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事業再構築補助金の応募条件や申請方法を解説!中小企業で最大6,000万円!

新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある中小企業や個人事業主が、大幅な事業の転換などを企図し、事業の再構築を行いたい場合に使えるのが、事業再構築補助金です。経済産業省はこの補助金に予算1兆円を超える金額を当てており、2021年の目玉政策のひとつでもあります。

ただし、申請できる対象企業や「事業再構築」の定義など、申請の要件は難しい部分も。そこで、事業再構築補助金の応募の条件や申請の方法について、税理士の中野裕哲先生が詳しく解説します。

なお、本記事では主として中小企業が利用する場合を想定します。

※2021年5月20日(木)18時より第二次の応募が開始されました。申請の受付は、5/26(水)が予定されています。(2021年5月21日 スモビバ!編集部追記)

  • 事業再構築補助金は、中小企業と中堅企業が広く対象となる
  • 計5回程度の公募が予定されている。緊急事態宣言によって深刻な影響を受けた事業者の補助率が上がる特別枠もある
  • 申請は、電子申請システムでのみ。原則GビズIDプライムアカウントの取得が必要

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナの変化に対応しようとする中小企業等の思い切った事業再構築を支援する補助金です。新型コロナウイルスの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を支援する2021年の目玉政策で、予算1兆円を超える注目の補助金といえます。

中小企業の対象金額は下記のようになっています。

通常枠: 補助額 100万円~6,000万円 補助率 2/3
卒業枠: 補助額 6,000万円超~1億円 補助率 2/3

卒業枠」とは、事業計画期間内に①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠で、400社限定です。

上手に活用すれば、企業の起死回生につなげることも可能なこの補助金。申請の際にはやや難しい要件もありますので、噛み砕いてわかりやすく解説します。

【1】事業再構築補助金の補助対象者

中小企業と中堅企業が広く対象となります。中小企業の定義は、以下の中小企業基本法にあてはまる企業です。

製造業その他 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人事業主
卸売業 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人事業主
小売業 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人事業主
サービス業 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人事業主

ただし、大企業の子会社等のいわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。

【2】事業再構築補助金の補助対象要件

補助金の対象となるには、以下の①と②の両方を満たすことが必要です。

①申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。

②経済産業省が示す事業再構築指針にもとづいて、事業再構築の定義に該当していること。また、3~5年の事業計画書を認定支援機関と共同で策定すること。

認定支援機関」とは、企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が審査し認定する公的な支援機関「認定経営革新等支援機関」のことを指します。商工会議所や商工会など中小企業支援者のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、 金融機関等が認定を受けています。

【3】事業再構築の定義

補助金の対象となるには、事業再構築の定義に該当していなければなりません。つまり、事業再構築の定義に基づいて、事業計画を作成する必要があります。

事業再構築の定義としては、以下の5つがあります。

  1. 新分野展開…新たな製品等で新たな市場に進出すること
  2. 事業転換…主な事業を転換すること
  3. 業種転換…主な業種を転換すること
  4. 業態転換…製造方法等を転換すること
  5. 事業再編…事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うこと

5つの定義のそれぞれの要件と具体的事例

事業再構築補助金の活用には、さまざまな業種が該当します。たとえば、下記のような活用イメージがあります。

ここからは、先ほどの5つの事業再構築の定義について、具体的事例とともに詳しく解説します。

1.新分野展開

新分野展開とは、主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。新分野展開に該当するためには、「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高10%要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

例1)製造業
航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手。5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定。

例2)不動産業
都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたが、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入。3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定。

2.事業転換

事業転換とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。「事業転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

例1)飲食業
日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業。3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定。

※日本標準産業分類とは、産業の分類について決められた総務省告示です。各産業を大分類、中分類、小分類、細分類という階層に分けて分類する仕組みになっています。この飲食業の例では、下記のような細分類における事業展開を行いました。

【大分類】M宿泊業、飲食サービス業⇒【中分類】76飲食店⇒【小分類】762専門料理店⇒【細分類】7621日本料理店…7623中華料理店、7624ラーメン店、7625焼肉店…

例2)製造業
プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始。5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定。

【大分類】E製造業⇒【中分類】生産用機械器具製造業⇒【小分類】269その他の生産用機械・同部分品製造業⇒【細分類】2691金属用金型・同部分品・附属品製造業…2694ロボット製造業…(細分類ベースで事業転換)

3.業種転換

業種転換とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種(=日本標準産業分類の大分類)を変更することを指します。 「業種転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

例1)賃貸業
レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンションを経営。レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供することで、3年間の事業計画期間終了時点において、貸切ペンション経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定。

【大分類】…K不動産業、物品賃貸業 …M宿泊業,飲食サービス業…(レンタカー事業は物品賃貸業、ペンションは宿泊業)

例2)製造業
コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設。5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定。

【大分類】…E製造業、 …G情報通信業…(データセンターは情報通信業)

4.業態転換

業態転換とは、製品等の製造方法等を相当程度変更することを指します。業態転換に該当するためには、「製造方法等の新規性要件」「製品の新規性要件」(製造方法の変更の場合)または「商品等の新規性要件又は設備撤去等要件」 (提供方法の変更の場合)「売上高10%要件」の3つ全てを満たす(=事業計画において示す)必要があります。

