女性・若者・シニアの開業・起業志望者は必読！金利も有利な融資メニューとは？【会計士オオノ先生に聞く！お金の経営相談】

ゆうちゃん：センセー、こちらが友人のともみさん。資金調達の悩みを相談したいんだって。

オオノ先生：ともみさん、はじめまして。資金調達のお悩みということは、事業をされているんですかね？

ともみ：オオノ先生、はじめまして。事業といっても、これから創業しようと思っている段階なのですが、相談させていただいても良いものでしょうか？

オオノ先生：もちろんです。創業前から資金調達のことを考えるのは良いことですよ。どうされました？

ともみ：実は、12年勤務した幼児用のアパレルメーカーを、妊娠を機に退職して専業主婦をしていたのですが、子育てもひと段落したので、また働きたいなと思うようになりまして。

ゆうちゃん：子育て経験を活かした商品アイデアがあるんですよね？

ともみ：はい。実際に子育てをしてみると、子供、特に幼児とのお出かけは「ベビーカー」と「抱っこ紐」の二刀流になることが多いなって思いまして。

オオノ先生：「ベビーカーと抱っこ紐の二刀流」と言いますと？

ともみ：ベビーカーでお出かけしたとしても、子供がグズりはじめたり、こじんまりとしたお店の中に入るときには抱っこ紐の方が便利なんです。だけど、そんなときに限って抱っこ紐をもってくるのを忘れてしまったり……。

ゆうちゃん：抱っこ紐に限らず、必要なものって必要なときに限ってないんだよね～。

ともみ：最近の抱っこ紐って、安全性に配慮してとっても頑丈にできてますし、つけ心地を重視してパット類も厚くなっているので、とってもかさばるんですよ。なので、逆に持ち運びにくくって。

ゆうちゃん：たしかにね。

ともみ：だったら、常にバックの中に携帯しておけるくらい軽くてかさばらない抱っこ紐があれば、忘れることもないし、必要なときにサッと取り出せて便利なんじゃないかなって思って。もちろん安全性にも配慮して。

オオノ先生：それは便利そうですね！ 通常はベビーカーに乗ってもらうものの、いざとなったときには抱っこ紐を使うということですね。

ともみ：そうなんですよ。それで、試行錯誤を重ねて、やっと設計図が出来上がりました。自分でミシンを使って縫った試作品をママ友にも試してもらって、とっても良い評価を受けています。実際に20個ほど買ってもらうこともできたんです！

ゆうちゃん：すごいですね！

ともみ：あとは、工場に持ち込んで製品化してもらいたいんですけど……。

オオノ先生：予想以上にコストがかかると判明したってことですかね？

ともみ：はい。最低でも1,000ロットからの受注になると言われてしまって……手持ち資金ではぜんぜん足りなくて。

オオノ先生：それで融資のご相談を。

ゆうちゃん：ねえ、センセー、ともみさんにぴったりの融資って何かないの？

オオノ先生：そうですね、例えばこれなんかどうでしょう？

ともみ：「女性、若者／シニア起業家支援資金」ですか……。

オオノ先生：はい。日本政策金融公庫の融資メニューのひとつです。

ゆうちゃん：女性向けの融資メニューってこと？

オオノ先生：はい。女性の他にも「ご利用いただける方」に記載されているとおり、35歳未満の若者、55歳以上のシニアの方なら性別関係なく利用できます。事業開始後7年以内という縛りがありますが、これから創業しようとしているともみさんには関係ないですね。

ゆうちゃん：ふむふむ。この融資メニューをおすすめする理由ってなに？

オオノ先生：なんといっても、無担保・無保証人でありながら、創業前や税務申告をまだ2期終えていないような経験の浅い創業者であっても年1.86%の低金利で融資を受けられるという点でしょうか。

