設備投資を考えている社長さんなら覚えておきたい「おトクな融資メニュー」って？【会計士オオノ先生に聞く！お金の経営相談】

ゆうちゃん：オオノセンセー、こないだはBMM（ビジネス・モデル・マトリックス）の作成手伝ってくれてありがとうね。

オオノ先生：いえいえ。お役に立てたようで何よりです。

ゆうちゃん：もちろん！
BMMを使うことで、自社のビジネスモデルをしっかり整理できたし、おかげで会社の強みと弱みをあらためて把握できて、とっても助かってるよ。
社長仲間にも勧めてみたら、かなり好評でさ。

オオノ先生：そうですか。ゆうちゃん、社長さんのお友達が多いですもんね。

ゆうちゃん：BMMを作ってみると、やりたいこともいろいろ浮かんでくるみたいでさ。
なかには、融資についてもっと聞いてみたいって人もいるんだけど、センセーを紹介しても良いかな。

オオノ先生：もちろんですよ。
融資の支援はなかなか相談できる専門家が少ないのでお困りでしょうからね。
是非お話を聞かせてください。あ、それから、そのお友達の社長さんに、3年分くらいの決算書を持ってきてもらうよう、伝えておいてくださいね。

ゆうちゃん：センセーこちら、こうじさん。製造業をされているんだけど、実は融資を受けてみたいってことなんだ。

こうじ社長：オオノ先生、はじめまして。

オオノ先生：こうじさん、はじめまして。御社で融資を受けたいってことですが、その理由をお聞きしても良いですか？

こうじ社長：はい。これまではずっと大手メーカーの下請けとしてやってきたんですが、先日BtoC向けの製品をクラウドファンディングで販売してみたら、かなり反響が大きかったんですね。それで今回、BtoC向け製品専用の製造ラインを作ろうという話になりまして。

オオノ先生：機械設備を増設するということですね？
それで融資を受けたいと。

こうじ社長：はい。おっしゃるとおりです。
なるべく低金利で借りたいなと思っているのですが、可能でしょうか？　とりあえず、今日は先生から事前に言われていた弊社の決算書を持ってきました。

オオノ先生：もちろん。設備投資の際には融資を受けるのがマストです。
では、決算書を拝見しますね。
……ふむふむ。なるほど！
こうじさんの場合はこれまで毎期黒字決算ですので、金融機関も良い条件で融資してくれると思いますよ。

ゆうちゃん：むしろ、いろんな金融機関から引く手あまたになりそうね。

こうじ社長：そうだとしたら、今後はどこの金融機関から借りようか悩んじゃうよ(笑)。

ゆうちゃん：贅沢な悩みねー。
ねえ、センセー、どうするのが良いと思う？

オオノ先生：そうですね。いろんな選択肢があると思いますが、僕なら、日本政策金融公庫の「新事業活動促進資金」をおすすめしますかね。

ゆうちゃん：日本政策金融公庫？

オオノ先生：あ、まだゆうちゃんには説明してなかったですかね。
日本政策金融公庫というのは、政府が株主の政策金融機関のことなんですよ。2008年に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫という3つの公庫が統合して誕生しました。

こうじ社長：「公庫」とか「国金」などと呼ぶ人もいますよね？

オオノ先生：さすがに社長歴の長いこうじさんは知ってますね。

こうじ社長：はい。これまでも公庫からお金を借りたことはありますから。でも「新事業活動促進資金」っていうのは何ですか？

オオノ先生：実は、ひと口に公庫からお金を借りるといっても、いろいろなメニューがあるんです。

ゆうちゃん：メニュー？　マクドナルドみたいな？

オオノ先生：そうです。
マクドナルドはハンバーガーショップですので、いろんなハンバーガーのメニューがありますよね。
公庫は金融機関ですので、いろんな融資メニューを用意しているんですよ。

こうじ社長：それは知りませんでした。
どんなメニューで借りているのかなんて、あまり意識したことがないですね。

オオノ先生：普通はそうだと思います。
みなさん、公庫の担当者の方が勧める融資メニューで借りているというのが実態かと。

ゆうちゃん：へー、そうなんだ。でも、ハンバーガーにも好き嫌いがあるように、融資メニューにも好き嫌いというか、合う合わないっていうのがあるんじゃない？

オオノ先生：さすがゆうちゃん！するどいですね。
そのとおりです。
ハンバーガーの場合なら美味しいもの、あまり口に合わないものがあると思いますが、実は融資も同じなんです。違いは、味じゃなくて「借入れ条件」だってことでしょうか。

