確定申告しないとどうなる?間に合わない時は?待ち受ける罰則をチェック!

個人事業主にとっての大一番ともいえる、所得税の確定申告。
万が一、確定申告をしなかったり、申告期限を過ぎてしまったりすると、実は罰則があるのです……!
まだまだ確定申告の準備中という方も、もう申告済みだよという方も、思いがけずペナルティを食らってしまうことがないように、公認会計士兼税理士の星野さんと、MENSA会員の一平さんによる超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのおふたりと一緒に、税にまつわる罰則について、勉強しておきましょう!
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目次
2019年分の確定申告。連載を一年間続けてきたGパンパンダの進行具合は!?
――そろそろ確定申告ラストスパートの時期!ということで、今回は「税に関する罰則」という、何やら怖そうなテーマですが……。
一平:みんな確定申告を頑張りたいシーズンなのに、気が滅入るテーマじゃないですか?
星野:でも、税にまつわる罰則についても、正しく理解しておくことが大事ですからね。
――重いテーマに入る前に、ちょうど確定申告シーズンの真っ最中ですから、まずは取材時点(2020年2月上旬)での、お2人の確定申告の進行具合について伺っておきましょうか!以前の記事で、星野先生ご自身のお仕事はできる限り1月中にまとめておいて、2~3月は芸人さんの確定申告対策を頑張りたいとおっしゃっていましたが……。
星野:自分が担当しているクライアントの分は、コツコツと作業を進めていたので、前回よりはかなり順調そうです。2月中には、クライアントや自分の確定申告には、ケリをつけられるんじゃないかと!
一平:とはいえ、今回も芸人からの駆け込み質問は、多そうだと思うけどね~。周りの芸人たちは、去年の星野が3月に質問されまくりで、てんやわんや状態になってたのを知ってる人も多いしね。みんな去年までは「星野、これなんだけどさー」って気軽に聞いてきてたけど、今年は「ごめん……今、ちょっと質問しても大丈夫かな……?」って、気を使いながら聞いてくる感じ(笑)。
星野:そうなんです。僕の周りの芸人たちの確定申告に対する意識も高まってきておりまして、例年よりも、確定申告に関する芸人からの質問が増えていますね。これまでは3月に入ってから、申告期限ギリギリの駆け込み質問ばかりでしたが、今年はすでに1月からあれこれ聞かれてるんですよ。
だから、今は順調ですけど、この記事がアップされる頃には苦しくなっているかもしれません。僕のツイートの工夫のなさによって、余裕がないのがバレるかも……。
一平:読者のみなさん!今すぐ星野のTwitterを要チェックですよ!おもしろく書こうとしている様子が見られなかったら、「意識が低い芸人たちの追い込みのせいで、心が死んでいるんだな」と思ってください(笑)。
――さて、一平さんも確定申告の意気込みとして、「会計ソフトを導入し、完璧かつ超・能率的な確定申告の土壌が整ったから楽しみ!」とお話しされていましたね。調子はいかがでしょうか?
一平:2019年は会計ソフトと、銀行、クレジットカード、交通系ICカードなど、すべて連携済みで完璧……だと思っていたんですが……。
星野:あれ?雲行きが怪しいぞ?
一平:この2020年の1月になって、「よし。2019年分の銀行やカード類の支出は、帳簿にほぼ入力されているだろう。あとは現金の支出を手入力すればOK!」と思い、確認してみたところ……交通費が、ある時期から全部入っていないことが判明しまして……。
――それはいったい、どういうことでしょう???
一平:2019年に引越しをして、使う路線や定期などが変わった関係で、モバイルSuicaからPASMOに切り替えたんですよ。……で、PASMOと会計ソフトの連携ができないみたいで、引越しをしてからの交通費を、すべて洗い出さないといけない状態なんです……。
――完全に予想外のアクシデントですね……!
一平:確認後、慌ててもう一度モバイルSuicaに切り替えたんですよ。だからこれからの2020年分の交通費は大丈夫なはずですが、やらなきゃいけない2019年分の作業を考えると、ゾッとします。最悪だ~~~!!
――2019年分のPASMOの明細を取り寄せたりしないといけないんですか?
