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2019年(令和元年)分の確定申告の変更点と注意点!Gパンパンダ(超インテリお笑い芸人)が解説

2019年も、気づけばあっという間。令和最初の確定申告の時期が近づいてきました!
そんな2019年(令和元年)分の所得税の確定申告は、2020年(令和2年)3月16日が期日。

個人事業主やフリーランスの方にとって、所得税の確定申告は毎年の一大イベント。さらに2019年は、消費増税、軽減税率の導入といった大きな変化もありました。それに伴い、確定申告で注意しておかなければならないポイントもあります。

2019年分の確定申告をスムーズに進めるため、公認会計士兼税理士の星野さんと、MENSA会員の一平さんによる超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのおふたりと一緒に、心構えや注意点を確認しておきましょう!

Gパンパンダ

Gパンパンダ

ワタナベエンターテインメント所属、公認会計士兼税理士の星野光樹さん(左)と、MENSA会員の一平さん(右)という超インテリお笑いコンビ。筑波大学附属中学校・高校、早稲田大学商学部の同級生。ワタナベコメディスクール24期生。NHK「平成30年度新人お笑い大賞」優勝。星野さんのnoteでは、税に関するお役立ち情報を解説中。

2019年分の確定申告への意気込みは、「確-1グランプリ」優勝!?

ライター――早いもので、確定申告を意識する時期になりましたね。星野さん、一平さん、確定申告への意気込みはどうですか?

星野星野: 3月になると、僕たちの同業者であるお笑い芸人の皆さんから、確定申告について驚くほどたくさんの質問や相談が来ることが、去年わかりました。一日10件くらい電話がかかってきて、かなり忙しかったので、2020年のスタートは、自分自身の確定申告と、顧問先の確定申告を早めに終わらせようと思っています。

つまり、自分の仕事はできる限り1月中にまとめて、2~3月は芸人の確定申告対策!! 腰を据えて芸人たちに向き合おう、と。

一平一平:マジで!? すごいな! 芸人仲間のために、そんな覚悟をしてたとは……!「確定申告でよくある質問」みたいなまとめを作っといたら?

星野星野:いろいろな工夫もするつもりです。

一平一平:今度の星野先生の確定申告セミナーという名の単独ライブは、思いきって大きな劇場でやろう!

星野星野:本業のお笑いより、集客が多かったら複雑だな……。

一平一平:でも、このセミナーは僕たちの事業にがっつり結びついてるから。

星野星野:確かに、かかったお金は経費として堂々と計上できるぞ~! とにかく、顧客のためにも芸人のためにも、2019年分の確定申告は、いつも以上に気合いが入っています!

ライター――星野先生の包容力や面倒見のよさが窺える、素晴らしい意気込みですね!(感動)一平さんはいかがでしょう?

一平一平:会計ソフトを導入し、完璧かつ超・能率的な確定申告の土壌が整ったのが、僕の2019年。だからこそ、確定申告が楽しみですね!

2018年は、ソフトと銀行口座の連携をした時期が遅くて、うまく取引の自動化ができていなかったとか、いろいろアクシデントがありました。でも2019年は銀行、クレジットカード、交通系ICカード……すべて連携済みです!

あとは現金で買ったものをいくつか登録したり、家事按分をしっかり確認したりするだけです。これは申告書の作成が速くできるぞ~。

星野星野:おお~。一平くんの2019年分の確定申告は、準備万端ってことだね。

一平一平:僕の確定申告がどれくらいウハウハだったか、3月……いや、早々に2月末には報告させてもらいます!

編集担当編集担当:弥生の申告ソフトは、デスクトップ版もクラウド版の「やよいの青色申告 オンライン」も、クレジットカードや通帳の入出金明細を連携しておくと自動で仕訳にしてますから、2月の末と言わず、申告初日にぜひ!

ライター――2019年の春にこの連載が始まってから、一平さんがいかに、税金や確定申告のことを意識して過ごしてきたかが伝わってきますね(さらに感動)。

一平一平:意識しまくってきましたよ。クレジットカード払いの領収書と、現金払いの領収書をそれぞれ分けて保管してますから、現金払いのほうだけ手動で処理すればOKです!

星野星野:成長したね~。

一平一平:……事業用のクレジットカードで、プライベートのものをちょっとだけ買ったので、それを除外しなきゃいけないのは課題ですけど……。

星野星野:そこも忘れず、ちゃんと「除外しなきゃ」と意識しているわけだから、立派だと思うよ。

一平一平:ライターさんもカメラマンさんも、会計ソフトと口座やカードを、しっかり連携してますか?

ライター――……。

カメラマンカメラマン:……。

一平一平:この連載を担当しているというのに、スタッフさんたちは連携をしていませ~ん!なんてこった~!! 2020年分から……いや、2019年の年内には、絶対に連携してくださいよ!

