開業・起業の時に公式ホームページは必要?目的別にホームページ作成の価格相場も紹介します

2023/12/04更新

この記事の執筆者岩田真

初めまして。「ホームページを作りたい人」と「Web制作会社」をマッチングするサービス「Web幹事新規タブで開く」を運営している株式会社ユーティルの岩田と申します。今回は、Web制作に関する事業を展開してきて培ったノウハウをもとに、記事を執筆させていただきます。

さっそくですが、開業・起業・創業したばかりの事業主さんにとって、そもそもホームページの開設は必要なのでしょうか?

  • 今の時代ホームページって必要不可欠なんじゃないの?
  • ホームページを作るために、費用はどれくらいかかるの?
  • ホームページで集客って本当にできるの?

といった疑問をお持ちの方、起業をしてホームページの作成をお考えの方に、「Web制作」に関する知識・ノウハウをご紹介いたします。

POINT

  • 今の時代「ホームページが必ず必要!」とは限らない
  • ビジネスの目的別に目安となる費用相場がある
  • 集客がしたいなら「ランディングページ」から始めるのがオススメ

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開業・起業・創業時に、公式ホームページは必ずしも必要ない

結論から申し上げると「起業時・創業時に本当にホームページは必ずしも必要ない」です。

「今の時代、ホームページがないと怪しい会社だと疑われるんじゃない?」と思われる方もいるかもしれません。たしかにかつては、ホームページがWeb上で数少ない情報提供の1つのチャネル(※媒体・経路のこと)だった時代もあります。しかし、現在は違います。
実際、ほとんどの事業者がホームページを保有しておりますが、まったく活用できていないという状態にあるかと思います。

  • Twitter、Instagramなどの「SNS」
  • 食べログ・SUUMOなどの「情報ポータル」
  • YouTube、noteなどの配信「プラットフォーム」

ネット上には上記のようにさまざまな情報チャネルが存在します。

そのなかで、自社の顧客層に適した情報チャネルがあるなら、そちらのチャネルを優先した方が効率的な時代になってきました。

例えばあなたが高田馬場でラーメン店を営んでいるとして、「高田馬場 ラーメン」でGoogle検索しても、実はラーメン屋さんのホームページは1ページ目にまったく出てきません。食べログやRettyなどのグルメ系の情報ポータルやWebメディアが上位を独占しています。

このような状況下で、ラーメン屋の公式ホームページに力を入れて集客を行うのは至難の技。すぐに成果を出すのは難しいと言えます。むしろ食べログ内で上位表示を狙う方が効率的でしょう。

飲食店以外にも、同じようなケースは多くの業界で当てはまります。例えば「不動産業界」や「人材業界」など、下記のような構造の業界です。

  • 事業者の数が非常に多い
  • 事業者間の差別化要素がわかりにくい
  • 大手の情報ポータルが存在する

このような場合は「公式ホームページを公開してすぐに成果を出す」のは非常に難しくなっているのが現状です。つまり、「開業・起業時にホームページは必ずしも必要ない」のです。

まずは顧客に「情報を届ける」のが目的。ホームページは手段にすぎない

先ほどの「高田馬場 ラーメン」のように、ホームページがなくても集客に成功している例は意外と多く存在します。口コミやSNSで評判になっていれば「行列が絶えない」人気店もたくさんあります。

つまり、まずは「優良な情報を」「しっかりと顧客に」届けることが重要で、ホームページはそのための手段にしか過ぎないのです。

特に創業期の場合は、資金や従業員などリソースも限定されています。見栄を張ってホームページをかっこよく作る意味は一切ないのです。

また、集客のためのチャネルが分散していくなかで、マーケティングの難易度も上がっています。
TwitterやInstagram、食べログもなど「あれもこれも」状態になってしまい、すべての対策が中途半端になってしまうのがもっとも悲惨な例です(意外とよくあります)。

創業期は「最も効率の良さそうな情報チャネル」に絞って、情報発信していくのが良いでしょう。

BtoCであれば、TwitterやYouTubeなどで情報発信し、BtoBであれば、同じSNSでも知り合いに効率的にアプローチできるFacebookの方が効果的かもしれません。

もし集客コンサルやWeb制作会社に依頼する場合は、上記のような観点でアドバイスをくれる会社を選んでください。

取引や手続き上、ホームページが必要になることもある

一方で、公式ホームページがどうしても必要になる場面も確かにあります。

  • 金融機関の口座開設・融資などの手続きに必要となる場合
  • (特にBtoBの業態などで)取引先との与信の問題で必要になる場合

上記のように、金融機関や取引先などとの「手続き」において、どうしても必要になる場合があります。

それ以外の目的で、ホームページを活用する予定がない場合は、予算をかけず「サクッと」作ってしまうのがもっとも効果的です。
人材募集のためにホームページを作りたいというケースもありますが、ホームページの中に採用サイトを1ページ作っただけでは、求人への応募はまったく増えません。

