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ホーム 年末調整 新書式対応!2020年(令和2年)分の年末調整書類、ポイントと記入例【人事給与担当者必見!】

新書式対応!2020年(令和2年)分の年末調整書類、ポイントと記入例【人事給与担当者必見!】

毎年11月になると、会社から渡される年末調整の用紙。従業員の中には、何が何だか分からないまま会社に提出している人も多いかもしれません。

年々複雑になる年末調整ですが、2020年(令和2年)分の年末調整は、新たな制度の導入や、それに伴う申告書の様式の変更など盛りだくさんで、人事給与担当者への問い合わせが増加することが予想されます。

この記事では、人事給与担当者が2020年の年末調整業務で把握しておきたいポイントと記入例について、解説していきます。

主な変更箇所や改正の注意点は、こちらの記事「2020年(令和2年)分の年末調整、変更点は?【人事給与担当者必見】」をご覧ください。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 2020年から「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」が加わる
  • 基礎控除は、金額があがったが、給与所得控除が同額下がっているので、納税額には基本的に影響がない
  • 2020年から新たに加わった所得金額調整控除は、年収850万円を超える人のみ対象となる

2020年(令和2年)分の年末調整の変更点と注意点

2020年分の年末調整では、多くの変更点があります。まず、書類が変更になりました。

2018年には「給与所得者の配偶者控除申告書」という書類が、新たに追加されたばかりでした。しかし、2020年はこの申告書が「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という名前になりました。この名前から察することができる通り、いろいろな控除を詰め込んで、1枚の申告書でまとめたものになります。

令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

国税庁[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告「令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

2020年から新たに加わることになった、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」。とにかくいろいろと詰め込んだ感がある名称ですが、実際にどのような書類なのか見てみましょう。

「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」は3つに分かれている

「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」は、中身を見てみると、3つのブロックに分かれていることが分かります。「給与所得者の基礎控除申告書(以下、基礎控除申告書)」、「給与所得者の配偶者控除等申告書(以下、配偶者控除等申告書)」、「給与所得者の所得金額調整控除申告書(以下、所得金額調整控除申告書)」です。

令和2年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

国はうまく1枚の紙にレイアウトしてくれました。このような絶妙なレイアウトにより、実のところ、この3つの申告書が1枚まとまっているだけで、自分に関係ある箇所だけを見てみれば、実は、それほど難しい書類ではありません。

まずは従業員に自分がどの控除が関係するのかということを認識してもらうことが重要です。それを知らないまま申告書の様式を見てしまうと、従業員は手をつける気すらなくなってしまうでしょう。

3つの申告書それぞれの【従業員に伝えるべきポイント】、【人事給与担当者のチェックポイント】、【記入例】を見ていきます。

①給与所得者の基礎控除申告書

給与所得者の基礎控除申告書

まず、基礎控除申告書から説明をしていきます。基礎控除申告書は、2020年から追加された申告書です。

年末調整を受けるすべての人に関係するのが基礎控除です。つまり、基礎控除申告書は、全員が記載する必要があるということです。もともとは、所得の金額に関わらずだれでも受けられた基礎控除ですが、2020年からは、所得要件が加わりました。

所得要件といっても、年間の合計所得金額が2,400万円までは満額の控除を受けられます。とはいえ、合計所得金額に応じた控除額の判定は必要となりますので、新たに欄が加えられました。基礎控除申告書の欄自体は、シンプルです。

従業員は、自分の給与の合計額やその他の所得の合計額を記入して、そこから基礎控除の金額を当てはめます。

給与年収2,000万円を超える人はそもそも年末調整の対象外なので、この用紙を記入する人は基本的に満額48万円の基礎控除になるでしょう。

自分の給与の年間合計額は、会社によっては給与明細に記載されていることもありますし、1年間の給与明細の額面合計(通勤手当除く)を合計しても計算できます(12月支給分はタイミングによっては見込みで記入する必要も出てくるかもしれませんが)。

給与以外の所得についてはさすがに従業員が自分で計算するしかありません。その他の所得については正確な金額となると確定申告書を作成するのと同じ話になってしまいますので、年末調整の段階では、ある程度概算になるのはやむを得ないでしょう。

ただし、給与以外に高額の所得がある従業員には控除額の計算に注意が必要です。

ちなみに、この基礎控除、2020年から満額控除を受けられる場合、控除額が38万円から48万円になりました。それでは減税になったかといえばそうではありません。年末調整を受ける給与所得者が全員適用される給与所得控除が、最低でも同額の10万円減額になっているからです。

