会計士と税理士の違いって?超インテリお笑いコンビ「Gパンパンダ」が徹底解説!

「スモビバ!」にたびたびご登場いただいている、公認会計士兼税理士の星野さん&MENSA会員の一平さんの超インテリお笑いコンビ・Gパンパンダのおふたり。このたび、個人事業主やフリーランスの方向けに、連載がスタートしました!
今回、連載スタート特別企画として、公認会計士と税理士の違いについて教えていただきました。この2つの資格の違いをしっかり理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか?その違いがわからないと、経営者の皆さんはじめ、個人事業主やフリーランスになったとき、どちらに何の相談をすればいいかもわかりません。さっそく伺ってまいりましょう!
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目次
税理士は個人事業主の味方、公認会計士は株主の味方!?
――星野さんがお持ちの「税理士」と「公認会計士」の資格は、どちらもお金に関係がある職業ですが、正直なところ、違いがよくわからなくて……。それぞれのお仕事の違いを教えていただけますか?
星野:確かに、同じような仕事だと思っている人も多いですね。では、まず「税理士」のほうからざっくり言いますと、確定申告書を作ったり、税金の相談に乗ったりということが仕事です。個人事業主やフリーランスの方から見ると、節税のポイントを教えてくれたりもする味方と言えます。会社にとっても、税務申告書を作ったり相談に乗ったりするので、内部的な存在ですね。
一平:じゃあ税理士・星野は、僕やライターさんみたいな個人事業主の味方なんだね。
星野:一方、「公認会計士」は、どちらかというと外部の存在なんです。会社が作った財務諸表などをチェックして、そこに不正や間違いがないかを確かめる仕事なので。
一平:税理士と公認会計士が戦うことはあるの?
星野: 正確に言うと、公認会計士と税理士では見ている書類が違うので、戦っているわけではありません。
税理士が作成する確定申告書等は、「税務会計」に基づく書類で、税金額を計算するためのものです。一方で公認会計士がチェックする財務諸表等は「財務会計」に基づく書類で、主に企業の利益額を計算する書類です。
公認会計士は、いろいろな会社に行って、利益の計算に不正がないかどうか見てまわることになるので、会社の経理の方からは、やや厄介者扱いされることもありますね
一平:つまり公認会計士は、国の味方ってことかな?
星野:公認会計士は「株主の味方」という言い方をすることが多いね。株式会社は業績を株主に公表するんだけど、嘘をついて株を買ってもらうことがないように、公認会計士がチェックする。株主に正しい情報を与えるための役割です。
一平:お笑い芸人と兼業してるとは思えないくらい、お堅い仕事だな~。
星野:カチカチに堅いよ~。

(左)公認会計士バッジ。「安定感」を持つ正方形の連続は経済社会の安定を守る公認会計士の連帯、そして中心を丸く切り取ることで公認会計士ひとりひとりの力を表現。また、楕円形は世界経済を守る公認会計士の誇りをイメージ。
(右)税理士バッジ。外側の円は日本の「日」を意味し、「日」とともにどこまでも栄えることを意味している。円の内側の上部には、日本の国花のひとつである桜がデザインされている。
一平:税理士と公認会計士は、どっちが偉い?
星野:おいコラ!職業にどっちが偉いとかはないんだよ!!
一平:星野みたいに、両方の資格を持ってる人はいっぱいいるの?
星野:そうだね。公認会計士の資格を持っている人は、一定の手続きを踏めば、税理士の登録もできるから。
一平:税理士は、公認会計士の登録はできない?
星野:それは公認会計士の試験に受かる必要があるけど、一部、科目の免除とかはあるよ。
一平:……ふーん。ってことは……。
星野:それぞれ専門分野がありますから、どっちが偉いとかは一切ありません!(キッパリ)どちらも大切な仕事です!(ニッコリ)
友だちの確定申告の代行は違法!税理士の独占業務を要チェック
――税理士さんも公認会計士さんも、どちらも専門的な知識や経験を活かして、人々の幸せのために業務を行っているわけですね。
星野:そうなんですよ(ニッコリ)。そして税理士にも公認会計士にも、それぞれにしかできない、法律で定められた「独占業務」というものがあります。
税理士で言えば、確定申告をその人の代わりに行う、税金の相談に乗る、税務調査に立ち会う……など。これらは税理士しかできない仕事だと、税理士法で決められているんです。
だから、税理士じゃない人が誰かの確定申告を代行してあげると、税理士法違反になってしまうので、気をつけてください。
――事務処理が得意な知人が、苦手な人の確定申告を手伝ってあげようかなと言っていましたが……。
星野:ダメですね~。実際にやっている人を見つけたら、僕がつるし上げます。
――これが、知らないうちに罪を犯してしまうという恐ろしいパターンですね。無知こそが罪と言うべきか……知人に、この記事を読ませます(笑)。
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星野:先ほどお話しした、会社の決算などをチェックする「監査」は、公認会計士だけができる独占業務です。このバッジを持っている人ができます(ドヤッ)。
一平:星野は両方の独占業務ができるんだね。すごいな~。じゃあ、個人事業主やフリーランスの人は、最初は税理士と仲良くして、いずれ稼いで法人化したら公認会計士と仲良くする……って流れが一般的?
