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【求人・採用】中小企業診断士が教えるアルバイト・パートの面接を成功させるコツ!採用結果メールのテンプレートつき

人手が足りない! アルバイト・パートを集めたい! というときに、まずは知っておきたいこと、それは採用活動のこなし方です。「一刻も早く人手を集めたい」という思いにとらわれがちですが、実は企業が採用活動をする際には、応募者から企業としての節度をきちんと見られています。

昨今はSNS隆盛の時代です。例え広告宣伝ではいくら良いことを言っていても、たまたま採用活動で企業が悪い対応をとってしまうと、悪い評判が広まってしまいます。これでは本末転倒です。今回は採用活動(募集から面接、そして採用・不採用通知まで)について解説します。

POINT
  • いまは、「売り手市場=応募者有利」の状況であることを踏まえる
  • 選考のポイントは、応募者から「素直さ」「自然さ」が伝わってくるか
  • 従業員を定着させるためには、従業員のレベルに応じたリーダーの柔軟な態度変化がポイント

アルバイト・パート採用の担当者さんがまず知っておきたいこと

私は中小企業診断士として、どこの企業様にもお伝えしていることがあります。それは、昨今の採用活動においては完全な「売り手市場=応募者有利」となっている状況を踏まえていかなければならないということです。すなわち、「優秀な人材を集めたい=各社との人材獲得の競争になる」ということです。つまり、募集者にとっては自社の働きやすさのみならず、自社のイメージについてまで、シビアに応募者に比べられ、判断されるということです。

例えば、一番簡単な比較材料は「時給」です。
この尺度ひとつとっても他社との競争になります。国として賃上げを促している背景も手伝って、以前は低い時給で集めていた職種でも、昔よりも高い時給相場となってきています。特に、都心のコンビニエンスストアなどを見れば、ひと昔の時給よりはるかに高い時給にもかかわらず、実際のアルバイト・パートはなかなか応募者が集まらないことが現状なのです。

人材募集にまつわるスタンスは、このような時勢の変化(景気の変化や人口動態の変化)に応じて、募集時の待遇条件等を柔軟に変えていかなければならないのです。

もうひとつ、ぜひアルバイト・パート採用の担当者さんに知っておいて欲しいことがあります。それは、今の時代は、表向きの企業活動や商品サービスに対する評価だけでなく、採用活動ひとつですら、あっという間に評価がツイッターやフェイスブックなどのSNSでシェアされ、その企業の評判に影響を与えるうる時代になった、ということです。

表向きでは商品やサービスについていいイメージを振りまくような宣伝をしていても、裏側での採用活動が高圧的であったり、上から目線の対応であったりという評判が立ってしまうと、あっという間に本業に対する悪影響につながる時代になったのです。

採用に関しても、応募者も「お客様の一人」である意識を持たなければなりません。採用担当者であれば、このような背景を念頭に置いたうえで、今の時代にあった採用活動の準備をして頂ければ思います。

人が集まりやすい求人広告の書き方

ここでは求人広告の書き方のポイントを紹介させていただきます。

◎応募者が知りたい要素

  • 時給
  • 期間
  • 休日シフトの柔軟性
  • どんな仕事内容か(必須スキル、資格の有無、Word・Excelであればのどの機能がつかいこなせるか……etc)

◎知りたい要素の裏づけ、確かさ

  • 実際に働いている従業員の声
  • 仕事内容の具体的な写真やイメージ
  • シフトや時給のパターンなど

以上の2つがセットになっていることが重要です。

ほどんどの企業が「◎応募者が知りたい要素」の部分のみの記載で終わってしまっており、「◎知りたい要素の裏づけ」部分にまで踏み込んでいる企業が少ないようです。

もちろん予算によって、広告媒体のスペースの制約等が絡むと思いますので、すべてを網羅することは難しいと思います。そこで幅広く配布・告知するものには「◎応募者が知りたい要素」の中身は確実に記載し、「◎知りたい要素の裏付け、確かさ」(例えば、休日の取得状況や、待遇を裏付ける従業員の声や様子など)は自社のホームページやSNS等に誘導して補完するなどの工夫をしていきたいところです。

求人広告の書き方については、筆者によるこちらの記事にも詳しく載せておりますので、併せてご覧いただければと思います。

【参考記事】
パート・アルバイトが集まらない!中小企業診断士が教える「効果的な人材募集の方法」とは

採用面接の日程調整は「電話でのコミュニケーション」がおすすめ!