一平:それもできません!なぜなら、PASMOは履歴が消されてしまうので……(泣)。だから、スケジュールを見直して、毎日どこにどのルートで行ったか思い出して書くしかない……。
星野:これはもう、「過信をしていた」の一言に尽きますよ。もうちょっと前の段階で、会計ソフトを一度確認しておくという作業をしておけば、早く気づくことができたにもかかわらず、「僕は完璧!最強!」と言い続けて遊び暮らした結果、アリとキリギリスのキリギリス状態になったわけです。
一平:いや!冬を越せてないわけじゃないから!!
星野:一平くんは、このままだと冬を越せません。交通費を洗い出しているうちに凍えてしまいます。
一平:くそ~!!!
星野:まあ、「○月○日はどこへどのルートで行った」というのは、最終的にまとめて紙で保管しておく必要があるけど、会計ソフト上は、「○月分交通費」というように、1ヵ月に1つずつの仕訳でも大丈夫だよ。
一平:あっ……よかった……。チョロいですね、確定申告!
星野:またすぐ調子に乗ってる……!
一平:でも、交通費の件以外は、かなり会計ソフトを使いこなしていますよ。たとえば、友達の分も映画代を僕がまとめて払った場合、「クレジットカードで3,600円の支出」となっていますが、自分の分の映画代のみ経費にして、友達の分の1,800円は、事業主貸で計上したりしていますから!
星野:その映画、ちゃんと事業に関係のあるやつだよね?(鋭い目)
――とりあえず、今のところ一平さんの2019年分の確定申告は、思いがけないハプニングはあったものの、致命傷にはならずに済みそう……という感じなんですね。
一平:あ、会計ソフトをご利用中の読者のみなさん!2020年分の経費が、もう2ヵ月分は、たまっているはずなので、正確に入力されているかチェックしてみてください!これはマジで大事なことです!!
――経験者ならではの、熱のこもったアドバイスをありがとうございます(笑)。
一平:毎年、何かしらはミスってるんだよな~。一年に一度しか確認しないと、対応も遅れてピンチになっちゃうってことを学びましたよ。
――星野先生は、実際に数ヵ月に一度は会計ソフトや帳簿の確認などをしているんですか?
星野:クライアントから資料をもらえるペースにもよりますが、3ヵ月に一度は、経費関連はなるべく確認するようにしてますね。そのくらいの頻度でチェックしておけば、ルーティンとなる支出の仕訳などについて考える余裕ができて、その後もラクになりますから。
――2020年分の確定申告に向けて、実践的なアドバイスになりそうですね。そして、この記事がアップされた今、果たして一平さんの確定申告は無事に終わっているのかどうか楽しみです!
一平:あっという間に終わってるでしょうね(ドヤ顔)。SNSに「確定申告、完了です!」という投稿は絶対にしますから、記事のアップとどちらが早いかの勝負です。
確定申告の期限までに、申告をしなかった人の罰則とは?
――ここからは、今回のテーマである「税に関する罰則」についてお話を伺っていきましょう。確定申告をしなかった場合や、申告漏れがあった場合にどんな罰則があるのか知っておくことは、自分の身を守ることにもつながるはずです。まずは、申告期限までに申告をしなかったケースの罰則について教えてください!
星野:そもそも確定申告をしなかった……という人には、「申告しなかった分だけ、追加で税金を払いなさい」というペナルティがあります。これを「無申告加算税」といいます。
一平:この記事を読んでくれている人の中には、そんな人はいないと信じたいけど(笑)。
星野:無申告だった人に対しては、改めて所得税の納付額を計算するんですが、その本来の納付すべき金額に、追加で「納付額×15%」の罰金が科されるわけです。
一平:ヤバッ!
星野:さらに、もともと納付すべき金額が50万円を超えると、ペナルティの割合が上がって、「50万円を超えた分の金額×20%」になります。納付すべき金額が大きい人ほど、無申告のペナルティも大きくなる制度といえますね。
一平:なるほど。庶民に優しいペナルティね。
星野:……まあ、そうとも言えるね。珍しい考え方だけど(笑)。
――それは、「頑張ったけど間に合わなかった」「急病で提出することができなかった」などの個人の事情は、一切考慮してもらえないのでしょうか?