星野:監査を受けないといけない会社の基準も、法律で決まっているから、そこに当てはまるようになったら公認会計士のお世話になるね。ただ、かなり大きい規模の会社じゃないと該当しないので、法人化したからといってすぐに公認会計士のお世話になるケースは少ないかな。
一平:公認会計士は、僕たち一般の個人事業主とは、まったく関係がない存在なんだ。
星野:「まったく関係がない」とか言うんじゃない!……まあ確かに、一般の方とは関わる機会が少ないから、公認会計士って知名度が低い職業でもあるんですけどね。飲み会でお会計をまとめたら「すごいね!さすが公認会計士!」ってイジられたりもするし(泣)。
一平:この記事を読んでいるほとんどの方にとっては、今後もなじみがない仕事だから、公認会計士が何をやっているか覚えなくてもいいですよ。
星野:いや、そんなことはない!!みなさんが知っている一流企業に対して、たくさんの公認会計士が公認会計士法に則ってちゃんと監査をしているからこそ、みなさんが安定した暮らしを送ることができるんです。
一平:そんなことないよ。それぞれ個人がみんな頑張ってるんだから。
星野:は~い、炎上で~~す!一平くんは公認会計士協会の方々にめちゃくちゃ怒られま~~~す!!
一平:助けて〜!!
――私たちがなかなか知り得ないところで、公認会計士さんたちが頑張ってくださっているんですね(笑)。
一平:公認会計士としての、星野の得意技はあるの?
星野:一応、「ジェット(Journal Entry Testing/仕訳テスト)」というのがありますね(照)。
一平:よくわかんないけどカッコよさそうー!
星野: 大きな会社ほど、内部統制(社内でのチェック作業)によって、組織内でミスや不正が行われるリスクをある程度軽減しています。ですが、この内部統制のレベルに関わらず、経営者による内部統制の無効化リスクは常に存在するんです。たとえば、経営者に「不正をしろ」と言われた経理部担当社員が、さからえずに嘘の仕訳を入力するリスクなど……。
ですので、財務諸表作成プロセスにおける内部統制の無効化リスクに対応するために、仕訳テストと言って、嘘かもしれない怪しげな仕訳をチェックする手続があるのです。詳しいチェック方法は明かせないのですが、僕は会計システムのモジュールに詳しかったので、この手続に自信がありましたね。
一平:……内容が難しすぎて、場の空気が盛り下がったね。
星野:……一平くんが話を振ってきたのに。……でも、ボケなくてすみません(苦笑)。
――とても大変そうなお仕事をされているのはわかったので、大丈夫です(笑)。監査業務以外には、どんなことをされているんでしょうか?
星野:公認会計士は、コンサルティングとか、経営の相談に乗るなどのお仕事をされている方も多いですね。やっぱり「公認会計士として、たくさんの企業を見てきました」という実績があると、コンサルタントとしても信頼や評価を得やすい面はあると思います。
一平:公認会計士はとにかくすごいんだね。
星野:そうだよ。これ、読者の方にも本当に伝わってるかな~?(笑)
一平:公認会計士はすごすぎて遠い存在。一方、税理士は身近!
星野:ざっくりすぎる!!ただ確かに、比較しちゃうとどうしても税理士のほうが、個人事業主やフリーランスの方にとっては近い存在かもしれないね。
――公認会計士と税理士の担当業務についてよくわかりましたね。次回は、個人事業主やフリーランスになったときの、税理士さんの探し方や選び方、相談するタイミングや事前準備などについて、Gパンパンダのおふたりと解説していきます!
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Photo:沼田学