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めざせ青色申告65万円控除マスター ~vs仕訳の謎!〜

こんにちは、ライターの弥富と申します。確定申告のことなど何もわからずに勢いでフリーランスになってしまった、フリーランス3年目の編集ライターです。

ハードルの高さから一度は心が折れかけた青色申告ですが、最大65万円の青色申告特別控除の甘い誘惑に勝つことができず、自作Excel帳簿という力技で65万円の特別控除を過去2回クリアしてきました。(1回目は2ヶ月分だけど)

ただ、税務署に突っ込まれたらどうなるんだろうという不安もあり、自己流ではなく、そろそろ勘定科目や複式簿記のこともしっかりと理解して青色申告したい……。

そんなとき、クラウド申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」で、2020年分から要件が変わったという青色申告65万円控除にチャレンジをするという企画が舞い込んできたのです!

第1話でマイナンバーカードの申請を済ませ、第2話で「やよいの青色申告 オンライン」で1年間の取引入力を始めました。ゴールまでの道のりがある程度整理されたので、僕はもう2020年分の青色申告をクリアできた気になっていました。

しかし……実際に進める上では「未払金」や「売掛金」、「事業主貸」といった勘定科目の使い方で迷うところも。

そこで今回は税理士の宮原先生の助言を仰ぎつつ、特に仕訳のお悩みポイントを解決していきます。

クレカ支払いはどう処理する?「未払金」科目の使い方

毎年最も悩むのがクレジットカード支払いの帳簿付け。あれって、取引が発生した日にちと、実際にお金が引き落とされる日が異なりますよね……。

青色申告を行うために必要な「複式簿記」の考え方には「発生主義」というモノがあるらしく、クレジットカードを使って何かを買ったタイミングで記帳しなければなりません。

そしてクレジットカードの支払いは「未払金」の項目を使って処理するべきらしい。でもそれって一体どういうこと……?

そこでまず、税理士の宮原先生に「未払金」の使い方について質問してみました。

税理士の宮原裕一先生

スモビバ!でおなじみ、税理士の宮原裕一先生。弥生認定インストラクター。「宮原裕一税理士事務所」弥生会計を10年以上使い倒し、経理業務を効率化して経営に役立てるノウハウを確立。弥生会計に精通した税理士として、自身が運営する情報サイト「弥生マイスター」は全国の弥生ユーザーから好評を博している。

先生、よろしくお願いします!

宮原裕一先生

宮原:勘定科目「未払金」の使い方ですが、最初におさえておいてほしいことがあります。

まず、発生タイミングと引き落としのタイミングが違う取引を扱う際は「買掛金」や「未払金」といった項目を使用します。

「買掛金」とは、例えば商品や材料、外注工賃など、売上に直結している費用を掛け取引した際に使う科目。そしてそれ以外の一般的な経費では「未払金」を使います。

……なるほど。だからクレジットカードでの経費は基本的に「未払金」科目を使うので間違いはないんですね……。よし、これからは、せっせと処理するぞ!……と気持ちを新たにしていたら、なんと驚愕の事実が……。

「やよいの青色申告 オンライン」では「クレジットカード」で登録した取引は、自動的に「未払金」として処理を行ってくれるんだとか。え、ちょ、どういうこと!?

実際の取引入力を例にみていきましょう。

……過ぎ去りし2020年の10月25日。僕は新宿若松河田のタリーズで仕事をし、その際のコーヒー代をクレジットカードで支払いました。

これを複式簿記で記帳すると、次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
会議費 462 未払金 462 タリーズ新宿若松河田

うん、借方とか貸方とかよくわからないですね!

複式簿記とは「取引の二面性に着目して記帳するやり方」らしく、まとめると「こっちの借りは誰かの貸し」みたいなことなんですかね。

それにしても頭がこんがらがります……。

しかし、「やよいの青色申告 オンライン」では次のように入力すればいいんです。

やよいの青色申告 オンライン 入力画面

クリックすると大きく表示されます。

めっちゃシンプル!!