星野:確定申告の期限を過ぎてしまった全員に、等しくペナルティが課されるわけではありません。提出する意思があって、なおかつ「法定申告期限から1ヵ月以内に、自主的に申告、その申告に係る納付すべき税額を、法定納期限までに納めていること」「過去5年間、無申告による指摘や調査を受けていない」という要件を満たす場合には、無申告加算税はかかりません。
ただし、青色申告の方が申告期限を過ぎてしまった場合、青色申告特別控除の額が、65万円から10万円に減額されてしまいます。
一平:避けられない事情でどうしても遅れてしまったという人には、救済措置があるんだね。国の優しさシリーズだ。しかし、1ヵ月も待ってくれるなんて、夏休みの宿題より甘いなあ。一日でも遅れたらめちゃくちゃ怒られたからな~。
星野:事故や病気など、不測の事態を考慮してくれているんだよ。
一平:この連載でよく思うけど、税関連は意外に優しい制度が多いよね。税務署は鬼じゃない!
星野:そうです。誠実な納税者に対して、非情なことはしないから。ただし、だからといって先延ばしにしないで、できるだけ早く申告しましょうね!無申告の指摘や調査は、納付すべき金額にかかわらず行われますし。
一平:全然売れてない若手芸人のところにも、税務調査が来たって話を聞くよね。
星野:そもそも無申告というのはNGですからね。何度も言っていますが、確定申告は義務なので!この記事を読んでいるあなたは、確定申告を諦めず、頑張ってくださいね!
確定申告を間違えてしまったらどうする?場合によっては罰則が!?
――確定申告を済ませた後に、間違いに気づいてしまった!というケースもあると思います。やはり罰則はあるのでしょうか?
星野:間違いに気づいて直すタイミングによって、罰則なども変わってきます。申告期限内なら「訂正申告」といって、確定申告書類を提出し直すことができます。これは基本的に罰則がありません。
一平:期限内だと、安心して訂正し放題なんだ。
星野:次に、申告期限後に間違いに気づき、提出し直すケースのうち、所得税の金額が減る場合は「更正の請求」という対処法があります。所得税の納税額が減った分だけ還付を受けることができますし、税務署から見ても、税金を払っていなかったわけではないので、こちらも特にペナルティはありません。
一平:期限を過ぎても、「もっと経費を多く計上できたことに気づいた!」みたいなときは、提出し直すのがお得だね~。
星野:ペナルティが発生してしまうのは、申告期限を過ぎることに加え、納付すべき所得税の金額が実際はもっと多いことに気づいた場合ですね。このケースでは「修正申告」を行い、「過少申告加算税」がかかります。納付していなかった分の金額に、追加でペナルティが発生する仕組みですね。
一平:過少申告加算税は、どういう割合で算出されるの?
星野:原則として、「納付していなかった分の金額×10%」だね。ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告していた場合には過少申告加算税はかかりません。
なお、修正申告をする場合、追加で支払う分の所得税は、本来の納付期限を過ぎている、ということになりますよね。この場合、所得税の申告だけでなく納付も、本来の期限を過ぎている……ということになりますよね。原則的に3月15日が期限で、今回だと、2020年4月16日(木)(※)が、「所得税の申告かつ納付期限」ですから。
一平:あ~、なるほどね。2020年4月16日って、「申告だけでなく、納付まで終わらせてください」っていう日付なんだ。
星野:納付すべき所得税を払うのが、決められた期限より延滞してしまったということで、シンプルに遅れた分の期間に応じて「延滞税」というものもかかることになります。
一平:レンタルDVD店方式ね。
星野:そう。わかりやすく言うと、レンタルDVD店の延滞料金システムみたいな感じ。払っていない期間が長ければ長いほど、延滞税も増えます。
――ライターの仕事だと、報酬からすでに源泉徴収されていて、確定申告後は還付金が振り込まれるケースがほとんどなので、お恥ずかしながら、所得税の納付のタイミングについてしっかり理解していなかったです。
星野:確定申告で所得税の納付が発生する人は、自分で税務署に税金を払う手続きも必要なので、申告と納付はワンセットで考えておくといいでしょう。「これまで還付だったけど、今回から納付に変わる」という人は要注意ですね。
一平:業種や仕事の形態が変わって、源泉徴収されなくなった人とかも気をつけないとだね。不慣れだと、期限内に納付まで終わらせられるかどうかも怖いから、やっぱり確定申告は早めに、そして正確に行うに限る!
――たとえば、納付が必要な人で、申告は期限内にバッチリ済ませたけど、やむを得ない事情で納付が遅れてしまう……というケースだと、罰則はどうなりますか?
