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個人事業主が払う税金の種類と納税方法をわかりやすく解説

監修者 : 齋藤一生(税理士)

個人事業主は、会社が税金計算をして納めてくれる会社員とは異なり、事業のお金をすべて自分で管理することになります。売上や経費だけでなく、税金についても押さえておかなければなりません。

それぞれの金額や納税時期を把握し、「手元にどれほどのお金が残るか」を常に意識するようにしましょう。これは、事業を継続する上でも非常に重要なことです。

この記事では、個人事業主が支払う5種類の税金について説明します。

  • 個人事業主が払う税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税、国民健康保険料(税)の5種類
  • 個人事業税は法定業種のみなど、条件によって支払う税金もある
  • 税を知ることで節税につながる

個人事業主が主に払う5種類の税金

個人事業主が主に支払う(納める)税金は、以下の5種類です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 国民健康保険料(税)

それぞれについて詳しくご説明します。

所得税

所得税とは、個人の所得に対してかかる税金のことを言います。

ここで重要なのは、入ってくるお金のうち「所得」とはどの部分を指すのか、です。所得税は入ってくるお金(=収入)の全額に対してかかるわけではありません。「収入から差し引かれる金額」を引き、さらにそこから「所得控除額」を差し引いた金額部分に対して、課税されます。

下記の図を見てみましょう。

Aの所得金額の計算における(収入から差し引かれる金額は)、個人事業主の事業所得の場合はおもに「必要経費」です。Bの課税所得金額の計算における「所得控除額」に該当する所得控除の種類には、次のようなものあります。

基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、医療費控除、寄附金控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、障害者控除、雑損控除

自ら確定申告書に所得控除額を記載しないと控除できないため、自分はどんな控除が適用されるのか、きちんと把握しておくことが重要です。控除の概要と所得税計算での控除額については以下の記事をご覧ください。

所得税は自分で確定申告をし、納税します。計算した結果「還付される税金」がある場合は、確定申告をすれば指定口座に振り込まれることになります。原稿料や講演料などクライアントに所得税を源泉徴収される取引がある場合、確定申告で控除される金額を計算し、払い過ぎた金額があれば戻される仕組みです。

所得税の納税期限は、原則的に確定申告期日と同じ3月15日です。振替納税を選択すれば、納付期日は約1ヶ月の猶予ができます。

納税方法は以下の記事を参考にしてください。

住民税

住民税は、地方税です。都道府県税と市区町村税が合算されており、所得によって計算される「所得割」の部分と、所得に関係なく一律で定められた「均等割」の部分に分かれています。

    都道府県税   市町村税
住民税 所得割
(所得-所得控除)×4%
+ 所得割
(所得-所得控除)×6%
均等割
1,500円
均等割
3,500円

所得割は、所得金額から所得控除の額を差し引いた金額に対して10%の課税がなされます。自治体によって税率が異なる場合もありますが、標準税率は10%です。この10%の中に、都道府県に支払われる税4%と、市区町村に支払われる税6%が含まれます。

均等割は多くの場合は都道府県税分が1,500円、区市町村民税分が3,500円という内訳で、合計5,000円です。なお、2014年(平成26年)度から2023年(令和5年)度分までの10年間については、東日本大震災の復興財源確保のために都道府県税・区市町村民税の均等割額にそれぞれ500円が加算されていて、合計で1,000円加算されている分が含まれます。なお、市区町村によって、別途上乗せ金額があったりしますので、上記金額と異なることがあります。

個人事業主の場合、所得税の確定申告をすると、自動的に市区町村にもデータが送られ、住民税が計算されます。ですので基本的には、個人が住民税計算のために行う手続きはありません。

6月に市区町村の課税課から「納税通知書」や「納付書」などが発送されてきますので、それを使って納付します。一括払いと分割(4回)払いを選ぶことができ、一括の場合は6月、分割の場合は6月、8月、10月、翌年1月です。

住民税の支払い方法については、各自治体によって選択肢が異なりますので、通知書をよく読んで確認しましょう。

ただし、住民税の申告が必要なケースがあります。給与所得や退職所得以外の所得の合計金額が20万円以下で税務署に所得税の確定申告をしない場合、居住地の市区町村へ住民税の申告をする必要があります。

