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Uber Eats(ウーバーイーツ)配達員、確定申告は必要?経費や帳簿付けについても解説!

監修者 : 齋藤一生(税理士)

こんにちは!2018年からUber Eatsの配達パートナーやっています、パゴと申します。配達回数は累計1000回を超えました。

コロナ禍で初めてUber配達員になったり、副業として挑戦したりした人も多かったのではないでしょうか。

こちらの記事ではUber Eatsの確定申告に必要な情報を税理士事務所センチュリーパートナーズ 税理士の齋藤一生先生ご監修のもと、紹介していきます。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 副業か専業(事業所得)で確定申告が必要な年間所得が異なる。専業の場合は、青色申告がおすすめ
  • 経費をしっかり計上すれば節税になる
  • 仕訳や経費の管理には会計ソフトを活用すればラク

Uber Eats(ウーバーイーツ)は確定申告が必要?

まず、Uber Eats配達員はUber Eatsに直接雇われているわけではなく、Uber Eatsから業務委託を受ける、個人事業主となります。

そのため、Uber Eatsで配達パートナーをやっている方は、次のいずれかに当てはまれば所得税の確定申告が必要です。

副業の場合→年間所得が20万円超
専業の場合→年間所得が48万円超 (2020年(令和2年分)より38万円から48万円に改正されました。)

(※税理士注)所得税の確定申告が不要な方でも、利益が1円でもあれば、住民税の申告書の提出は必要です。お住いの市区町村へ確認しましょう。又、副業の年間所得が20万円以下であっても、医療費控除などの申告をしたい方は税務署へUber Eatsの所得を申告しなくてはなりません。

所得とは「売上-経費」のことです。つまり、配達アプリに出てくる「売上」の金額から、配達に必要な費用(自転車のレンタル代等)を引いた金額が所得になります。青色申告特別控除がある場合には、青色申告特別控除も引いた後の金額を所得とします。

所得税の確定申告をしない場合には延滞税や無申告加算税など、余計に納税をしなければならないので、かならず確定申告をしましょう。

Uber Eatsで稼ぎすぎると扶養から外れる?

合計所得が年間で48万円を超える場合は扶養から外れてしまいます。学生さんなどで親の扶養に入っている場合は、注意をしておきましょう。

103万円の壁との違い

扶養から外れないために、103万円の壁というのを聞いたことがあるかもしれません。
しかし103万円の壁というのはアルバイトなどの、給与所得の場合です。Uber Eatsは事業所得、または雑所得となり、給与所得とは別物です。

UberEatsの確定申告時の売上項目と仕訳例

確定申告は、「青色申告書」を期限内に提出して「複式簿記」で記帳をし、貸借対照表及び損益計算書も記入することにより、「青色申告特別控除」という最大55万円の控除が受けられます(複式簿記に関しては、複式簿記による記帳を行うことで損益や財産債務の状況を税務署が把握しやすくなるため、奨励しているとお考えください)。

さらにe-Taxなど申告要件を満たせば、最大65万円控除の適用も可能です。ですのでUber Eatsの「売上」の計上について、実際に配達した週と支払われたときの複式簿記での仕訳例を、具体例を示しつつ見てみましょう(金額は税込です)。

(例1)クレカ払いのみの場合
現金案件をうけず、クレカ案件のみの場合は簡単です。配達アプリ内にある週の売上明細画面の、「売り上げ」の金額を記帳しましょう。

・配達した週の「売り上げ」が10,000円の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
売掛金 10,000 売上 10,000

・支払われた日の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 10,000 売掛金 10,000

(例2)クレカ払いと現金払いがあり、売上が受け取った現金より多い場合
現金払いを受け、日曜日(Uber Eatsの締め日)の時点で売上が受け取った現金より多い場合の仕訳です。(PayPayやLINE Payなどの二次元バーコード決済はクレジットカード払いと同様に扱います。)

配達アプリ内にある週の売上明細画面の、「売り上げ」、「受け取った現金」、「週ごとの残高」の金額を記帳しましょう。

・配達した週の「売り上げ」が10,000円、「受け取った現金」が3,000円(※配達アプリの画面では-3,000円と表示)、「週ごとの残高」が7,000円の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 3,000 売上 10,000
売掛金 7,000

・支払われた日の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 7,000 売掛金 7,000

(例3)クレカ払いと現金払いがあり、売上が受け取った金額より少ない場合
現金払いを受け、日曜日(Uber Eatsの締め日)の時点で売上が受け取った現金より少ない場合の仕訳です。(PayPayやLINE Payなどの二次元バーコード決済ははクレジットカード払いと同様に扱います。)