もちろん、今これを読んでいるのに、まだ連携していないあなたも!! 本当に、申告書作成の時間が10分の1くらいになるはずなので!

ライター――前年の反省をきっちり活かしている一平さんが、キラキラと輝いて見えます……私も頑張らないと……。とにかく、おふたりの確定申告への意気込みがすさまじいことは、充分わかりました。

星野星野:僕は、お笑いの賞レースと同じくらい気合いが入っています。「確定申告-1グランプリ」、略して「確-1」ですね。無事に確定申告を済ませて、優勝したいです。

一平一平:確定申告をすること自体が優勝なら、出場=優勝しかないよ(笑)

星野星野:いや、申告漏れや無申告は予選落ちだから(笑)。そういう事態だけは避けて、読者の皆さんも一緒に優勝を目指しましょう!

消費税率の確認と、キャッシュレス還元の仕訳方法に要注意!

ライター――では、本題に入っていきましょう!2019年分の確定申告の注意点や、変更点はどんなものでしょうか?

星野星野:2019年10月からは、消費税率が8%の取引と、10%の取引の2種類が混在します。まず、売上の面から見ると、飲食料品と新聞を扱っている方は、軽減税率が適用される取引かどうか注意して、仕訳や計算などを行いましょう。

一平一平:お笑い芸人は、これには当てはまらないので、まぎらわしくないから余裕だね。

星野星野:一平くんのように、自分の売上に関する消費税率はすべて10%という人も、支出、つまり経費の面では、8%の取引と10%の取引があると思うので、注意が必要ですよ。

たとえば、接待交際費の中でも外食費は税率10%だけど、贈答品として買った菓子折りなどの飲食料品の代金は税率8%だったりね。

細かいことですが、1つ1つの仕訳において、消費税の計算を間違えないように気をつけることが重要です。心配な方は、以前、軽減税率について勉強した僕たちの記事でおさらいしてみてくださいね~。

一平一平:10月以降の取引は、領収書などをしっかり確認しないとだね。……あ、10月以降の領収書なのに、元号が「令和」じゃなくて「平成」のままになっているものも、確定申告に使えるよね?たとえば「平成31年12月1日」みたいな日付になっちゃっていても。

星野星野:ちゃんと使えるので、安心してください。領収書やレジシステムの都合上、「平成」のまま2019年分の処理を進めないといけなかった店舗などもあるでしょうね。

一平一平:消費税率と元号が両方変わったなんて、2019年は激動の年だったな~(しみじみ)。

星野星野:そして消費税増税に伴い、10月から対象店舗でキャッシュレス還元も始まっていますね。

一平一平:出ました! ありがたい制度。お店やキャッシュレスの方法によって割合は異なるけど、キャッシュバックやポイント還元があって、若手芸人は助かってます。

星野星野:キャッシュレス還元の考え方について気をつけてほしいのは、商品が値引きされているわけではなく、国から補助金を受け取っている形だということなんですよね。

一平一平:えっ、そうなんだ!

星野星野:キャッシュレス決済の導入促進のために、国がおこなっている施策のひとつです。そのため、仕訳の際に商品自体の値段を変えるのではなく、商品の値段は元のままで買う、もしくは売る。そのうえで、キャッシュレス決済して還元される金額などがある場合は、それを収入の1つとして計上していくのが原則的な考え方です。

一平一平:なるほど。帳簿に「雑収入・キャッシュバック」みたいな感じで1つずつ書いていくってことだよね。商品の元々の値段は変わらない、と。これは帳簿付けのお役立ち情報ですよ~。支出と収入を分けて考えればラクちんかな。

星野星野:そうそう。それぞれ別の取引だと考えてください。

一平一平:……ん? そういえば、キャッシュレス還元のタイミングって、その場ですぐ?

星野星野:店舗や商品によって違うね。会計時にその場でキャッシュレス還元がおこなわれることを「即時充当(そくじじゅうとう)」というんだけど、即時充当されたとしても、商品の金額がそこで変わるわけじゃないよ。

なお、即時充当が多い大手コンビニでは、全店舗で一律2%のキャッシュレス還元を行う等のキャンペーンを実施していて、例えば国の補助金の対象外である直営店では、コンビニ側が還元相当額を負担しているよ。

この場合、補助金を受け取っているわけではないけれど、商品自体を値引いているわけではないことから、これも雑収入として扱うことが望ましいと考えられるんだ。

考え方としては、「借方・消耗品費、貸方・現金預金」で、経費で物を買いましたという仕訳と、「借方・現金預金、貸方・雑収入」で、キャッシュバックで還元分をもらいましたという仕訳の、2通りの内訳があるということです。

一平一平:即時充当の場合、1枚のレシート上に、キャッシュレス還元される額を除いた後の支払額が大きく書かれていることもあると思うんだけど、その金額をそのまま消耗品費として記載しちゃダメなの?