星野:法定申告期限までに、「所得税の納付がちょっと無理かも……」という届を出しておくと、納付期限をちょっと延長してもらえるので、ペナルティもなく、ちょっと大丈夫になります。住民税は分納できますが、所得税は基本的に一括納付で、どうしてもそれが大変な人もいますからね。
一平:所得税もカード払いできるんだ!ポイントも貯まってお得じゃん♪
星野:悪さをするわけじゃなく、合法的な資金繰りの方法といえますね。今は税金もさまざまな支払い方法に対応していますから、気になる人は調べてみるといいかもしれません!
悪質な申告はダメ!絶対!「重加算税」の怖さ
――自ら間違いに気づいて、修正する場合の罰則はわかりました。そうではなく、実際はあった売上をなかったことにしたり、経費を水増しで計上したりしていた場合は、どのような罰則がありますか?
星野:税務署から「納税者が、納税額を減らそうと悪質に動いていた」とみなされると、より大きなペナルティを食らうことになります。「仮装(かそう)・隠蔽(いんぺい)」という言葉を使うんですが……。
一平:仮装・隠蔽!?一気に犯罪感が増して、怖いな~。
星野:間違っていると自分でわかっていながら、納税額を減らすため、あえてその間違った内容で申告している……そう判断されたときのペナルティが、「重加算税」です。「追加で払うべき本来の税額×35%」の金額が科されます。
一平:これは高額!厳しい!
星野:誰でも一定で35%というわけではなく、場合によっては40%などになることもありますよ。ですから、確定申告で間違いに気づいたら、「悪質なことをわざとやっているわけではありません!」と示すためにも、自主的に修正申告をするほうがいいでしょう。そのほうが、ペナルティの金額もかなり小さくて済みます。
一平:確定申告書類の提出が済んだら、「やったー!終わったー!」と思っちゃうけど、提出前後の見直しもちゃんとやるほうがいいね。そして間違いに気づいちゃったら、面倒でも修正する、と。
星野:売上や経費に不審な点があり、さらに納税者自身から修正申告もしてこないとなると、税務署もやっぱり、その納税者にいい印象は抱かないでしょう。
一平:当たり前だけど、悪いことはしちゃダメ!ってことだよね、本当に。
星野:一度重加算税を賦課されると、将来的にも調査の頻度があがることになります。
一平:ここまで出てきた罰則の中で、世間的にニュース番組とかで言われる「脱税」のペナルティはどれなの?
星野:「脱税」という言葉がさまざまな意味合いで使われるので限定しにくいけれど、例えばニュースで「脱税によって○○が逮捕された」といった形で報道される事案は、特に悪質で規模の大きい脱税行為なので、行政罰として重加算税が賦課されているケースが多いね。
一平:そうなんだ。重加算税を食らうと、みんなに「脱税野郎」って思われちゃうわけだから、払う金額もキツいけど、世間的なイメージダウンもヤバいなあ。僕も芸人仲間も、有名人になる理由が「脱税」にはならないように気をつけなきゃ……!
ペナルティが発生した場合の税金は経費にできる?
――残念ながら、無申告加税や延滞税などのペナルティが発生してしまった場合、それを経費にできますか?という質問が寄せられているのですが……。
星野:……図々しい質問ですね。いったい何を聞いているんですか(怒)。
一平:これは、芸人のラジオに送られてきた投稿ハガキだとしたら、超優秀なおもしろラジオリスナーのネタですよ!(爆笑)全国のハガキ職人のみなさん、僕らに伝えたい税金ボケが浮かんだら、「スモビバ!」にどんどん投稿してください!
――読者の方々が、税金大喜利で盛り上がれるほど知識が身についたら、素晴らしいことですね!
星野:えー、この質問がガチなのかネタなのかはさておき。ペナルティのお金は、事業のうえで必要だったお金ではありませんよね。ペナルティのお金によって仕事を行えたというわけではないので、経費にはできません。
一平:「もっと稼いで、罰金を払わないと!」と、仕事のモチベーションアップに役立てている人もいるかもしれないのに~。罰金を計上するときは、どういう仕訳にすればいいの?
星野:科目はなんでもいいけど、「事業主借・事業主貸」として、個人事業主としての収益費用にはしないように。プライベートのもの扱いというか……。
一平:仕事とは完全に無関係な、プライベートの罰金ってことになるわけね。人間としての罰……!
