スモールビジネス(個人事業主、中小企業、起業家)の
業務や経営にまつわる疑問や課題をみんなで解決していく場
検索
メニュー
閉じる
ホーム 確定申告 白色申告から青色申告にしてよかった?メリットや続けるコツを青色1年生が先輩と話した

白色申告から青色申告にしてよかった?メリットや続けるコツを青色1年生が先輩と話した

これまで確定申告を何度かしていても、「青色申告」はなんだかハードルが高いように感じられて、よくわからないまま「白色申告」を続けている方も結構多いのではないでしょうか?

しかし、「青色申告にしてよかった!」というケースやメリットは多いはず。さらに、青色申告にも段階のようなものがあって、白色申告とあまり変わらない方法もあるのだとか。

そこで今回は、起業からずっと白色申告で、初めて青色申告に切り替えた青色申告一年生と、青色申告を何年か続けてきた先輩が、青色申告に変えた理由や、青色申告を継続するコツなどをあれこれ話し合ってみました!

最大65万円の特別控除に赤字の繰越……メリットが多いから青色申告にしました

矢郷

矢郷:はじめまして。ライターの矢郷と申します。私はフリーランスになった当初の2014年分から白色申告をしてきて、青色申告は2017年分からするようになりました。青色申告に切り替えたきっかけは『スモビバ!』さんのお仕事で確定申告について調べたり、税理士の先生のお話を聞いたりして、控除額が増えるなど、青色申告はお得になることが多いと知ったからです。

本日の対談相手の石川さんは2020年分の確定申告から青色申告に切り替えるということですが、まずは自己紹介とお仕事内容についてお聞かせください。

石川

石川:こんにちは。石川と申します。フリーランスの栄養士として働いています。肩書きは「パーソナル栄養士」という形で、個人のお客様に対し、ファスティングと食事指導を活用したダイエットのサポートをしています。それ以外には、Webメディアの記事執筆や、企業様でのセミナーなども行っています。

僕は2020年分の確定申告から青色申告10万円控除に切り替えるつもりで、現在、集計作業などを行っています。起業してからずっと白色申告でした。青色申告に切り替えたきっかけは、前回の確定申告期に『スモビバ!』さんの「白色で確定申告してるけど、今のままでいいの?【青色と白色で迷うフリーランス本音座談会】」という確定申告に関する座談会に参加したことですね。「白色申告と青色申告10万円控除にはそれほど差がない」という話を税理士の渋田先生からお聞きし、「じゃあ次は10万円控除で青色申告をしてみよう!」となりました。

矢郷

矢郷:『スモビバ!』さんとの出会いがなかったら、二人ともずっと白色申告のままだったかもしれませんね(笑)。フリーランスになられて、白色申告は何年くらいされてきたんですか?

石川

石川:もう6年くらい白色申告をしてきたんですが、独立した当初は、悪い先輩から「確定申告は適当でいいよ」などと聞いていたものですから、よくわからないまま結構あやふやな申告していたと思います……(苦笑)。

矢郷

矢郷:石川さんは座談会に出る前から、青色申告というもの自体は知っていましたか?

石川

石川:はい。知ってはいましたが、「なんだか面倒くさそう。大変そう。」という印象しかなかったですね。個人事業主ならいつかはやらないといけないのかな~、と思いつつ、青色申告について調べたりはしていなかったです。

矢郷

矢郷:座談会の参加で「白色申告と青色申告10万円控除にはそれほど差がない」という気づきのほかに、何がきっかけで切り替えましたか?

石川

石川:やっぱり青色申告は「65万円控除」=「難しい帳簿」というイメージしかなくて、それ以上調べもしなかったんです。でも渋田先生の話を聞いて「青色申告10万円控除は、帳簿は簡易でいい」と知り、それがきっかけで切り替えることにしました。

矢郷

矢郷:青色申告って65万円控除=「複式簿記」しか聞かないからひるみますよね。青色申告では帳簿の付け方によって、「10万円控除」か「55万円控除」かを選択できて、55万円控除ならさらにe -Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存をすれば、最大の「65万円控除」が受けられるんですよね。10万円控除は、簡易帳簿でいいので、白色申告から切り替えのハードルは低くなりますね。