実際に応募がきて、いざ面接に挑む際には応募者との日程調整が必要です。

当然のことながら、応募者の社会属性に応じた面接時間や日程を予測してすり合わせ、なるべくすみやかに面接の段取りを行いたいところです。ここでモタモタしていると、他社の面接が先に入り、キャンセルされてしまう可能性も高くなりますので、なるべく早い段階で日程調整を行いましょう。

日程調整の方法としては、以下をベースに考えてください。

書類選考後に……
① 相手のスケジュールの都合をうかがう
② こちらが面接できるスケジュールを提示
③ すり合わせ
④ 日程確認のフォロー

さらにこの部分は①~③までは「電話でやり取り」をおすすめします。

採用をしたいわけですから、パート・アルバイトの応募者と、まず「電話でのコミュニケーション」ができるかが重要です。電話ひとつでも「電話が無難に取り次げるか」「敬語ができるか」「声が明るいか」「話し方の緩急」など応募者の「人となり」が見えてくるものです。

特に接客業であれば、この電話のやり取りで不安を感じるようでは、採用は厳しいと判断してもいいかもしれません。このアポイントの段階をメール等のやり取りだけで完結してしまうのは、私から言わせれば「もったいない」話です。応募のやり取りの段階から、すでに採用活動は始まっているという意識が大事です。かといって、この段階では当然、応募者はお客様の一人でもあります。もちろん言葉使いなどは丁寧に対応するのが基本となります。

①~③までは電話で応対したのちに、日程が決まったら④の日程確認のフォローをします。この段階で、はじめてメール等を使用して日程を「確実に共有」します。口頭だけのアポイントにせず、特に日時や金額などはきちんとメールで文面にして残しておくことで、面接でのドタキャンを防ぎ、また後に伝達した内容や条件面などでお互いの認識のズレを防ぐことにつながりますので、あらためてメール等でフォローしましょう。可能であれば、前日にもう一度フォローのメールを入れるのもありかと思われます。

アルバイト・パートの採用面接で聞くべきポイント

面接を行う際に、まず聞くべきポイントを踏まえる前に「聞いてはいけない」ことを踏まえておくことが大変重要です。下記の事項につきましては、就職差別につながるおそれがありますの面接で質問をしないようにします。面接官が複数いる場合などは周知し、面接時に注意することを徹底しましょう。

【面接時に注意】職業差別につながるおそれがある14事項

本人に責任のない事項の質問
・本籍、出生地
・家族
・住宅状況
・生活環境、家庭環境

本来自由であるべき事項の質問(思想・信条にかかわること)
・宗教
・支持政党
・人生観、生活信条
・尊敬する人物
・思想
・労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動
・購読新聞、雑誌、愛読書

不適切な選考方法
・身元調査の実施
・全国高等学校統一応募用紙、JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類の使用
・合理的、客観的に必要性が認められない健康診断の実施

【参考】
厚生労働省:公正な採用選考の基本

そのうえで、採用面接で聞くべきポイントとしては……

①志望動機
②いままでの職務経験経歴
③前職があれば前職の退職理由

このあたりが主だったところでしょう。

①の志望動機については、パート・アルバイト採用に関しては、大志を抱いて世の中のため!御社の役に立つべく!といった仰々しい理由のほうがかえって不自然かと思いますので、生活資金のためといったリアルな理由でも致し方なく、むしろ素直な範疇かと思います。

ポイントとしては、言葉に嘘がないか、素直さが見えるかといったところです。

また、②のいままでの職務経験や経歴に関しては、ダイレクトに今後の仕事内容成果に直結しますので、詳しく聞いておきたいところです。ここが曖昧模糊とした答え方ではこちらとしては採用に対して多いに不安が残ります。ポイントとしては、堂々と職務経歴を話すことができるか、またその経験が自社の業務内容とつながりそうかを確認します。

