確定申告の納税方法は?所得税の納付期限や支払い方法、延納制度を解説

2024/02/29更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

確定申告における所得税の納税にはいくつかの方法があり、利用しやすい方法を選ぶことができます。また、所得税は納税の期限が定められており、申告した所得税を期限内に納付しなければなりません。

確定申告をした所得税および復興特別所得税(以下、所得税)の納付期限は、原則として毎年3月15日(土日祝の場合は翌平日)で、基本的に、確定申告の提出期限と所得税の納付期限は同じです。また、確定申告書の提出後に、納付書の送付や納税通知などが送られてくることはありませんから、期限内に、忘れずに納付することが大切です。期限ギリギリになってから慌てないように、どのような納税方法があるのかを知っておきましょう。

ここでは、確定申告で確定した所得税の納税方法や納付期限、納付時の注意点の他、期限内の納付が難しい場合の対処法について解説します。

確定申告で確定した所得税の納税方法

確定申告は、原則2月16日~3月15日(土日祝の場合は翌平日が期日)の間に行い、所得税等の額を確定します。納付には下記の方法がありますが、振替納税とクレジットカードによる納付の場合は後払いのため、資金繰りに余裕が持てます。

なお、2022年12月1日より、スマホアプリで納税ができるようになりました。スマホアプリでの納税方法について、詳しくは国税庁の専用Webサイト「[手続名]スマホアプリ納付の手続 新規タブで開く」をご確認ください。

所得税の納付方法

  • 指定された金融機関の預貯金口座からの振替納税
  • e-Taxによる電子納税
  • クレジットカードによる納付
  • QRコードによるコンビニエンスストアで納付
  • 金融機関または税務署の窓口での現金納付
  • スマホアプリ納付(2022年12月より)

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確定申告の納税に振替納税制度を利用する

振替納税は、納税者本人の預貯金口座から、口座引落し(口座振替)によって納税する制度です。振替日(引き落とし日)は国税庁によって、例年4月中旬頃と定められていますから、それまでに口座に入金していれば問題ありません。

利用方法
振替納税制度を利用するには、確定申告の申告期限までに、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出する必要があります。提出先は、納税地を所轄する税務署か、希望する預貯金口座の金融機関です。依頼書を直接提出する他、e-Taxによる提出も可能ですが、e-Taxでの提出に対応していない金融機関や口座もあるため注意しましょう。

一度振替納税をすれば、預貯金口座の変更依頼や振替納税のとりやめ依頼がない限り、翌年以降も自動的に指定口座から所得税が引き落とされます。

預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書

利用できる金融機関
振替納税制度が利用できる金融機関は、ゆうちょ銀行を含む全国の銀行、信用金庫、労働金庫、信用組合、農協および漁協です。振替納税には普通預金、当座預金、納税準備預金、通常貯金等が利用できますが、定期預金や貯蓄預金等では利用できません。また、インターネット専用銀行など一部の金融機関、インターネット支店では利用できない場合があるので注意しましょう。

利用する際の注意点
振替納税では領収書は発行されません。また、引越しなどによって所轄納税地が変更となる場合は、変更後の税務署に新たに振替依頼書を提出するか、変更前の税務署に「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を提出する必要があります。

確定申告の納税に電子納税を利用する

電子納税とはe-Taxを使って納付する方法で、「ダイレクト納付」「インターネットバンキング(登録方式)」「インターネットバンキング(入力方式)」3通りの方法があります。それぞれどのような方法か見ていきましょう。

ダイレクト納付

ダイレクト納付とは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)による操作で、届出をした預貯金口座からの振替で納税する方法です。ダイレクト納付を利用するには、事前にe-Taxの利用開始手続きを行ったうえで、納税する約1か月前までに、「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書

利用方法

  • 1.
    e-Taxで確定申告を行います。
  • 2.
    メッセージボックスに送付された「納付区分番号通知」を確認し、「今すぐに納付される方」または「納付日を指定される方」のいずれかを選択します。
  • 3.
    画面の指示に従って入力します。
  • 4.
    口座引き落としで納税が完了します。
  • 5.
    手続きが終わると「ダイレクト納付完了通知」がメッセージボックスに送付されます。

利用する際の注意点
納税にあたって領収書は発行されません。また、ダイレクト納付で引き落としに利用できる預貯金口座は、納税者本人名義の口座のみです。届け出たダイレクト納付口座を変更したい場合は、とりやめを希望する預貯金口座を記載した「国税ダイレクト方式電子納税解約届出書」と、新たに利用する預貯金口座を記載した「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を、それぞれ提出する必要があります。変更手続き完了までには1か月程度かかります。

