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青色申告とは?白色申告との違い、メリット・デメリットを徹底検証!

個人事業主の所得税の確定申告には、青色申告と白色申告の2つがあります。いったいどちらにするべきなのか、迷う人が多いようです。青色申告にすれば、節税効果が高いことをなんとなく知ってはいても、大変そうで踏み切れない。そんな声を聞くこともあります。はたして青色申告は、白色申告と比べて、それほど大変なのでしょうか。青色申告と白色申告、それぞれのメリットとデメリットについて解説していきたいと思います。

2020年分から青色申告特別控除の要件が変わりました。
こちらの記事も併せてご覧ください。
2020年分から青色申告特別控除の要件が変わる!65万円特別控除を受けるにはどうすればいい?

POINT
  • 青色申告と白色申告で、帳簿の手間はそれほど変わらない
  • 65万円の特別控除のほか、青色申告には、多くのメリットがある
  • 青色申告を行うには、事前に書類の提出が必要となる

青色申告って何? 白色申告よりもホントに難しい?

「確定申告は、白色申告ではなくて、青色申告にしたほうがいいですよ。節税効果が高いですから」

私はフリーエディター・コラムニストをしていますが、ここ2~3年、勤務している出版社を辞めて、フリー編集者の道を選ぶという人が周囲で増えました。そこで上記のようなアドバイスをするのですが、「青色申告は大変そうだから、とりあえずは白色申告で……」と二の足を踏む人が少なくありません。青色申告のことはよくわからないけれど、なんだか大変そう。そんなイメージがあるようです。

青色申告とは、日々の取引を所定の帳簿に手法に基づいて記帳する確定申告の方法で、白色申告に比べて税制上さまざまなメリットがあります。これからはじめて確定申告で白色申告にするか青色申告にするか迷っている人は、ぜひ検討して欲しい申告方法です。

青色申告には少しだけ簿記の知識が必要

確定申告で必要な簿記には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。現金の出入りを単純に記帳する単式簿記に対して、複式簿記は、すべての取引を借方と貸方に分けて記帳して、整理しなければなりません。そして、青色申告では、その難しいほうの複式簿記によって、帳簿の記録を行うことになります。

複式簿記ですと、たしかに作業的な手間がかかりますし、簿記の知識が少し必要にはなります。ですが、白色申告と比べて、それほど大変だというわけではありません。

というのも、実は、2013年(平成25年)分まで、白色申告では、一定以上の所得金額がなければ、帳簿をつける必要がありませんでした。そのため、記帳が面倒な人は白色申告を選んでいました。ところが、2014年(平成26年)分からは、収支のみの簡単なものではありますが、白色申告でも帳簿をつけなければならなくなったのです。

「白色申告=簡単、青色申告=大変」

そんな認識は、今となっては古いもので、もはや両者の差はほとんどないといってもよいでしょう。結局、帳簿をつけなければならないわけですからね。

青色申告にするメリットは? デメリットはある?

私が上記のように、周囲の個人事業主に青色申告を勧めるのは、理由があります。それは、帳簿を少し詳細につけるだけで、多くのメリットがあるからです。具体的には、下記のようなものです。

メリット①最大で65万円の青色申告特別控除を受けることができる

青色申告では、最大で65万円の特別控除を受けることができます。つまり、儲けから、65万円を差し引くことができるということで、当然、節税につながります。これは、白色申告にはない、青色申告の最大のメリットといえるでしょう。

ただし、青色申告を選択していても、翌年の3月15日という所得税の確定申告書の提出日を過ぎてしまった場合は、10万円の特別控除になります。その点だけ、気をつけるようにしましょう。

メリット②青色事業専従者給与を必要経費として算入できる

青色申告では、税務署に届出をすることによって、一緒に生活をする配偶者などの家族に対する給料を経費にすることが可能です。

原則として家族に払う給料などは費用にならないことを考えると、これも該当者には大きなメリットです。もちろん、その業務に見合った給料であることや、「もっぱらその業務についていること」などの条件はありますけどね。

ちなみに、白色申告でも、「専従者控除」というものがあります。しかし、上限がない「青色専従者給与」とは異なり、控除額は、配偶者の場合、最大86万円、その他親族は、最大50万円と定められています。節税効果は、青色申告と比べて、限定的なものだといえるでしょう。

メリット③純損失の繰越しと繰戻しができる

青色申告では、赤字を3年間繰り越すことができます。

どういうことかというと、もし、赤字になってしまったときに、その赤字分を翌年以降に繰り越して、翌年以降の3年間に発生した事業黒字と相殺することが可能だということです。

