【e-Taxで確定申告】ID・パスワード方式の手順、メリットとデメリットについて調べてみた

2019年1月から、e-Tax(電子申告)は「マイナンバーカード方式」か「ID・パスワード方式」のどちらかを選んで利用できるようになりました。今回は「ID・パスワード方式」の手順やメリット・デメリットについてレポートします!
(※「マイナンバーカード方式」でのe-Taxチャレンジは、「【e-Taxで確定申告】マイナンバーカード方式を実際にやってみた」をご覧ください。マイナンバーカードの申請も行いました。)
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目次
- POINT
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- 税務署で職員の方から本人確認をしてもらい、「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらう。
- 「電子申告・納税等開始届出書」を事前に提出し、「利用者識別番号」を取得する。
- ID・パスワード方式は使えなくなる可能性があることを理解しておく
2019年1月からe-Taxの条件が緩和!
フリーランスの編集者・ライターである筆者は、個人事業主として今回で5回目の確定申告となります。これまでの確定申告は、作成した申告書を税務署の窓口に持っていくか、税務署に郵送するかという方法しか経験したことがありません。
e-Taxを活用していなかった理由は、下記の2つの条件に面倒な印象を抱いていたからです。
- マイナンバーカードなどの電子証明書が入ったカードと、ICカードリーダライタを準備しなければならない。
- 税務署に出向いて、e-Tax利用開始のためのIDとパスワードを取得しなければならない。
ですが2019年(平成31年)1月からは、この条件のどちらか1つさえ満たしていればOKになりました。混んでいる税務署で長時間待ったり、確定申告書を印刷していろいろな書類と一緒に送ったりしなくていいのはやはり魅力的です。
簡便化した今がチャンスだと考えて、e-Taxでの確定申告にチャレンジします!
「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2つの方法を事前にリサーチ。今回は「ID・パスワード方式」での申告についてご紹介します。
ID・パスワード方式での申告
ID・パスワード方式でe-Taxをする場合は、事前に運転免許証などの本人確認書類を持参して近くの税務署に行き、職員の方に本人確認をしてもらい「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらう必要があります。
マイナンバーカードの申請とは異なり、即日発行してもらえます。もちろん無料です。
なお2018年(平成30年)1月以降、確定申告会場などで「ID・パスワード方式の届出完了通知」を受け取った人は、すでにID・パスワードを取得済みになっていますので、申告書等の控えを確認してみてくださいね。
「国税庁:ID・パスワード方式を利用するには、どうしたらよいですか。」より「ID・パスワード方式の届出完了通知引用。
また、税務署での本人確認の方法以外に、マイナンバーカードとICカードリーダライタを使ってIDとパスワードの取得を行うこともできるそうです。その場合は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用して、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を送信します。
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナー内に、「ID・パスワード方式届出コーナー」があるので、そのページに進んでいきます。
氏名や生年月日、職業など、ID・パスワード方式の届出に必要な事項を、画面の案内に従って1つずつ記入していきましょう。基本事項だけなので、サクサク進みました。
開始届出書の提出
ID・パスワード方式でe-Taxを利用する場合、「電子申告・納税等開始届出書」を事前に提出し「利用者識別番号」を取得する必要があります。(この工程は、マイナンバーカード方式なら不要です。)
「電子申告・納税等開始届出書」の提出と「利用者識別番号」の取得は、e-Taxソフトおよびe-Taxソフト(WEB版)からオンラインで簡単に行えました。
ただ、すでに税理士の方などに頼んで電子申告をしている場合、税理士の方に頼むのをやめるなどの理由でID・パスワード方式を使いたいときは、すでに利用者識別番号を持っているので、その情報も税務署に持参する必要があるそうです。わからない場合は、お願いしている税理士の方に確認してみてください。
このあとの申告の手続きや流れは、基本的にマイナンバーカード方式と同じです。