こうじ社長：じゃあ、もし、自分で融資メニューを選ばないと……。

オオノ先生：もしかすると、不利な条件で借りちゃってるかもしれませんね。

ゆうちゃん：そうか、だから「新事業活動促進資金」って融資メニューを自分で選ぶのが大切なのね。

オオノ先生：そういうことです。比較的多額の設備投資をするのであれば、このメニューを考慮してみるのが良いと思います。

こうじ社長：「新事業活動促進資金」が良いって言う理由はなんですか？

オオノ先生：やっぱり利率が低いということでしょうか。

こうじ社長：そうなんですね！　利息が安いのはありがたいです。

ゆうちゃん：これを選ぶだけで利率が低くなるなんて、なんかずるい！　それって誰でも選べるの？

オオノ先生：実は選ぶためには条件があるんです。つまり利用対象者が限定されてるっていうことです。

ゆうちゃん：な～んだ。やっぱりそんなうまい話はないよね。

こうじ社長：どんな人が利用できるんですか？

オオノ先生：はい。ではさっそく。
これが「新事業活動促進資金」の概要です。

ゆうちゃん：えっと、「ご利用いただける方」の欄に色々書いてるわね……。あ！『6. 「経営力向上計画」の認定を受けた方』だって！これってもしかして。

オオノ先生：そうです。ゆうちゃんが先日作った、あの計画書ですよ。

ゆうちゃん：そういえば、あの時「融資の金利が低くなる」ってセンセー言ってたね。

オオノ先生：はい。それがまさにこの融資メニューです。

こうじ社長：どれくらい安くなるんですか？

オオノ先生：設備投資にかかる金利が0.9％安くなります。今だと、無担保で経営者保証も外して1.36％ですね（※平成30年(2018年）12月12日現在）。

こうじ社長：え!?
公庫からの借入れってことは、保証協会へ払う保証料はかかりませんよね？それで、無担保・無保証にも関わらず1.36%ですか!?

オオノ先生：はい。
経営者保証が外せるかどうかは、会社の状況によりますが、こうじさんの会社なら問題ないと思います。

ゆうちゃん：それにしても金利安いね。

オオノ先生：さらに、経営者保証は外したいけど、担保は提供しても良いというなら、担保の種類によっては利率は0.5％まで下がります（※平成30年(2018年)12月12日現在）。

ゆうちゃん：ええ～っ!?
しかも、経営力向上計画を作ってるってことは……。

オオノ先生：はい。その他の金融支援、税制優遇も受けることができます。

こうじ社長：ど、どういうことですか？

ゆうちゃん：つまり、法人税や固定資産税が安くなったり、保証協会の保証枠が増えたり、補助金の加点材料になったりするのよ！

こうじ社長：それはすごい！

オオノ先生：先日、ゆうちゃんも作ったんですよ、「経営力向上計画」。

こうじ社長：ぼ、僕の会社でもさっそく作りたいです！

オオノ先生：わかりました。お手伝いしますよ。

こうじ社長：オオノ先生、先日はありがとうございました。経営力向上計画を作成して、公庫からも低金利で資金調達できました。

オオノ先生：よかったですね。

こうじ社長：お陰様で、新しくBtoC向け製品専用の製造ラインを作ることができ、売上も伸びてきました！

ゆうちゃん：BtoC製品ができたことで、売上だけじゃなく知名度も上がってきたんだよね？

こうじ社長：うん。おかげで採用も順調でさ。

オオノ先生：それは良い波及効果でしたね。今後がますます楽しみですね。
今回のこうじさんの融資のお話について、最後にざっとおさらいをしておきましょうか。

【今回のポイント】

• 自社にとってより有利な条件で融資を受けられるよう、どんな融資メニューがあるのか情報を集めることも大事
• 「経営力向上計画」を作っておくことで、より安い金利での融資を受けられる可能性が高まる
• 「経営力向上計画」があると、その他にも金融支援、税制優遇を受けられるなど、さまざまなメリットがある

こうじ社長：はい！　このたびは本当に助かりました！
ありがとうございました！