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個人事業主?法人?あなたに合った起業の種類と必要な手続き

起業を決意したものの、どのような形で起業しようか決めかねている人も多くいらっしゃいます。社会的信用や知名度、税金、手続きなど、いろいろな検討事項があって、何をベースに考えればよいのか分からない人も多いでしょう。今回は、そんな人のために、個人・法人の手続き面の違いや起業アイデア、資金調達の種類などについて解説します。

お知らせ

※2022年(令和4年)度の雇用保険は、2段階更新です。詳細は、「【2022年度の雇用保険は2段階更新!】労働保険とは?制度と年度更新について解説」を参照ください。

POINT
  • 個人事業主は、法人のように登記手続きや定款認証手続きがないため、費用や手間の面で開業が楽である
  • オフィスを選ぶ際には、そもそもオフィスが必要か、占有のオフィスが必要かなどを検討して決める
  • 起業した場合、自分で経理を行うのであれば、最低限会計ソフトは導入すべきである

起業にはどんな種類がある?必要な手続きは?

起業には、大きく分けて個人事業主と法人の2つの形態があります。どちらを選択すべきかは、どのようなビジネスを行うのか(信用の観点)ということや、どのくらい稼ぐのか(税金の観点)など検討事項がさまざまです。

今回は、両者で開業時にどのような手続きが必要かという点で、説明します。

個人事業主

個人事業主の開業は非常に簡単です。開業してから、管轄の税務署に開業届を提出するだけです。同時に青色申告承認申請書を提出しておくと経理業務をしっかりと行うことで、最大65万円の特別控除などさまざまな節税効果があります。登記などの特別な手続きもありませんし、費用もかかりません。開業日についても、売上が初めて立った日、初めて営業に行った日など人によってどの日を開業日とするかはさまざまです。とりあえず自分が開業したと思ったときが開業日です。

法人

法人には次のような種類があります。

・株式会社

起業するときに最も多く選択されるのが、株式会社の形態です。株式会社の設立には定款認証と法務局への登記申請の2つの手続きが必要です。

・合同会社

会社形態で行いたいけど、できるだけ設立の費用は抑えたいという場合は合同会社を選択するケースが多いです。登録免許税が株式会社に比べて安かったり、公証役場での定款認証が不要だったりと、設立にかかる費用は半分以下に抑えられます。書類を揃えて法務局に提出するだけなので、定款認証が必要な株式会社に比べて、短期間で設立が可能です。

政府統計によれば、2019年の株式会社の設立件数はおよそ87,000社、合同会社の設立件数はおよそ30,000社と、その比率はおよそ3:1です。2013年にはおよそ5.5:1といった比率でしたので、年々合同会社での設立比率や認知度は高まってきています。

株式会社との違いは、費用以外にもいろいろあります。まず社長の登記上の肩書は、代表取締役ではなく代表社員となります。名刺に「○○合同会社 代表取締役」などと書かないように注意しましょう。ほかには株主総会がないから意思決定のスピードが速いなどと紹介されることもありますが、このあたりは一人で会社を作る場合にはまったく関係ない話です。

法律上の違いはいろいろありますが、起業家にとって最も大きな違いは知名度でしょう。かなり設立件数が伸びてきているとはいえ、いまだに株式会社に比べれば知名度の観点で一段下に見られることもあるようです。BtoBなど社名が前面に出るビジネスであれば、株式会社を選択したほうが営業上有利に働くこともあります。逆に飲食店など店名が前面に出て、社名は二の次という場合は、合同会社を選択してもよいかもしれません。

・社団法人

社団法人というのは、何かしらの活動を行う場合に、法人格があったほうがよい、という場合に設立されることが多い法人形態です。例えば、とある文化を日本に広めるために、検定制度を独自に作ろうという場合に、社団法人を設立して制度を運用するというケースが考えられます。営利を目的とする場合でも可能です。

起業という観点では、第三者から見て、会社よりも公益的なイメージを持たせたい(先ほどの例でいえば、検定制度で儲けているように見られたくない)といった形で一般社団法人の形態を選択することも数多くあります。「一般社団法人」という名称に、儲けは二の次というイメージを内包しているということでしょうか。

設立の手続きは定款認証や法務局での登記手続きを含めて、基本的に株式会社と同じです。資本金という概念がないので、法務局に提出する書類が株式会社に比べて、やや少なくなります。

・財団法人

財団法人というのは、主に財産を社会のために運用するための法人です。例えば、多くの絵のコレクションを持つ富豪が、財団法人を作って絵を寄贈して、美術館として万人が見られるようにする、といった形です。設立には会社以上にさまざまな要件がありますが、いずれにしても、起業という面からはあまり関係のない法人形態です。