純損失の繰越しと繰戻し

開業当初や事業の拡大期などは、コストがかかるために、どうしても赤字がかさみやすいものです。白色申告では赤字を繰り越すはできないことを考えると、これは青色申告ならではの大きなメリットなのではないでしょうか。

逆に前年も青色申告をしていて黒字だったが、翌年に赤字になった場合、前年分の税額計算をしなおして、差額になる税額の請求をすれば、還付してもらうことができます。(純損失の繰戻しによる所得税還付)

メリット④貸倒引当金の計上ができる

青色申告は、貸倒引当金を計上する際にもメリットがあります。「貸倒引当金」は聞き慣れない言葉かもしれませんね。簡単に説明します。

売り上げとして計上された額が、きちんと予定どおりに入金されたならば、なにも言うことはありません。しかし、事業を行っていると、回収できないというケースが出てくることがどうしても出てきます。そのため、売掛金が回収できなくなるリスクに備えて、年末時点における債権の金額の一部を「貸倒引当金」として、経費に計上することが認められています。

貸倒引当金の繰入額の計算方法は2種類あり、白色申告の場合は、「個別評価」による計算を行わなければならず、計算が複雑です(個別評価による貸倒引当金の繰入れ)。一方、青色申告では、個別評価による貸倒引当金の繰入れに加え、売掛金や貸付金などの合計額の5.5%を上限として一括評価し、貸倒引当金として費用にすることができます(一括評価による貸倒引当金繰入れ)。

つまり、青色申告の場合は、白色申告に比べて、貸倒引当金の計上がシンプルな計算で行え、計上額も増えるということになります。

メリット⑤経費で認められる範囲が広がる!

個人事業主の方のなかには、自宅兼事務所で働いているというケースが少なくないでしょう。

その場合、家賃や光熱費などは、事業用と個人用と完全に分けることが難しいですよね。私自身も自宅で執筆業を行っていますが、今、この原稿を書いているパソコンは、仕事用でもあり、プライベート用でもあります。

このような費用は、「家事関連費」と呼ばれるのですが、通常は経費として認められません。際限がなくなってしまうので、無理もないでしょう。しかし、青色申告ならば、「事業で使った」と証明できれば、その分を経費にできます。

わかりやすい例は、家賃です。青色申告の場合は、仕事部屋の床面積が全体の20%ならば、家賃の20%を必要経費とすることが可能になります。電話代や電気代についても同様の考え方で、経費に計上することができます。毎月の費用のことですから、1年でトータルすると、大きな節税効果となります。

白色申告でも同じく経費計上はできるのですが、認められる範囲が限定的です。自宅を事務所としても使っている人は、青色申告を選ぶメリットは大きいといえそうです。

メリット⑥30万円未満の仕事で使う固定資産を一度に経費にできる

30万円未満の仕事で使う固定資産を一度に経費にできる

事業のために使った費用は経費にできますが、その額によっては、一度にすべてを経費にできないことがあります。その場合は、数年にわたって、少しずつ、経費計上をしていきます。これを「減価償却」と呼びます。

具体的には、10万円以上のものや耐用年数1年以上ものは、固定資産になるため、減価償却を行わなければなりません。つまり、一度に全額を経費にすることができず、数年にわたって少しずつ経費にしていくことになります。しかし、経費としての支払いは一度にするわけですから、その分、負担になることは言うまでもなりません。

しかし、青色申告の場合、特例が認められています。30万円未満のものであれば、その事業年分の経費として一括で処理することができるのです。これを「少額減価償却資産の特例」といいます。

もし、「どうも今年は利益がたくさん出そうだ」というときは、「少額減価償却資産の特例」によって節税が可能です。ただし、合計額が300万円までが限度額ですので、その点は気をつけましょう。

以上が、青色申告の主なメリットです。

一方、青色申告のデメリットとしては、帳簿が複雑になること以外に、事前に提出する書類があるという点が挙げられます。それがないことが、白色申告のメリットということになるでしょう。

まとめると……

メリット デメリット
青色申告 ・最大で65万円の青色申告特別控除を受けることができる
・青色事業専従者給与を必要経費として算入できる
・純損失の繰越しと繰戻しができる
・貸倒引当金の計上ができる
・経費で認められる範囲が広がる
・「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満の仕事で使う固定資産を一度に経費にできる
・白色申告よりも帳簿づけが複雑になる
・事前に青色申告承認申請書を提出する必要がある
白色申告 ・青色申告よりも帳簿づけが比較的シンプルに行える ・純損失の繰越しができない
・貸倒引当金の繰入額の計算方法では「個別評価」による計算を行わなければならず、計算が複雑
・経費として認められる範囲が限定的