基礎控除が増額された代わりに、給与所得控除が減額ということで、給与所得者にとっては減税になっているわけではないのです。

人事給与担当者は次のポイントを従業員に伝えるようにしましょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 「給与所得者の基礎控除申告書」の欄は年末調整を受けるすべての従業員が記載する。
  • 従業員は自分の給与の合計額やその他の所得の合計額を記入して、そこから基礎控除の金額を当てはめる。

また、人事給与担当者のチェックポイントは以下の通りです。

  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 給与の合計額が正確に記載されているかどうか。
  • 給与所得の「所得金額」の欄は、給与所得控除が反映されているかどうか。
  • 当てはめた区分が間違っていないかどうか

次に記入例です。

【記入例】

【記入例】給与所得者の基礎控除申告書

基礎控除申告書は従業員本人の本年中の合計所得金額の見積額と控除額を記入します。計算の手順は「年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方」で詳しく解説しています。

②給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の配偶者控除申告書については、配偶者の年間所得が133万円以下(給与のみであれば年収201万6,000円未満)の人のみ記入します。配偶者の所得の計算自体は、申告書の説明書きを読めば計算できます。実際の申告書は表形式になっていますので、本人の所得と配偶者の所得から控除額を割り出すことができます。本人の所得は、基礎控除申告書と連動しています。むしろ基礎控除申告書は、このためにあるといってもよいでしょう。

重要なのは、配偶者がいくら稼いでいるかということです。特に2か所以上で働いているケースなどは合算が必要になりますので、正確に所得を確認しておきましょう。

配偶者の所得を少なく記入して控除を受けたあとで配偶者の所得が控除対象を上回っていたことが判明し、控除額の訂正と所得税の追加納税が必要になることもあり得ます。こうなると、人事給与担当者にも手間がかかってしまいます。

配偶者に所得の見積額を確認した上で記入するという点だけは注意しておきましょう。

人事給与の担当者としては、特に配偶者がパートやアルバイトで働いている従業員について、2か所で働いている場合は合算した金額で記載しているか、給与以外の所得があって確定申告の予定がないかといったことをしっかりと確認してもらいましょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 配偶者の年間所得が133万円以下(給与のみであれば年収201万6,000円未満)の人のみ記入
  • 配偶者の所得の計算自体は、申告書の説明書きを読んで計算
  • 配偶者が2か所以上で働いているケースなどは合算が必要になる
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 配偶者の給与所得の「所得金額」の欄に、給与所得控除が反映されているかどうか。
  • 当てはめた区分が間違っていないかどうか

【記入例】

【記入例】給与所得者の配偶者控除等申告書

配偶者の氏名、個人番号、生年月日、本年中の合計所得金額の見積額と控除額を記入します。計算の手順は「年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方」を参考にするといいでしょう。

③所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書

この所得金額調整控除申告書も2020年から新たに加わった申告書です。この申告書の記入が必要なのは、給与の年収850万円を超え、かつ次のいずれかの要件を満たす従業員です。

①23歳未満の扶養親族がいる
②本人が特別障害者に該当する
③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

少なくとも、年収850万円以下の場合は記入をしても所得金額調整控除の対象にはなりません。記入をしてはいけないというわけではありませんが、対象にはならないということです。まずは給与の年収850万円超であることが絶対条件です。これだけでかなり対象となる人は絞られますが、これに加えて上記の3つのいずれかを満たす必要があります。

最も対象になりうるのが「23歳未満の扶養親族がいる」ということでしょう。扶養対象にしている子がいれば対象になる可能性が高いです。

850万円は、給与所得控除が頭打ちになる金額です。給与所得控除が頭打ちになっても、一定の人には特別に控除額を付加しますというのが、この所得金額調整控除なのです。

金額の計算自体は他の2つの申告書と違って従業員が控除額を記入する欄はありません。上記3つのうち、どの要件に当てはまっているかということや、該当する扶養親族はだれなのかなどを従業員が記入し、会社つまり人事給与担当者が控除額を計算します。控除額は以下の通りです。

所得金額調整控除額=((給与等の収入金額と1,000万円のいずれか少ない額) - 850万円)×10%

いずれの申告書にしても、書き方が分からないという問い合わせには、国税庁のサイトでも計算方法などの案内がありますので、参考にするようにアドバイスしましょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 所得金額調整控除申告書に記入する必要があるのは、給与収入の額が850万円を超え、以下のいずれかに該当する場合
    ①23歳未満の扶養親族がいる
    ②本人が特別障害者に該当する
    ③特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 本人の給与収入が850万円を超えているかどうか
  • 23歳未満の扶養親族がいる場合には、扶養控除等(異動)申告書と内容が合致しているか

【記入例】

【記入例】所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書は、上の図のように、控除を受けるための情報を記入します。記載方法の詳細は「年末調整の基礎控除・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の書き方」を参考にしてください。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは?