つまり、発生日に関しては現金での取引と同じように、まず勘定科目(「会議費」など)を入力する。そして肝心なのが「取引手段」で、ここで「クレジットカード」を選択することで、自動的に「未払金」扱いとなって処理をしてくれるんです。

また、「摘要」は取引の内容を後で自分がすぐに思い出せるようにメモしておく欄です。

「やよいの青色申告 オンライン」とクレジットカードを連携していれば、カードの利用明細で表示される店名などが自動で入力されます。

これが「複式簿記のことを知らなくても青色申告ができる」ゆえんなのですね……! なるほど、スゴい。

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事業主貸、事業主借って?それって消耗品なの?

そして、僕にはさらに疑問に思っていたことが……。それは、事業用のクレジットカードから生活用の支払いをした場合。これってどうすればいいんだ?

一応僕は事業用と生活用の口座・カードを分けているのですが、ときどき事業用のカードで個人の何かを買ってしまう場合があったのです。

例えば2020年2月21日、ZOZOTOWNで服を買っていました。便利すぎて夜寝る前とかに衝動的にポチってしまうんですよね。へへっ(〃▽〃)

この場合、科目としては「事業主貸」を使えばいいそうなのですが……よくわからないので宮原先生に聞いてみました!

宮原裕一先生

宮原:「事業主貸(じぎょうぬしかし)」は、事業用口座から個人用のお金を引き出したとき等に使う項目です。

一方、個人用口座で事業用の経費を支払ったとき等に使う項目が「事業主借(じぎょうぬしかり)」です。事業に関係ないもの、という意味で「事業主貸」「事業主借」は使えるので、個人事業主の記帳にはよく登場します。ある意味『便利屋』の科目でもありますね。

複式簿記で帳簿を付けるとこんな感じです。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
事業主貸 11,310 未払金 11,310 ZOZOTOWN

これを「やよいの青色申告 オンライン」のかんたん取引入力で入力すると……。次のようにすればOK。複式簿記がわからなくても、かんたん!

やよいの青色申告 オンライン 入力画面

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振替先の項目に「事業主貸」を入力し、振替元として間違いなく「クレジットカード」を選択しておけばよいだけです。

しかも、クレジットカード連携済なおかげで自動的に仕訳で取り込んでくれているので、実際の作業としては「事業主貸」をクリックするだけ。カード明細を見てひとつひとつ入力、なんてことも必要ありません。

さて、これでクレカ支払いの発生日の処理は問題なさそうです!

続いて引き落とし日の入力をしましょう。もしや、一件一件引き落とし額を入力しなければいけないのでは……?と恐れていたのですが、その必要はないそうです。次のように入力すれば大丈夫。

やよいの青色申告 オンライン 入力画面

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これも預金口座を連携しているので、作業はほぼゼロ。注意するポイントとしては、「振替先」で事業用クレジットカードを選択するくらいでしょうか。

複式簿記上は、次のような記帳が必要ですが、ややこしいことを考えなくてもいいんですね。

借方科目 金額 貸方科目 金額 摘要
未払金 64,363 普通預金 64,363 クレジットカードの引き落とし

いやあ、楽ちんです。これで発生日と引き落とし日が違うクレカ払いの入力を攻略できました!

もうひとつ、発生日とお金が動く日が違う科目として「売上」があります。

発生日は納品したタイミングや取引先に検収いただいたタイミングで、実際の入金は、請求後、その1ヶ月後の月末といった場合が多いですよね。

その際は勘定科目として「売掛金」を使います。考え方はクレカ支払いのときと同じなので、これも忘れずに入力しておきましょう。

2020年分の確定申告の注意点とは

2020年はコロナの影響で、事業運営上にイレギュラーな事態が発生した方も多いと思います。例えば僕は、以前は業務委託先のオフィスに週2、3日出社していたのが全くのゼロになり、すべて自宅作業になりました。

そうすると気になってくるのが家賃などの家事按分です。

家事按分とは、自宅で仕事をしている場合に、家賃や電気代、インターネット代などの一部を事業用の経費として処理する仕訳のこと。

これは一体どのように考えればよいのでしょうか? 宮原先生に聞いてみましょう。

宮原裕一先生

宮原:按分の考えで主なものとして、使用量もしくは使用時間で計算する方法があります。

例えば地代家賃の科目では、全体の床面積に比べ、事業で使用する分の床面積の割合を計算し、それをもとに家賃を分割する。あるいは月に100時間を自宅作業で使うとして、そこから割合を出す、といった方法ですね。