石川

石川:そうなんです。10万円でも控除ができるなら、青色申告に切り替えない選択肢はないと。

矢郷

矢郷:私にとっても、青色申告には特別控除があって、控除額が大きいというのは圧倒的によかったなと思うところです。ライターは経費にできるものがそれほど多くないので、なかなか節税ができないな……と白色のときは感じていたので、課税される所得金額から特別控除額を差し引けるのは大きいですよね。

taxreturn02_1_2020.png

石川

石川:それから、10万円控除でも青色申告の特典が受けられるのも切り替えの理由になりましたね。例えば、30万円未満のものなら、一括でその事業年分の経費にできたり、赤字が出ても3年間繰り越せて翌年以降の黒字と相殺できるところがいいなと感じました。

矢郷

矢郷:確かに、赤字でも節税につながるのは青色申告のメリットですよね。あと白色のときは、業務の割合が50%超か、明確に業務用とプライベート用が区分されている家事関連費しか経費にできないと聞いていて。なかなか当てはまらず経費計上できなかったのですが、青色にしたら、事業の利用分が50%以下でも実態に即した割合で計上できるようになったことも、助かるな~と思っています。

石川

石川:そうなんですか!白色と青色で、細かいところでもいろいろ違いがあるんですね。

白色から青色に切り替えてとまどったのは「期首残高」

矢郷

矢郷:白色から青色に切り替えて戸惑ったことや、意外だったこと、大変だったことなどはありますか?

石川

石川:青色申告の敷居が思いのほか低かったことは意外でしたね。「10万円控除なら青色申告でも、提出する用紙が変わるだけで作業はほぼ白色申告と一緒」と聞き、やってみたら、本当に作業がそんなに変わらなかったので、そのまま白色申告をする感覚で進められました。

収支内訳書

▲白色申告の収支内訳書

所得税青色申告決算書

▲青色申告決算書1枚目

矢郷

矢郷:10万円控除のほうだと、白色から青色でもスムーズに切り替えられてるというのは、青色申告にするのに抵抗がある人にはうれしい情報かもしれません。私が最初に65万円控除に切り替えたときは、現金や通帳のお金の動きを全部記帳しないといけなくなったのが大変でしたし、戸惑いましたね。

石川

石川:僕もKADOKAWAさんから出ている書籍「個人事業主・フリーランスのための青色申告」で、青色申告の複式簿記が必要な段階(65万円控除もしくは55万円控除)は期首に持っている現金残高などの設定が必要だというのを知って、事業のお金と個人のお金を、白色のときよりきっちり分けていかないといけないんだなというのは感じました。仕訳に悩むものなどもありますから、事業用の新しいクレジットカードを一枚作ろうかな、と思いましたよ。

矢郷

矢郷:青色に切り替えた当初は、期首残高の設定が必要だとか知らなくて、切り替えるときにざっくりとでも確認しておけばよかったな、と今となっては思います。

青色申告承認申請書は確定申告提出のタイミングで!

所得税の青色申告承認申請書

矢郷

矢郷:青色申告を始めるときの青色申告承認申請書は、いつ、どのように提出されましたか?

石川

石川:座談会の後、2019年分の確定申告のタイミングで、一緒に承認申請書も提出しました。そういえば今回は10万円控除ですが、もし65万円控除にしたいときは、また提出し直さないといけないんですかね……?

編集担当

編集担当:横から失礼します(キリッ)。青色申告承認申請書の出し直しの必要はないですよ。65万円控除にしたいときは、必要な書類と帳簿をちゃんと揃えるなど、要件を満たして申告すればOKです…と以前の記事で税理士さんが言っていました。

石川

石川:そうなんですね!よかったです。

編集担当

編集担当:逆のパターンもありますね。青色申告承認申請書で簿記方式を「複式簿記」を選択して提出したけれど、「貸借対照表が作れなかった」「期日に間に合わない」など、65万控除(もしくは55万円控除)ができる要件を満たさなかった場合、10万円控除で提出できます。

矢郷

矢郷:青色申告承認申請書を出しているなら、青色申告の特別控除額は、10万円控除・55万円控除、65万円控除どれでも申告ができるということですね。

青色申告に切り替えたら、集計や整理をこまめ&早めにするという変化が

矢郷

矢郷:石川さんは、白色申告のときとあまり変わらずに作業ができているということですが、それでも青色申告に切り替えるということで、違う工夫や対処はされましたか?