ともみ：それはありがたいですね！

ゆうちゃん：無保証人ってことは、経営者であるともみさん自身も保証人にならなくて良いってことだよね？

オオノ先生：そうですね。中小企業経営力強化資金と同様に、経営者保証を外した借入れが可能です。

ともみ：えっ！ 私自身も保証人にならなくて、こんなに低金利なんですか？！

オオノ先生：そういうことです……。

ゆうちゃん：あれ？ センセーどうしたの？ 元気ないじゃん。

オオノ先生：いえ、この融資メニューを説明するたびに悲しい気持ちになるんですよ……。

ゆうちゃん：悲しい気持ち？ どうして？

オオノ先生：だって、考えてみてくださいよ。対象者は「女性、若者／シニア」ですよ。

ゆうちゃん：女性、若者／シニア、それがどうしたの？

オオノ先生：……これって、「オジサン以外」ってことじゃないですか！

ともみ：ふふ、本当ですね（笑）。

オオノ先生：日本政策金融公庫って、政府系の金融機関ですよ……。

ゆうちゃん：政府系の金融機関が「オジサンは金利を高くします」ってはっきり言ってるんだね。あはははは（笑）。

オオノ先生：ゆうちゃん、笑いすぎです！　でも、仕方ない側面もあるんですよ。起業家のおよそ7割は男性で、男性起業家の平均年齢は約50歳といわれています。つまり、あまり起業していない女性やシニア、若年層を積極的に支援する施策というわけです。

ゆうちゃん：まさにそれが「政策」というわけね。さすが日本政策金融公庫。

ともみ：他にも政策的な意図で金利が優遇されている融資メニューってあるんですか？

オオノ先生：もちろんありますよ。例えばこちら。

ゆうちゃん：NPOとか社会的な活動をしている組織が対象ってこと？

オオノ先生：そうですね。NPOはもちろん、そうでなくても、保育、老人福祉・介護、児童・障がい者福祉などの事業をしている会社が対象となります。

ともみ：利率に幅がありますね。

オオノ先生：そうですね。この融資メニューの利率の設定は非常に複雑なので、該当しそうな場合は直接、日本政策金融公庫に問い合わせると良いと思います。ともみさんの場合は、NPO法人で事業をやられるなら該当しますが、そもそも「女性、若者／シニア」で同等の金利優遇を受けられるので、あまり関係ありませんね。

ゆうちゃん：いわゆる「オジサン」が起業する場合にも使えるってことね（笑）。

オオノ先生：ゆうちゃん、しつこいですが（笑）……そうですね。あと、保育事業や介護事業をされる場合だと「女性、若者／シニア起業家支援資金」よりも、こちらで申請した方が、金利が安くなると思います。

ゆうちゃん：ケースバイケースってことね。

オオノ先生：はい。このあたりは専門家のサポートを受けるか、日本政策金融公庫へ問い合わせるのが良いと思います。

ともみ：いずれにせよ、とても勉強になりました。ありがとうございます。

ゆうちゃん：実際にともみさんが申し込みをする際にはどうすれば良いの？

オオノ先生：やはり、まずは「事業計画書」を作成することですね。これまでもお話してきたとおり、融資を受ける・受けないに関わらず、経営をするのであれば、必ず事業計画書が必要です。専門家のサポートなども受けながら、まずは精緻な事業計画書を作成すべきだと思いますね。

ともみ：事業計画書を作ったその後はどうなりますか？

オオノ先生：日本政策金融公庫が、このような創業者向けの創業計画書のフォーマットを用意していますので、そこに落とし込みます。事業計画書や創業計画書の作成方法については、また別の機会に説明いたしますね。

ゆうちゃん：作った事業計画書を、日本政策金融公庫のフォーマットに転記していくイメージね。

オオノ先生：そういうことです。しっかりとした事業計画書を作成した後なら、日本公庫のフォーマットに写す作業はそれほど難しくないはずです。

ともみ：わかりました！ まずは事業計画書を作成してみます！オオノ先生、手伝ってもらえますか？

オオノ先生：もちろんです。事業計画書を作成して、安定した経営を目指しましょう！