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フリーランスや個人事業主が事業のリスクに備えて入っておくべき保険は?

ビジネスを続ける上で必ず存在するさまざまな「リスク」。そのようなリスクに備え、フリーランスや個人事業主はどのような保険に入っておくべきなのでしょうか。

POINT
  • 健康リスクに備えるために国民健康保険、生命保険、国民年金保険などがある
  • 事業上のリスクに備える火災保険や地震保険、業種によっても店舗総合保険などがある
  • 保険の加入は、節税にもつながる

フリーランス・個人事業主が病気や怪我に備える保険

個人事業主やフリーランスが事業を行っていく上で、健康リスクを補うための保険について解説します。

国民健康保険

国民健康保険は、「公的医療保険」のひとつです。国民は「健康保険」「共済組合」「船員保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」のうちいずれかの公的医療保険に加入する義務があり、フリーランスの場合は「国民健康保険」となります。国民健康保険を運営しているのは市区町村で、保険証を作成する場合などには管轄の役所に出向く必要があります。

なお、企業の従業員である場合には「健康保険(=社会保険)」となりますが、会社員からフリーランスになった場合には健康保険から国民健康保険に切り替えるほか、「健康保険を任意継続する」といった方法もあります。

国民健康保険をさらに細かく分類すると、市区町村による「地域医療保険」と、業種ごとで組織されている「国民健康保険組合(国保組合)」があります。場合によっては保険料が安く済むこともあり、検討する価値があるでしょう。

たとえば、そのひとつである「文芸美術国民健康保険組合」は、文芸、美術、著作活動に従事している人とその家族が加入できる国保組合です。ご自身の活動に合わせて国保を探してみてください。世帯をお持ちの方は地域医療保険より保険料が高くなることもありますので、必ず試算してみましょう。

生命保険

死亡保険、医療保険・疾病保険(がん保険などを含む)、介護保険、生存保険(学資保険、養老保険、個人年金保険)など、万が一の時に備えて加入する保険全般を「生命保険」と言います。「生命保険」とありますが、死亡の時に備える「死亡保険」に限ったものではないため、ご注意ください。

生命保険には実にさまざまなものがあり、「個人事業主にはこの保険がよい」と一概に言えるものではありません。生命保険選びに職業が重要な要素になることもありますが、「がんになる人が多い家系であれば、遺伝的にがん罹患リスクが高いため、がん保険に入ったほうがよい」といった考え方も大切です。個々のリスクに合わせて選ぶようにしましょう。

火事や地震に備える保険

火災や地震などによる損害は個人では対応しきれない規模になる可能性もあります。ここでは、災害に備える保険についてご説明します。

火災保険

火災保険はいわゆる「火災」による損害だけでなく、落雷、爆発、風や雹、雪などによる損害、水漏れ、水害、建物への衝突事故、騒擾(じょう/集団による騒ぎ)、盗難といった、実に広い範囲の損害をカバーするものです。ただし、「建物のみか、家具も含めるか」といった、「補償の対象」については保険商品によって異なるため、自分自身で必要なものを考えて加入する必要があります。

地震保険

地震保険は、民間の保険会社と政府が共同で運営する保険です。大規模な地震が発生し、民間の保険会社だけでは対応できない場合に備え、そのような体制となっています。

どの保険会社であっても補償内容や保険料に差がありません。火災保険とセットでの加入が必要であるため、火災保険の補償内容で保険会社を選ぶことになるでしょう。地震保険は、所得税の確定申告時に「地震保険料控除」を受けることができます。

損害賠償や倒産などに備える保険

損害賠償や事業の倒産などに備える保険についてご説明します。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は取引先が倒産した影響により企業や個人事業主が倒産するのを防ぐための制度です。無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借り入れ可能となります。上限は8,000万円です。

個人事業主の場合、掛金を「経費」とすることができるため、節税効果もあります。解約する際には所得として課税対象となってしまうため、タイミングを見計らう必要があります。