採用サイトは「すでに人材採用に注力している会社が、よりその活動をドライブさせるためのもの」で、創業期の場合、そこに費用をかけて採用ページを作成するのはお勧めしません。
また、就活生や転職先として企業情報確認する人ため、もしくは求人票や転職サイトへの登録項目「会社ホームページURL」に記載する目的でホームページを作成する必要があるのであれば、後述する「名刺がわりのホームページが欲しい場合」をご覧ください。

また下記のようなケースも考えられます。

  • SNSではある程度知名度が出てきたから、せめて会社名や店舗名で検索した時だけは表示されるようにしたい
  • 営業が顧客に訪問した後、補完情報としてホームページを見て欲しい。

ともに「しっかりとホームページを作るべき目的がある」のが重要なポイントです。

「ホームページを作った方が有利な場合」もある

ホームページも作る方が集客で有利な場合もあります。
それは先ほどの不動産業界などとは逆構造になっている業界です。

  • 業界に関する情報があまりない(顧客との情報格差が大きい)
  • 競合のIT・Webのリテラシーが低い
  • 一方でユーザーのリテラシーが上がっている(スマホで検索する人が増えている)

などです。例えば「製造業」「葬儀」や「不用品回収」などの業界でしょうか。
特に競合する会社が少ない場合は非常に有利です。しっかりと作った場合の費用対効果は比較的高いと言えます。

では、目的に応じて、どれくらいの予算を割けばいいのでしょうか?

ここからは、Web制作に関するマッチングサービス

「Web幹事」に相談が多い内容をもとに、Web制作に割くべき予算を「目的別」にご紹介していきます。

目的別 Web制作の費用目安

目的別 Web制作の費用目安

ここでは、目的別にWeb制作を依頼する際の費用の相場をご紹介していきます。

まず前提としてお伝えしたいのは、ホームページはその目的やページ数に応じて、大きく費用が変わるということです。シンプルな1ページだけのものを依頼する場合と、100ページ以上のリニューアルでは、費用は全く異なります。

そのため、いきなり業者に「どれくらいかかりますか?」と聞いても正確な答えは返ってきません。ホームページを通じてやりたいことや、おおよその規模感などを伝えないと意味のないやり取りになってしまいます。

無料〜10万円 「とりあえずホームページがあればOK」の場合

  • 銀行の口座開設などで、ホームページがとりあえず必要になった
  • 営業先にホームページがないと、取引できないと言われた

など、上記のように「とりあえずホームページが必要になった。クオリティはそこまで重要視しない」という場合は無料〜10万円程度を費用の目安にすると良いでしょう。

「無料」があるのは「自分で作る」という意味です。

「ペライチ」や「WordPress」など、無料でホームページを作ることができるツールは多くあります。多少の知識が必要になりますが、自分で勉強して作れば無料で作ることができます。

Web制作会社に依頼する場合も、格安のプランを提供している制作会社に依頼すれば10万円程度に費用を抑えることができます。ただし、この場合デザインは「テンプレート」を利用するなど制約がある場合が多いです。もちろん集客効果もあまり期待できません(より集客を目指したい場合については後述いたします)。

制作期間は、自分で「ペライチ」を使って作成する場合なら、多少Webに詳しい人なら1日で完成させることも可能ですし、初心者の方でも1〜2週間程度で作れてしまいます。制作会社に依頼する場合は、相談から着手・完成までだいたい1ヵ月程度あれば制作が可能でしょう。

10万円〜50万円 名刺がわりのホームページが欲しい場合

  • 取引先に、電話番号や住所など最低限の情報を提供したい
  • 創業のタイミングで、自社商品・サービスを最低限アピールしておきたい。

筆者はよく「Web上に名刺を置いておくメージ」と解説しています。パンフレットのように、自社の魅力や強みを存分にアピールするほどではないものの、会社設立当初や開業する際、また求人〜採用の際に求職者にチェックしてもらうためなど、まず会社の最低限の情報を伝えたいときに目安としたい相場です。

この場合、制作期間は1〜2ヵ月程度、費用は10万円〜50万円程度になります。10万円〜50万円と5倍の差がありますが、オリジナルデザインでそれなりにしっかりとしたものを作りたいという場合、30万円以上は見ておいた方が良いでしょう。

また、10万円〜30万円の価格帯は、先ほどと同じくテンプレートを使用したデザインになってしまう可能性が高いです。

50万円〜100万円 パンフレットとして活用できるホームページが欲しい場合

  • 自社商品が完成したので、魅力をしっかり伝えるホームページを作りたい
  • 一度営業で訪問した会社の担当者に、追加で情報提供を行いたい

先ほどの価格帯が「名刺代わり」だったのに対し、商品・サービスの魅力を伝える「パンフレット」としてホームページを作る場合の目安です。
制作期間は1〜3ヵ月、費用は50万円〜100万円となります。

この価格帯であれば、いわゆる企業サイト(コーポレートサイト)やサービスサイトとして必要なひととおりページが揃っており、会社や商品の魅力がしっかり伝わるように設計・デザインされたホームページを制作することが可能です。

創業期の自社の商品・サービス開発が終わり、「今後は営業に注力していく!」「ブログなどの情報発信を始める」といったタイミングでこの相場のホームページを作るのが理想的です。

創業・起業した瞬間は、アピール材料も少なく、ホームページとして充実したコンテンツを用意できないことがしばしばあります。

せっかくデザインはカッコいいのに、中身はスカスカということになりかねません。ある程度、発信できるコンテンツが揃ってくるまでは費用を抑えた状態でホームページを持っておくというのもオススメです。

集客がしたいなら最初は「ランディングページ&広告」でもOK!

