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【新型コロナ】事業者向け助成金・補助金・給付金など「もらえるお金」の話を税理士が緊急解説!

新型コロナウイルスの影響は、人々の生活に多方面で影響を及ぼしています。そうした影響を少しでも緩和すべく、国を中心にさまざまな補助金や助成金、給付金や協力金など「もらえるお金」の支援策が発表されています。中小企業や小さな店舗の経営者、個人事業主などの事業者に向けて、どのような施策がどんな条件で行われているのかということをまとめました。

※※持続化給付金の申請期限は、2021年1月15日までです。※※
ただし、2021年1月14日発表により、特段の事情がある方の書類の提出期限が、2021年1月31日から2021年2月15日まで延長されました。該当条件や書類の提出期限延長の申込期限などもあるので、詳細は以下をご確認ください。(2021年1月15日 スモビバ!編集部追記)

※2021年11月19日 厚生労働省より、令和4年1月以降の雇用調整助成金の特例措置等についての情報が発表されました。(2021年11月24日 スモビバ!編集部追記)

POINT
  • 「持続化給付金」は今年の売上が2019年の同月比で50%以上減少している場合が対象
  • 「雇用調整助成金」は、原則的な措置については全国・全業種の事業者が対象
  • 各自治体が独自に行っている給付金もチェックしておく

売上が2019年の同月比で50%以上減少している法人や個人事業主、フリーランスがもらえるお金「持続化給付金」

※※持続化給付金の申請期限は、2021年1月15日までです。※※

法人や個人事業主、フリーランスの人が受給対象となっている給付金があります。それが「持続化給付金」です。

原則的に昨年売上からの減少分が給付され、法人は200万円、個人事業主・フリーランスの人は100万円が上限となります。

2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があることが、要件のひとつです。2019年に起業したとしても対象事業者になります。つまり、2020年に開業・起業した事業者(※)は対象にはなりませんのでご注意ください。

(※)2020年6月12日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例等に関する法律が成立しました。「持続化給付金」については、2020年1月から3月に創業した方についても、新たに持続化給付金の対象とされます。
2020年6月26日、経済産業省の持続化給付金ページに6月29日(月)付の申請要領、申請規程、給付規程が更新されました。
2020年6月29日(月)から「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者」「2020年新規創業者」の方が申請可能です。(2020年6月26日 スモビバ!編集部追記)

売上が2019年の同月比で50%以上減少している場合に対象となります。例えば、2019年4月の売上が100万円、2020年4月の売上が50万円というような場合に支給を受けられます。もちろん減少した月が4月である必要はなく、同様の売上の減少が2020年のどこかの月で発生していれば、受給要件を満たすということになります。
受給できる金額は、以下の計算式で計算した金額です。

前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%月の売上げ×12ヵ月)

給付について簡単に数字を当てはめてみましょう。2019年4月のお店の売上が200万円あった事業者が、2020年4月には、新型コロナウイルスの影響で、売上が90万円まで減少してしまったケースです。この場合は、去年と今年の4月を比較して、2019年よりも2020年が50%以上減少していますので、受給要件は満たします。

そして、2019年の総売上が2,500万円だった場合、上記の数式を当てはめると、

2,500万円-(90万円×12)=1,420万円となります。

この金額は、上限の200万円も100万円も上回っていますので、法人であっても個人事業主であっても上限額での給付を受けることができます。

なお、個人事業主の場合、2019年分の確定申告を青色申告で行っている場合と白色申告で行っている場合で、計算方法と申請書類が異なります。
去年の対象月の収入額は、個人事業主の場合、青色申告なら決算書の内容で、白色申告の場合は年間収入の平均で算出します。

証拠書類等の名前 証拠書類等の内容
確定申告書類(青色申告) ・確定申告書第一表(1枚)
・所得税青色申告決算書(2枚)
※少なくとも、確定申告書第一表の控には収受日付印が押されていること
確定申告書類(白色申告) ・確定申告書第一表(1枚)
※収受日付印が押されていること
2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳等 ・対象月の売上台帳等
通帳の写し ・銀行名・支店番号・支店名・口座種別
・口座番号・口座名義人が確認できるもの
本人確認書の写し ・運転免許証(両面)、個人番号カード(オモテ面のみ)、写真付きの住民基本台帳カード(オモテ面のみ)、在留カード・特別永住者証明書・外国人登録証明書(在留の資格が特別永住者のものに限る・両面)のいずれかの本人確認書類

※経済産業省:持続化給付金申請要項(個人事業者等向け)2020年6月29日以降用より引用

持続化給付金の申請には、確定申告書の添付が必要となりますし、前年の売上との比較ということも必要になります。日頃から経理についてしっかりと行っていることが受給するために重要なポイントになります。

持続化給付金については、以下のリンク先でより詳細に解説しています。

従業員に支払った休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」

飲食店などであれば、正社員やアルバイトなどの雇用もつきものです。人を雇用している飲食店の中には、新型コロナウイルスの影響で雇用を維持することができるかという切実な問題に直面している人も数多くいるでしょう。

新型コロナウイルスの影響で仕事が減ったりお店の営業時間を縮小したり、そもそも営業を休止したりと、どうしても従業員に自宅待機をしてもらわざるを得ないということもあるでしょう。従業員が自主的に休みたいという場合には有給休暇を充てることもできますが、事業者の指示によって休ませた場合には、従業員の給与はどのようになるのでしょうか?

