「法人成りを”ヒーロー変身”で考えてみる」マンガでわかるスモールビジネス用語

スモールビジネスを営んでいると、耳慣れない専門用語が現れるもの。そんな言葉を解説するマンガ連載です。ただし解説してくれるのは……。神出鬼没の謎のヒーロー?!
第2回は「法人成り」です。1年間の所得が見えてくると、このまま個人事業主のままがいいのか、法人にした方がいいのか気になってくる人も多いのではないでしょうか。
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「法人成り」とは?
法人成りとは、個人事業主が、株式会社や合同会社などの会社を設立して、「法人」を作って、個人でやっていた事業をその会社が引き継いでおこなっていくことです。「ほうじんなり」と読みます。ちなみに、最初から会社設立をする場合は「法人成り」とは言いません。
自分の仕事を個人事業主のままにするか。それとも法人を作るか。個人が法人成りを考えだすタイミングは2つ考えられます。
一般的に知られた話として、一つは利益(所得)が700万円くらい出るようになったときです。このくらいの利益が出ると、個人事業主続けるよりも、法人成りした方が納める税金が安くなる可能性があるのです。税理士に相談して、実際の納税額をシミュレーションしてみるべきでしょう。
もう一つは、課税売上高が1,000万円を超えるときです。消費税を納める義務は、過去の売上で判定します。そのため、法人を作るタイミング次第で、消費税納める必要がある課税事業者になるタイミングを「先送り」することができるのです。
課税売上高が1,000万円を超えると、その2年後の年から、課税事業者となり消費税を支払わなくてはいけません。ただし、売上が1,000万円を超えた2年以内に資本金1,000万円未満の会社を設立して法人化をすると、一度「2年後」の判定がリセットされます。
なぜなら、資本金1,000万円未満の会社を設立した場合、「2年」の判定により、会社設立年と設立2年目の年度は、原則的に課税事業者の判定に該当しないからです。
そのため、今回のような場合は法人化してから課税売上高が再び1,000万を超えてから2年後に課税事業者となり、消費税の支払い義務が発生することになるのです。
なお、前年の上半期の売上高が1,000万円を超えた場合は、翌年(法人の場合は翌年度)から課税事業者になります。上半期の売上の代わりに支払った給与額で判断することもあるので、課税事業者に該当するかどうかの判断については、税務署や税理士などの専門家に相談して確認しましょう。
僕はフリーランスでマンガを描いたり、文章を書いたりしているのですが、仕事仲間が「法人成り」したかどうかって、ものすごく気になります。
なにしろ、先ほどもお伝えしたとおり、利益が700万円くらいと、課税売上高が1,000万円を超えたときに法人成りするメリットが出てくる……。ということは、法人化すると「あの人は、このくらい儲かっているんだ」と言うことが、なんとなくわかってしまうわけです。
僕自身も同業者からよく「仕事たくさんしているみたいだし、そろそろ法人成りするの?」なんて聞かれることがあります。ところが、僕は売上も利益も、法人化の目安からはほど遠いんですよね。たぶんまだしないでしょう。
スモールビジネスをしている人間からは切実な問題なだけに、こんな風に「探り」のネタとして法人成りは使われてしまうこともあるわけです。なんともさもしい話ではありますが……。
法人成りを実際に考えている人は、以下の記事も参考にしてみてください。