配達アプリ内にある週の売上明細画面の、「売り上げ」「受け取った現金」「回収額」「週ごとの残高」の金額を記帳しましょう。

「回収額」は未払金、「週ごとの残高」がプラスの場合は売掛金、「週ごとの残高」がマイナスの場合は預り金とします。

・配達した週の「売り上げ」が10,000円、「受け取った現金」が15,000円(※配達アプリの画面では-15,000円と表示)、「回収額」が2,000円、「週ごとの残高」が3,000円(※配達アプリの画面では-3,000円と表示)の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 15,000 売上 10,000
未払金 2,000(※1)
預り金 3,000(※2)

(※1)配達アプリ上での記載が回収額の金額。通知がありクレカにて支払った金額。
(※2)配達アプリ上での記載が週ごと残高の金額。回収したままの現金。

・翌週の売上と相殺された日

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
預り金 3,000 売上 3,000

・クレカの指定口座から引き落とされた日

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未払金 2,000 普通預金 2,000

預り金や未払金は日にちが結構空いてからの処理になりますので、処理漏れのないに注意しましょう。

ちなみにUber Eatsの配送料は細かく見ると『基本料金-サービス手数料+インセンティブ(※ブースト、クエスト、オンライン時間インセンティブ)』となっていたり、日またぎのクエストがあったり、招待後のキャッシュバックがあったり、ヒートマップがあったり・・・etc。

どう仕訳すればいいのか迷っちゃう項目があるかと思いますが、すべて「売り上げ」として計上されているので、その金額だけ記帳すれば大丈夫です。ただし、Uber Eatsへの手数料を差し引く前の金額を売上として仕訳しましょう。その上で、手数料は支払手数料として経費に計上します。

さらに、毎日集計されてるから毎日記帳しなければいけないというわけでもなく、週ごとに締めて「売り上げ」が確定するので、週ごとに記帳すれば問題ないそうです。


ブースト……該当エリアで配達した場合、報酬アップのシステム。
クエスト……決まった期間内の配達回数に応じてボーナスが出るというシステム。
オンライン時間インセンティブ……特定の時間帯で、配送料の金額が一定額に満たなかった場合に差額が支払われるシステム。

UberEatsの確定申告時の経費項目と仕訳例

続いて、「経費」の計上についてお話しします。所得は「売上-経費」なので、経費をしっかり計上すれば節税にもなります(税理士注:青色申告特別控除がある場合はその特別控除を差し引いた金額を所得とします)

しかし、「真夏の飲料水」「冬の防寒着」「自宅待機中の家賃」など、経費にできるか判断に困るものも多いと思います。

経費かどうかの判断基準は、『その費用が売上につながるのか?』です。「売上につながる費用です!」と胸を張って説明できるか、を考えるとわかりやすいかもしれません。以下に経費にできる項目の一例をあげていますが、もし判断に迷ったら税理士事務所や税務署などに相談してみましょう。

家事按分について知っておこう

家事按分について説明します。プライベートでも使うものは、かかった経費を全額計上するのではなく、使用する割合に応じた金額を計上する必要があります。

例えばスマートフォンの通信費が10,000円で、プライベートでの利用が7割、Uber Eatsでの利用が3割だった場合、3,000円を通信費として経費にすることができます。使用時間や使用日数などから出し、以下のように計上しましょう。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 3,000 普通預金 10,000
事業主貸 7,000

自転車やバイク関連費の仕訳例

自転車やバイク関連費の仕訳例について見ていきましょう。僕は次のように計上しています。前述したように、プライベートでの利用がある場合は按分した金額を記帳しましょう。

(例)自転車のレンタル費用、シェアサイクル費用

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
賃借料 2,000 現金 2,000

レンタサイクルなどにはUber Eats専用のプランなどもあります。レンタサイクルの目的が100%でUber Eatsのためであるなら、100%を経費にできます。プライベートで利用した分を計上しないよう注意しましょう。

(例)安全のために購入したバイクのヘルメットやライトなど

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 3,000 現金 3,000

使用日数などで按分しましょう。

(例)自転車の修理代やガソリン代

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 1,000 現金 1,000

走行距離や時間などで按分しましょう。修理代は「修繕費」で計上します。

(例)駐輪場代

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
地代家賃 5,000 普通預金 5,000

配達時に有料駐輪場を利用しなければならない場合は全額経費にしましょう。
月極の駐輪場の場合は按分しましょう。

(例)車両保険

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
車両費 1,000 普通預金 1,000

(例)バイクや自転車の購入費
・購入日の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
車両運搬具 210,000 現金 210,000

