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法人設立ワンストップサービスとは?申請できる手続きから注意点まで

会社を設立していよいよ営業開始、となる前に経営者の頭を悩ませるのが、各種の手続きです。税金や社会保険、労働保険など会社設立の登記が終わった後も、会社が行うべき手続きはたくさんあります。こうした手続きをスムーズに行えるように作られたのが、「法人設立ワンストップサービス」です。今回は、このサービスの内容について見ていきましょう。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 法人設立ワンストップサービスを使えば、各役所に個別に届け出をすることなく、一括して書類を提出することが可能である
  • 法人設立ワンストップサービスを利用するには、写真付きのマイナンバーカードが必要である
  • 法人設立ワンストップサービスを利用するなら、届け出をすることで、どのような効力が発生するのかということをしっかりと理解しておくことが重要である

法人設立ワンストップサービスで、各手続きを一括して提出することが可能に

会社をはじめ、法人を設立するためには、さまざまな手続きが必要です。会社設立といえば、登記手続きが真っ先に思い浮かぶ人が多いかもしれません。

しかし、登記が終わった後にもいろいろと手続きが必要となります。具体的には、以下のようなものになります。

手続きの種類 提出先
法人設立届出書の提出 など 税務署
法人設立・設置届出書の提出 など 都道府県・市町村
健康保険・厚生年金保険の加入手続き 年金事務所
労働保険(労災保険)への加入手続き 労働基準監督署
雇用保険への加入手続き ハローワーク

これらの手続きには、いくつか煩雑なポイントもあります。例えば、社名や会社の本店住所、代表者など共通の情報なのに、手続きごとに同じ内容を記入したり、登記事項証明書をそれぞれの手続きで添付したりといったことです。

これまでは、それぞれの書類をそれぞれの提出先に提出するということが必要でした。

しかし2020年1月から、これらの手続きを一括して行うことができるようになりました。それが「法人設立ワンストップサービス」です。

2020年1月のサービス開始時点では、法人設立の登記申請自体は対象外で、個別に法務局で手続きしなければいけませんので、実際には「法人設立後の手続き」ワンストップサービスです。

サービスの名前だけ見ていると、法人設立も含まれているように思えてしまいますが、登記申請が終わったことを前提に利用できるサービスということです。

ただし、2021年2月を目途に、定款認証や法人設立登記の申請も合わせて手続きできるようになる予定です。

設立後のこうした手続きを税理士や社会保険労務士に依頼する経営者については、法人設立ワンストップサービスのお世話になるということはありません。

自分で手続きをしてみようという人が法人設立ワンストップサービスの対象です。もちろん従来通り、各役所の窓口や郵送などで個別に手続きすることも可能です。

国税庁:法人設立ワンストップサービスで簡単手続!

引用元:国税庁:法人設立ワンストップサービスで簡単手続!

利用するにはマイナンバーカードが必要

法人設立ワンストップサービスを利用するには、まず何よりも電子証明書の格納されたマイナンバーカードが必要です。

マイナンバーカードとは、写真付きのマイナンバーを証明するカードです。マイナンバーカードの電子証明書をパソコンなどに読み込ませることで、法人設立ワンストップサービスの各届け出を提出することができるようになります。

このほかに、法人設立ワンストップサービスを利用するために必要なものとして、電子証明書を読み込むためのICカードリーダライタというものがあります。

ICカードリーダライタについては、家電量販店などにて3,000円ほどで購入することができます。日常ではそれほど使うものではないですが、法人成りする場合など今まで、個人事業主で確定申告をしたことのある方なら、e-Taxをするのに持っているかもしれません。

それから、スマホからの手続きも可能です。スマホの場合は、ICカードリーダライタではなく、スマホそのものにマイナンバーカードを読み込ませますので、NFC対応のスマートフォンであることが必要です。

また、事前にマイナポータルAPというアプリケーションをインストールする必要があります。もちろんインストールは無料です。

マイナポータルAPについては、法人設立ワンストップサービスの利用以外にも、今後さまざまな行政サービスを受ける際に必要なアプリケーションになる可能性があります。とりあえずインストールしておいてもよいでしょう。

特にマイナンバーカードについては、交付の申し込みをしてから交付されるまでに数週間から数カ月かかることがあります。

一方で、各種手続きには提出期限が定められているものもあります。マイナンバーカードを持っていない場合、交付の申請をしている間に提出期限が来てしまうということもあり得ます。

こうした場合には、法人設立ワンストップサービスではなく、各役所の窓口に提出や郵送での提出、e-TaxやeLTAXといった電子での提出というように、各役所に個別で提出することが必要になります。

