会計ソフト代の勘定科目は?仕訳例でわかりやすく解説【導入費からサポート料まで】

2021/05/24更新

この記事の執筆者aya

会計ソフトの購入・導入にかかった料金や、サポート料(保守契約料)、バージョンアップの費用などは、何の勘定科目を使って仕訳をすればいいのでしょうか?この記事では、以下の内容を仕訳の具体例をつかってわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 会計ソフト導入時の勘定科目と仕訳
  • 会計ソフトを無形固定資産に計上する判断
  • サポート料や更新料の勘定科目
  • 会計ソフトの消費税は取得価額に含めるかどうか

無形固定資産に計上するときの節税対策も紹介。会計ソフトに関する費用を網羅して解説しているので、処理に迷ったら参考にしてみてくださいね。

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POINT

  • インストール型の会計ソフトは一般的に「消耗品費」
  • インストール型で10万円以上なら「ソフトウェア」
  • クラウド型の会計ソフトは一般的に「通信費」

会計ソフト代の勘定科目は? 購入・導入費用の仕訳例

この章では、会計ソフトの購入や導入にかかわる費用の勘定科目の考え方をまとめます。

会計ソフトの購入や導入にかかった費用の勘定科目は、税法などで「この勘定科目を使わなきゃダメ!」と決められたものはありません。したがって、会社や個人事業主それぞれが、わかりやすい勘定科目を使えばOK。

一般的には以下の勘定科目を使用する企業が多いです。

会計ソフト代の勘定科目
  • 消耗品費:10万円未満のインストール型会計ソフトの購入
  • ソフトウェア:10万円以上の会計ソフトを購入した場合。無形固定資産の勘定科目
  • 通信費:クラウド型の会計ソフトの利用料

会計ソフト代の勘定科目の選び方 社内ルールで統一するのが大切

会計ソフト代の勘定科目は自由に決めてOKですが、以下の会計上の決まりを守る必要はあります。

守らなくてはいけない決まり
  • 同じ内容の取引については、同じ勘定科目を継続して使用すること(企業会計原則の「継続性の原則」)
  • 10万円以上の会計ソフトの導入費・購入費は無形固定資産に計上して減価償却すること(税務上の決まり)

上記を守れば、どんな名称の勘定科目を使用しても構いません。例えば「会計ソフト」という勘定科目で費用に計上しても問題なし。ただし、毎回この勘定科目を使用する必要があります。経理担当者によって使用する勘定科目が違う、ということがないように社内でルールを決めておきましょう。

無形固定資産にあたるかどうかの判断基準については後述します。

会計ソフトの種類と勘定科目 インストール型とクラウド型

会計ソフトは大きく分けると次の2種類に分けられます。

インストール型

家電量販店やネット上で購入できる買い切り型の会計ソフト

クラウド型

インターネット上で使用する会計ソフト。毎月もしくは毎年利用料を払う

インストール型の会計ソフトは、原則的にソフトをインストールしたパソコンでのみ使用でき、いったん購入してしまえばその後は基本的に費用が発生しません。なお、インターネット上でソフトを購入してダウンロードした場合もインストール型に分類されます。

一方、クラウド型はインターネット上で使用し、ライセンスを付与する人数や機能などによって料金が変動するのが特徴です。サーバーの不具合が起こった場合等には使用できないリスクはありますが、税制改正などもその都度反映されるので、常に最新の状態で使用できるメリットがあります。

インストール型の会計ソフトの勘定科目は「消耗費」、10万円以上なら「ソフトウェア」、クラウド型の会計ソフトの勘定科目は「通信費」が使用されることが多いです。

インストール型とクラウド型、それぞれの会計ソフトの仕訳や注意点を見ていきましょう。

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インストール型の会計ソフトの勘定科目と仕訳

この章ではインストール型の会計ソフトの経理処理を解説します。

先ほど述べたとおり、一般的に使用される勘定科目は次の通りです。

インストール型の会計ソフトの勘定科目
  • 消耗品費:10万円未満の場合
  • ソフトウェア:10万円以上の場合。無形固定資産

具体例で仕訳を確認しましょう。

10万円未満のインストール型の会計ソフトを購入した時の仕訳

10万円未満の場合には全額を費用計上します。

例:インストール型の会計ソフト50,000円を現金で購入した
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 50,000 現金 50,000