この場合は、労働基準法上、「休業手当」の支払い義務が発生します。休業手当とは、事業主都合で従業員を休ませた場合に、直近3ヵ月の給与の平均額の60%以上を手当として支払わなければならないという制度です。

そもそも新型コロナウイルスの影響で生じた休業が事業主都合といえるのかという議論もありますが、現在の解釈では休業手当を支払わなければならないということになっています。事業者にとっては、ただでさえ売上が上がりにくい状況のなか、休業手当の支払いまでしなければならないとなると、相当な負担となります。

そこで用意されているのが、雇用調整助成金です。雇用調整助成金は、従業員に支払った休業手当の一部を助成する制度です。この助成金自体は、新型コロナウイルスが発生する前からずっとある制度です。しかし、新型コロナウイルス対策として、支給要件の緩和や、助成額の増額など、2020年9月30日までの休業に対しては、期間限定で受給しやすいように制度が変更されています。

新型コロナウイルスの影響で緩和後の、主な要件は以下のとおりです。雇用調整助成金自体は、新型コロナウイルスによる緩和措置が終わった後も、引き続き運用される制度です。あくまで以下の要件は、2020年4月1日から2021年2月28日まで(※)に適用されるものだということでご理解ください。

  1. 2019年の同じ月と比較して、売上が5%以上減少していること(2019年の比較月に雇用保険に加入していない場合には、2019年12月の売上と比較)
  2. 休業手当を支払っていること(雇用調整助成金は休業手当の一部助成なので、休業手当の支払いをしていることは当然です。有給休暇を取得している日や、土日祝を休みにしている場合の休日などは、対象外です)

受給額は、支払った休業手当1日あたりの金額の90%(2020年1月24日以降、従業員の解雇をしている場合は80%)です。なお、助成額は15,000円が上限とされています。(※)

従業員を一斉に休ませる必要はなく、交代制などでバラバラと休んでもらっている場合も対象にできます。さらに、学生アルバイトや扶養内のパートタイマーなど、雇用保険に入っていない従業員も対象にできます。ただし、家族経営の家族従業員など親族に休業手当を支払っている場合は対象外となります(ただ、家計の中でお金が回っているだけという扱いになります)。

支給申請については、書類が簡素化されているとはいえ、やはり多くの書類の提出が必要です。もし自分での申請が難しそうなら、助成金の専門家である社会保険労務士に相談してみるとよいでしょう。

注意する点として、雇用ではなく業務委託として、毎月定期的に業務委託料を支払っているというケースもあります(例えば、お店の運営を完全に任せている業務委託の店長など)。

しかし、雇用調整助成金は、あくまで雇用契約を締結している従業員に対して支払う給与が対象です。業務委託で働いている人への支払いは対象外です。ただし、この場合は、業務委託で働いている人がしっかりと確定申告をしていれば、先ほど説明した持続化給付金の対象にはなります。

なぜなら、業務委託で働いている人は個人事業主に該当するからです。もし、業務委託先の個人に業務委託料の減少によって何か補償してもらえるのか聞かれたら、持続化給付金の申請を行うように案内してあげるとよいでしょう(もちろんその外注先の人が確定申告していることが条件です)。

事業者としては、雇用でない以上、業務委託先の個人に対して休業手当のような補償をする義務は法律上ありません。

なお、2020年6月12日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律が成立しました。これに伴い、雇用調整助成金の更なる拡充が行われました。

これにより、2020年(令和2年)4月1日から9月30日(※)までの期間の休業及び教育訓練について、企業規模を問わず雇用調整助成金の1人1日あたりの助成額の上限額は、8,330円から15,000円に引き上げられました。

そして、解雇等をせずに雇用を維持している中小企業の休業及び教育訓練に対する助成率は、原則9/10(一定の要件を満たす場合は10/10など)となっていましたが、この助成率を一律10/10に引き上げられました。

上限および雇用維持での助成率は、すでに申請済の事業者についても、2020年(令和2年)4月8日以降の休業等に遡及して適用されます。労働局・ハローワークで追加支給分(差額)を計算しますので、再度の申請手続きは必要ありません。(※)

オンライン申請も可能です。

(※)2020年6月12日、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の成立にもとづき、加筆修正。(2020/6/12 スモビバ!編集部追記)
さらに2020年11月27日 厚生労働省より、2021年(令和3年)2月28日までの雇用調整助成金の特例措置等の延長が発表されました。(2020年12月1日 スモビバ!編集部追記)