法人設立ワンストップサービスで申請できる手続き

2020年10月現在、法人設立ワンストップサービスで利用できる手続きは大きく分けて、次の3つです。

  • 税金関係
  • 社会保険関係
  • 労働保険関係

それぞれ申請可能な手続きの一覧と提出先を次の表にまとめました。

種類 手続き名称 提出先
税金関係 法人設立届出 管轄の税務署
給与支払事務所等の開設等届出
消費税の新設法人に該当する旨の届出
青色申告の承認申請
棚卸資産の評価方法の届出
減価償却資産の償却方法の届出
申告期限の延長の特例の申請
消費税課税事業者選択届出
消費税簡易課税制度選択届出
消費税課税期間特例選択・変更届出
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
電子申告・納税等開始(変更等)届出
消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出
事前確定届出給与に関する届出
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
法人設立・設置届 本店や、その他支店等がある都道府県
法人設立・設置届 本店や、その他支店等がある市町村
申告書の提出期限の延長の承認申請 本店や、その他支店等がある都道府県
事業所等新設・廃止申告 事業所税の申告義務がある市区町村
社会保険関係 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 管轄の年金事務所
労働保険関係 保険関係成立届(継続)(二元適用の場合の労災保険分含む) 管轄の労働基準監督署
保険関係成立届(継続)(二元適用雇用保険分) 管轄の公共職業安定所
雇用保険の事業所設置の届出 管轄の公共職業安定所
雇用保険被保険者資格取得届 管轄の公共職業安定所

事業をはじめるときに行わなければならない手続きについては、網羅されています。もちろんすべての手続きを行わなければならないというわけではありません。

例えば、従業員を雇用していなければ労働保険や雇用保険関係の手続きを取る必要はありません。

法人設立ワンストップサービスのサイトには、どのような手続きを自分が取ればよいのかという簡単なフローチャートが用意されています。ある程度はそれを参考に手続きを取ればよいでしょう。

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特に、健康保険・厚生年金保険は役員のみの会社で役員給与の支払いがないといったケースでなければ加入義務がありますし、労働保険・雇用保険関係については、従業員がいれば加入が必要ということで、届け出すべきかどうか容易に判断できます。

利用方法については、登記事項証明書や法人番号指定通知書などの書類を見ながら必要事項を入力する形で進めていきます。ここで細かく入力の方法を説明するよりも、実際に画面を見ながら指示に従って入力していくほうが分かりやすいでしょう。

法人設立ワンストップサービスを利用する上での注意点

注意しておく点として、法人設立ワンストップサービスだけでは手続きが完結しないものもあります。例えば、健康保険・厚生年金保険の新規適用届については、合わせて加入する役員や従業員の資格取得届や被扶養者がいれば被扶養者(異動)届も提出する必要があります。

しかし、法人設立ワンストップサービスではこれらの社会保険に関する個人ごとの届出書については提出ができず、別途管轄の年金事務所に紙や電子申請などの形で提出する必要があります。

本来同時に出すべき書類をバラバラに提出すると、あまりスムーズに手続きが進まない可能性もあります。

健康保険・厚生年金保険の新規適用届+資格取得届については、法人設立ワンストップサービスを使用せずに、紙などで同時に年金事務所に提出したほうが安心かもしれません。

さらには、提出しないほうがよい、あるいは提出すべきではない書類もあります。

例えば、「消費税課税事業者選択届出」は、本来消費税を納税する義務がない事業者(免税事業者)が、あえて消費税の納税義務者になるための書類です。

こうすることで、初期の設備投資などで支払った消費税の還付を受けることができる反面、その後も1~2年間は消費税を申告する義務が発生するということになります。

このように、後々の税金の納付に大きく影響してくるような届け出については、通常は顧問税理士と相談の上で提出するかどうかを決めることになります。

法人設立ワンストップサービスには、「はい・いいえ」で答えるだけで、提出すべき届出書を表示してくれる機能もあります。

しかし、特に税金関係などは、そもそも質問の意図が理解しきれず、答えに迷うようなケースがあります。税金関係は、前述の消費税課税事業者選択届出のように、届け出によって効力が発生するものもあります。よく分からないまま提出して、後々余計な税負担をしてしまった、ということになってしまっては大変です。

どれを提出すればよいかよく分からない、という場合には、無理に法人設立ワンストップサービスを利用しようとせずに税理士に依頼するなどして、間違いない手続きを行いましょう。

まとめ

法人設立ワンストップサービスは、道具さえそろえれば、便利なシステムかもしれません。しかし、それを使う前に、どのような届け出を提出するのか、提出によってどのような効力が発生するのかということを理解しないままに、書類を提出してしまうということは避けるようにしましょう。分からなければ、無理せずに専門家に頼りましょう。

photo:Getty Images

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