石川

石川:確定申告の前段階の準備のようなことは、以前よりもこまめにやるようになりました。年明けの確定申告シーズンにまとめて作業をして追い込まれることがないように、四半期に一回ぐらいのペースで、レシートをスマホで撮ってデータを取り込むようになりましたね。

矢郷

矢郷:領収書やレシートの集計や整理を一気にまとめてやるのは、嫌になるくらい大変ですもんね……。石川さんのお仕事だと、ダイエット用の食品などを販売したりもされているんですか?

石川

石川:はい。物販も行っていて、領収書の枚数がかなり多くなるときもあるんです。なので、青色申告に変えたことを機に、集計や整理をこまめ&早めにするようになりました。

矢郷

矢郷:私も青色申告に変えたときは、作業時間が白色よりかかりそうだなと思っていたので、対処法として、いつもより少し早く集計作業などを始めた記憶があります。

石川

石川:『スモビバ!』さんを見るようになって、自分の確定申告の準備がちょっとずつ早くなっていきましたね。確定申告について日頃から意識するようになるので。

矢郷

矢郷:ほかに石川さんが青色申告をするようになって、行動や意識、心がけなどで変わったことがあれば教えてください。

石川

石川:白色申告のときも、収入は毎月集計していたのですが、支出はそこまで細かく確認していませんでした。でも青色申告にしてからは経費を細かく見るようになって。支出にも意識を向けることが大事だな、と思うようになりました。

矢郷

矢郷:なるほど。経営意識の部分で変化があったんですね。私も領収書やレシートは月ごと、科目ごとに分けて保管するようになりましたし、何がどのくらい経費になるのか、ならないのかなど、昔より意識するようになった気はします。青色申告に変えてから、ふるさと納税もするようになりました。

石川

石川:青色申告にしたことで、不要な経費などを意識するようになったのがよかったな、と感じますね。

矢郷

矢郷:私の場合、確定申告とか税金、給付金関連のニュースも以前よりはチェックするようになりましたね。青色申告だと、そういった事柄が自分の事業や収支にダイレクトに関わってくるんだな、ということがわかるので。

会計ソフトがあるから青色申告を続けられている!?

矢郷

矢郷:石川さんはまさに今、初めての青色申告のための作業の真っ最中だそうですが、率直な感想はいかがでしょうか。思ったより簡単ですか?

石川

石川:10万円控除であれば、青色申告でも本当に簡単というか、白色申告をするのと何も変わらないんだなあという印象で、特に違いや難しさを感じることなく進められています。

矢郷

矢郷:私が青色申告に変えたときは、通帳の内容をすべて帳簿につけるのを知らなかったので面倒でしたが、会計ソフトと解説本やサイトのおかげで、「作業自体が難しくて、わけがわからない」という状態は避けられました。

石川

石川:以前は国税庁のホームページで、ひとつずつ数字を入力して書類を作っていましたが、会計ソフトのほうが画面が見やすくて、作業もしやすいですよね。

矢郷

矢郷:青色申告とうまくつき合う工夫として、会計ソフト・申告ソフトの存在は外せないですね~。「やよいの青色申告 オンライン」があるから65万円控除できているのかもしれません。

石川

石川:僕も本を読んだり、税理士YouTuberさんの解説動画などを見たりしながら、会計ソフトへの入力作業を進めています。あと、「やよいの青色申告 オンライン」は収入や支出を簡単にグラフ化してくれるじゃないですか。そのおかげで、長期的な目線での戦略などを考えやすくなったというのも感じています。

矢郷

矢郷:会計ソフトは、いつから使われているんですか?

石川

石川:青色申告にしてからです。それまでExcelで集計をしていたのですが、「効率的にするために、会計ソフトを使うほうがいいかな?」と考えていて。そんなときに座談会のお話をいただいて、ソフトの導入を決めました。運命を感じたので、もちろん弥生さんのクラウド申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」にしましたよ(笑)。

矢郷

矢郷:青色申告だけでなく、会計ソフトの導入についても、座談会がいいきっかけになったんですね!実際に使ってみての感想は?