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(以下扶養控除申告書)」は、もはや年末調整でおなじみの申告書です。年末調整のときだけでなく、入社の際にも副業でなければ、記入が必要な書類です。

扶養親族等に関する記載事項等(A・B)

源泉控除対象配偶者は、給与所得者であれば年収150万円以下の配偶者が該当します。配偶者の年収については控除の金額にダイレクトに関係してくるので、正確な金額を確認しておきましょう。なお、源泉控除対象配偶者を記入するには、従業員自身の合計所得金額(見積額)が900万円以下(給与収入のみならば、年収1,095万円以下)であることも条件となります。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 子について年齢に制限があり、年齢が16歳未満の子については、住民税の欄に記載する
  • 源泉控除対象配偶者は、給与所得者であれば年収150万円以下の配偶者が該当する
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 扶養控除の対象となる扶養親族の年齢が要件を満たしているかどうか
  • 所得の欄は額面ではなく給与所得控除が引かれた所得ベースになっているかどうか

【扶養親族等に関する記載事項等(A)の記入例】

扶養親族等に関する記載事項等(A)の記入例

扶養親族等に関する記載事項等(A)は、①納税者本人の所得の見積額が900万円以下、②納税者本人と生計を一にする配偶者で合計所得金額が95万円以下という2つの条件に該当する場合にのみ記載します。

また、収入から必要経費を引いた金額が、所得の見積額です。給与の場合は、給与収入が161万9,000円未満のときには、給与収入から65万円を引いた額を記入します。

もし、源泉控除対象者が日本国内に住んでいない場合は金額の下の空欄に〇を記載し、「生計を一にする事実」には、本年中の配偶者への送金額を記載します。

詳しい記載方法の詳細は「年末調整の扶養控除等(異動)申告書の書き方」を参考にしてください。

扶養親族については、控除を受けるためには、子について年齢に制限があります。年齢が16歳未満の子については、住民税の欄に記載することになる点に注意しましょう。

【扶養親族等に関する記載事項等(B)の記入例】

扶養親族等に関する記載事項等(B)の記入例

扶養親族等に関する記載事項等(B)は、「同居老親等」に✓(チェックマーク)、それ以外の老親扶養親族の場合は、「その他」に✓(チェックマーク)をつけます。
控除対象扶養親族は16歳以上の扶養親族、特定扶養親族は19歳以上23歳未満の扶養親族が該当します。

詳しい記載方法の詳細は「年末調整の扶養控除等(異動)申告書の書き方」を参考にしてください。

障害者・寡婦・寡夫・勤労学生控除に関する記載事項等(C)

このあたりは、特に漏れやすい控除でもあります。結局のところ、各控除を受けられる要件を備えていることが、年末調整の担当者に分かるように従業員側で記載しておけばよいのですが、実際はこれらの控除は要件が細かいため、すべて把握することは難しいです。税務署のホームページなどで確認しながら記載してもらうのがよいでしょう。

また、令和2年度税制改正により、令和2年分からひとり親控除が創設されました。ひとり親とは以下の要件を満たす人です。

①生計を一にする子(扶養親族となる子に限る)がいること
②内縁関係の配偶者がいないこと
③本人の合計所得金額が500万円以下であること

「ひとり親」に該当する場合は、一律35万円の控除を受けることができます。

ちなみに、2020年(令和2年)分から適用されるひとり親控除ですが、基本的に2019年(令和元年)に従業員に用紙を提出してもらっているので、2020年(令和2年)分の扶養控除申告書には、ひとり親の欄はありません。

そのため、「特別の寡婦」の欄を「ひとり親」と訂正したり、後述のように「左記の内容」欄に「ひとり親」と記入することで適用を受けられます。

人事担当者としては、世帯主が誰になっているかということをチェックしたり、障害者であれば必ず障害者手帳のコピーをつけてもらう(障害者手帳のコピーはもともとの添付書類にもなっています)といったことを周知したりして控除漏れが起こらないように工夫しましょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 人事給与担当者に分かるように従業員側で記載する
  • その際、これらの控除は要件が細かいため、税務署のホームページなどで確認しながら記載する
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 障害者控除を受ける場合には障害者手帳のコピーなどが添付されているか
  • 各控除を受けるための情報が漏れなく記載されているか