しかし、青色申告の書類は、それほど膨大にあるわけではありません。さっそく次でみていきましょう。

青色申告をはじめるには「青色申告承認申請書」の届け出が必要

青色申告承認申請書

青色申告を行うには、青色申告を行う年の3月15日を期限として、「青色申告承認申請書」の届け出が必要になります。いちど青色申告者として承認されれば、翌年以降は、提出する必要がありません。

なお、青色申告は誰もができるわけではありません。法律では「所得」は10種類に分けられていますが、このうち「不動産所得」「事業所得」「山林所得」の3種類いずれかを得ている個人事業主が、青色申告を行うことが認められています。

一般的には小売業や製造業、サービス業などで「事業所得」を得ている人が多いでしょう。サラリーマンは給与所得なので青色申告はできませんが、副業でも上記3つのうちいずれかの所得があれば、青色申告することができます。

青色申告に必要な帳簿や書類は?

青色申告で最大65万円(もしくは、55万円控除)の控除を受けるには「複式簿記」による複数の帳簿作成が義務づけられています。なかでも必要なのは「主要簿」と呼ばれる「仕訳帳」と「総勘定元帳」の2つ。さらに目的別に取引を管理するための「補助簿」と呼ばれる帳簿が6つほどあります。

主要簿

仕訳帳 すべての取引を簿記の仕訳で日付順に並べたもの
総勘定元帳 仕訳帳の取引を種類ごとにまとめたもの

補助簿

現金出納帳 現金の出入りをすべてまとめたもの
預金出納帳 口座上の取引をすべてまとめたもの
売掛帳 後払いで支払われる売上の取引をまとめたもの
買掛帳 後払いで支払う仕入れの取引をまとめたもの
経費帳 必要経費をすべてまとめたもの
固定資産台帳 減価償却する固定資産をまとめたもの

これらの帳簿や領収書は、確定申告が終わっても捨ててはいけません。帳簿や取引書類の保存が義務付けられており、「税務調査」のときに書類がないと、青色申告を取り消されることもあります。

そして、確定申告の際には、「青色申告決算書」と「確定申告書B」だけを提出すればOKです。

ここで、誤解されやすいのですが、帳簿や領収書については、確定申告時に提出する必要はありません。ただし、ともに、7年間の保存が義務づけられています(帳簿と領収書以外の書類は5年間)。提出しなくていいからといって、捨ててしまわないように気をつけましょう。

青色申告ソフトを使えば、直感的にかんたんに!

もし、難しいと感じたら、青色申告のソフトを使うとよいでしょう。「やよいの青色申告 オンライン」を使えば、直感的に小遣い帳感覚でかんたんに帳簿を作成することができます。これだけで、2020年分から青色申告特別控除の要件が変更になったとしても最大55万円控除の帳簿要件などを満たすことができます。さらに「やよいの青色申告 オンライン」は、e-Taxに対応しているので、問題なく最大65万円控除を適用できるわけです。

青色申告を行えば、自分で立ち上げた事業が、どのようなコストをどれくらい必要としているのかが、クリアになります。節税効果の高さだけではなく、自分の事業をきちんと把握する意味でも、青色申告にぜひ、チャレンジしてみてください。

入力作業を自動化して、会計業務を効率化

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やよいの青色申告 オンライン」なら、「スマート取引取込」で銀行明細、クレジットカードなどの取引データ、レシートや領収書のスキャンデータやスマホアプリで撮影したデータをAIが自動で仕訳します。入力の手間と時間を大幅に削減できます。

簿記や会計の知識がなくても青色申告ができる

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初心者にもわかりやすいシンプルな機能とデザインで、簿記の知識がなくても、日付や金額などを入力するだけで、青色申告に必要な複式簿記の帳簿と貸借対照表などの資料が自動作成できます。また、スマホアプリからの入力もできます。

確定申告書類の作成もラクラク!

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画面の案内に沿って入力していくだけで、確定申告書・青色申告決算書など提出用の書類を楽々作成できます。もちろん、控除についてもステップに従って入力すれば、青色申告特別控除の最大55万円の要件を満たした資料が作成できます。さらにe-Taxに対応しているので、2020年分の申告から変更になった最大65万円控除の要件もクリアできます。

帳簿・レポートの集計機能も便利

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やよいの青色申告 オンライン」なら、カード取引や銀行口座の取引明細から自動取り込みした取引データやかんたん取引入力から登録した取引から、「仕訳帳」や「総勘定元帳」など、青色申告に必要な帳簿やレポートが自動集計・自動作成されます。

今回の確定申告では、まだ青色申告を選択していないため、白色申告で確定申告を行うという人は、ずっと無料で使える「やよいの白色申告 オンライン」がおススメです。

photo:Getty Images

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