星野:「自分はダメな人間だった」ということの証明になるだけです(ニッコリ)。
一平:ダメ人間だった事実を仕訳して、記録に残していくのは嫌すぎる(泣笑)。
星野:ただ、税金がすべて経費にできないというわけではありません。たとえば、仕事で自動車を使っている人の「自動車税」や、以前の記事でも話した個人事業主が職種などの条件に応じて払わないといけない「個人事業税」などは、経費にできますよ。
一平:……えーっと、個人事業税って、僕も払わなきゃいけないやつだっけ……?
星野:一平くんは、昔勉強した内容をあっさり忘れていますね……。各都道府県の課税当局の判断にもよりますが、一般的にタレント業は、事業税がかからないケースが多いです。
まあ、その前に、事業所得の収入金額から経費を引いた金額が、290万円以下の場合には、個人事業税は課税されません。だから一平くんは今のところ、事業所得の金額的に、絶対に非課税になっているはずです。
区分 | 税率 | 事業の種類 | |||
---|---|---|---|---|---|
第1種事業 (37業種) |
5% | 物品販売業 | 運送取扱業 | 料理店業 | 遊覧所業 |
保険業 | 船舶定係場業 | 飲食店業 | 商品取引業 | ||
金銭貸付業 | 倉庫業 | 周旋業 | 不動産売買業 | ||
物品貸付業 | 駐車場業 | 代理業 | 広告業 | ||
不動産貸付業 | 請負業 | 仲立業 | 興信所業 | ||
製造業 | 印刷業 | 問屋業 | 案内業 | ||
電気供給業 | 出版業 | 両替業 | 冠婚葬祭業 | ||
土石採取業 | 写真業 | 公衆浴場業(むし風呂等) | - | ||
電気通信事業 | 席貸業 | 演劇興行業 | - | ||
運送業 | 旅館業 | 遊技場業 | - | ||
第2種事業 (3業種) |
4% | 畜産業 | 水産業 | 薪炭製造業 | - |
第3種事業 (30業種) |
5% | 医業 | 公証人業 | 設計監督者業 | 公衆浴場業(銭湯) |
歯科医業 | 弁理士業 | 不動産鑑定業 | 歯科衛生士業 | ||
薬剤師業 | 税理士業 | デザイン業 | 歯科技工士業 | ||
獣医業 | 公認会計士業 | 諸芸師匠業 | 測量士業 | ||
弁護士業 | 計理士業 | 理容業 | 土地家屋調査士業 | ||
司法書士業 | 社会保険労務士業 | 美容業 | 海事代理士業 | ||
行政書士業 | コンサルタント業 | クリーニング業 | 印刷製版業 | ||
3% | あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復 その他の医業に類する事業 |
装蹄師業 |
- 【参考】
- 東京都主税局「個人事業税」法定業種と税率
一平:なるほど。……僕が稼いでいないという悲しい個人情報を、堂々と発表しないでよ(泣)。同時に、星野自身も恥ずかしい懐具合が、ネットの海に晒され続けるんだぞ!
――税理士業は、個人事業税がかかるんですよね?
星野:そうですね。ただし一平くんの言う通り、僕もまだ事業所得の金額的に非課税の立場です(泣)。
一平:個人事業税は、もしタレント業じゃなかったら、たくさん稼いでたくさん払いたい憧れの税金ですね!
星野:しかも経費にできるしね。その他に、「自宅の固定資産税」についても、自宅で事業を行っていれば、事業での使用分のみを必要経費にできますよ。
――「印紙税」も経費にできるそうですね。
一平:印紙税って何?これまた僕は払ってないやつだなあ。
星野:個人事業主は、5万円以上の金銭などを受け取ったときに発行する領収書などに、印紙税が科されます。ただし、5万円以上の取引があっても、受領を示した文書を作成しなければ、印紙税が科されることはありません。印紙税とは、あくまでも該当の文書を発行した場合に科される税金なんです。
一平:印紙って、領収書以外にも貼ることがあるもの?
星野:契約書や注文書、発注書などが課税文書とみなされ、印紙が必要になるケースも存在するね。
一平:今の僕たちはそういう書類を発行する機会がないけど、今後、主催するイベントにゲストを呼んで、ギャラを払う際に、発注書とかを発行する可能性もあるのかな。印紙税を払うのが面倒だから、ゲストのギャラの上限は税込4万9,000円あたりに決めておこう!もしかして、僕が知らないだけで、もう業界では4万9,000円のギャラが流行ってるのかも!?
星野:印紙税に縛られた、哀れなイベント主催者だなあ……。とにかく、事業に関係している税金であれば、経費にできるものもあると覚えておいてください!