【「障害者・寡婦・寡夫・勤労学生控除に関する記載事項等(C)」の記入例】

「障害者・寡婦・寡夫・勤労学生控除に関する記載事項等(C)」の記入例

表中に該当者・区分・人数を記入するとともに、「左記の内容」欄(令和3年分の申告書では「障害者又は勤労学生の内容」欄に障害の程度や等級などを記入します。

寡婦・ひとり親であれば該当する項目にチェック(ひとり親の場合、令和2年分の申告書では「左記の内容」欄に「ひとり親」と記入)することで、この氏名や子の所得の見積額の記載は不要となります。扶養親族欄の記載に同内容の記載欄があるためです。

他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)

次に「他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)」について説明します。

扶養親族は1人で2回分控除を受けることはできません。例えば共働きの場合、1人の子を扶養に入れることができるのは夫か妻のいずれか一方のみだけです。そのため、扶養親族に該当しても、他の人で控除対象にする場合は、この欄にその該当者を記載しておきます。

ここを書かなかったからといって控除額に影響はありませんが、ここを書いておけば年末調整の担当者にとって、「この家族は扶養に入れなくて大丈夫」ということが分かるので、あえて確認する手間が省けます。ただし、子が16歳未満の場合、年末調整で扶養控除の対象にはできません。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 扶養親族は1人で2回分控除を受けることはできない。例えば共働きの場合、1人の子を扶養に入れることができるのは夫か妻のいずれか1人。
  • 扶養親族に該当しても、他の人で控除対象にする場合は、「他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)」欄にその該当者を記載する。
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等(D)」欄の人事給与担当者はチェックする際、ここに記載のある家族は扶養に入れなくて大丈夫。
  • ただし、子が16歳未満の場合、年末調整で扶養控除の対象にはできない。

【記入例】
同一生計内に所得者が2人以上いるときは、扶養親族等を分けて控除を受けることが可能です。例えば、従業員本人の控除対象扶養親族に子どもを入れる場合、この欄に該当者を記載します。

【記入例】他の所得者が控除を受ける扶養親族等

住民税に関する事項

「住民税に関する事項」は直接年末調整とは関係ありませんが、少しだけ住民税の計算に関係する場合があります。住民税が非課税かどうかを判定するのに、16歳未満の子も含めることになっているのです。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 16歳未満の子がいる場合は記載する
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 子の年齢が対象となる年齢かどうか

【記入例】

【記入例】住民税に関する事項

「住民税に関する事項」は16歳未満の扶養親族がいる場合に記載します。また、国内に住所を有しない扶養親族のうち、16歳未満の人をいい、該当する場合は〇をつけます。

給与所得者の保険料控除申告書とは?

給与所得者の保険料控除申告書

国税庁 令和2年分給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書(以下、保険料控除申告書)」は、以前からある書類で、毎年と同じ要領で記載すればよいでしょう。生命保険、地震保険、社会保険など、保険に関する控除を受けるための申告書です。記入上の注意点としては以下の通りです。

生命保険料控除

生命保険料控除

生命保険料の区分は一般、介護、年金の3種類があります。また、生命保険料控除は、契約時期によって新と旧に分かれています。といっても、これらはこちらで判断するわけではなく、保険会社が発行してくれる生命保険料控除証明書の記載に従って記入すればOKです。

従業員には記入すべき保険の種類の欄を間違えないように注意しておけばよいでしょう。保険契約が多くて欄が足りないといった場合には、一つの欄に2行記載するなどして1枚にまとめれば、人事給与担当者もチェックしやすいでしょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 保険会社が発行してくれる生命保険料控除証明書の記載に従って記入する
  • 記入すべき保険の種類の欄を間違えないようにする
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 新旧区分や保険の種類が正確に記入されているかどうか
  • 金額は1年間の支払い(見込み)額になっているかどうか
  • 受取人が親族になっているかどうか(離婚した配偶者等になっていれば対象外)

【記入例】

【記入例】生命保険料控除

・一般の生命保険料
一般の生命保険料において、新保険料の場合、金額の合計額Aを「計算式I(新保険料等用)」の表に当てはめて計算し①に記入します。また、旧保険料の場合、金額の合計額Bを「計算式II(旧保険料等用)」の表に当てはめて計算し②に記入します。新旧両方の保険料がある場合には、③に①と②の合計額を記入します。②と③のいずれか多い方の金額を控除額としてイに記入します。

・介護医療保険料
保険会社が発行する控除証明書に介護医療保険料である旨の記載がありますので、その控除証明書の内容を記載します。介護保険料の合計金額Cを「計算式I(新保険料等用)」の表に当てはめて計算した額をロに記入します。