小規模企業共済

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主が、廃業後・退職後のために資金を積み立てることができる退職金制度です。掛金月額は1,000円~7万円(500円単位)で変更でき、掛け止め(一時的に支払いを止めること)も可能です。

また、掛金の全額が所得控除の対象となります。貸し付けを受けられるというメリットもあります。

中小企業退職金共済

小規模企業共済が小規模企業の経営者や役員、個人事業主を対象にしているのに対し、その「従業員」を対象としているのが中小企業退職金共済です。基本的には従業員全員の加入が必要です。期間限定となりますが(加入後4ヶ月目から1年間)国からの助成を受けることもできます。

損害賠償保険

業務中の事故に関し、損害賠償を求められた際の備えとなるのが損害賠償保険です。保険会社によってさまざまな商品や特約があります。

「業種によって入っておいたほうがいい保険」の「飲食業」部分でご説明する「生産物賠償責任補償」は損害賠償保険のひとつです。テナントで火事を起こして損害賠償を求められるような場合を考えるのなら「借家人賠償責任補償」、店内でお客様に怪我をさせてしまった場合は「施設賠償責任補償」となります。

個人情報漏洩保険

個人情報漏洩保険は、取引先や顧客などの個人情報を漏洩し、損害賠償を請求されるケースなどに備えての保険です。事業者側のミスによる情報漏洩のほか、不正アクセスや車上荒らしなどの犯罪に巻き込まれた場合による損害も補償されます。細かな補償内容は保険会社によって異なりますので、注意してください。

所得減のリスクに備えるフリーランスのための保険

「怪我や病気をして働けなくなり、所得が減ったら」という、より身近なリスクに備えるための保険があります。この章では、フリーランス向けの所得補償がある保険をご紹介します。

フリーランス向けの所得補償がある保険

・フリーランス協会による「フリーランスの保険」
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 フリーランスの保険
身体障害、財物損壊、情報漏えい、納品物の瑕疵など、個人で事業を進める上で考えられるさまざまなリスクに備えるための保険です。オプションとして「所得補償制度」に加入すると、怪我や病気などで働けなくなった場合の所得を補う保険金を受け取ることが可能です。

・GMOクリエイターズネットワーク株式会社による「フリーナンス」
フリーナンス
基本的な補償に「あんしん補償プラス」という所得補償をつけることができます。「受け取りたい月額」を自分で設定し、それにより支払う保険料が決定されます。非常に安い掛金で最長1年間の補償を受けることが可能です。

生命保険会社の保険

生命保険会社にも、個人事業者向けの所得補償には次のようなものがあります。

アクサダイレクト生命 就業不能保険について

太陽生命ダイレクト 就業不能重点プラン

フコク生命 はたらくささえプラス
※複合型保険「未来のとびら」に含まれるプランです

ただし、「完全にフリーランスを対象とした補償」に比べると、割高になる点には注意が必要です。

なお、既に加入している生命保険などがある場合には、そのオプションとして加入することで保険料が抑えられる場合もあります。新たな保険会社の補償を検討する前に、既存の保険の確認や見直しをおすすめします。

フリーランスや個人事業主が老後に備える保険

フリーランスや個人事業主が老後、収入が減るなどした場合に備える保険についてご説明します。

国民年金保険

国民年金保険は「基礎年金」とも呼ばれる年金制度のベースとなるものです。20歳以上から60歳までの国民に加入が義務付けられています。

「サラリーマンをやめてこれから加入する」という方は、一度「日本年金機構」の「国民年金に加入するための手続き」に目を通しておきましょう。手続き(書類の提出期限)は「退職日の翌日から14日以内」となっており、注意が必要です。

付加年金

付加年金は、国民年金保険に「上乗せ」して保険料を納め、将来に受け取る年金の額を増やすことができる制度です。毎年受け取る「老齢基礎年金」の額に、「200円×納付した月数分」の給付金が上乗せされます。ただし、次に説明する「国民年金基金」に加入する場合、この制度を利用することはできません。

