんが「資金潤沢かつやる気満々」だったとしても、それまでの経験が豊富なのはBさんならBさんが主代表になったほうが「融資の審査は通りやすい」でしょう。

——そうした相談にも専門家なら対応できる。

中野:

そうです。友だち同士だと遠慮しがちなことも、第三者である我々ならば遠慮なく踏み込めます。

他にも、例えば友だち同士だと相手にいくら借金があるかなんてわからないじゃないですか。もしかしたら過去にお金のトラブルを起こし、ブラックリストに載っている方がいるかもしれない。とはいえ、プライバシーのことまで踏み込んで話し合うのは友だち同士だけでは難しいでしょう。第三者的に我々のような専門家が入らないと、そうしたことはなかなか明かされませんから。

——「第三者的な立場の専門家をアドバイザー役に、みんな一緒に話し合う」。それこそが、友だち同士の起業の鉄則なんですね。

中野:

はい。会社設立や新規開業となれば、さまざまな形式的な準備も必要でしょうが、まずは我々専門家を頼っていただきたい。せっかく起業という決心をしたのですから、失敗しないためにも専門家の意見を取り入れてほしい、そう願っています。

出資比率は「あえて差を付ける」のが得策!?

——友だち同士の起業に適した「人数」はありますか。

中野:

私の知っているケースからするとだいたい「5人」までですが、3人・5人といった“奇数”だとちょっと揉めやすいかもしれない。2対1や3対2に意見が分かれてしまいますから。

——企業にまつわるTVドラマで登場人物が揉めるケースも、だいたいそれですね(笑)。

中野:

友だち同士の起業で比較的多い法人形態は(対等な立場で経営する)「共同経営」だと思いますが、共同経営で最も大事なのは「情報共有」です。5人の共同経営で始めたのに「4人が決めたことを1人が知らない」といったパターンがよくあります。ある程度少人数で始めたほうが揉めにくい側面はあるのかもしれません。

——友だち同士でビジネスを始めるにしても、さまざまな形態がありますよね。法人設立なら「1人が代表、他は役員」「1人が代表で他は雇用関係を結ぶ」「共同経営・共同代表」など。他に「個人事業主同士のパートナーシップ」「個人事業と外注」といった形態もあります。

中野:

起業の形態は起業家の方の背景・考え方によりますから、特別「これがオススメ!」というのはありません。お答えするとすれば「ケースバイケース」です。

ただ1つ気になる点を挙げるなら、法人設立であれ個人事業主であれ、融資を受ける以上「代表者」の実績・信頼が担保となります。その点は配慮しておいたほうがいいでしょう。

とはいえ、資金調達は融資だけではなく、例えば雇用が発生するときは助成金の対象となる場合もあります。いずれにせよ、そのことを突き詰めていけば“枝葉末節”な議論になりますから、起業に関わる皆さん全員のバックボーンを踏まえながら考えていく必要があると思います。

——先ほど少し話がありましたが、法人設立の場合、出資比率は均等にしたほうがよいですか。

中野:

これはあくまでも私個人の意見ですが、「あえて差を付けたほうがよい」ですね。それは「上下関係を明確にしておいたほうが、あとから揉めにくい」という考えからです。友だち同士とはいえ会社を運営していけば、ある程度の主従関係が生じるもの。2人のリーダー気質の人がいたとして、その人同士が「一緒に起業しよう」となるのも考えにくいじゃないですか。

——それならおそらく、それぞれがそれぞれの方法で起業しますからね。

中野:

もちろんすべてがそうだとは断言できませんが「リーダー的な方」と「サブリーダー的な方」でタッグを組む新規開業のほうが世の中には多いと思われ、それならば最初から主従関係をはっきりさせてそれに応じた出資比率を決めてしまったほうがうまくいく……そう思っています。

——最後に「友だち同士の起業」に関する総括をお願いします。

中野:

今日はもしかしたらネガティブな側面に言及してきたかもしれません。ですが、友だち同士の起業がオススメできないか、というと決してそんなことはありません。かくいう私も税理士法人やコンサル会社を知人と運営し、共同代表を務める会社もあります。気の合う仲間とともにビジネスをすることは組織力強化にもつながりますし、できることの幅も広がるでしょう。

ただ今日申し上げたようなリスクを押さえておかないと、後々痛い目に遭うことがあります。リスクマネジメントとして専門家の意見に耳を傾けていただきたいです!

撮影:塙薫子

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