・個人年金保険料
新保険料の場合、金額の合計額Dを「計算式I(新保険料等用)」の表に当てはめて計算し④に記入します。また、旧保険料の場合、金額の合計額Eを「計算式II(旧保険料等用)」の表に当てはめて計算し⑤に記入します。新旧両方の保険料がある場合には、⑥に④と⑤の合計額を記入します。⑤と⑥のいずれか多い方の金額を控除額としてハに記入します。

地震保険料控除

地震保険料控除は、生命保険料控除に比べればかなりシンプルです。5万円を限度に、支払った地震保険料の全額について控除を受けられます。生命保険料控除と同様に保険会社が発行してくれる地震保険料控除申告書の通りに記載すればよいでしょう。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 保険会社発行の地震保険料控除申告書の通りに記載する
  • 記入すべき保険の種類の欄を間違えないようにする
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 金額が正確に転記されているかどうか

【記入例】
地震保険料控除は所得者本人が支払ったものが対象です。保険会社が発行してくれる地震保険料控除申告書の通りに従業員に記載してもらうようにしましょう。

【記入例】地震保険料控除

社会保険料控除

社会保険料控除は、健康保険や厚生年金保険、雇用保険、国民年金、国民健康保険などの社会保険について、負担した保険料について、全額控除を受けられるものです。

ただし、健康保険や厚生年金保険については、給与計算のときに、天引き額を集計しているため、会社側で金額が把握できます。この欄に記入するのは、就職活動中などで一時的に国民年金や国民健康保険の保険料を支払っていた場合や、家族の国民年金保険料を支払ってあげたときなどでしょう。

ただし、個人事業主による雇用のため、国民年金や国民健康保険に従業員自身で加入して保険料を支払っているという場合には、該当する保険料をこの欄に記入することになります。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 従業員側で社会保険料控除の欄に記入するのは、就職活動中などで一時的に国民年金や国民健康保険の保険料を支払っていた場合
  • 家族の国民年金保険料を支払ってあげたとき
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 国民年金保険料の金額は、添付された控除証明書の金額が正確に転記されているか

【記入例(自分の保険料を支払ったケース)】

【記入例(自分の保険料を支払ったケース)】社会保険料控除

【記入例(子どもの保険料を支払ったケース)】

【記入例(子供の保険料を支払ったケース)】社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

「小規模企業共済」という言葉には経営者や自営業者でもない限りはなじみがないかもしれません。この制度は、経営者など被用者ではない人だけが加入できる制度だからです。重要なのは、「等」の部分です。この「等」には個人型確定拠出年金(iDeCo・イデコ)が含まれています。

イデコは、今や60歳未満であれば、ほぼ誰でも加入できる制度です。老後の備えとして加入するため、いったん掛金を支払えばその解約は基本的にできません。それだけ縛りが強い反面、掛金全額が控除対象となります。

申告書に記載するときは、控除証明書の金額をそのまま転記すれば大丈夫です。

  • 【従業員に伝えるべきポイント】
  • 申告書に記載するときは、控除証明書の金額をそのまま記載すること
  • 【人事給与担当者のチェックポイント】
  • 添付された控除証明書の金額が正確に転記されているか

【記入例】

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まとめ

毎年、年末調整の書類を記入している従業員でも、すべての欄について理解した上で記入している人は少ないでしょう。生命保険料控除の計算などは控除証明書を提出して、あとは担当者にお任せといった場合も……。保険料関係の控除は、控除証明書を提出しておけば、担当者が計算できます。従業員がよく分からないまま間違った数字を記入するよりも、人事給与担当者が記入したほうが、双方にとって楽かもしれません。

ですが、どうしても従業員本人しか分からない情報もあります。主なものとして扶養に入れる家族や配偶者の年収です。扶養控除申告書に名前を記載しても、年間所得の金額(見積額)を記入しないと、本当に扶養に入れてよいのかどうなのか人事給与担当者側では分からないこともあるでしょう。

また、生命保険料も、例えば受取人が控除証明書に記載されていないなど、空欄のままだと改めて担当者が従業員に確認しなければならないケースも出てきます。

年末調整の書類は、年々欄が増えて複雑になっています。これだけ欄が増えてくれば、すべての従業員に、漏れなく、かつ正確に記入してもらうのは、どれだけ見本をそろえてアナウンスをしたとしても難しいのが実情です。

とはいえ、記入してないから控除も適用しないというのも杓子定規でしょう。最低限、控除証明書は漏れなく添付してもらうこと、配偶者の所得は正確に把握して記入してもらうことなどを従業員に周知しつつ、漏れている箇所については適宜追記を行っていくということで対応していくようにしましょう。

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