石川

石川:便利ですが、オンライン上での操作がうまくできないこともあるので、早く慣れたいですね。

矢郷

矢郷:銀行口座やクレジットカードの明細を、会計ソフトと連携して自動で取り込む機能などは使っていますか?

石川

石川:事業用の収支とプライベート用の収支が全部取り込まれてしまうので、それを整理するのが面倒で、結局まだ使っていません。青色申告10万円控除は、単式簿記(簡易簿記)だから現金や預金などの情報は必要じゃないですからね。でも、連携機能をうまく使いこなせるようになったらもっと便利なんだろうなーとは思いますよ。

矢郷

矢郷:会計ソフトが取り込んでくれた内容を見ると、「こういうふうに仕訳をすればいいんだな」と勉強になりますよ~。それに、私は最初、自分で1件ずつ日付や金額を会計ソフトに入力していました。売上や経費の入力もれや金額が間違っているなど、手入力だとミスが起こりやすいと気づき、会計ソフトの自動連携機能を使うようになりましたね~。

石川

石川:やっぱり機械に取り込んでもらうほうが、抜けや漏れ、ミスは少なそうですよね。

サービスの連携

▲「やよいの青色申告 オンライン」なら、事業用の口座やクレジットカードと連携させることで、自動で入出金情報を取得してくれる。

矢郷

矢郷:あと、昔は「この経費、どの科目で処理したらいいんだろう?」と悩むものが多かったんですが、自分でわかりやすい科目を作っていいと聞き、それを使うことで、仕訳にかかる時間は減らせました!

石川

石川:会議費か接待交際費か、広告宣伝費か販売促進費か……など、区別がよくわからない科目って多いですよね。会計ソフトが示してくれる科目を参考にしつつ、それでも悩んだらオリジナルの科目にしようかな。

矢郷

矢郷:なんの知識もなかった私でも、会計ソフトを使ったり、本で調べたりすれば複式簿記もなんとかできたので、きっと石川さんもそのうちコツをつかんでいくと思いますよ。私はやっぱり青色申告するだけで節税につながるのがうれしいですし、ソフトを使うと仕事やお金の動きが把握しやすくなったのもありがたいので、そういったメリットのおかげで青色申告を続けられています。

石川

石川:やよいの青色申告 オンライン」を使っていると、入力しただけで自動で複式簿記にしてくれたり、青色申告に必要な書類も自動でできてそのままe-Taxで送ったりできるみたいなので、きちんと現金・預金の動きなども把握するようになれば、55万円控除や65万円控除もできるようになるんじゃないかなと。わからないこともYouTubeの解説動画などでも、好きなときに勉強ができますしね。

矢郷

矢郷:複式簿記について手軽に勉強できる環境が整っているということですね。ズバリ石川さんも今後、55万円控除や65万円控除はできそうですかね!?

石川

石川:きっとできるんじゃないでしょうか!弥生さんの会計ソフトさえあれば怖いものはない!と感じていますから。

まとめ

矢郷

矢郷:今回はたくさんお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、白色申告をしていた過去の自分にメッセージをお願いします!

石川

石川:「10万円控除なら白色申告と作業や提出する内容もほとんど変わらないから、とにかく早く青色申告に変えたほうがいいよ!」という一言に尽きます(笑)。

矢郷

矢郷:白色申告とほぼ同じ作業で、節税につながりますからね(笑)。私も最初は複式簿記に怯えていましたけど、「とりあえずやってみればなんとかなる部分も多いので、もっと気軽に始めてみよう~!でも、会計ソフトは使うんだよ!」と言いたいです!

「難しそう」「面倒くさそう」というイメージが先行しがちな青色申告。しかし、白色申告も簡易な帳簿づけが義務化されており、青色申告の10万円の特別控除なら単式簿記でOKなので、実質的な作業内容は白色申告とあまり変化がないようです。

個人事業主やフリーランスで白色申告をしている人、起業・開業を考えているけど、「青色申告はハードル高そう」と思っている人は、まずは青色申告の10万円控除からチャレンジして、慣れてから55万円控除や65万円控除にステップアップしてみるのはいかがでしょうか?

photo:Getty Images

c_bnr_fltblue_online-2
閉じる
ページの先頭へ