③の前職の退職理由は、私が面接官であれば一番重要視する部分です。退職理由については、基本的にポジティブな理由が述べられることが少なく、多かれ少なかれ、やむを得ずの事象が理由となっていることがほとんどです。この理由を応募者がきちんと説明できる(やむを得ずの事象であっても、うまく堂々と説明できる)ということは、応募者の「センス」をはかるうえで非常に大きな要素なのです。

自信をもった説明ができなければ、過去になにかしらのトラブルがあったことを想起させますし、立て板に水のような説明ができるようであれば、かえって不自然な感もあります。ここでのポイントは、応募者側の説明している表情も含めて、「うそをついていないか」「退職理由が社会一般的に見て、よくある理由か(例:結婚退社、学業に専念したかったため……など)」「うしろめたさを感じさせない自然な説明ができているか」といったところです。

採否・不採用通知はメール? 電話? マナーと書き方について解説

採否・不採用通知はメール? 電話? マナーと書き方について解説

実際の採否の通知に関しては、採用のときはまずメールや電話による通知とその後の資料送付(メール)等のやりとり、不採用であればメール+手紙が基本と考えます。まずはメールで採否の有無をすばやく通知することがポイントです。

ここの段階においても、応募者はあくまで「お客様の一人」であることを忘れてはいけません。特に不採用通知であればなおさらです。ここは一番、企業にとってマナーを見られるところです。また、大事なこととして面接時に結果報告を「いつまでに」「どのような形で告知にするのか」は、はっきり伝えるようにしましょう。ここは意外と見落としがちなマナーとなります。

採用する場合は、電話でまず採用する旨を伝えて、応募者の気持ちの区切りを作ります。基本的に採用であればすみやかに打診することこそが大切です。ここでも「売り手市場」であることを忘れてはなりません。優秀な応募者は、他社も獲得に動いていることを念頭に置きましょう。

そのうえで、あらためて初回の勤務日程や社保関係の必要書類等についてメール等で文面を残しながらすみやかに進めていきます。ここでお互いの資料の「郵送送付」等のやり取りが始まることが、突然の内定辞退を防ぐためのアクションにもなりますので、少し遠回りでもアナログ的なやり取りをわざと差しはさむことがポイントとなります。

またアプローチや接触の「頻度」も内定辞退を防ぐ重要なポイントになりますので、通知したら放置はせず、積極的にコミュニケーションを取っていきましょう。

不採用については、手紙が基本だと私は考えます。
自分がされてみればわかるのですが、一般的に「断りの旨」を聞くにあたっては、メールだけでは正直なところ軽く見られた感じがして、時に怒りの感情が沸くことも珍しくありません。応募者としても、時間や移動のコストを払っているのですから、募集者側にもそれ相応に誠意を持った対応が必要です。

ただし、ここでは基本的には「無難」な文面が良いでしょう。最近よく聞く「お祈りメール」といったものがありますが、不採用通知の際には、必要以上に他社と差別化して珍しい表現での通知では、かえって応募者の印象に残ってしまい、逆効果になります。不採用通知は、簡潔かつ無難な不採用の通知、応募者への期待に沿えない部分に対するお詫び、といったところがポイントになります。

【文例集】採用・不採用メールの文面

採用不採用の、実際の文例をご紹介します。また、同じ文面のwordファイルもテンプレートとして添付しますので、あわせてご利用ください。

【採用の文例】

年  月  日

          様

〒○○○―○○○○
住所  ○○○○
会社名 ○○○○
部署  担当者名 印

採用通知書

平素は弊社への格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は採用面接試験にご来社いただきまして、誠にありがとうございました。
弊社の採用基準に基づき慎重に選考を行った結果、      様をアルバイト従業員として採用することを内定致しました。
つきましては、入社手続きに関しましての打ち合わせ等でお時間を賜りたく存じます。
下記の日時にご来社いただけますよう、お願い申し上げます。

1.打ち合わせ日時    年  月  日 曜日  ◯時~ (◯時間程度を予定)
※日程変更等のご希望については、下記連絡先にご一報ください。

2.打ち合わせ内容
①採用(雇用)条件の提示確認
②具体的な仕事内容について
③初出社日について
④準備提出いただく書類について
⑤今後の流れ その他

その他ご不明点等ございましたら、ご一報ください。
担当: ○○部 ○○ ○○
TEL: ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯(○○部○○宛て)

