スマホで確定申告!e-Taxの対象者ややり方、できる条件ってなに?

2019年1月4日から、対象条件に合う人であれば面倒な所得税の確定申告がスマホだけで行えるようになったことをご存じですか?
その後も、スマホで確定申告ができる対象が拡大され、2020年にはiPhoneでもマイナンバーカードが読み取れて、iPhone から直接e-Taxができるようになりました。そして、2021年1月からは、マイナンバーカードを用いてe-Taxを行う場合に、従来は2つ必要だったアプリが1つに減り、より使いやすくなったのです。
どんな条件の人が、どんな方法を使えば、スマホで確定申告を行えるのでしょうか。また、どんな準備が必要なのでしょうか。解説していきたいと思います。
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目次
- POINT
-
- 2019年1月4日から対象条件に合致すれば、スマホ一台で確定申告が完結できるようになり、その後も、スマホで確定申告ができる対象が拡大されている
- スマホからのe-Taxは、事業所得の確定申告はできない
- スマホだけで確定申告できる条件の人でなくても、パソコンの確定申告ソフトと合わせてスマホを活用すれば、確定申告が楽になる
- 2021年1月からは、アプリの統合が行われて、より使いやすくなった
スマホだけで e-Taxでの所得税の確定申告が可能になった
書面での提出ではなく、e-Taxによる確定申告がすっかり浸透しました。
かくいう私も数年前から、e-Taxに切り替えています。添付書類を税務署に提出するという手間が省略できるうえに、24時間受け付けてもらえるので、やはり便利ですね。還付までのスピードも速いです。
ちなみに、2020年分からの青色申告は、65万円控除の要件が変わりました。複式簿記などの従来の要件に加えて、e-Taxか電子帳簿保存をしないと特別控除は55万円控除になってしまいます。e-Taxにしておいてよかった。期限に出し忘れをしなければ、今回も65万円控除を受けらます。
- 【参考】
- 国税庁:e-Taxならこんないいこと
2019年1月4日から、スマホだけで、所得税の確定申告書の作成から電子申告までが可能になりました。その後も、スマホで確定申告ができる対象が拡大されています。そして、2021年1月からは、さらに使いやすくなりました。
パソコンを使わなくても、スマホで、どこでもいつでも確定申告を行えるのは魅力的ですよね。スマホやタブレットの普及で、PCを使わなくなった人も増えているそうですから、時代の流れに沿った新しい確定申告の方法だといえるでしょう。
ただ、事前に準備しなければならないものがあります。また、対象者は限定的で、誰でもスマホだけで確定申告を終えられるわけではありません。そのあたりも含めて、今回の記事では説明していきたいと思います。
マイナンバーカード方式とID・パスワード方式、どちらもスマホでe-Taxできる
まず、スマホだけでe-Taxでの確定申告を行うには、2種類の方法があります。「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」です。PCで行う場合と変わらないですね。
「マイナンバーカード方式」の場合、「マイナンバーカード」と「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」が必要です。マイナンバーの「通知カード」(※)ではなく、マイナンバーカードがいるので注意しましょう。
マイナンバーカードがない場合や「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」がない場合は、「ID・パスワード方式」でスマホからe-Taxができます。
税務署に直接足を運んで、IDとパスワードを発行してもらえば、使用することができます。この「ID・パスワード方式」を利用する場合は、インターネットや郵便では手続きができません。注意しましょう。
そもそも、e-Taxを利用するにはマイナンバーカードか、「ID・パスワード方式」で、「利用者識別番号」「暗証番号」を取得していることも前提となります。この2つの番号が、スマホでの確定申告では必要になることを覚えておきましょう。
「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」についてですが、2020年1月31日からiPhoneでマイナンバーカードを読み取って、e-Taxをできるようになりました。
また、お持ちのスマホがAndroidの場合、その機種が、「マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ」に該当しているかどうかを調べましょう。スマホでマイナンバーカードが読み取れる場合は、カードリーダーがなくても、e-Taxで確定申告が可能です。
スマホで確定申告できる条件・対象者とは?