「商品等の新規性要件又は設備撤去等要件」とは、新たな方法で提供される商品もしくはサービスが、新規性を有するものまたは既存設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うものであることをいいます。

例1)サービス業
ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく店舗での営業を縮小、オンラインサービスを新たに開始。オンラインサービスの売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定。

例2)製造業
健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ生産性を向上させることを目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用し、製造プロセスの省人化を進めるとともに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造。新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定。

5.事業再編

事業再編とは合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡など会社法上の組織再編行為等を行い、かつ、新たな事業形態のもとに前述した1.〜4.の転換のいずれかを行うことを指します。

【4】事業再構築補助金で補助対象になる経費は?

この補助金は、基本的に設備投資を支援するものです。ただし設備費のほか、建物の建築・改修・撤去費、システム構築費も補助対象となります。また、新しい事業の開始に必要となる研修費、広告宣伝費・販売促進費も補助対象です。

【補助対象経費になるもの】

  • 建物費(建物の建築・改修・撤去に要する経費)、機械装置・システム構築費
  • 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
  • 研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
  • クラウドサービス利用費、専門家経費、運搬費、知的財産権等関連経費
  • 海外旅費(卒業枠、グローバルV字回復枠のみ)

一方、下記のような項目は補助対象の経費とはなりません。

【補助対象経費にならないもの】

  • 補助対象企業の従業員の人件費、従業員の旅費
  • 不動産、株式、公道を走る車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費
  • 販売する商品の原材料費、消耗品費、光熱水費、通信費

【5】緊急事態宣言特別枠

2021年(令和3年)の緊急事態宣言により深刻な影響を受けた中小企業等については「緊急事態宣言特別枠」が設けられており、補助率が上がっています。また、「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上「通常枠」で再審査するという特例により、採択率が高くなる可能性もある有利な制度です。

緊急事態宣言特別枠の対象となる事業者は、通常枠の申請要件を満たし、かつ緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年(令和3年)1月~6月(※)のいずれかの月の売上高が対前年、または前々年の同月比で30%以上減少している事業者になります。

下記の要件に合致すれば、地域や業種は問いません。

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

緊急事態宣言特別枠に申請した場合のフローは、下記のようになります。

なお、上記の要件を満たす事業者で「通常枠」のみに申請した場合でも、加点措置が行われます。

(※)2021年6月1日 緊急事態宣言の延長に伴い、一部要件が変更されましたので、緊急事態宣言特別枠の対象期間を更新いたしました。(2021年6月2日 スモビバ!編集部追記)

【6】事業再構築補助金の公募スケジュール

第1回目の公募は2021年5月7日(金)18:00をもって終了しました。一次公募の採択結果公表は6月中旬頃が予定されています。

このあと、さらに4回程度の公募が予定されています。二次公募は5月20日(木)18時に開始されました。二次公募の応募は、5月20日から7月2日までです。申請の受付は5月26日が予定されています。一次公募で不採択であった場合には、採択公表日以降に申請することが可能です。

※スケジュールは情報が発表され次第、随時更新いたします。(2021年5月21日 スモビバ!編集部追記)

事業再構築補助金の申請は電子申請システムでのみの受け付けとなっています。下記のような申請のステップが必要ですので、一つひとつ進めていきましょう。

1.GビズIDプライムの取得
申請においては「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。未取得の場合、必ず、利用登録を行ってください。取得申請は下記のURLより行うことができます。

・GビズID:https://gbiz-id.go.jp/top/index.html

2.電子申請システムにログイン
GビズIDプライムが取得できたら、電子申請システムにログインします。「ログイン」画面で「GビズIDでログインする方はこちら」を選択し、取得済みのGビズIDプライムを使用してログインしてください。

事業再構築補助金の電子申請システムページ

3.申請内容を入力
「申請はこちら」から入力を開始します。応募申請者の概要や、事業実施場所、事業内容、実績、経費・資金調達内訳、加点項目などを入力後、必要書類(電子ファイル)の添付を行います。

4.策定した事業計画書を添付
申請における必要書類として、事業計画書を添付する必要があります。この策定は前述の認定支援機関との共同作業が必要となります。まずは認定支援機関選びも兼ねて、相談から始めることをおすすめします。

5.申請内容を送信
全ての項目を入力し終え、「作成済」となったら「申請」ボタンをクリックし、申請内容を送信します。

申請方法については、事業再構築補助金事務局によるマニュアルもあります。不明点等はこちらを参考にすると良いでしょう。

令和二年度第三次補正 事業再構築補助金 電子申請システム 操作マニュアル

事業再構築を考えるなら積極的に活用を

新型コロナウイルス感染症により、経済環境も企業を取り巻く環境も大きく変わっています。時代の変化に対応するために思い切った事業再構築を考えるなら、積極的に活用したい補助金だといえるでしょう。

ただ、自社が当てはまるかどうか、難解な要件も多いのがこの事業再構築補助金の特徴です。応募を検討するのであれば、早めに認定支援機関に問い合わせて、相談をしておきましょう。

photo:Getty Images

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