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中古品やセット商品の減価償却方法って? Gパンパンダ(超インテリお笑い芸人)が解説!

個人事業主やフリーランスになりたいと考えている方が知っておくべき会計用語のひとつが「減価償却(げんかしょうきゃく)」。前編では公認会計士兼税理士の星野さんと、MENSA会員の一平さんによる超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのおふたりから、減価償却の考え方や少額減価償却資産の特例について伺いました。

後編では、中古品やセット商品を減価償却する場合のポイントについて解説していただきます!

Gパンパンダ

Gパンパンダ

ワタナベエンターテインメント所属、公認会計士兼税理士の星野光樹さん(左)と、MENSA会員の一平さん(右)という超インテリお笑いコンビ。筑波大学附属中学校・高校、早稲田大学商学部の同級生。ワタナベコメディスクール24期生。NHK「平成30年度新人お笑い大賞」優勝。星野さんのnoteでは、税に関するお役立ち情報を解説中。

中古品を減価償却するには、合理的な耐用年数の算出を

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ライター――前回では減価償却の考え方や少額減価償却資産の特例についての注意点などを、一平さんと一緒に星野さんに教わりました。今回は中古品やセット商品の具体的な減価償却方法についてうかがっていきます。

一平一平:確かに、中古品の耐用年数はどう考えたらいいんだろう?

星野星野:減価償却そのもののやり方は変わりませんが、耐用年数の考え方には違いがあります。合理的に使用可能期間として見積もられる年数を耐用年数とする、という考え方なんですよ。これを「残存耐用年数」と言うこともあります。

一平一平:パソコンなら新品の耐用年数は4年だけど、買った中古パソコンの体力が半分だったら、残存耐用年数を2年とするってことか。

星野星野:……それが合理的であればね。

一平一平:「パソコンの体力」という概念をどう考えるかだなー(笑)。

星野星野:一番わかりやすいのは経過年数だね。新品を1年使った中古パソコンなら、4年マイナス1年で、残存耐用年数3年。

一平一平:でも、元の持ち主が最初にパソコンを買ってから1年経ってはいるけど、その人がほぼ使わなくて、実際は新品同様……みたいな場合もあるよね。

星野星野:そうなんです。だから合理的に見積もることが難しいときは、別の計算方法を使います。

一平一平:おっ!ちゃんと計算方法があるんだ。

星野星野:これはなかなかハイレベルで、どの程度伝わるかわからないんですが……。まず、「資本的支出」という言葉がありまして……。

一平一平:難しくてヤバそうな予感がするぞ~!(笑)

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星野星野:資産を使い始めるために、支出をすることってあると思うんです。新しい機能を追加するための支出というよりは、お金を払って、その品物を使える状態にする

一平一平:修理とか?

星野星野:そうそう。その修理代などが、中古品を買った金額の50%以下のときは、残存耐用年数を決定するために以下の計算方法が認められます。

(法定耐用年数-中古資産購入までの経過年数)+(中古資産購入までの経過年数×0.2)

一平一平:その0.2は、いったい何?

星野星野:中古品だけどちゃんと使える状態ってことで、実際より経過年数をやや少ないものと設定して、計算するようなイメージかな。

一平一平:もし、経過年数がわからない中古品を買った場合はどうするの?

星野星野:その品目の外形や材質など、もろもろの要素を加味して、合理的に残存耐用年数を算出するルールになっています。

一平一平:合理的って言われても、めちゃくちゃ難しそうなんだけど……。おしゃれな飲食店が使ってるアンティークのテーブルとか、判断に悩みそう。

星野星野:アンティークは、また別の話で……。

一平一平:話、変わるんかーい!!(笑)アンティークはどういう扱いになるの?

星野星野:いや、前回解説しただろ!

一平一平:え~、そうだっけ?