・期末(個人事業主は12月31日)の減価償却の仕訳

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 70,000 車両運搬具 70,000

減価償却とは:10万円を超えるものは資産となり、数年かけて経費として計上していきます。ただ、10万円以上30万円未満であり、かつ、青色申告をするなら期末に下記の仕訳のように一括で償却することも可能です。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
減価償却費 210,000 車両運搬具 210,000

スマートフォン代や関連費用の仕訳例

スマートフォン代や関連費用は、僕は次のように計上しています。

(例)スマートフォン、スマートフォンホルダーやモバイルバッテリーなど関連用品の購入費

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 50,000 現金 50,000

10万円未満のスマートフォンや関連商品は按分して消耗品費で計上します。

(例)通信費用

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
通信費 3,000 普通預金 3,000

モバイルルーターなど利用している場合は按分して計上しましょう

その他の費用の仕訳例

他にも、次のようなものを経費として計上しています。

(例)配達エリアまでの交通費

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
旅費交通費 1,000 現金 1,000

Uber Eats配達エリア外からエリア内までの移動費、レンタサイクルのポートまでの移動費などは計上します。

(例)日焼け止めやレイングッズ、配達用バッグや配達時専用の服やシューズなど

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 1,000 現金 1,000

プライベートでも利用する場合には按分します。

冬場に使う防寒服を購入し、それを配達専用とするのであれば、それは全額経費とすることができます。プライベートでも使う場合には按分するという考え方ができますが、服に関して税務署は「本当はプライベートばかりなのではないか」と疑うことがあるそうですので、なるべく配達専用とした方が安全でしょう。

自宅待機をしたり、自宅でUber Eatsの会計処理などを行う場合には、自宅を仕事で使っていると考えることもできますが、その時間が短いことを考えると、自宅家賃を経費計上した場合には税務署がかなり厳しく見る可能性があります。計上するとしても実際の使用スペースや使用時間を考慮して、非常に少なめに計上した方が無難かもしれませんね。なお、まったく使わない場合は、計上できません。

また、配達中の飲食代は税務署に否認される可能性が高いでしょう。ただし、夏場の水分補給の飲料代となると、認められる可能性が十分にあると思います。Uber Eats仲間との情報交換会などでかかった飲食費は経費として計上しても差し支えないでしょう。

交通違反をしてしまった場合の罰金に関しては経費にできないので注意しましょう。

必要経費になるものとならないものについては、国税庁の「No.2210 やさしい必要経費の知識」が参考になります。

Uber Eatsの確定申告時に活用できる控除

続いて、「所得控除」について見ていきます。控除とは、課税の対象となる所得から一定の金額を差し引くことです。つまり、控除額が多いほど、払うべき税金が安くなります。

一般的な所得控除といえば基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などです。

このほか、税額控除と呼ばれる節税効果の強い控除として住宅ローン控除などがあります。

加えて、下記の条件を満たせば、青色申告特別控除という55万円の控除を受けることもできます。(下記に加え、電子帳簿保存もしくは、e-Taxでの電子申告をすれば、青色申告特別控除は最大65万円控除の適用ができます。)

  • 青色申告で複式簿記による記帳をしている
  • 青色申告承認申請書を期限内に提出をしている
  • 貸借対照表及び損益計算書を作成している
  • 期限内に申告をしている
  • Uber Eatsの所得が雑所得ではなく事業所得である

条件は多いですが、青色申告特別控除を受けられれば大きな節税効果を得られますので、ぜひうけたいところですね。

とはいえUber Eatsを副業でやっている場合は、「事業規模じゃないなら雑所得でしょ」とか、「継続的に収入が見込まれるなら事業収入でしょ」など、雑所得か事業所得かの判断が難しいようなので、税理士事務所や税務署などに相談してみましょう。

会計ソフトを使おう

確定申告は大変ですが、会計ソフトを活用することで、かなり楽にできるようになります。私自身、Uber Eatsを始める前までは確定申告をやったことがなく、難しそうと思っていましたが、会計ソフトを使ったことでなんとか自分で確定申告をすることができました。

また、経費などの管理も会計ソフトを利用すると便利です。経費はレシートなどを保管して、月1ぐらいで整理しておくと確定申告の時期に慌てずに済みます。

さらに会計ソフトと、自身の口座やクレジットカードを連携させれば、自動で仕訳などもしてくれます。Uber Eatsの売上や経費の計上などは面倒なので、会計ソフトを活用しましょう。まだ会計ソフトを使っていない方は検討してみてください。

こちらの記事がUber Eatsの確定申告で困られている方のためになっていれば幸いです。それでは。

photo:Getty Images

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