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「働き方改革推進支援助成金」…テレワーク導入に活用できる助成金とは?

コロナ危機で急速に広まったテレワークですが、「働き方改革」を目的とする投資の一部を助成する「働き方改革推進支援助成金」が活用できます。他にも、この支援策では、「働き方改革」のための設備・機器の導入や従業員への研修など、さまざまな取り組みが対象となっています。支給要件、支給金額、申請方法など詳しくみていきましょう。

POINT
  • 働き方改革推進支援助成金とは、「働き方改革」を進めるために投資を行う事業者に対して行われる助成である
  • 働き方改革推進支援助成金の申請は、交付申請と支給申請の2段階
  • 助成金の振り込みは、実際に対象経費を支払ってからの後払いである。

働き方改革推進支援助成金とは?

働き方改革推進支援助成金とは、その名の通り、「働き方改革」を進める事業者に対して、そのためにかかったコストを一部助成するものです。

では、そもそも「働き方改革」とは何でしょうか? 働き方改革とは、残業時間の削減や、ワーク・ライフ・バランス、同一労働同一賃金などの一連の施策を進めること。労働者側に働きやすい職場を作ってもらい、生産性を上げることが目的です。つまり、従業員の働き方を変えるための投資を行った事業者が、働き方改革推進支援助成金を受給できます。

この助成金は、対象となる取り組みによって、通常は以下の5つのコースに分かれています。

労働時間短縮・年休促進支援コース 労働時間の削減や、年次有給休暇の取得を促進するための投資を行った際に行われる助成
勤務間インターバル導入コース 勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を確保することを定める「勤務間インターバル」の導入のための投資を行った際に行われる助成
職場意識改善特例コース 新型コロナウイルス感染症対策の1つとして、病気休暇制度や、子の休校・休園に関する特別休暇制度の導入のための投資を行った際に行われる助成
テレワークコース 住宅やサテライトオフィスでの就業(テレワーク)の実施のために投資を行った際に行われる助成
団体推進コース 中小企業の団体などが、傘下の事業主の労働者の労働条件改善のために取り組みを行った際に、その団体に対して行われる助成

団体推進コースは一般の事業者は関係ないので、ここでの紹介にとどめておきます。

テレワークコースについては、通常のテレワークコース自体は、8月12日に終了しています。新型コロナウイルス対策のためのテレワークコースは、2020年9月18日が申請期限でした。後述している自治体独自のテレワーク導入への助成金もあるので、確認してみることをおすすめします。

働き方改革推進支援助成金の受給要件

働き方改革推進支援助成金の申請をするには、どのコースでもまずは以下の2つの要件を満たす必要があります。

1.労災保険の適用事業主であること

正社員、アルバイト問わず従業員を一人でも雇用すれば、労災保険への加入義務が生じます。雇用形態を問わず従業員が一人でもいれば要件を満たします。

2.資本または出資額、もしくは常時雇用する労働者数が、中小企業事業主の範囲内であること

以下の表の中小企業基本法における中小企業の定義に該当していれば要件を満たします。
中小企業とは、以下のAまたは、Bの要件を満たす中小企業となります。

A.資本または出資額 B.常時雇用する労働者数
卸売業 資本金1億円以下 従業員100人以下
サービス業 資本金5,000万円以下 従業員100人以下
小売業 資本金5,000万円以下 従業員50人以下
上記以外(製造業など) 資本金3億円以下 従業員300人以下

さらに、選択するコースによっては、36協定を締結していることなどの要件が加わります。希望するコースの要件を自社が満たしているかどうか、厚生労働省のサイト等で確認しましょう。

働き方改革推進支援助成金の対象となる費用

制度を導入すれば、どんな費用も受給対象になるというわけではありません。具体的には、制度を導入するために以下のような費用を支出した場合に、その合計額のうち一部が助成されます。

  1. 労務管理担当者に対する研修
  2. 労働者に対する研修、周知・啓発
  3. 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
  4. 就業規則等の作成・変更
  5. 人材確保に向けた取組
  6. 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  7. 労務管理用機器の導入・更新
  8. デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  9. テレワーク用通信機器の導入・更新
  10. 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

機器やソフトウェアの導入が主たる経費を占めることが多いですが、制度導入のための従業員への研修費やコンサルタントへの支払いも対象にできます。個別・具体的に対象の支出として認められるかどうかについては、管轄の労働局に問い合わせてみましょう。