では、コロナで自宅の使用時間が増えた分、家事按分の割合を増やすことは可能なのでしょうか。

宮原裕一先生

宮原:使用時間が増えたなど、合理的な理由であれば増やすことは問題ありません。

2020年は、1月から3月は、自宅での作業が週3日、委託先での作業が2日だったものが、コロナ禍となり、4月から12月はほぼ在宅で週5日業務となった場合、3月までと4月からを分けて割合を変更しても構わないわけです。

ただ、基本的に税務では、計算方法を変更すれば3年程度はそのやり方を継続するのが一般的です。なので特別な事情もないのに月や年によってコロコロと計算方法を変更するのは良くないですね。

わかりました……!では、増えた分を合理的に計算して按分を行いましょう。

「やよいの青色申告 オンライン」では、家事按分の割合は、確定申告書を作成する際にまとめて一括で入力できます。つまり、各月の家賃や水道光熱費等は100%の金額で入力しておき、按分の割合を入力すれば経費分だけを計算してくれるということ。

これも便利ですね〜〜。

2020年分の家賃のように月ごとに割合が異なる場合は、その月ごとに入力しておくこともできます。入力するタイミングは青色申告決算書を作るとき。「確定申告」のボタンを押し、「Step2 青色申告決算書の作成」の中の「家事按分」項目で設定できます。

やよいの青色申告 オンライン 入力画面

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もうひとつ、コロナ関連の「給付金」での注意点を宮原先生に聞きました。

基準日時点で住民基本台帳に記録されている人全員に10万円が配られた「特別定額給付金」や、前年同月比で50%以上売上が減った事業者を対象とした「持続化給付金」など、2020年は給付金が多く発生しました。では、それらはどう申告で処理すべきなのでしょうか?

宮原裕一先生

宮原:原則として、お金をもらった場合はすべて収入となります。ただ、その中で非課税対象のものは法律で定めることによって例外とする決まりです。

まず、事業とは関係なく対象者に10万円が配られた「特別定額給付金」ですが、国税庁のコロナ関連Q&Aにも出ているとおり、これは非課税対象です。なので、記帳も申告の必要もないですね。

ただし、事業用の口座に入金された場合には、借方は普通預金、貸方は事業主借といった形で仕訳処理が必要ですよ。

一方で、事業に関連した持続化給付金や、家賃支援などの支援金は事業所得の収入になります。計上方法は売上ではなく雑収入です。借方は普通預金、貸方は雑収入で仕訳することになるでしょう。

消費税はかからないので課税事業者の場合、消費税の区分を対象外にすることを忘れずに。

(例)事業に関連する給付金が10万円預金口座に振り込まれた場合

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 100,000 雑収入 100,000

なるほど、特別定額給付金は非課税で申告不要、事業用口座なら事業主借…、ここにも事業主借が!そして、持続化給付金は所得税の課税対象なんですね……。

次回はいよいよe-Tax!

ずっと曖昧にしていた疑問やもやもや、税務署に突っ込まれたらどうしようと不安だった部分も宮原先生のおかげですっきり解消!おかげさまでどんどん取引の入力を進めていくことができました! 宮原先生、ありがとうございます!

そして「やよいの青色申告 オンライン」……慣れていくとどんどん入力スピードも速くなる上、科目を学習してくれるので効率も上がった……!めっちゃありがとう……!

取引の入力は始めるまでが心が重くて大変ですが、一度始めるとけっこう楽しいところもあったりします。

入力するたびに「あのときはあそこのカフェで仕事してたな……」とか「あの取材の前はめちゃめちゃ緊張してたな……」など、1年間の仕事を振り返られる。そして、また翌年も頑張ろうと思えます。

……そういう振り返りもできるなんて、確定申告ってなんか尊い作業じゃないですか……?

今回は「やよいの青色申告 オンライン」のおかげで、気持ちに余裕が生まれたからか、そんな悟りにまで到達しました。

さて、次はいよいよe-Taxで青色申告書を提出! これができれば、2020年分の青色申告でも晴れて65万円控除を獲得できます。

次回記事では申告にあたっての最終チェックポイントや申告書の作成方法、気になる控除についても確認します。

宮原先生撮影:沼田学

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