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【まとめ】これをしたらブラック企業です

「ブラック企業」「パワハラ・セクハラ」といった言葉を目にする機会が多々あります。不当な仕事量や残業要求、立場を悪用した嫌がらせが横行する企業は、従業員が定着せず事業の発展が見込めません。事業主が法制度を知らずに、従業員に不適切な対応を取ってしまうことのないように、ブラック企業とならないためのポイントをスモビバ!掲載記事からまとめました。

POINT
  • 知らなかったでは済まない?従業員雇用のルール
  • 会社でパワハラ・セクハラを起こさない・起きないために
  • 従業員の健康・安全管理も会社の義務

知らなかったでは済まない? 従業員雇用のルール

ブラック企業とは、いったいどんな会社を指すのでしょうか?

“厚生労働省は「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として以下のものを挙げています。

①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
③このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

法人が上記①~③を避け、人を雇う際に守るべき労働条件を確認しましょう”

(引用元)
要注意! ブラック企業にならないために

従業員の法定労働時間は、労働基準法で原則1日8時間まで、1週間40時間までと定められています。また、法定休日は原則として1週間に1回以上または4週間に4回以上与えられるとされています。従業員にこの法定労働時間を超える残業や、休日出勤をさせるためには、あらかじめ従業員の過半数代表者と労使協定を結び、これを労働基準監督署に届け出なくてはなりません。一般的にこれを「サブロク協定」 といいます。

“サブロク協定届さえ出していれば何時間でも残業や休日出勤をさせても良いか? というとそうではありません。一般的に1週間15時間、1ヵ月45時間、1年360時間というふうに厚生労働省令で上限が定められています。この上限以内で、協定することになっています。”

ただし、繁忙期やトラブルに対応するために、この上限を超える特別条項を付けることもできます。

“「受注が集中して納期に間に合わない」「機械のトラブルへの対応を早急に行わなければならない」などの特別の事情が予想される場合には、特別条項付きサブロク協定を結べば、上限時間を超える時間を延長時間とすることができます。ただし、この特別条項は臨時的な措置であり、これが認められるのは年間で6ヶ月以下です”

(引用元)
これをしたらブラック企業です!サブロク協定とは?〜労働時間編〜

従業員に休日出勤をさせたら、割増賃金(休日出勤手当)の支払いも必要です。その支払いにはルールがあります。

“振替休日と代休は似たような言葉ですが、実は違います。休日出勤が必要な時、事前に休日を他の労働日と振り替えておくことを振替休日といいます。この場合は、休日と労働日が入れ替わっただけですので割増賃金を支払う必要はありません。

これに対し事前に休日を振り替えず休日出勤した後に休むことを代休といいます。代休をあとで取っても休日出勤は休日労働のままの扱いとなり割増賃金を支払うことになります”

(引用元)
これをしたらブラック企業です! 振替休日と代休の違いは? 〜休日・休憩編〜

労働基準法第39条では、使用者は一定期間継続して勤務した労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならないと定められています。有給休暇は正社員だけでなく、パートやアルバイト労働者も取得する権利があり、その理由は基本的に問われません。

“以下のようなことをしたらブラック企業と呼ばれてしまいます。注意しましょう

  1. 有給休暇を取ったことでボーナスの査定を下げる、昇進を遅らせる
  2. 有給休暇を取ったことで皆勤手当てを減額する、または支払わない
  3. 有給休暇を取らせず、代わりにお金を支払う(退職時に使いきれなかった分を買い取ることは任意でOK)”

(引用元)
有給休暇を取る理由は基本的になんでもOK~有給休暇制度について~

さらに、労働基準法では「通貨で支払う」「全額支払う」など、賃金支払い5原則が定められています。

“5原則はあくまでも原則であり、例外もあります。例えば「通貨で支払う」の例外が該当するのは、①または②の場合です。
①労働協約に現物支給をする旨の定めがある場合
②労働者本人の同意を得て、直接、通貨を手渡しするのではなく、労働者の指定する口座に給与を振り込む場合”

(引用元)
これをしたらブラック企業です! 定期券の現物支給は? 〜賃金・給与編〜

労働協約は労働組合と会社側との間で交わす文書のことです。つまり、労働組合がなければ通勤手当を定期券で現物支給することはできません。また、旅行積立を給与から天引きする場合には、賃金を「全額支払う」原則の例外として過半数代表者と労使協定が必要です。