10万円以上のインストール型の会計ソフトを購入した時の仕訳

10万円以上のインストール型の会計ソフトは、「ソフトウェア」という無形固定資産の勘定科目になり、耐用年数は5年です。

ソフトウェアを資産に計上するか否かの判断は、次のように示されています。

将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合は無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する。

日本会計士協会「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針新規タブで開く

では、「10万円以上」かどうかの判断はどのように行うのでしょうか。国税庁によると、ソフトウェアの取得価額には次のものを含めるとしています。

ソフトウェアの取得価額に含めるもの
  • 購入の代価+購入に要した費用+事業の用に供するために直接要した費用
  • 製作等に要した原材料費、労務費及び経費の額+事業の用に供するために直接要した費用

国税庁「No.5461 ソフトウェアの取得価額と耐用年数新規タブで開く

したがって、例えば以下のような費用は、取得価額に含めて計算すべきです。

会計ソフトの取得価額に含めるべき費用
  • 送料
  • 導入時の訪問指導料
  • 自社用にカスタマイズした外注費
  • 購入した業者にセットアップに来てもらった費用

上記の金額は、会計ソフト本体の勘定科目「消耗品費」もしくは「ソフトウェア」に含めて仕訳を行います。

これらをふまえて仕訳の例を見てみましょう。

例:50万円の会計ソフトを購入した。自社用のカスタマイズ費用10万円とともに現金で支払った。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
ソフトウェア 600,000 預金 600,000

会計ソフトの本体代だけでなく、カスタマイズ費用を含めてソフトウェアに計上します。

つづいて、決算時に減価償却費を計上する仕訳を見てみましょう。

例:年次決算のため、減価償却費を計上する。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 120,000 ソフトウェア 120,000

ソフトウェアの耐用年数は5年ですから、年間の減価償却費は60万円/5年=12万円です。(※原則として、無形固定資産の減価償却は残存価額0円とした直接法で行うので、上記の計算式・仕訳になります。)

年度の途中に事業の用に供したのであれば、月割りで減価償却費を計上します。

10万円以上の会計ソフトを購入する場合の節税方法2つ

10万円以上の会計ソフトを購入した際に、税務上において有利になる次の2つの制度があります。

少額減価償却資産

中小企業が10万円以上30万円未満の資産を全額損金にできる

一括償却資産

10万円以上20万円未満の資産を一括して3年で償却できる

少額減価償却資産の方が節税効果は高いですが、この制度を使用できるのは資本金1億円以下の中小企業等に限られます。

それぞれ、制度の詳細と仕訳の方法を紹介します。

少額減償却資産の特例

次の条件を満たす場合には、会計ソフトの購入時に少額減価償却資産の特例を使うと節税できます。

少額減価償却資産の特例の条件

  • 個人事業主や資本金1億円以下の中小企業等
  • 取得価額が30万円未満の資産が対象

詳しい要件は国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例新規タブで開く」を確認してください。

仕訳例は次の通りです。

例:個人事業主が15万円の会計ソフトを購入した。少額減価償却資産の特例を利用する。
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 150,000 現金 150,000

通常であれば、5年かけて費用にする必要がありますが、少額減価償却資産の特例を利用することで全額を消耗品費として経費にできます。

一括償却資産

一括償却資産とは次のような制度です。

一括償却資産とは
  • 全法人が対象
  • 個別に資産管理する必要がない
  • 20万円未満の資産を3年で償却できる

一括償却資産は、個別に資産を管理せずに事業年度ごとの対象資産を一括でまとめて償却でき、経理処理が簡易的にすみます。会計ソフトは通常5年かけて償却するところ、3年で償却できるメリットがあるといえます。

仕訳例で確認してみましょう。

例:次の資産を本事業年度に使い始めたので、一括償却資産に計上して3年で償却する。

  • 会計ソフト:15万円
  • 資産A:17万円
  • 資産B:16万円
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
一括償却資産 480,000 現金 480,000
決算時の仕訳
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 160,000 一括償却資産 160,000

このように、同じ年度内に複数の対象資産があった場合にも、「一括償却資産」とひとくくりに計上でき、3年で償却が可能です。個別に耐用年数を調べたり、固定資産台帳で管理したりする必要がないので、経理処理が楽というメリットもあります。

