法人登記とは?会社登記の流れや必要書類をわかりやすく解説

2024/01/18更新

この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

会社を設立するときには、さまざまな手続きが必要になります。中でも重要なのが、法務局に対して行う「法人登記(会社設立登記)」です。法人登記は法律で義務付けられているため、会社を設立する際には、必ず行わなければなりません。
ここでは、会社設立時に欠かせない法人登記の手順や注意点の他、登記内容に変更が生じた場合の手続き方法も併せて解説します。

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法人登記は会社概要を開示し、法人として認めてもらう制度

法人登記とは、会社の概要を一般に開示し、法人として公的に認めてもらうための制度です。具体的には、社名(商号)や本社所在地、代表者の氏名と住所、事業の目的といった会社に関する概要事項を法務局に登録します。法人登記を行うと、正式に登記を行った証拠として、法務局から登記事項証明書が発行されます。
特に会社設立については、登記を行って初めて会社の存在が法的に認められます。会社設立の登記を申請するまでは、「会社」と名乗らないようにしましょう。

法人登記は会社設立時以外にも行うことがある

法人登記は設立時だけではなく、会社の所在地の移転や取締役の変更、商号の変更、増資や株式分割といった変更があった際にも必要です。そのため、会社を設立したときに行う法人登記を、「法人設立登記」ということもあります。

法人登記を行う目的

法人登記の目的は、設立した会社の概要を一般に公表して会社の信頼維持を図り、安心して取引ができるようにすることです。登記事項は誰でも自由に閲覧できるため、ビジネス上で取引先の実態を確認するための有効な手段となっています。
また、金融機関から融資を受けたり、新規の取引先と契約をしたりするときも、登記事項が会社の信頼度を判断する重要な要素になっているのです。

登記が必要な法人の形態

法人には、株式会社をはじめとするさまざまな形態があります。代表的な法人が、株式会社や持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)、特例有限会社です。
他にも、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人、学校法人などがあります。会社を設立する際には、これらすべての法人が登記を行う必要があります。

会社設立の流れと手順

法人設立登記を行う前には、いくつかの手続きが必要です。まずは、会社設立時の流れと必要な手続きの他、法人設立登記の手順を確認していきましょう。

会社設立の流れ

  • STEP1.
    会社の概要を決める
  • STEP2.
    法人用の実印を作成する
  • STEP3.
    定款を作成し、認証を受ける
  • STEP4.
    出資金(資本金)を払い込む
  • STEP5.
    登記申請書類を作成し、法務局で申請する

STEP1. 会社の概要を決める

会社を設立するにあたっては、まず会社の基本事項を決めなければなりません。基本事項では、社名(商号)、事業目的、所在地、資本金、会計年度(事業年度)などが主な項目になります。

STEP2. 法人用の実印を作成する

法務局に法人設立登記の申請をするときには、会社の実印が必要です。社名が決まったら、まず会社の実印を作っておきましょう。そのとき、法人口座の開設に用いる銀行印と、請求書や納品書などに押印する角印(社判)も一緒に作成しておくと、後々の手間がかかりません。
なお、法改正によって、2021年2月15日から、法人設立登記をオンラインで申請する場合、印鑑は任意となりました。ただし、書面で申請する場合は、これまでどおり印鑑が必要です。また、会社設立後に実印を使う場面は意外と多いので、会社設立のタイミングで実印を作っておいた方がいいでしょう。
同時に、法人設立登記の申請に必要な書類を揃えます。必要書類については、後の項で詳しく解説します。
法人登記時に作成すべき印鑑についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

法人登記に必要な印鑑の種類は?作っておくべき会社の実印を解説

STEP3. 定款を作成し、認証を受ける

定款(ていかん)とは、会社を運営するうえでのルールをまとめた、会社の憲法のようなものです。定款にはあらかじめ決めておいた会社の概要の項目をはじめとする、必要事項をまとめて記します。
株式会社の場合は、作成した定款を公証役場に提出し、認証の手続きを行います。合同会社、合資会社、合名会社の場合は、定款の認証は不要です。
定款についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

定款とは?会社(法人)設立時に必要な定款の書き方・作成方法

STEP4. 出資金(資本金)を払い込む

資本金の振込先は、発起人の個人口座になります。会社法では資本金の下限がないので1円から申請可能ですが、資本金が極端に少ないと、事務所を借りる際の契約料や備品購入の資金が足りなくなるおそれがあります。最低限の資本金として、初期費用に運転資金3か月分を足した金額程度は、用意しておくのがおすすめです。
資本金についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