以上

採用文例を使ううえでのポイントは、最初の電話での会話で打ち合わせ日付をあらかじめ決めておき、その日付を文面に載せ、お互いの約束を確実なものにしてしまうことです。

また前もって時間を取って準備しなければならない書類(健康診断等)等については、詳細に事前の段取りを記載して、先回りして取得してもらうことも内定辞退を防ぐアクションになります。

【不採用の文例】

年  月  日

          様

〒○○○―○○○○
住所  ○○○○
会社名 ○○○○
部署  担当者名 印

選考結果のご連絡

平素は弊社への格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は採用面接試験にご来社いただきまして、誠にありがとうございました。
弊社の採用基準に基づき慎重に選考を行った結果、貴殿の採用を見送らせていただくこととなりました。

ご希望に添えず恐縮ですが、なにとぞご了承くださいますようお願い申し上げます。

貴殿のご健康、ならびに今後のご活躍をお祈り申し上げます。

以上

不採用の文例を使ううえでのポイントは、応募者から預かった履歴書等の個人情報書類をこのタイミングで一緒に同封して返すことです。ただでさえ、不採用となった企業とはコンタクトをこれ以上取りたくないのが、お互いの正直な気持ちでしょう。一度不採用の結果が出たならば、すみやかに、簡潔に、手間を取らせることなく、粛々と手続きを進めましょう。

採用したパート・アルバイトの方々に定着してもらうためのポイント

最後に、採用したパート・アルバイトの方々が定着して頂くためのポイントを紹介します。

まずは、管理者(リーダー)として、従業員のレベルに応じた態度と指示を細かく使い分けることです。かなりの部分で管理者は、従業員の個々のレベルにかかわらず指示のトーンや内容レベルを個々で変えることなく、いい意味でも悪い意味でも平等のトーンで従業員に接したり、指示を出したりします。

しかしながら、採用したてのパート・アルバイトの方々でも、過去の経験の差や能力の差といったものは既に存在しています。個々の従業員のレベルに合わせて、リーダーの取るべき態度は変えなければならないのです。

組織内リーダーシップの取り方で参考になるのが、ハーシー&ブランチャードの「SL理論」というリーダーシップ理論でした。この理論では、「個々の従業員のレベルに合わせて、リーダーは課すべき仕事の質や態度を変えよと」いうことです。ここではこれ以上の詳細は語りませんが、入社したてのパート・アルバイトであれば、

① パート・アルバイトが入社したての頃は、多くの仕事を与えてまずは覚えさせる。
+リーダーはなるべく指示に徹して一緒になって仕事はしない。距離を置く
② パート・アルバイトがひととおり仕事に慣れてきたら、引き続き多くの仕事を課していく+今まで距離を置いていたリーダー自らも率先して一緒に手伝ってあげる

言葉で表すと、至極当たり前のことを言っているように見えますが、リーダーがとるべき態度については、かなりの方がどんな状況であれとるべき姿勢を意識せず、いい意味でも悪い意味でも態度を変えていないのがほとんどではないでしょうか。

また、「入社したての従業員に、リーダーが率先して一緒に手伝うことはあまり推奨されない」「仕事に慣れてきたところで、リーダーは一緒に手伝ったりする」といった、普通に考えれば逆なのでは? といったことが書いておりますが、私はこれを理論通りの実践で取り組み、全部とは言いませんが概ねどの店舗でも成功しました。

実は、新人の従業員に最初から手を差し伸べてしまうと、リーダー・管理者に対する距離感が育まれず、指示命令系統が育たないのです。ある程度仕事に慣れてきた段階になってから積極的に一緒に働くことで、ほどよい距離感と、いい意味での親密感を育むことができるのです。

大事なのは、従業員のレベルを観察して、レベルに応じた態度をリーダーも常に変化させなければいけないということです。

採用面接は、ありふれた活動のようで、実はかなりデリケートに扱うべき業務です。採用する側の企業も、実は常にみられているという意識が大切です。準備や段取りを念入りに積み上げて、募集者・応募者の双方が気持ちの良い採用活動になるようにしていきましょう。

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photo:Getty Images

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