なお、一括償却資産は使用開始月にかかわらず事業年度から3年で償却し、月割りの必要はありません。

参考

国税庁「第2款 少額の減価償却資産等新規タブで開く

クラウド型の会計ソフト代の勘定科目と仕訳

クラウド型の会計ソフトは、10万円以上であっても全額を経費算入してかまいません。利用料を払わなければ継続して使用ができなくなり、ものを購入するわけではないからです。

月額もしくは年間の費用を支払ったときに「通信費」の勘定科目を使用するのが一般的です。勘定科目の候補としては、次のようなものが考えられます。わかりやすいものを使えばOKです。

クラウド型の会計ソフトの勘定科目の例
  • 通信費(最も一般的)
  • 消耗品費
  • 諸会費
  • 外注費
  • 雑費(※)
  • 雑費の勘定科目を使用することは問題ありませんが、なるべく避けたほうが良いでしょう。何の費用なのかがわかりにくく、管理がしにくいためです。また、雑費の金額が大きすぎると、税務調査の際に不正な経理をしているのでは、と良くない印象を与える可能性があります。

それでは、仕訳を見てみましょう。

例:クラウド型の会計ソフトの費用月額3万円を支払った
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 30,000 預金 30,000

クラウド型の会計ソフトの月額費用の仕訳は、単純に経費に計上すれば良いのでインストール型の会計ソフトの仕訳に比べると簡単です。

会計ソフト代の経理処理、こんなときどうする?

この章では以下の2つについて解説します。

  • 会計ソフトのサポート・更新費用の勘定科目は?
  • 会計ソフトの消費税額は取得の費用に含める?

会計ソフトのサポートや更新費用の勘定科目は?

会計ソフトを購入したり、クラウドの会計ソフトを利用する際に、サポート料やバージョンアップの費用が発生することがあります。

サポート料・バージョンアップ費用についても特に決められた勘定科目はないので自由に決めて構いませんが、候補としては次のものが考えられます。

会計ソフトのサポート料・バージョンアップ費用の勘定科目
  • 支払手数料
  • 通信費
  • 外注費
  • 消耗品費
  • 諸会費
  • 雑費

クラウド型の会計ソフト月額料金にサポート料やバージョンアップ費用が含まれている場合は、月額料金と同じ勘定科目に含めて処理しましょう。

会計ソフト代の消費税額は、取得価額に入れる?

会計ソフトの金額に消費税額を含めるかどうかは、経理の方法によります。

  • 税込経理:消費税込みの金額
  • 税抜経理:消費税抜きの金額

消費税込みの金額で記帳する「税込経理」なら消費税込みの金額で、「仮払消費税」などの勘定科目を使って別で記帳する「税抜経理」なら税抜き金額となります。インストール型の会計ソフトの場合、消費税額を含めるかどうかで無形固定資産に計上するか経理処理が変わってくることがありますが、経理の方法によるということです。

仕訳の具体例で確認してみましょう。

例:会計ソフト104,500円(本体:95,000円、消費税額9,500円)を購入してインストールした。

税込経理の場合の仕訳

税込経理の場合は、消費税込みの金額で10万円を超えているかどうかで無形固定資産に計上するかを判断します。この例では、税込みでは10万円以上なので無形固定資産の「ソフトウェア」勘定を使います。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
ソフトウェア 104,500 現金 104,500
税抜経理の場合の仕訳

税抜経理の場合は、消費税抜きの本体金額で10万円を超えるか否かによって判断します。この例では、税抜き金額で10万円未満なので「消耗品費」で処理します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 95,000 現金 104,500
仮払消費税 9,500

会計ソフト代の勘定科目|まとめ

  • 会計ソフト代の勘定科目は、継続して使えば自由に決めてOK
  • インストール型は一般的に「消耗品費」or「ソフトウェア」
  • クラウド型は一般的に「通信費」

会計ソフト代の勘定科目は管理しやすいものを使えばOKです。

10万円以上のインストール型の会計ソフトの場合は、節税になる「少額減価償却資産の特例」や「一括償却資産」を積極的に利用すると良いでしょう。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者aya

一橋大学卒業後、一部上場メーカーで経理・財務を担当後、専業のWebライターに。一般会計、固定資産、税務、資金繰り、連結決算など幅広く経験あり。記事執筆のご依頼などはこちら新規タブで開く(外部サイト)から受け付けています。

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