星野星野:じゃあ、もう一度説明するよ。価値が高い貴重品の意味合いが強くなると、そもそも減価償却できないんだよね。その品物を使ったら価値が落ちるというわけではなくて、その品物自体に価値があるという考え方なんです。

一平一平:なるほどね~。みなさん、中古品を買うときはいろいろ要注意ですぜ!経過年数を確認しておくほうがいいなんて、全然知らなかったもんな。

ライター――中古で買うことが多いものの一例としては、車や楽器などが挙げられますね。

一平一平:中古車は「○○年に発売された」「○○km走った」っていうのがハッキリわかって、残存耐用年数も計算しやすいから、車は中古で買うほうがいいね!

星野星野:新車だったら、そもそも耐用年数を計算する必要がないけどね(笑)。

ライター――新品の場合の耐用年数を超えた中古品については、どう考えたらいいんでしょうか?

星野星野:購入時点で法定耐用年数を経過しているものは、耐用年数から経過年数を引くとマイナスになっちゃいますよね。なので、この部分は計算しないものと考えて、「法定耐用年数×0.2」だけを残存耐用年数とみなす方法があります。

一平一平:星野は減価償却について、すっごく詳しいね!

星野星野:……税理士、なめんなよ!!!(怒)

一平一平:詳しいな~!って思って褒めたのに!(泣)

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星野星野:ただし、何を買うかにもよりますが、法定耐用年数を超えた中古品の場合、購入金額が安価なケースもよくあると思います。そのため、残存耐用年数を計算せずとも、少額減価償却や一括償却で処理することも多いでしょう。

ライター――では、残存耐用年数の計算について、他に気をつけることはありますか?

星野星野:上記で紹介した中古資産の耐用年数の計算式は、「①小数点切り捨て②2年に満たない場合は2年とする」というルールがあります。

一平一平:じゃあ、どんなものでも「最低でも2年は使用できる」ってみなされるんだ。

星野星野:使用できるかどうかというより、「2年で償却しましょう」というニュアンスが近いかな。

一平一平:うーーーん。減価償却はなかなか難しいな……。あれこれ考えるのが面倒だから、30万円未満のものだったら、すべて特例を使うのがラクかなと思えてきたよ。

星野星野:考え方は自由だからね。

一平一平:中古車を買うことになったら、「確定申告でラクしたいから、29万9,000円にしてください!」って交渉しようっと。「そうしてくれたら絶対買います!」って。

星野星野:謎の説得力がありそうだ……(笑)。この場合、消費税が加算されて、税込だと30万円を超えちゃうので、税抜経理にしたほうがいいね。消費税については、税込経理か税抜経理のどちらかを任意で選べるから。税抜経理を選んで続けるほうが、「30万円未満」にできるものが多いといえるね。

一平一平:ええっ! 何それ!? 税込経理を選ぶのはバカすぎるってこと?

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星野星野:税抜経理のほうが、すべての取引を本体の金額と消費税とで分けないといけないから、人によっては手間がかかりやすいという側面もあるよ。どちらかに統一して、続けていかなきゃいけないから、自分がやりやすいほうを選ぶのがいいんじゃないかな。

一平一平:あとは中古車ディーラーへの交渉のやり方を「税込29万9,000円にしてください!」に変えるかだね。

星野星野:交渉術も、やりやすい方法でどうぞ(笑)。

一平一平:逆に、自分が中古品を売るときのことも気になるな……。もし新品のパソコンを買って、「耐用年数の4年間にわたって通常の減価償却をします」と決めたけど、2年後に売っちゃったら、残り2年分の申請できない経費は無駄になっちゃう?

星野星野:減価償却で経費にするってことは、資産の価値をどんどん減らしているってことです。

たとえば10万円の新品のパソコンを買って、実際の減価償却方法とは異なりますが、1年ごとに2万5,000円ずつを経費にしたら、パソコンの価値が1年後には7万5,000円、2年後には5万円になるという考え方ですね。売るときには資産自体の価値が減っているから、考え方として、損ということにはならないと思いますよ。

一平一平:じゃあ、少額減価償却資産の特例を使って、1年目に10万円全部を減価償却した新品のパソコンを、2年目に下取りに出したら処理はどうなるの?