労働条件や賃金についての決まりをしっかり守り、求人広告を出す際は最低限明示しなければならない労働条件に留意しましょう。

会社でパワハラ・セクハラが起きないために

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近年、「パワハラ」にまつわるニュースが頻繁にメディアで取り上げられています。そもそもパワハラとはどのような行為なのでしょうか。

“「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます」

そして6つの類型に分けています。

①身体的な攻撃(暴行・傷害)
②精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
⑤過小な要求(業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや、仕事を与えないこと)
⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)”

(引用元)
これをしたらブラック企業です! ~「パワハラ」について知っておきたいこと~

セクハラは、一般的に「職場における労働者の意に反する性的言動」と言われています。会社の事業主はパワハラ同様、職場でセクハラが起きないように必要な措置を講じなくてはなりません。セクハラはあってはならない旨の方針を明確にし、就業規則に明記しておきましょう。

“セクハラに対する共通認識を社内で持つために社内研修やセミナー受講などが考えられますし、あらかじめ相談窓口を設置し周知しておくと、従業員の安心に繋がります。それでも、もしセクハラが発生してしまったら、被害者側・加害者側・当事者以外の第三者側からそれぞれ事実聴取をし、まずは客観的な事実を把握します。

それを面談記録など書面に残しておくことが、会社としての措置を講じた証拠にもなりますので大切です。事実確認の後、必要に応じて配置転換や懲戒処分などの検討を進めることになります”

(引用元)
これをしたらブラック企業です! 会社で「セクハラ」を横行させないために知っておきたいこと

また、「マタハラ」、「ケアハラ」という言葉を耳にする人も多いのではないでしょうか。マタハラは従業員に対して妊娠・出産・育児を理由に、ケアハアは介護などを理由とする解雇や降格などの不利益な取扱いについての呼称です。これらは男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により禁止され、産休(産前産後休業)は労働基準法で、育休(育児休業)は育児・介護休業法で定められています。

“妊娠・出産・育児・介護にまつわる休業以外のさまざまな制度も法令で定められています。主なものをご紹介しましょう。カッコの中は法令の名前です。

労働者から以下の事柄について申し出や請求があった場合、会社は対応する義務があります。

  • 時間外労働や休日労働、深夜労働ができない旨の申し出(労働基準法)
  • 妊婦検診を受けるための時間を確保したり、通勤ラッシュを避けた時差出勤の請求(男女雇用機会均等法)
  • 妊娠中、軽易な業務へ転換する旨の請求(労働基準法)
  • 育休・産休明けの職場復帰後、または介護中の残業制限や短時間勤務の請求(育児・介護休業法)”

(引用元)
これをしたらブラック企業です!~妊娠、育児、介護~マタハラ・ケアハラについて知っておこう

従業員の健康・安全管理も会社の義務

会社は事業規模を問わず、従業員が毎日健康で安全に気持ちよく働いてもらう職場環境をつくるための労働安全衛生法(安衛法)が適用されます。

“安衛法では、会社が従業員の健康状態を把握し、適切な健康管理を行うために健康診断の実施を義務づけています。同時に従業員側にも健康診断を受ける義務があります。忙しいとか面倒だからという理由で健康診断の受診を拒否することは、基本的に許されません。

また、正社員はもちろんのこと、以下の2つの要件を満たすパート・アルバイトに対しても健康診断を実施する義務があります。

①1年以上継続して勤務している(または継続勤務の見込みがある)
②正社員の週所定労働時間の3/4以上働いている”

(引用元)
これをしたらブラック企業です〜中小企業でも健康診断の受診は義務?注意すべき「安全衛生」について〜

仕事中の災害を「業務災害」、通勤中の災害を「通勤災害」と言います。会社は従業員に対し、まずは労災が起こらないような職場環境づくりをすることが大切です。

“アルバイトでも労災保険に加入することになっていますし、通勤手段が社内ルールに違反していたとしても、通勤途中の災害には違いないのですから労災保険が適用されます。

例えば、従業員が通勤途中に子供を保育園に送りに行く(迎えに行く)際に、従業員本人がケガをしてしまった場合。こうした場合でも、通勤途中ですので労災保険の対象になります。なぜなら、保育園は通勤経路として認められているからです。”

(引用元)
これをしたらブラック企業です!アルバイトだから労災がおりない?!~労災について~

ブラック企業と呼ばれないために、法人企業でも個人事業主でも従業員を雇用する際には、法律や制度をきちんと把握して正しい手続きをしましょう。その積み重ねによって、従業員が働きやすい職場環境となり、会社の強みに繋がるはずです。

photo:Thinkstock / Getty Images

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