資本金の平均額はどれくらい?金額の決め方や目安、注意点を解説

STEP5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する

ここまでの手順をすべて行った後に、法務局に法人登記の申請を行います。法人登記の申請を行った日が、会社の設立日となります。設立日を大安など特定の日にしたい場合は、逆算して準備を進めておきましょう。
なお、法人登記の申請が完了した後は、税金や社会保険関係の手続きを行います。従業員を雇う場合は、労災保険と雇用保険の加入手続きも必要です。

会社設立についての詳しい手順は、以下の記事を併せてご覧ください。

会社設立の流れとは?株式会社を設立するためにやることや必要書類を解説

合同会社設立の流れ 合同会社のメリットや手順、手続きに必要なもの

なお、法人登記の手続きはこちらの動画でも解説しているため、法人登記を検討している人は参考にしてみてください。

法人登記に必要な書類は?

法人登記の申請は、原則として株式会社の場合は代表取締役が、合同会社の場合は代表社員が行います。一般的には下記のような書類が必要になりますので、漏れのないようにしましょう。

設立登記申請書

設立登記申請書は、社名(商号)や本店所在地、登録免許税の金額、添付書類の一覧などを記載する書類です。法務局のWebサイト、「商業・法人登記申請手続 新規タブで開く」のページから申請書様式をダウンロードできます。

登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙は、登録免許税を納付する際に使用するA4サイズの台紙のことです。登録免許税は収入印紙で納付するため、金額に応じた収入印紙をこの台紙に貼り付けて提出します。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」となり、算出される金額が15万円に満たないときは、登記申請1件につき15万円です。なお、収入印紙への消印を押印してはいけません。

定款(謄本)

法人登記の手続きは、定款の作成および認証を終えてから行います。登記申請の際には、作成済みの定款の謄本を1部用意します。

発起人の同意書(発起人決定書、発起人会議事録)

発起人の同意書は、発起人全員の合意の下に、社名や事業目的、本店所在地などを詳細に決定したことを証明するための書類です。発起人決定書や発起人会議事録ともいいます。
発起人についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

株式会社を設立する際の「発起人」とは?意味や役割を解説

代表取締役の就任承諾書

代表取締役の就任承諾書は、代表取締役に就任することを承諾する旨の記載をした書類です。取締役が1人だけの場合は、一般的に代表取締役の就任承諾書と設立時取締役の就任承諾書を併せて出します。

取締役の就任承諾書

取締役の就任承諾書は、取締役への就任を承諾したことを証明する書類です。設立時に複数人の取締役がいる場合は、人数分の就任承諾書の作成が必要です。

監査役の就任承諾書

監査役の就任承諾書は、監査役に就任することを承諾した旨を証明するための書類です。監査役を設置しない場合は、提出は不要です。

取締役の印鑑証明書

登記申請の際には、設立時の取締役の印鑑証明書が必要です。印鑑証明書の有効期限は3か月間なので、有効期限が切れていないかを確認しておきましょう。取締役が複数人いるなら、全員分の印鑑証明書が必要です。ただし、取締役会を設置している場合は、代表取締役のみ必要となります。

出資金(資本金)の払込証明書

出資金(資本金)の払込証明書は、定款に記載されているとおりの資本金が、所定の銀行口座に振り込まれているかを証明する書類です。資本金の払込みを証明するため、通帳の表紙と1ページ目(表紙の裏)、振込内容が記帳されているページのコピーが必要です。

印鑑届書

印鑑届書は、会社の実印を届け出るために必要な書類です。法人登記の際に必須ではありませんが、後日改めて登録をする手間を省くために、登記申請と一緒に提出するケースがほとんどです。

登記すべき事項を記録した別紙、または記録媒体

登記すべき事項を記録した別紙、または記録媒体は、定款に書かれていないことを補足するための書類です。「登記すべき事項」は、設立するのが株式会社か合同会社かによっても異なります。書面で提出するケースが多いですが、CD-RやDVD-Rなどの記録媒体での提出も可能です。

法人登記の申請方法

法人登記の申請には、窓口で申請、郵送で申請、オンラインで申請の3つの方法があります。法人登記の申請方法の特徴を、1つずつ見ていきましょう。

法務局の窓口で申請

管轄の法務局の窓口に出向き、法人登記に必要な書類一式を直接提出することができます。提出書類に不足がないかを窓口でチェックしてもらえるため、登記申請に不安がある人にはおすすめです。
提出書類の内容に問題がなければ、申請から1週間~10日程で登記が完了しますが、その際に法務局からは、特に登記完了の連絡はありません。
もし、提出書類に不備があったときは法務局から連絡が入り、指摘された箇所を補正(訂正)して期限内に再提出します。