なぜかというと、給与所得のある人が副業などをしているなど、所得金額20万円以下であれば例外的に税務署へ所得税の確定申告はしなくてもよいという所得税法上の規定があります。しかし、この規定は所得税(国税)に限るものであり、地方税法上はそのような規定は設けられていないので、住民税の申告が必要になってくるのです。

個人事業税

個人事業税とは、都道府県に納める税であり、個人事業のうち、地方税法等で定められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。現在、法定業種は70の業種があり、ほとんどの事業が該当します。法定業種に該当する場合でも、「事業主控除」が290万円あるので所得290万円以下であれば個人事業税は発生しません。

個人事業税額 = (事業収入-必要経費-事業主控除額290万円) × 法定業種税率

フリーランスとして働く方の業種はほとんどの個人事業税は税率5%ですが、念のため「法定業種と税率」を確認しておくようにしましょう。

ここで注意しなければならないのは、法定業種に該当しているかどうかは、あくまで「事業の実態」で判断されるということです。開業届に記載した業種ということではありません。業種的に該当するかどうか不明な場合は、事業所がある都道府県に事前に問い合わせて確認をとりましょう。

【法定業種】
区分 税率 事業の種類
第1種事業
(37業種)
5% 物品販売業 運送取扱業 料理店業 遊覧所業
保険業 船舶定係場業 飲食店業 商品取引業
金銭貸付業 倉庫業 周旋業 不動産売買業
物品貸付業 駐車場業 代理業 広告業
不動産貸付業 請負業 仲立業 興信所業
製造業 印刷業 問屋業 案内業
電気供給業 出版業 両替業 冠婚葬祭業
土石採取業 写真業 公衆浴場業(むし風呂等)
電気通信事業 席貸業 演劇興行業
運送業 旅館業 遊技場業
第2種事業
(3業種)
4% 畜産業 水産業 薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5% 医業 公証人業 設計監督者業 公衆浴場業(銭湯)
歯科医業 弁理士業 不動産鑑定業 歯科衛生士業
薬剤師業 税理士業 デザイン業 歯科技工士業
獣医業 公認会計士業 諸芸師匠業 測量士業
弁護士業 計理士業 理容業 土地家屋調査士業
司法書士業 社会保険労務士業 美容業 海事代理士業
行政書士業 コンサルタント業 クリーニング業 印刷製版業
3% あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復
その他の医業に類する事業
装蹄師業

(引用)個人事業税 個人事業税の概要 「4 法定業種と税率」

また個人事業税は所得税の確定申告をしていれば、申告は不要です。確定申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入し、「納税通知書」や「納付書」などが送られてきたら納付します。第1期納期限が8月末、第2期納期限が11月末です。

消費税

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に課金される国税の一つです。事業者の誰もが支払わなくてはならない税ではなく、一定の決まりがあります。

消費税を支払う義務がある人……「課税事業者」
原則的に前々年、消費税の対象となる売上が1,000万円を超える場合
例外的に前年の前半期(個人事業主、12月決算の法人の場合、1月1日から6月30日まで)の消費税の対象となる売上と給与支払額の両方が1,000万円を超える場合

消費税を支払う義務がない人……「免税事業者」
課税事業者の条件に当てはまらない場合

事業活動の中では、「売上とともに消費税を受け取る(預かる)こと」と「経費として消費税を支払うこと」の両方が発生します。納税するのはその「差額」です。

消費税の納税額 = 預かっている消費税(売上)- 支払った消費税(経費)

【小規模事業者向けの簡易課税制度とは】
本体価格と消費税を分けて売上、仕入、経費それぞれを記帳する「本則課税制度」が本来の方法ですが、非常に手間がかかるため「売上金額に一定の経費率を掛ける」という方法で仕入控除税額(※上記計算式の「支払った消費税(経費)」部分)を計算することが許されています。これを「簡易課税制度」と言います。

簡易課税制度は、課税売上高が5,000万円以下の中小事業者に限定された特例です。経費率(=「みなし仕入れ率」)は業務内容によって異なる比率が設定されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

軽減税率とインボイス制度

2021年6月現在、消費税は標準税率10%と、「酒類・外食を除く飲食料品」及び「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」の品目を対象に軽減税率8%の2種類があります。

税率が2つになったため、請求書もより正確なものでなくてはならないという考え方から生まれたのが「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」となります。