「東京都感染拡大防止協力金」など、各自治体独自の給付金も

自治体によっては、国が行う制度のほかに、独自に給付を行うところもあります。

参考までに東京都では、2020年4月16日から2020年5月6日の間に休業(飲食店などは時短営業含む)を行った事業者に対して、50万円(多店舗経営の場合は100万円)を「東京都感染拡大防止協力金」ということで支給しています。

この申請手続き自体は30分程度で終わるような内容となっています。同じような給付を行う自治体も、それほど手間がかからず申請できるものになっています。

こうした給付を受けるうえでも、確定申告書(税務署が受理したもの)の控えのコピーなどが添付書類になっていることがあります。持続化給付金も同じですが、しっかりと経理業務を行って、確定申告を行っているということが、さまざまな補償を受けるうえでは重要です。

東京都以外の自治体でも独自の施策として休業要請をした事情者や施設に給付金を支給している自治体があります。まずは事業所のある各自治体のホームページをチェックしてみましょう。

なお、緊急事態措置期間が2020年5月31日まで延長されました。それにともない、2020年5月7日からの措置期間において、東京都の休業要請等に協力を行った中小事業者に対する協力金の取扱いについては、「東京都感染拡大防止協力金(第2回)」として2020年6月17日14時から受け付けが始まっています。(※)

(※)「東京都感染拡大防止協力金」は、終了しています。なお、2020年12月18日~2021年1月7日実施分の東京都「業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」について、2021年(令和3年)1月26日(火)14時00分から申請受付が開始されました。(2021年1月28日 スモビバ!編集部追記)

幅広い事業者が応募可能な「各種の補助金」もチェックしておこう

年に何度か募集が行われる各種補助金についても、新型コロナウイルスの対策として特別な措置が取られています。IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金など、名の知れた補助金でも特例が設けられています。

例えば、これまで出前をやっていなかった飲食店が出前注文を受け付けるためのWebサイト制作を行ったり、テイクアウトを開始するための投資をしたりといった具合に、新型コロナウイルスに伴って非対面型の業態へモデルチェンジをすることに対する補助を受けられたり、審査での加点が行われたりします。

先ほどの雇用調整助成金と異なり、こうした補助金は、人を雇用しておらず1人でお店をやっている法人や個人事業主でも対象になるため、持続化給付金のように幅広い事業者が応募可能です。

こうした補助金はもらえるお金ですが、以下の2つの点に注意しておきましょう。

  1. すでに購入しているものは対象外(補助金の審査に合格して、初めて計画どおりのモノやサービスの購入が可能となります。審査合格前に購入しているものは対象外になってしまいます。ただし、補助金によっては、すでに購入したものも遡及適用できる場合があります。それぞれの補助金の要件を確認しておきましょう。
  2. 「使ったお金」に対しての一部補助である(あくまで補助の対象となるモノやサービスを購入した場合の一部補助です。事業を開始する際に一定のお金をもらえるというわけではありません)

こうした補助金の情報については、応募できる期間が決まっているため常にどのような補助金が受給できそうか情報収集をしておくことが重要です。また、応募にあたっては審査のための事業計画書などの書類を作成することも必要です。一人で申請するのが難しいと感じたら、中小企業診断士や税理士などで、補助金に強い専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

一律10万円が支給される「特別定額給付金」は郵送かインターネットで申請する

新型コロナウイルス対策として、すべての国民にとって関係してくるのが、特別定額給付金です。所得による制限付きで1世帯30万円という条件から、所得に関係なく一律10万円というに変更されたことが話題になりました。

2020年4月27日において、住民基本台帳に記録されている人、別の言い方をすれば住民票が取得できる人が給付の対象です。対象は国民一人ひとりですが、お金を受け取れるのは世帯主ということになっています。3人世帯であれば、世帯主が合計30万円を受け取るということです(家族一人ひとりの口座に10万円ずつ受け取るということではありません)。

特別定額給付金については、収入による制限がないので、申請すればだれでも受け取れることになっています。裏を返せば、申請しないと受給できないということです。申請しないとか、申請してから寄付するなど、いろいろな人が自分の方針を表明していますが、使い方は人それぞれ。

事業をやっていれば少しでもその足しになるようにしてもよいでしょう。ちなみに、特別定額給付金については所得税などの税金は非課税となっています。確定申告などのことは気にしなくても大丈夫です。

申請書はお住まいの自治体から郵送されてきます。申請方法については、申請書を住民票のある自治体に郵送するか、インターネットから申請(マイナンバーカードを保有している場合のみ)となります。

感染拡大防止のため、基本的に役所の窓口での受付は行わないということになっています。必要書類といえば、本人確認書類や世帯主名義の通帳コピーなどだけですので、誰でも簡単に申請することが可能となっています。

写真: 塙薫子

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