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中間申告とは?法人税と消費税の中間申告についてわかりやすく解説!

法人税・消費税には、それぞれに中間申告制度があります。中間申告とは、かんたんに言えば「税金の前払い制度」のこと。これらを上手に活用することで、資金繰りを楽にすることにもつながります。今回は法人税と消費税、それぞれの中間申告について詳しく解説していきます。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 中間申告することによって資金繰りの目途がつきやすくなる
  • 消費税には「任意」の中間申告制度がある
  • 中間申告の方法には「仮決算」と「予定納税」がある

法人税と消費税の「中間申告」とはどんな制度?

中間申告とは、かんたんに言えば「税金の前払い制度」です。年の途中でその期の税金をある程度前払いし、期の決算が確定した段階で、不足の部分を支払って精算します。もしも払いすぎていた場合は還付されます。

「法人税」と「消費税」で中間申告をすることがあります。法人税とは、株式会社などの法人が事業を通じて得た所得にかかる税金のこと。消費税は、消費一般に広く公平な負担を求める間接税のことを指し、事業者は消費者から預かった消費税を納付します。

では、なぜ中間申告があるのでしょうか。これは納税者・国の双方にとってメリットがあります。

一つは、企業の納税負担の平準化といえます。確定申告の際に、一度にまとめて支払うことと比べ、年の途中で税金を支払うことにより、資金繰りの目途がつきやすくなります。

特に消費税の中間申告を行う場合、資金繰りが楽になることがあります。法人税の場合は、利益に対して課税されるので、赤字の場合は通常は課税されません。しかし、消費税は法人税とは異なり、利益とは無関係に課税されるものです。そのため、消費税については、利益の有無に関わらず、課税事業者なら、売上がある限り原則納税義務が生じます。

つまり、たとえ赤字になった場合でも、消費税の納税義務はあるのです。よって、消費税の納付額については常に意識しておく必要があるといえるでしょう。年に一度の確定申告で、全額消費税を支払うのは負担が大き過ぎる場合は、消費税の中間申告を行うことにより、資金繰りが楽になるという効果が生じます。

もう一つの理由は、国の財政収入の平準化・安定化です。例えば、平成30年度の法人税は12兆3,180億円、消費税は17兆6,809億円ですが、これらの税収が分割して国庫に入ることによって、財政収入が均等化されます。

中間申告の対象とは?

中間申告の対象になるのは、前年度の税金支払額が多かった場合があてはまります。新設法人の場合は前年度の実績がないため、中間申告は不要となります。

法人税の中間申告の対象

法人税の中間申告の対象は、前事業年度の法人税額が20万円を超えた場合です。中間申告が必要な場合、税務署から予定(中間)申告書用紙が送られてきます。用紙に必要事項を記載して、押印のうえ、税務署に提出します。なお、前年度の法人税の確定申告書をe-Taxで提出している場合、予定(中間)申告書用紙は送付されません。「法人税予定申告のお知らせ」を利用者本人のメッセージボックスに送信されます。e-Taxソフトを使用している場合には、このお知らせ内容から予定申告書の作成画面に移り、作成・送信することができます。

消費税の中間申告の対象

消費税の中間申告の対象になる事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の確定消費税額が48万円超(地方消費税を除く)となった場合です。対象となると税務署から予定(中間)申告書用紙が送られてきます。消費税の中間申告についても、消費税の確定申告をe-Taxをした場合には、用紙は送付されないので、「消費税中間申告のお知らせ」が、メッセージボックスに送信されます。

消費税の中間申告は、直前の課税期間の確定消費税額に応じて、中間申告の回数が変わります。条件など詳しくは、後述します。

なお、消費税には「任意」の中間申告制度が導入されています。本来、前事業年度の確定消費税額が48万円以下の場合、消費税の中間申告義務はありません。しかし、中間申告義務がなくても「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出すれば中間申告が可能です。

中間申告の方法は「仮決算」と「予定納税」の2つ

中間申告の方法は、以下の2つがあります。どちらの方法を選択するか、納税者が決められます。選択にあたって事前に申請などは不要で、毎年の申告方法をどちらか一方に固定する必要もありません。

例えば、今期は予定納税による予定申告を選択し、翌期に仮決算による中間申告を選択することも可能です

中間申告の方法1.仮決算

中間申告の対象期間を一課税期間とみなし、仮に決算を行うことを「仮決算」といいます。その仮決算の結果に基づき申告納付します。これは、確定申告と同様に決算処理をしなければならないため、それなりの手間や労力が生じる点に注意が必要です。

中間申告の方法2. 予定納税

前事業年度の決算時に納付した法人税額、確定消費税額を基に計算した額を、申告納付するものを予定納税といいます。前年度の実績を元に納税するだけであるため、税額の算出に手間がかかりません。

法人税・消費税、それぞれの予定納税額の算出方法は以下の通りです。

  • 法人税の場合は、前事業年度の法人税の2分の1の額。
  • 消費税の場合は、前事業年度の確定消費税額による。

詳細は下記の通り。

前事業年度の確定消費税額 中間申告回数 中間納付税額
48万円超~400万円以下 年1回 前事業年度の確定消費税額の12分の6
400万円超~4,800万円以下 年3回 前事業年度の確定消費税額の12分の3
4,800万円超 年11回 前事業年度の確定消費税額の12分の1

間違いやすい中間申告と予定申告の違い

前述した申告の方法をふまえて、予定納税による申告を特に「予定申告」と呼び、仮決算による中間申告と区別しています。

中間申告のための仮決算は、それなりの手間やコストが必要です。加えて、中間申告で納付した税金は確定申告で精算されるため、一般的には手間やコストのかからない予定申告が選ばれることが多い状況です。

しかし「前期は多額の利益が出たため多く納税したが、今期の経営が苦しい場合」や「前期の消費税額が特別多かった場合」などは別です。資金繰りを楽にするために、仮決算による中間申告が必要です。

仮決算による中間申告と予定納税による予定申告の違いを的確に理解し、状況に応じた使い分けが大切だといえます。

中間申告の納期限

次に中間申告の納期限について詳しくふれていきます。

法人税の中間申告の納期限

法人税の納期限は、事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内です。

消費税の中間申告の納期限

前事業年度の確定消費税額によって違いがあります。

消費税額が48万円超~4,800万円以下 消費税額が4,800万円超
中間申告の回数が1回・3回の場合

各中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内。

中間申告の回数が11回の場合

課税期間開始後の1ヶ月分 は、その課税期間開始日から2ヶ月を経過した日から2ヶ月以内。

それ以後の10ヶ月分は、 中間申告対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内。

例えば、年一回の消費税の中間申告の場合、個人事業者や12月決算法人は、8/31が消費税の中間申告・納付の期限です。

中間申告をしない場合はどうなる?

中間申告は、申告期日までに仮決算による申告をしないと、予定(中間)申告書用紙を提出しなくても、自動的に予定納税・予定申告となります。そのため、中間申告に関して無申告加算税は課されません。これは、確定申告とは異なる点です。しかし、納期限をすぎてしまうと、実際に納付する日までの期間に対する延滞税は、課せられます。延滞することのないように、注意しましょう。

photo:Getty Images

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