この先2023年(令和5年)10月に導入されるインボイス制度のもとでは、国が定める項目を含む請求書や納品書を交付し、保存しなくてはなりません。それに加え、適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録されている課税事業者のみです。適格請求書でない場合、課税事業者は「仕入税額控除(売上の消費税額から経費、仕入れにかかった消費税額を引くこと)」といった有利な控除を受けることができなくなります。

となると、課税事業者は適格請求書を作成できる事業者とやりとりしたほうが有利となり、適格請求書を発行できない免税事業者との取引を減らす可能性もあります。そのため、消費税の課税事業者ではない小規模事業者は仕事を得るチャンスが激減してしまうかもしれません。この事態を避けるためには、免税事業者である小規模事業者も「適格請求書発行事業者」になるか検討と判断をする必要があります。

2021年(令和3年)10月1日から2023年(令和5年)3月31日までに「適格請求書発行事業者の登録申請手続」を行うと、適格請求書発行事業者になることが可能です。ただし、適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは課税事業者に限られるので、適格請求書発行事業者の登録後は、免税制度の適用を受けられなくなります。インボイス制度導入までに対策を講じましょう。

個人事業主の消費税確定申告は、対象年の翌年3月31日までに申告と納税が原則です。振替納税の場合、納付期限が約1か月先になるのは所得税と同様です。

消費税の納付方法は、窓口払いだけでなく、口座振替やクレジットカード決済など、さまざまなものから選ぶことができます。

国民健康保険料(税)など

個人事業主は国民健康保険料(「国民健康保険税」として徴収する自治体もある)を支払う義務があります。税率は各市区町村によって異なります。

毎年6月に納付通知書が発送され、一括払いと分割払いを選ぶことができます。分割の場合は6月から翌年3月までの支払いです。振込方法は地方自治体によって異なるので、自治体のホームページなどで確認しましょう。

ちなみに、個人事業主が加入する「国民年金」も毎月支払う必要があるものです。令和3年度は月額16,610円です。国民健康保険と同じく、市区町村に支払います。

個人事業主が納める税金5種類まとめ

税金の種類をまとめると次のようになります。

税の種類 概要 支払い方法 対象 納付期限
所得税 所得に対する税金。1月1日から12月31日までの1年間の所得の合計額から各種所得控除額などを差し引いた額に対して課税される 個人事業主自らが申告し、納税 一定の所得がある人が対象

毎年3月15日(確定申告期日)

振替納税を選択すれば約1ヶ月の猶予あり

個人事業税 地方税の1つ。事業所得(青色申告特別控除前)が290万円を超える場合に課税される 所得税の確定申告をしていれば、申告は不要。都道府県税事務所から通知が来た場合に納税 指定された事業を営む者のみ、一定の税率で課税される

1/2ずつ、2回に分けて納付

第1期納期限:8月末
第2期納期限:11月末

住民税 都道府県民税と市区町村民税があり、住民であれば支払う必要がある税金 所得税の確定申告をしていれば、申告は不要。市区町村から通知が来た場合に納税 一定の所得がある人が対象 一括払いか分割払い(4回)を選択可
一括払いの場合:6月に納付
分割払いの場合:6、8、10、翌1月に納付
消費税 原則として前々事業年度の消費税の対象となる売上が1.000万円を超える個人事業主が納める必要のある税金 個人事業主自らが申告し、納税 原則として、前々年度の課税売上高が1,000万超の場合

対象年の翌年3月31日

振替納税を選択すれば約1ヶ月の猶予あり

国民健康保険料(税) 国民健康保険料又は国民健康保険税のいずれかの形で徴収される。税率は各市区町村によって異なる 毎年6月に納付通知書が発送され、一括払いと分割払いを選ぶことができる 住民票上の世帯主 一括払いか分割払い(10回)を選択可
一括払いの場合:6月に納付
分割払いの場合:6月~翌3月まで

税金を支払うのは大変なことですが、滞納すれば差し押さえなどの行政処分を受けることもあります。トラブルなく事業を進めるためにも、税金のことはしっかりと理解しましょう。

なお、税金は合法的に節約することができます。どのような節税ができるかも、まずは税を知ることから始まるものだと考えてましょう。

photo:Getty Images

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