・NPO法人

NPOとは、NonProfit Organizationの略、つまり非営利ということです。非営利といっても、まったくお金を稼いでいけないというわけではありませんが、少なくとも、その活動のメインは公益的なもの(特定非営利活動)でなければなりません。

また設立には10人以上のメンバー(社員)を集める必要があるなど、設立手続きもかなり面倒です。社会的問題をビジネスの力以外で解決したい、などの志がある場合に検討するとよいでしょう。

起業アイデアの種類

起業を志すからには、まずはどのようなビジネスをやりたいかという構想も持っているはずです。しかし、中にはぼんやりと起業してみたいけど、どのようなビジネスをやればよいのかということが分からない、といった相談もまれに受けることがあります。

起業のアイデアは仕事をやっていく中で感じる不便さを解決したいという思いから生まれることもあれば、町を歩いていたり何かを読んだりしているときにふと思いつくこともあるかもしれません。いずれにしても、成功するためには、さまざまな試行錯誤が必要です。運がよかったという人も、その裏にはさまざまな経験があるものです。

こうして生み出される起業アイデアですが、代表的な起業の業種としては以下のようなものがあります。

  • 小売系……雑貨、衣料品、お惣菜など
  • 飲食系……居酒屋、バー、レストランなど
  • 情報通信系……ソフトウェア開発、広告制作など
  • サービス系……講師業、コンサルタントなど

さらに、これらのモノやサービスについて、店舗やオフィスを構えて売るのか、ECサイトなどのインターネットで売るのか、といったことでさらに細分化されます。以前は対面でないと売れないと思われていたものも、新型コロナウイルスを契機に、非対面でも提供されるようになりました(オンラインセミナーの浸透など)。今後は、業種とともに提供形態もしっかりと考えていく必要があります。

在宅やフランチャイズなど、どこでどう起業する?

次にどこでどのように起業するか見ていきましょう。

オフィスを借りて起業

新型コロナウイルスを契機に、オフィスを構えるということ自体見なおされていますが、それでも仕事によってはオフィスが必要です。起業家が特にオフィスが必要という理由としては、来客や許認可を取得する関係もあれば、創立メンバー同士の対面でのコミュニケーションのためということがあります。

ただし、起業すれば必ずオフィスを借りなければいけないというわけではありません。オフィスを借りる以外にも、以下のように自宅やコワーキングスペースで起業するなどの方法があります。

自宅で起業

ビジネスによっては自宅で起業するのも一つの手です。例えば手作りのアクセサリーをネットで販売するといったビジネスなどであれば自宅でも起業できるでしょう。

最初に、本当にオフィスを持つ必要があるのかということをよく考えて、自宅でもできそうであれば自宅から始めてみるのがコスト面でもよいでしょう。家では仕事に集中できなさそうということで、別のワンルームを借りてみたけど、結局コストもかかるので、自宅での仕事に切り替えたという人もいます。

また仕事の場所を選ばないノマドワークも、自宅を拠点にしつつ、カフェなどでも仕事をするということで、広い意味では自宅起業といえるでしょう。

一つ注意点として、法人の場合は登記を行う際に登記場所を決める必要があります。そのまま自宅を登記できれば良いですが、賃貸などで登記が禁止されているようなケースでは、バーチャルオフィスを借りるなどして本店として登記できる住所を確保する必要があります。

コワーキングスペースで起業

コワーキングスペースでの起業もあります。以前は、初期投資は抑えたいということでコワーキングスペースを選択する起業家が多くいました。最近はそれ以外にも、業種を絞ったコワーキングスペースが生まれるなど、ビジネスの提携や協業による新規ビジネスの創出を目指してコワーキングスペースを利用するケースも増えてきました。

海外で起業

日本にオフィスを持たず、海外にいながら日本で仕事をすることも、ネットが発達した今難しいことではありません。海外にいながら、日本のサイト記事のライターをすることもできます。また、海外で買い付けた商品を日本に輸入して販売するといったことも、国内の発送代行の会社を活用するなどして行えるようになってきています。

地方で起業

仕事をする場所を選ばなくなってきている今、地方にいながら都市圏とオンラインでミーティングすることも可能です。地元に戻って起業したり、移住先で起業したりということも、選択肢の一つとして注目されています。さまざまな地方自治体が、起業した人向けに助成を行っているので、地方で起業を考える際はこのような助成制度も併せてチェックしておくとよいでしょう。

フランチャイズ

フランチャイズも、一つの起業の形です。フランチャイズといえば、コンビニや飲食店が思い浮かびますが、これ以外にもさまざまなものがあります。ただし、一口にフランチャイズといってもかかる初期費用も違えば、フランチャイザーによるビジネスを行う上で認める自由度や毎月の加盟料も違います。

フランチャイズの形態で起業する動機については人それぞれですが、いずれにしてもまずは本部のビジネスモデルありきで、そこに多少自分のアレンジを加えることになります。同じ企業経営でも、自分でやりたいビジネスを立ち上げる起業とは一線を画します。

資金調達の種類はどんなものがある?