「自社の商品やサービスはしっかりしたものがあるので、とにかく集客がしたい」
という場合はランディングページを検討してみましょう。

ランディングページとは「検索結果や広告などを経由して最初にアクセスするページ」のことです。特にGoogleやYahoo!などの検索エンジンの広告枠で活用することが多いです。

例えば「高田馬場 不動産」と検索した時、下記のような広告枠(「リスティング広告」と呼ばれます)が表示されます。

「高田馬場 不動産」と検索した画像

(※2019年7月27日 「高田馬場 不動産」とプライベートモードでGoogle検索した場合の結果)

このいずれかをクリックした時に表示されるページが「ランディングページ」です。
イメージ的には「Web上のチラシ」のようなものでしょうか。

不動産のような大手のポータルサイトがある業界では、検索結果の上位に表示する対策(SEO対策)を行うのは、かなりの時間と費用を要します。

魅力的な商品やサービスがある場合は「広告費を払って上記のように検索結果に表示するようにして、ランディングページで集客する」のが短期的な集客手法として効率的です。

この場合のデメリットは「検索結果に表示させる限り、常に広告費が必要になる」ということ。

そのため「広告&ランディングページ」で短期的に集客→その利益で集客用のホームページを制作し、中長期的に集客の対策を行う……というのが理想的な流れです。

ランディングページの具体的な解説や費用の相場はこちらをご覧ください。

参考

起業・創業時にWeb制作を依頼する際の業者選びのポイント

最後に起業・創業時にWeb制作を依頼する際の業者選びのポイントをお伝えします。重要なのは「相性」と「実績」。少なくともこの2点をおさえて制作会社を選ぶようにしましょう!

担当者がしっかりと自社の商品やサービスを理解してくれるか

ホームページ制作会社を見極める際に、最も重要なポイントの1つが「制作会社の担当者との相性」です。

会社として素晴らしい実績がたくさんあっても、あくまでホームページ作りを進めていくのは「人」対「人」。担当者との相性は悪ければ、うまく進みません。

自社の社員として採用するなら……の視点で考え、一緒に仕事をしたい!と思える担当者を選ぶのが非常に重要です。

目的にあった実績を持っているか

例えば、本記事でご紹介した「パンフレットとしてホームページを作りたい!」という時に、名刺代わりのホームページしか作ったことがない会社では実力不足です。

また逆も然りです。その場合は、見積もりを取っても大幅な予算オーバーになる可能性が高いです。

確認する方法は、過去の制作会社の実績を「どんな目的で」「どれくらいの予算・期間」でつくったのか、事例を解説してもらうようにしましょう。

制作会社に、ホームページを作る目的と同じような事例がない場合は要注意です。

ホームページ以外の施策や手法を教えてくれるか

また、本記事でお伝えしたように、創業時には必ずしもホームページが必要というわけではありません。他に効率的な施策があるなら、そちらを採用すべきです。

Webについて、しっかりとした知識をもっている会社・担当者なら、単純にホームページを作る以外の方法も教えてくれるはずです。各々の施策のメリットやデメリットなどを丁寧に教えてくれる担当者の方が、一般的には信用できる業者さんと考えてもいいでしょう。

まとめ

本記事では、創業時にホームページは必要なのか?というテーマで、ホームページ作りのポイントをご紹介してきました。

起業・創業期は、まだまだWebに関する知識もなく「何から手をつけていいかわからない」という方もいらっしゃると思います。

一方で「格安でホームページが持てます!」「初期費用無料で集客ができます!」などあの手この手で売り込みをしてくる業者もいます。

いろいろな売り文句に惑わされず「今、本当にウチにはホームページは必要なのか?」「必要だとしたら、どのレベルのホームページを作ればいいのか?」ということを考えてから進めるようにしてください。

業者に依頼する前に、しっかりと準備を行いましょう!

参考

photo:Getty Images

この記事の執筆者岩田真

株式会社ユーティル代表取締役。京都大学経済学部卒業。
新卒でベンチャーキャピタル事業を行う株式会社ジャフコに入社。投資部にて、数億円単位のベンチャー投資事業に従事。投資先の発掘〜精査〜投資〜価値向上に一貫して従事。2015年4月株式会社ユーティル設立。ユーティルではWeb制作事業を設立より展開。3年間で東証一部上場企業を含む50社以上の制作に携わる。2018年よりWeb制作会社のポータルサイト「Web幹事新規タブで開く」を展開。Web制作会社の「集客」に特化してサポートを行なっている。

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