では、どんな人がスマホだけで確定申告ができるのでしょうか。その条件や対象者について、見ていきましょう。
こんな人が「スマホから確定申告」できる
かつてスマホだけで確定申告できるのは「給与以外の収入がない人」に限られていました。要はサラリーマンということですね。
しかし、2020年1月6日から、給与所得(年末調整済1か所、2か所以上、年末調整未済、に対応)公的年金等、その他雑所得、一時所得の人もスマホからe-Taxができるようになりました!副業収入が事業所得ではなく、その他雑所得の人もスマホからe-Taxできるということです。
さらに、かつてはスマホからの確定申告で可能な所得控除が限られていましたが、2020年1月6日から、全ての所得控除ができるようになりました。
サラリーマンなどの会社員、給与所得者は、医療費控除やふるさと納税などの寄附金控除をするために確定申告することも多いでしょう。その際にも、スマホだけでも申告が可能ということです。
対象となる所得 | 給与所得(2カ所以上も可) 公的年金等 雑所得 一時所得 |
---|---|
対象となる所得控除 | すべての所得控除 |
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では、スマホで確定申告ができない人はどんな人か。もうおわかりですね。専業や副業にかかわらず、事業所得のある人は、スマホで確定申告することができません。
というわけで、原稿執筆による事業所得がある私は、スマホだけでの確定申告はできないということです。残念……。
ただ、サラリーマンなどの会社員・給与所得者がスマホのみで簡単に確定申告ができるようになったのは、社会全体にとってメリットが大きいように思います。
セルフメディケーション税制による医療費控除の特例やふるさと納税など、年末調整では行えない控除やちょっとした副業などの雑所得などで、サラリーマンが確定申告するケースは増えています。スマホだけで手軽にできるようになれば、ますます、確定申告するサラリーマンが増えるでしょう。
納税意識の向上にも、所得税の確定申告が身近になるのはよいことではないでしょうか。
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「スマホで確定申告」のやり方
スマホで作成した確定申告書類の提出方法
スマホで確定申告するための手順はいたって簡単。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして、[作成開始]をクリックします。
Q 確定申告をする年分は令和2年分ですか。(はい/いいえ)
こう質問されますので「はい」として、下記のうち、申告する収入にすべてチェックを入れます。
- 給与
- 公的年金
- 雑(その他)
- 一時
- 上記以外の収入
次に「住宅に関する控除」もしくは「外国税額控除」のいずれかを受けるかどうかについて、「はい」「いいえ」で答えたうえで、提出方法を選択します。
スマホで作成した確定申告書類の入力内容
提出方法まで決まれば、あとは利用規約の確認をします。
マイナンバーカード方式を選んだ場合、2021年1月から、Android端末でもiPhone端末でも、マイナポータルAPのインストールのみで可能となりました! これまでのe-Taxでは、複数のアプリをインストールしなければならなかったので、かなり利便性が高まったといえそうです。
その後は、下記を入力していくという流れになります。
- 利用者識別番号を入力
- 源泉徴収票の情報を入力
- 医療費控除や寄附金控除について入力
- 本人情報(名前や生年月日)を入力
利用者識別番号は、前述したとおりで、e-Taxによる確定申告で必要になるものです。入力が終われば、あとは電子申告データを送信すればOKです。受付結果を確認しましょう。
以上で、スマホでの確定申告書作成、電子申告は完了となります。「給与所得の源泉徴収票」と、必要に応じて「医療費控除の書類」や「寄附金控除の書類」を手元に用意していれば、入力できることばかりですね。
スマホで確定申告できなくても、PCの確定申告ソフトが便利!
ただし、2021年の確定申告でも、スマホから事業所得の申告はできません。スマホで確定申告できる条件の人は、まだ限定的だといえるでしょう
では、個人事業主・フリーランスの方がスマホを確定申告に活用することはできないのか、といえば、そんなことはありません。「やよいの青色申告 オンライン」などの確定申告ソフトとうまく組み合わせることで、スマホは確定申告における強い味方にもなり得るのです。
前述しましたが、マイナンバーカード読み取り対応のスマホで、PCのICカードリーダーライターとして使用できるものがあれば、ICカードリーダーライターがなくても、電子証明書の読み取りができるので、自宅からe-Taxを行うことができるのです。
また、2020年分から青色申告の特別控除が変わって、65万円控除を受けるためには、電子帳簿保存かe-Taxで申告することが要件に加わりました。
電子帳簿保存は、個人事業主にはハードルが高いので、e-Taxならと思う人も多いでしょう。でもICカードリーダーライター買うのか…ほかに使い道あるかな?という人も、自分のスマホからできるなら一石二鳥ですね。
スマホ種類(※) | マイナンバーカードの読み取り | スマホから対象になる確定申告 | PCのICカードリーダーライターとして使用する |
---|---|---|---|
Andoroid | 〇 | 〇 | 〇 |
iPhone | 〇 | 〇 | × |
※マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧を参照ください。
例えば、クラウド確定申告ソフト「やよいの青色申告 オンライン」「やよいの白色申告 オンライン」を使えば、スマホのアプリ上から取引入力ができます。また、レシートの読み込みまでできるので、出先でも入力が進められますよ。
特に日々の経費はつい入力が漏れがちですから、スマホを活用することで、より正確でスピーディな確定申告ができそうですね。確定申告をもっと楽にしたい人は、ぜひ、試してみてください。
(※)2020年5月25日をもって「マイナンバー通知カード」は廃止されました。今後、新たにマイナンバーが交付される方には「個人番号通知書」により、マイナンバーが通知されます。
なお、「通知カード」廃止後も住民票との記載が一致している場合に限り、マイナンバーを証明する書類として「通知カード」を引き続き利用できます。「個人番号通知書」はマイナンバーの証明書類としては利用できないので、ご注意ください。詳しくは、「マイナンバー通知カードが廃止に。もう使えなくなる?確定申告への影響は?」をご確認ください。(2020年7月2日 スモビバ!編集部 追記)
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