インターネットバンキング

インターネットバンキングとは、金融機関のインターネットバンキングやATMなどで税金を納付する方法です。e-Taxに納付情報を事前登録する「登録方式」と、登録しない「入力方式」がありますが、いずれもPay-easy(ペイジー)での納付が可能です。

登録方式の利用方法

  • 1.
    納付情報データ(納付情報登録依頼)を作成し、e-Taxに送信して事前に登録します。
  • 2.
    「納付区分番号通知」から納付区分番号等を確認します。
  • 3.
    金融機関のインターネットバンキングにログインし、納付手続きを行います。

入力方式の利用方法

  • 1.
    納税者自身で納付目的コードを作成します。
  • 2.
    ATM等の画面に利用者識別番号や納付金額などを入力し、納付手続きを行います。

利用する際の注意点
インターネットバンキングで利用できる預貯金口座は、納税者本人名義のものに限られます。Pay-easy(ペイジー)に対応していない金融機関もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。利用可能な金融機関は、Pay-easyのWebサイトにある「利用できる金融機関 新規タブで開く」から確認できます。

また、インターネットバンキングによる納付では、領収書は発行されません。どうしても領収書が必要な場合は、税務署の窓口や金融機関で納税手続きをしてください。

確定申告の納税にクレジットカードを利用する

所得税をクレジットカードで納税するには、「国税クレジットカードお支払サイト 新規タブで開く」からの手続きが必要です。税務署の窓口などでカードが使えるというわけではありませんのでご注意ください。

クレジットカード納付の場合、実際の引き落とし日は期限後になる可能性がありますが、納付手続は期限内に行う必要があります。実際の支払いはカード会社ごとの引き落とし日なので、実質、後払いとなります。

利用方法

  • 1.
    確定申告書、クレジットカードを準備します。
  • 2.
    「国税クレジットカードお支払サイト」へアクセスします。
  • 3.
    納付する税金の税目(所得税)、金額などを入力します。
  • 4.
    クレジットカード情報を入力します。
  • 5.
    手続き完了です。

利用する際の注意点
クレジットカード納付では、納付する金額に応じて決済手数料がかかります。ただし、カード会社によってはポイント還元などの特典を受けられることもあります。

また、領収証は発行されないので、決済画面を印刷するなどしておきましょう。どうしても領収書が必要な場合は、金融機関または税務署の窓口で納付手続きを行ってください。

確定申告の納税にコンビニ納付を利用する

確定申告の納税にはコンビニ納付も利用できます。コンビニ納付は、QRコードを利用して、コンビニエンスストアの店頭で税金を納付する方法です。

利用方法
確定申告書等作成コーナーやコンビニ納付用QRコード作成専用画面から、納付に必要な情報をQRコードとして作成(印刷)し、対応可能なコンビニエンスストアに持っていきます。コンビニエンスストア店頭の端末にQRコードを読み取らせて納付書を出力し、その納付書を使ってレジで税金を納付します。

利用できるコンビニエンスストア
利用可能なコンビニエンスストアは、ローソン・ナチュラルローソン・ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)と、ファミリーマート(「マルチコピー機」端末設置店舗のみ)です。

利用する際の注意点
コンビニ納付が利用できるのは、納税額が30万円以下の場合です。コンビニ窓口で納付するときに使えるのは現金のみで、クレジットカードや電子マネーは利用できません。

また、払込金受領証は発行されるものの、領収書の発行はありません。領収書が必要な場合は、金融機関または所轄の税務署の窓口で納付してください。なお、金融機関や税務署ではQRコードによる納付はできません。

  • QRコードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

確定申告の納税を金融機関や税務署の窓口で行う

所得税は、金融機関や税務署の窓口で納税することも可能です。窓口で納付する場合には、納付書が必要です。なお、金融機関等の窓口に納付書の在庫がない場合は、税務署で入手してください。

利用方法
納付書に、確定申告で申告した所得税の金額を記載して、金融機関や税務署の窓口に持って行き納付します。納付書に正しい所得税の金額を記入するため、申告書か申告書の控えを持っていきましょう。