星野星野:特例の例外に当てはまらなくて、仕事で使うものを下取りに出したなら、その差額分は翌年の利益として計上する、という考え方かな。

一平一平:あーそっか! 利益になっちゃうのか~。税金がかかっちゃうな~、残念! これは一時所得? 雑所得?

星野星野:仕事用のものを売ったのか、プライベート用のものを売ったのかどうか、というところで仕訳は変わりますね。今回、仕事用の場合は事業所得のその他の収入にあたります。とはいえ、もともと仕事で使うものとして減価償却しているわけですから、プライベート用かどうか考える必要はないともいえますが。

一平一平:少額減価償却資産の特例を使うときに、新品か中古品かということは関係がある?

星野星野:30万円未満の資産であれば、新品・中古品にかかわらず対象になるよ。

一平一平:中古品を買って事業に使うときは、減価償却のことも考えて購入するのがオススメってことだね!

セットじゃないと使えないものは、別々の値段ではなくセットで金額を考えよう

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ライター――たとえば1点の単価は10万円未満でも、複数組み合わせてセットにした際に、減価償却資産になるものなどもあるんでしょうか?

星野星野:セットにすることで動き始めるとか、機能するものに関しては、セットで考えて減価償却資産にしてOKです。

一平一平:カメラマンさんのカメラとレンズ、みたいなこと?

星野星野:セットとして考えられるものは、「これとそれの組み合わせでないと成り立たない場合」というイメージなので、そのカメラに適合するレンズが複数あるなら、セットではなく、それぞれ単体として考えることになるかな。

ライター――ひとつの例としては、お店で使うカーテン全部などが挙げられるようですね。

星野星野:カーテンは1枚だけで機能するものではなく、ひとつの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、セットと判定して大丈夫ですね。

一平一平:芸人の衣装のスーツも、その組み合わせでしか着られないから、セットだと考えられるよね?上下合わせて10万円以上のスーツを、たくさん買えるようになりたいなあ。

ライター――いろいろな装置と組み合わせた大がかりな衣装を着用される歌手の方がいらっしゃいますが、かなり高額な出費でしょうね。あとは美術品でも、時の経過に応じて価値が減少することが明らかなものは、減価償却できるそうですね。

星野星野:そうですね。いくつかの条件を満たすものであれば、減価償却できます。たとえば、「会館のロビーや葬祭場のホールのような、不特定多数の人が利用する場所の鑑賞用や展示用(※有料で公開するものを除く)として取得されるものであること」などが条件です。

一平一平:「○○氏の作品なら、将来的に価値が減少することは明らか」みたいな基準ではないんだね。この考え方だと名誉棄損になりかねないもんな(苦笑)。

星野星野:僕たちのネタも、減価償却できないような価値のあるものにしていきたいですね。

一平一平:さっき僕が「減価償却の対象にならないような人間になりたい」って言ったときは聞いてくれなかったのに、同じようなこと言ってる!

星野星野:そして、個人事業主の方がそれぞれ思い入れのある資産は、減価償却して大事に使い、ゲンかついでほしいですね。

一平一平:……ん? 税理士ジョーク???

ライター――星野先生、耳まで真っ赤になってますよ。

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一平一平:ゲンかついで、未来を掌握……げんか・しょうあく……減価償却だ!

星野星野:……一平くんも「しょうきゃく」ではダジャレが思いつかなかったみたいですね。

一平一平:今回は、減価償却の解説はすごく役に立ったけど、税理士ジョークはふたりともキレが悪かった……精進します!

ライター――税理士ジョークは、次の機会のお楽しみということで(笑) 今回は減価償却の方法やメリットなども、いろいろ知ることができました。個人事業主のみなさんは、きちんと理解して活用していきましょう!

 

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Photo:沼田学

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