資金調達の種類はさまざまです。代表的なものをいくつか見ていきましょう。

金融機関からの融資

起業家にとって、最も初めに検討するのが金融機関からの融資です。自己資金を除けば、ほかの資金調達方法に比べて、最も確実性が高いため、資金調達といえば、まず融資からということになります。

政府系の金融機関である日本政策金融公庫を始め、多くの金融機関で創業時の融資を行っています。ただし、審査があるため、申し込みさえすれば融資してもらえるというものではありません。また、一度審査に落ちてしまうと、その金融機関での創業融資の再申し込みはできないと思ったほうがよいでしょう。

心配であれば、税理士や中小企業診断士など融資サポートを行っている専門家の力を借りるのも一つの手です。

クラウドファンディング

最近、よく話に聞くようになったのがクラウドファンディングです。起業におけるクラウドファンディングは、やりたいビジネスをサイト上でプレゼンして、そのビジネスに賛同してくれた人に、ビジネス開始後の商品やサービスを提供するという形態(購入型)が主流です。

購入型クラウドファンディングは、商品やサービスが共感を呼べば、多くの資金を集めることが可能です。その代わり、対価を提供するコストが発生します。ビジネスを立ち上げるまでの資金需要を満たすための手段であるとともに、話題になればサービス開始前のよい宣伝にもなりますし、それがさらに多額の資金を集めるための材料になるという好循環も生み出せます。

購入型のほかにも、寄付の形でお金を受け取る寄付型や、複数のお金の出し手から資金を集めて投資をしてもらう投資型という形態もあります。

国や自治体の補助金

国や自治体の補助金も資金を確保するための一つの助けになります。補助金には審査がありますので、確実に受給できるわけではありませんが、応募自体に料金がかかるわけではないので、応募のチャンスがあればチャレンジしてみてもよいでしょう。

ベンチャーキャピタルからの投資

ベンチャーキャピタルは、ビジネスの将来性や上場可能性などをもとに多額の資金を株式と引き換えに投資してくれるものです。起業当初はあまり縁がないかもしれませんが、将来性がある企業であれば投資を受けることができます。もちろん投資を受けるまでにはさまざまな審査があります。

同じように、投資したい企業を目利きして、私財でお金を出してくれる個人投資家もいます。こうした人はエンジェル投資家と呼ばれます。個人のお金を出してくるので、ベンチャーキャピタルよりも小口の投資も受けることができます。起業家にとっては、ベンチャーキャピタルよりも、エンジェル投資家のほうが関わることが多いかもしれません。

いずれにしても、よほど親密で純粋に応援してくれるエンジェル投資家でもなければ、自社の株主として、投資に対する配当や、株の値上がり益といった見返りを期待しています。それだけ自社の業績を見る目も厳しくなります。この点が、お金を返済していく借り入れとは大きく異なる点です。

起業に便利なツール・会計ソフト

起業した後は、売上を上げることに目が行き、経理などのいわゆるバックオフィス業務は後回しになりがちです。

税理士や社会保険労務士などの専門家に業務委託することもできますが、もし自分で行うなら、最低限会計ソフトは導入しましょう。法人の場合は「弥生会計 オンライン」などの会計ソフトには銀行口座との連携など、経理業務を効率化するためのさまざまな機能が備わっています。

また、個人であれば確定申告をe-Taxで行うためにも、マイナンバーカードはぜひ取得しておきましょう。

やよいの青色申告 オンライン」などの申告ソフトは、e-Taxに対応していますし、マイナンバーカードがあれば、確定申告を自宅から行えますし、郵送や窓口に持参する手間が省けますので、時間や費用の節約になります。いまだに通知カード(※)のままという人は、早めにマイナンバーカードの交付申請を行うことをオススメします。

ほかにも、飲食店や店舗であればタブレット形式のレジシステムなど、以前に比べて安価で便利なツールがいろいろあります。

特に起業当初は、広告宣伝や業務管理系のツールなど、いろいろなツールについて営業の連絡が来ることがあります。どんなツールの導入にも費用がかかります。どのようなツールが必要なのかということを見定めることも重要です。

(※)通知カードは、2020年5月25日をもって新規発行は廃止されました。

まとめ

個人事業主か法人かということは、起業する際の重要な岐路です。今回説明したこと以外にも、税金面など両者にはさまざまな違いがあります。どちらの形態で起業するか、迷ったら税理士などの専門家にアドバイスしてもらうなどして、納得の起業形態を選びましょう。

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