利用する際の注意点
窓口での納付で利用できるのは現金のみです。クレジットカードや電子マネーは使えません。また、他の納付方法とは異なり、窓口納付では領収書が発行されます。納税にあたって領収書が必要な場合は、金融機関や税務署の窓口での納付がおすすめです。

所得税の猶予・延納制度

所得税には納付期限がありますが、事情によって期限までの納税が難しいことがあるかもしれません。そのような場合には、猶予制度や延納制度があります。

猶予制度

納税をすることで事業の継続や生活が困難になる場合や、災害被害など特定の事情がある場合などは、税務署に申請することで納税が猶予されます。猶予期間は最大1年間で、必要に応じて分割での納付も可能です。

なお、税務署に申請して猶予制度を利用する場合でも延滞税がかかりますが、事前に税務署に申請することで延滞税は軽減されます。

延納制度

期日までに所得税を納付することが難しいとあらかじめわかっている場合は、確定申告書に記載することで延納制度を利用できます。延納制度とは、納付期限までに納付額の半分以上の金額を納付すれば、残りの金額の納付期日を延長できる制度です。延納期間中は、年「7.3%」と「特例基準割合」のいずれか低い割合で利子税がかかります。

延納制度を利用する方法
延納制度を利用したい場合は、確定申告書第一表の「延納の届出」欄の「申告期限までに納付する金額(64)」と「延納届出額(65)」に、それぞれ希望の金額を記載します。

確定申告書第一表

期限までに納付できなかった場合には延滞税がかかる

期日までに所得税を納付しなかった場合は、原則として、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。延納などの手続きをしても延滞税はかかりますが、手続きをせずに延滞した場合に比べて、延滞税は軽減されます。

延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて税率が変わり、最高税率は14.6%です。確定申告はしたものの、預貯金口座の残高不足などで振替ができなかったという場合でも延滞税が発生するので注意が必要です。この場合は、納付額と延滞税を合算した金額を納付しなければなりません。

なお、青色申告の場合、申告期限を過ぎると、延滞税がかかるだけではなく、65万円または55万円の青色申告特別控除は受けられず、控除額は10万円になります。確定申告の期限を守らないとデメリットが大きいため、忘れずに確定申告するようにしましょう。

期限内の納付のためにもスムースな確定申告を

所得税の確定申告では、振替納税やクレジットカード納付を除いて申告期限と納付期限が同じです。また、クレジットカード納付も、納付手続き自体は期限内に行わなければなりません。きちんと期限内に納税手続きを済ませるためにも、余裕を持って確定申告を進めることが大切です。

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確定申告書類を自動作成。e-Tax対応で最大65万円の青色申告特別控除もスムースに

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よくあるご質問

確定申告で追加(追徴)納税が課されるのはなぜですか?

確定申告で追徴課税が課されるのは、本来、納税するべき金額よりも少なく申告したり、期限までに納税をしなかったなどで起こりえます。本来、納めるべき税金に加えて、延滞税や加算税といった付帯税を納める必要もあります。追徴課税は経費にはなりません、追徴課税の対象にならないためにも、確定申告は正確かつ期限内に行うようにしましょう。

確定申告で計算した税金はいつまでに納税すればいいんですか?

所得税の確定申告書の提出および納税の期限は、原則として毎年3月15日です。2月16日から3月15日の期間に確定申告書の提出だけでなく、納税も行う必要があります。振替納税の場合は、申告期限から約1か月程度後に口座引き落としになります。クレジットカード納付は、カード引落日が納税する日です。資金繰りに余裕が持てますね。ただし、残高不足で引落しできなかった場合は、法定納期限の翌日から延滞税がかかることになりますので、残高に注意しましょう。確定申告の期間については以下の記事で詳しく解説しているため、確定申告に不安を感じている方はぜひ参考にしてみてください。

確定申告の期間についてはこちら

確定申告の納税方法でおすすめはありますか?

確定申告の納税方法は、キャッシュレス決済や後払いがオススメです。e-Taxをした流れでダイレクト納付。振替納税は後払いなので、資金繰りに余裕が持てます。納税方法としては、主に以下のようなものがあります。

  • ダイレクト納付(e-Tax)
  • 振替納税
  • コンビニ納付
  • クレジットカード納付
  • Pay払い(〇〇Pay)
  • 窓口納付

昨今ではさまざまな納税方法があるため、ご自分に合うものを選んで納税することをおすすめします。

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
「知りたい!」を最優先に、一緒に問題点を紐解き未来に向けた会計をご提案。

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