働き方改革推進支援助成金には複数のコースがありますが、ひとつの経費で複数のコースを申請することはできません。どのコースを選択すべきかを、自社の課題と照らし合わせて決めましょう。

働き方改革推進支援助成金の受給額

受給額については、コースごとに細かく決められています。

労働時間短縮・年休促進支援コース 交付申請時に設定した成果目標の達成度合いに応じて25万円~最大490万円
勤務間インターバル導入コース 交付申請時に設定した成果目標の達成度合いに応じて80万円~最大490万円
職場意識改善特例コース (1)対象経費の合計額×補助率3/4(労働者数30人以下で一定の場合は4/5)
(2)1企業当たりの上限額(50万円)
テレワークコース 交付申請時に設定した成果目標の達成度合いに応じて20万円~最大300万円

働き方改革推進支援助成金の申請手続きの流れ

働き方改革推進支援助成金の申請は2段階になっています。

①管轄の労働局に対して「交付申請」を行う

まずは、管轄の労働局に対して、「交付申請」を行います。交付申請とは、行う取り組みや制度導入の計画、導入による数値目標の設定、支出予定の対象経費の見積もりなどを労働局に提出して、承認を受けることです。

無事承認を受けることができれば、その後交付申請時に出した計画に沿って、導入や支出を行います。

②「支給申請」を行う

その後、2段階目として「支給申請」を行います。定められた期日までに支出の証明書類や、導入による数値目標の報告などを行います。内容が承認されれば助成金が振り込まれるという流れです。

先に支出が発生するという点はよく認識しておく必要があります。また、取り組みは交付申請の承認を受けた後に始め、対象経費の支払いのタイミングを含めて支給申請に影響が出ないように進めましょう。

自治体独自のテレワーク導入への助成金も活用を

テレワークは、新型コロナウイルスへの対策として全国的に重要視されています。そこで国の制度のほか、自治体が独自に運営している制度もあります。

ここでは、東京都が行っている「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」について、その概要を紹介します。

東京都「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金」)概要

東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた都内の中小企業、個人事業主などに対して、テレワークをトライアルするための環境構築経費、制度整備費が「公益財団法人東京しごと財団」によって補助されます。申請の受付期間は、2020年(令和2年)4月8日~2021年(令和3年)3月31日締切必着です。ただし予算を超える申請があった場合、申請受付期間内でも受付を終了する可能性があります。

補助対象事業者の要件は「都内で事業を営んでいる中小企業、個人事業主」ですが、他にも、都税の未納付がないことや、都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していることなど、さまざまな要件を満たしている必要がありますので、募集要項をよく確認しましょう。

また、主な助成対象経費や補助金の上限は次の通りです。

補助事業 内容説明 事業者の規模 補助金の上限
※いずれも制度整備費10万円を含む。
テレワーク環境の構築 在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務を行うための環境構築費用

①都の「テレワーク導入プラン」ホームページより選定したテレワーク環境を構築するための機器・関連ソフト等導入費用

②モバイル端末等整備費用

従業員数300人~999人の企業 110万円
従業員数100人~299人の企業 70万円
従業員数100人未満の企業 40万円
就業規則へのテレワークの制度整備 就業規則へのテレワークに関する規定の整備 全従業員規模共通 10万円

申請方法の流れは以下となります。

  1. 東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受ける
  2. コンサルタントより「テレワーク導入パッケージ提案書」が作成され、テレワークの導入に必要な機能・ツール等が決定
  3. 都の「テレワーク導入プラン」ホームページより、「テレワーク導入パッケージ提案書」に基づいて導入する機器・ソフト等を選定
  4. 申請書・添付書類を簡易書留等の記録が残る方法で、公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課 職場環境整備担当係(はじめてテレワーク担当)へ送付。
    ※持参・FAX・電子メール等による提出はできません。

その他詳細な要件については、募集要項をご確認ください。

「働き方改革」は中小企業にも対応が求められています。労働環境が改善され、ワーク・ライフ・バランスのとりやすい働き方が実施されれば、会社全体の生産性がアップするなど好循環が生まれる見込みがあります。テレワークや設備・機器の導入、従業員への研修など、補助金などを活用して実施していきましょう。

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