郵送で申請

管轄の法務局宛に、必要書類一式を郵送して法人登記の申請をすることもできます。郵送方法に決まりはありませんが、配達状況が追跡できる簡易書留や引き受けを記録する特定記録郵便で送ると、届いたかどうかがわかるので安心です。法務局に行く時間がない方や遠方の方には便利な方法といえます。
登記完了までの期間は、窓口での申請の場合と同じく、1週間~10日程です。提出書類に不備があった場合は、法務局に直接再提出する他、郵送で補正(訂正)することもできます。

オンラインで申請

オンラインの場合は、法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと 新規タブで開く」から法人登記の申請を行うことが可能です。好きな時間に自宅から申請ができますが、あらかじめ専用ソフトをダウンロードする必要があります。また、電子証明書の読み取りが必須となるため、慣れていない方にとっては、ややハードルが高い方法だと感じるかもしれません。
提出書類に不備があった場合は、登記所から「登記ねっと 供託ねっと」に補正(訂正)のお知らせが届きますので、オンライン上で補正(訂正)して提出、または、補正書様式の書面を法務局に直接再提出する他、郵送することで訂正が可能です。
法人登記をオンラインで申請する方法についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

商業登記・法人登記をオンライン(電子)申請する方法は?

法人登記の書類で注意すべき点は?

法人登記の申請書類に不備があると、補正(訂正)して再提出しなければならないため、手間と時間が余計にかかってしまいます。法務局のチェックで指摘を受けやすいのは、主に下記のようなケースです。申請前にしっかり確認しておきましょう。

法務局のチェックに引っかかるケース

  • 必要事項の記入漏れ
  • 商号、所在地、代表者住所などが誤っている(登録の誤字や脱字など)
  • 登録免許税を収入印紙で貼る場合の貼り忘れ
  • 実印の押し忘れ

きちんと書類を見直したつもりでも、ミスや漏れが起こらないとは限りません。初めての登記申請や書類作成に不慣れな場合は、テンプレートや書類作成サービスを活用するのがおすすめです。

法人登記の書類作成の手間を省くには?

法人登記の申請にはさまざまな書類が必要になり、一からすべてを作成するのは大変な作業です。書類作成の手間を削減し、ミスを防ぐには、無料のクラウドサービス「弥生のかんたん会社設立」がおすすめです。

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登記内容の変更が必要なタイミングとは?

法人登記をした後で登記事項に変更が生じた場合は、「変更登記」の手続きを行う必要があります。
変更登記を行うのは、下記のような場合が該当します。

  • 社名の変更や本店所在地の移転があったとき
  • 代表取締役の住所が変わったとき
  • 事業目的の変更や新規事業を始めたとき
  • 任期満了などにより取締役や監査役を変更したとき
  • 法人を解散するとき

変更登記の手続き方法

変更登記は、会社設立時の法人登記と同様に、窓口、郵送、オンラインの3つの方法で申請ができます。
変更登記の期限は、変更から2週間以内と決められています。期限を過ぎても受理はされますが、期限内に変更登記を行わなかった場合、会社の代表者に対し、100万円以下の罰金(過料)が科せられる可能性があるため、注意が必要です。

12年間変更登記がないと会社が解散したと見なされる

株式会社の場合、最後に法人登記をしてから12年間変更登記がないと、官報に届出を促す公告が出された後、会社が解散したと見なされてしまいます。こう見なされる背景は、現行での役員の任期が最長10年のため、12年以内に変更登記が行われる想定だからです。
このように、変更登記は大切なものですので、手続きを忘れないようにしてください。

便利な書類作成サービスを活用して、法人登記をスムースに進めよう

会社を設立しようとするとき、法人登記を避けて通ることはできません。登記申請にはさまざまな提出書類があり、作成に不慣れな方にとっては大変な作業になります。
弥生のかんたん会社設立」といったクラウドサービスを利用すれば、法人登記に必要な書類を、無料で簡単に作成することが可能です。会社設立手続きにかかる時間を短縮し、その分事業に集中できます。こうしたサービスを上手に活用して、起業をスムースに行いましょう。

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この記事の監修中野 裕哲(なかの ひろあき)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト「DREAM GATE」で10年連続相談数日本一。
著書・監修書に「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』新規タブで開く」、「図解 知識ゼロからはじめる起業の本 新規タブで開く」がある。
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