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フリーランスが知っておくべきお金の知識【専門家に聞いた】貯金、保険、年金、税金etc.

増税、年金問題、国内景気の停滞などがニュースで伝えられ、若手フリーランス・個人事業主は税金、年金、保険、貯蓄など、将来へのさまざまなお金の不安を抱えているという方も少なくはないでしょう。

そこで、ミレニアル世代(2000年以降に成人になる世代)のお金の専門家/経済評論家として活躍し、特に若い世代にお金の知識の啓蒙活動を行っている横川楓さんに、若い世代のフリーランスが金銭面で将来にどう備えたらいいのか? アドバイスを伺いました。

若手フリーランスが税金で損をしないコツとは?

横川楓さん

――続いては税金面で、若手フリーランスが知っておくべきことがあったら教えて下さい。

横川

横川:節税は人それぞれ経費との兼ね合いもあり、難しいところもありますが、気をつけてもらいたいのが、税制の変更について。近年でも、2017年から始まった対象となる医薬品1万2,000円を超える医薬品購入があれば、確定申告で控除ができるセルフメディケーション税制が実施されましたし、2020年分からは確定申告を電子申告(e-Tax)か電子帳簿保存をしないと青色申告特別控除額が最大65万円→55万円になってしまうというニュースもありました。

――こういった情報は、知らないと損をしてしまいますね。

横川

横川:毎年12月に翌年以降の税制改正が発表されるので、その時期は特に注意しておいた方がいいと思います。

――デジタルネイティブ世代ということで、強みを生かしてお金のためにできることとは?

横川

横川:今、「インフルエンサー」などSNSを使った新しいビジネスも生まれていて、好きなことでお金が得やすくなっていると思います。

また、先ほども貯金アプリ、投資アプリなどのお話がありましたが、フリマアプリを利用している方も多いですね。生活必需品の売却であれば基本的には売ったものに税金がかからないので、要らなくなった服などは積極的に売りに出していいと思います。

自分が住んでいる自治体の制度を教えてくれるアプリも重宝します。例えば東京23区内に住んでいるなら、「ほじょナビ」がオススメ。地域のサービスや補助金など、必要な情報を知らせてくれます。

それから、帳簿つけ、確定申告をクラウド会計ソフトで行っている人が多いですね。レシートを集めて入力するのは大変だと思いますが、クレジットカードやQRコード決済を会計ソフトと連携させてスマートに管理している方も増えています。クラウド会計ソフトを使えば、すき間時間にクラウドを立ち上げて管理できるので、忙しいフリーランスの方たちには便利な時代だと思います

――スモビバ!を運営している弥生には「やよいの白色申告 オンライン」や「やよいの青色申告 オンライン」などのクラウド会計ソフトがありますが、まさにフリーランスの方にはマストということですね。

若手フリーランスはインボイス制度とどう付き合えばいい?

――フリーランスとしては、2023年から導入されるインボイス制度についても気になるところだと思います。

横川

横川:今2019年9月現在は、前々年の課税売上高が1,000万円以下の事業主は消費税納付の義務が免除されています。しかし、2023年10月にインボイス制度が導入されれば、売上高にかかわらず、インボイス形式の請求書を発行する人は全員が課税事業者になります。そうなると、仕入控除税額の計算が複雑になるため、今まで手書きで帳簿をつけていた方も、会計ソフトを使って計算しなければかなり難しくなります。

横川楓さん

今まで消費税を納付したことのない方は、納付の時期、回数などについてあらかじめ調べておくと安心ですね。

――かなり負担が大きくなりますね。免税事業者のままでいることはできませんか?

横川

横川:個人的には難しいと思われます。所得税は売上がマイナスだと還付の対象になりますが、消費税は売上げや仕入れに関わるものなので、減らすことはできませんし。

またフリーランスの方は対企業でお仕事されていると思いますが、免税事業者のままでいると、クライアントの企業からの信用が低下したり、場合によっては取引を排除される恐れがあるかもしれません。

――そうなると、この機会に腹をくくったほうがいいかもしれませんね。

横川

横川:また、ある程度収入が増えてきたら法人化して体裁を改めて整えるという方法もあると思います。

法人化した場合、例え売上が赤字でも、法人住民税を年間7万円ほど(※会社所在地の市区町村によって税額は異なります)支払うところがネックではありますが、税金の面でも信用の面でも、法人化をすることによりさらなるメリットがあることも。
ある程度売上が増えてきたら税理士さんなどに相談し、これからの世代は、将来は法人化することを見据えて、事業を運営して行ったほうがいいのかもしれませんね。

――最後に、若手フリーランスの読者の方々にアドバイスをお願いします。

横川

横川:私の実家は会計事務所を経営していたため、私は子どもの頃から資料に「勘定科目」のハンコを押すお手伝いをしていたほど(笑)、お金を身近な存在と考えていました。

その過程で学んだのが、「お金の管理がいかに大事か」ということ。お金はどんなに稼いでも、管理次第で良くも悪くも人生が決まってしまいます。つまり、きちんと管理すれば、お金に困らない豊かな人生になるということですね。

これからのお金こと、しっかりと考えてみてはいかがでしょうか?

横川楓さん

横川楓よこかわ・かえで

横川楓

明治大学法学部卒、その後同大学院へ進学、24歳で経営学修士(MBA)を取得。ファイナンシャルプランナー(AFP)や、マイナンバー管理アドバイザー、マネーマネジメント検定等の資格を取得。また、在学中には地下アイドルの経験があり、ライブ活動などを行うなどの異色の経歴を持つ。
著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)など。
・Twitter:横川楓@お金の専門家

写真:沼田学

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