印紙を貼らないのは怠け過ぎ!?「印紙税」に絡む罰則
――他に、「こんなケースも罰則があるから注意したほうがいい」といった例がありましたら、教えてください!
星野:今お話しした印紙税を払わない場合、「過怠税」というペナルティが科されます。
一平:かたい税……硬いものにかかる税?柔らかいものにかかる「やらかい税」もあるの?(ニヤニヤ)
星野:……小粋な納税者ジョークが飛び出しましたね。一平くんも、この連載を盛り上げようという意識が高まってきているみたいです。
一平:字面的には、「過ぎる」に「怠惰の怠」かあ。怠け過ぎ税って、ひどい言われようだね~。
星野:5万円以上の取引があって領収書などを発行する際に、印紙を貼り忘れたりしたことが発覚すると、過怠税の対象になるわけです。この場合、本来払うべきだった印紙税の3倍の金額を納付する必要があります。
一平:3倍……⁉たとえば5万円の領収書を発行するケースだと、印紙税はいくらくらいなの?
星野:さほど高額ではなく、数百円単位ですよ。5万円の領収書には200円の印紙を貼ります。それでも、印紙を貼るのを怠るとペナルティがありますよ、ということで。
一平:印紙を貼り忘れただけで罰せられるなんて、世知辛いなあ。
星野:領収書や、課税を証明する文書などは、税制上で大きな意味や重要性を持つものです。そこで、架空の領収書や契約書等が作られるのを防ぎ、文書の信頼性を保つためにも、印紙を貼ることが求められているんですね。
一平:領収書を発行するってことは、「我はこの世に経費を生み出した創造主である」という事実を証明するってことなんだね。そいつは確かに責任重大だ!
――印紙税がかからないよう、1つの金額の領収書をいくつかに分けて出すのは、よくないことなんですか?
星野:税法上は問題ありません。あくまで5万円以上の領収書に印紙の貼付が求められているだけですので、領収書を受け取る側が不利益を被らないなら、領収書を分けて発行してもOKです。
一平:とはいえ、高級料理店って、毎日印紙を貼りまくってるってことだよね?
星野:発行する領収書の分だけ、貼りまくってはいるだろうね。
――プライベートで、大人数で飲食店に行って、お会計が結構な金額になったとき、記念品感覚で領収書をもらったりしていたんですが……実は、軽い気持ちでお店に印紙税を払わせていたんですね……。
星野:それだけ飲み食いして、お店に貢献したということですから、お店側も怒ってはいないと思いますよ(笑)。
一平:えっ?そうなの??
星野:本来の趣旨としては、領収書を発行することが1つの証明になるので、その担保として印紙税も発生する……というようなイメージです。ただ、クレジットカード払いだと、ちゃんと引き落とされているという事象が第三者的に証明できるので、印紙がなくてもOKかな、という感じでしょうか。個人間で、ブラックボックス的な見えない金銭のやり取りが発生してしまうというのが、一番避けたいことなので。
一平:星野も印紙を使うことがあるの?
星野:僕は公認会計士として、業務委託契約を結ぶ際に、契約書に証明力を持たせる意味で、印紙を貼ったりしますね。
一平:星野は印紙にも詳しくて、自分で貼ることもあるなんて、カッコいいー。
星野:一平くんが今どういう感情なのか、全然読めないんだけど……。
一平:でも、印紙税も過怠税も、今の僕にとってはあまり関係がない、大丈夫な税ですね。
星野:大丈夫な税?また独特の言い回しをしてるなあ。
一平:会計ソフトでほぼ完璧だし、計算ミスとかもしないから、所得税に関して罰則を食らうこともないし。
星野:去年の春先も同じことを言ってたのに、結局PASMOの連携をミスったんでしょ?この自信過剰なスタンスが、一平くんの「終わりの始まり」なんですよ……(ニヤリ)。
――今回は、税にまつわる罰則についていろいろ学んできましたが、一平さんにはほとんど無関係だと……。
一平:今回学んだのは、自分が誰かにギャラを払うときは、印紙税を避けるべく、上限を税込4万9,000円にするのがいいってことですね。どんなにごねられても、マックスで税込4万9,999円!
星野:みなさんは、「印紙税をケチるぞ!」という強い決意ではなく、「正しい確定申告を行って、罰則は受けないぞ!」という強い決意を持ちましょう!
Photo:沼田学