国民年金基金

国民年金基金も付加年金のように国民年金に保険料を上乗せできるものですが、対象者が「自営業者」である点が異なります。

自営業者・フリーランスは給与所得者に比べて受け取る金額が少なくなってしまうため、その補助になるものとして考え出された制度なのです。掛金全額が所得控除の対象になる点なども含め、自営業者やフリーランスにとって有益な制度と言えるでしょう。

ただし、自己都合で辞めることができない、国民年金のように物価スライド(物価の変動に応じての支給額調整)がないなどのデメリットもあるため、注意が必要です。

詳しくは国民年金基金のサイトをご確認ください。

個人年金保険

個人年金保険は、保険会社が商品として提供する保険で、個人が任意で加入するものです。保険料を積み立て、一定の年齢になると年金として受け取る「貯蓄型保険」です。

個人年金保険も生命保険料控除の対象となるため節税に有利です。さらに「税制適格特約」を付加すると、「個人年金保険料控除」として生命保険料とは別に計算され、生命保険料が控除額上限に達していても控除額を増やすことができます。

iDeCo(イデコ)

iDeCo(イデコ)は、自分自身で掛金の額を設定(月額5,000円以上)、運用する年金のことです。別名では「個人型確定拠出年金」と呼ばれています。メリットは、掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となること、運用中の売買益は非課税であることなどです。

デメリットとしては、掛金の変更が年1回しか認められないこと、60歳になるまでは解約ができないこと、投資信託となるため毎月の手数料(信託報酬)がかかることなどが挙げられます。ある程度自由に資金を動かせる方にはおすすめです。

業種によって入っておいたほうがいい保険

業種によって入っておいたほうがいい保険について見ていきましょう。火災保険・地震保険についてはどの業種についても入っておいた方がよいと言えるものですが、そのほかに追加したほうがよいという保険については業種によって異なります。その一部をご紹介します。

小売店

小売業については、各保険会社が用意している「店舗総合保険」がおすすめです。業務上の事故、利用している設備の事故、販売している商品の事故、店舗で利用している建物に関する事故など、さまざまなリスクが考えられるため、総合保険のようにできるだけ広い範囲を補償してくれるものがよいでしょう。

固有のリスクについては、個別の保険に入る、特約を付けるなどして補償を厚くしていきます。

飲食業

飲食業についても店舗総合保険がおすすめですが、特に注目すべきは「生産物賠償責任補償」です。生産物賠償責任補償は、店舗で販売した飲食物が原因で食中毒や特定感染症などが発生した場合、お客様に対しての賠償責任を負うことに対しての補償となります。

食中毒・特定感染症利益担保特約、食中毒・特定感染症利益補償特約などの名称でも確認してみましょう。

車を使う仕事

業種は関係なく、仕事で自動車を使う場合には、「使用目的」を「業務」とする自動車保険に加入しましょう。

自家用車を仕事に使うようになった場合にも、契約内容変更の手続きが必要です。万が一この手続きを行わずに業務中に事故を起こしてしまうと、保険金を受け取れない可能性が大きくなります。

事故を起こさないとしても、「告知義務違反」や「通知義務違反」となります。必ず保険会社に連絡し、業務中の事故も補償するプランに変更しましょう。

まとめ

保険はお金に余裕があれば加入するもの……と考えてしまうかもしれませんが、本来は「お金がないからこそ加入するもの」です。

個人では抱えきれない損害のリスクがつきまとうなか、安心してビジネスを行うためにも、よく考えて加入するようにしましょう。補償は多ければ多いほどよいといったものではなく、保険料の無駄を発生させないことも重要です。

また、保険はリスクに対する補償だけでなく、「節税」にもつながるものもあります。経費にできる保険については、「個人事業主の保険 経費にできるものとできないもの」をご一読ください。

photo:Getty Images

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