まずは国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで、申告書データの作成に取りかかります。作成コーナーに入る前に、「マイナンバーカード方式により提出する」か、「ID・パスワード方式により提出する」のどちらかを選ぶ画面にて「ID・パスワード方式により提出する」を選択します。
そこで、取得した利用者識別番号(ID)、暗証番号(パスワード)を入力して、申告書の作成を進めていき、作成が済んだらe-Taxで送信。これにて申告完了です。
国税電子申告・納税システム(イータックス)ホームページ内の「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」の「個人の方」というページに進み、氏名や生年月日など必要事項を入します。
入力内容の確認を終えると画面上で16桁の利用者識別番号が通知されます。忘れてしまわないよう、この画面を保存や印刷しましょう。
利用者識別番号を取得したら国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーへ行きます。そこで「e-Taxで提出する」→「ID・パスワード方式により提出する」の順に選択し、利用者識別番号(ID)と暗証番号(パスワード)を入力すると、申告書データの作成とe-Taxでの送信を行えます。
ID・パスワード方式のメリット・デメリットなどの所感
ID・パスワード方式でe-Taxの確定申告を行うか検討して、次のような所感を抱きました。
<メリット>
- マイナンバーカードと比較して、マイナンバーカードとICカードリーダライタが不要。
- IDとパスワードを利用すれば、スマートフォンからの確定申告手続きもできるようになる。※個人事業主の確定申告は対象外です。
<デメリット>
- IDとパスワードの取得のため、税務署に行く必要がある。
- e-Taxのメッセージボックス機能が利用できない。
- IDとパスワードを管理する必要がある。
- ID・パスワード方式は、確定申告ソフトで作成した確定申告e-Tax用データで申告できない。(※)
- IDとパスワードだけで電子申告できるのは、あくまで暫定的な措置とされているため、いずれ使用できなくなる可能性も。
(※)ID・パスワード方式は、国税庁のe-Taxサイト「確定申告書作成コーナー」での申告に対応している方式で、「確定申告書等作成コーナー」は「確定申告書等作成コーナー」で作成した電子データ以外は取り込むことができません。
マイナンバーカード方式もID・パスワード方式も、それぞれにメリットとデメリットがありますが、マイナンバーカード方式だと役所、ID・パスワード方式だと税務署に行かないといけないので、事前準備の手間などは個人的にはあまり大差はないように感じました。
ただ、e-Tax自体のメリットとして、自宅から24時間いつでも申告できる簡単さ、気軽さはあります。また、e-Taxなら還付金を早く受け取ることもできるんだそう。
「マイナンバーカードやICカードリーダライタは、ほとんど使わなそうだから、とりあえずID・パスワード方式にしよう」というのもいいのではないでしょうか。そのうちマイナンバーカード対応のスマートフォンなどが普及して、ICカードリーダライタを購入しなくてもよくなるかもしれませんし。
ですが、ID・パスワード方式は、おおむね3年間の暫定措置で、国税庁推奨はあくまでもマイナンバーカード方式。早めにマイナンバーカード方式導入を検討しておくのもいいと思います!
そして、個人事業主としてとても気になる部分なのですが、税制改正で2020年分から青色申告の特別控除額が変わるのです。
2020年分以降の個人事業主の所得税の確定申告では、従来(2019年分まで)の青色申告特別控除65万円の条件(「期限内申告」「複式簿記」など)に加え「電子帳簿保存を行う」か「e-Taxで確定申告をする」か、どちらかの条件を満たさなければ青色申告特別控除の上限額が、65万円ではなく55万円になってしまうんだとか……。
青色申告で65万円控除を引き続き受けるには、今からe-Taxできるようにしておくのが安心ですね。
まとめ
ID・パスワード方式は、マイナンバーカードの取得やICカードリーダライタの購入という手間を省けるので、面倒くさがりの筆者でも取り組みやすい方式だったと感じます。また、e-Taxは自宅でいつでも好きな時間に申告ができますし、税務署までの交通費や申告書の郵送代もかからなくなるので、思いきってe-Taxにしてよかった!と思いました。
初心者でも簡単にネットで確定申告が行えるe-Tax。準備はちょっと大変なところもありまますが、興味のある方は自分に合った方法で、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
photo:Getty Images