星野星野:ダメです(きっぱり)。

一平一平:うわ~! その間違い、レシートの合計金額だけをパッと見て写すと、絶対やっちゃいそうなんだけど。

星野星野:では、実際のレシートを例に挙げて、どのような仕訳になるのか考えてみましょうか。

星野星野:ここでは、本体価格200円、消費税率10%の商品を、仕事で使うためコンビニで買ったとします。

一平一平:セロハンテープとかかな~♪ それとも乾電池かな~♪

星野星野:どうでもいい予想なのに楽しそうだね(笑)。えー、仕訳の際は、消耗品費として税込で220円が借方に計上されて、貸方に現金預金で220円の支出、となるイメージです。

一平一平:うん。これはとてもシンプルな取引。

星野星野:そのうえで、即時充当の分を、仕訳に追加する必要があります。コンビニの場合、キャッシュレス還元率は2%なので、200円の2%で4円分だけ現金預金が返ってきて、借方に計上されます。

一方で、この4円の相手勘定は、前述のように雑収入となるので、1個目と2個目の取引を合わせた結果、最終的に現金預金として引かれるのは、216円になっています……という流れになるわけですね。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
消耗品費 220 現金預金 220
現金預金 4 雑収入 4

一平一平:具体的なレシートの見本や金額を出して考えると、わかりやすいね。

星野星野:商品の価格が216円になったわけじゃなく、商品はあくまで220円のまま。国庫補助金で(あるいはコンビニ側が負担して)、4円をもらっていますという取引になるのが、仕訳の際の注意点なんです。

即時充当により還元される金額は、値引きではないということを覚えておくといいでしょう。

この4円はキャッシュレス還元でもらったことを分かる形で記録するため、帳簿上は摘要欄への記入をするか、雑収入の補助科目としてキャッシュレス還元の項目を設けるなどするといいですね。

一平一平:全部書くのか……めんどくさ~。

星野星野:ちゃんと書いておかないと、たとえば同日・同価格の取引があると、何がどれに関する仕訳なのかわからなくなって、自分が困るケースもあり得るよ。

一平一平:これも自分のためと思って、しっかり記入します!

星野星野:後日ポイントが付与される場合の注意点などは、以前の記事で解説していますので、ぜひそちらも参考にしてくださいね。

一平一平:キャッシュレス還元分のお金に、消費税はかかってるの?

星野星野:キャッシュレス還元の取引は、対価性がある訳ではないので、そこに消費税はかかりません。不課税取引になります。

通常、税込で11,000円を売り上げた方は、内訳として「売上そのものは1万円、消費税分が10%で1,000円でした」という処理をしていると思います。ただ、先ほどのようなキャッシュレス還元の場合は、消費税がゼロなので、雑収入の金額だけの計上になるんです。

キャッシュレス還元分のお金の消費税の扱いが不安な場合は、税理士さんなどに相談することをおすすめします。

一平一平:会計ソフト上では、どういうやり方で処理したらいいんだろう? 会計ソフトは便利だし、今までやってきたことはちゃんとできるけど、いきなり新しいことをしようとすると、混乱しちゃう……。僕、若者についていけないおじいちゃんみたい(笑)。

星野星野:若者でも、新しいことをするときは混乱するんじゃないかな(笑)。会計ソフトの種類にもよるでしょうが、「不課税取引」にチェックを入れるような形式が一般的かと思います。これを忘れると、消費税額が計上され、雑収入の税抜金額が、実際の金額より小さく計上されてしまうので、注意しましょう。

一平一平:……ふざけんなよ! 経理処理がこれほど面倒なキャッシュレス還元って、いったい誰が得をしてるんだよ!!

星野星野:何をどう考えても、一平くんを含む消費者側は明らかに得をしてるでしょ。さっき自分でも「キャッシュレス還元はありがたい」って言ってたのに(笑)。

一平一平:ごくわずかな数%の還元なんか、もうどうでもいい!!!

星野星野:投げやりすぎる富豪発言……。確定申告は、人格さえ変えてしまうのか(泣)。

ライター――この記事が「今度の確定申告は、今から計画的に頑張ろう!」という皆様のやる気につながるといいですね。おふたりの意気込みを見習って、筆者も早めに取り組みたいと思います!

後編では引き続き、Gパンパンダのおふたりに(答えるのは、もちろん星野さんだけど)、2019年(令和元年)分の確定申告の変更点として、スマートフォンでの確定申告の範囲拡大、e-Taxの事前チェックのポイントなどについて伺います。

Photo:沼田学

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