【体験談】補助金を実際に申請する際に大事なこと、気をつけること

現在フリーランスの私は、5年前に創業補助金に応募して採択されました。当時の体験を振り返り、こちらの記事「【体験談】私、実際に起業して創業補助金を受け取りました 〜探し方編〜」では会社を退職後に創業補助金の公募を知り、応募を決意するまでの経緯やセミナー受講などの体験を書いてみました。今回は、実際に補助金に応募するために必要な認定支援機関とのやりとりや、書類を作る際に大事なこと、気をつけたことをまとめます。
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目次
- POINT
-
- 事業計画説明書は明確かつ熱意が伝わる内容となるように気をつける
- 認定支援機関への相談が必須
- 補助金申請代行サービスの利用も検討してみよう
事業計画説明書は「明確に、そして熱意が伝わる内容」に!
私が応募した創業補助金の提出必要書類は以下の5点。補助事業実施予定地を担当する事務局へ郵送か持参で提出します。私は郵送で提出しました。
- 事業計画書および別紙説明書:印刷した書類4部
- 認定支援機関支援確認書:4部
- 上記1と2を記録した電子媒体(CD-ROMなど):1部
- 補足説明書類(任意提出):4部 (※私は3年間の収支計画表を用意しました)
- 添付書類(住民票、直近の確定申告書一式など)
審査員は書面だけで審査するので、所定の「事業計画説明書」の各項目(製品・サービスの独創性、市場の特性・規模、動機・将来の展望、価格・売上高への根拠など)は、明確かつ熱意が伝わる内容となるように気をつけました。
出した応募書類の控え
提出前に参加した創業補助金事務局による「申請の手引き」説明会では、記入すべきポイントを教えてくれました。過去に不採択となった応募案件の多くは「事業の内容説明が不十分」と評価されたそうです。
- 創業を決意した動機は明確か(創業後の苦難を乗り越える決意が見られるか)
- 創業事業のどこに独創的な要素が含まれているのか、ニーズはあるか
- 売上、経費に根拠はあるか(単なる希望値ではなく、根拠をもって予想した値であるか)
- 事業に必要なビジネスパートナーを確保する見込みがあるか
- 創業に向けてどのような準備をしてきたか
……など
また、申請する経費明細は提出時点で概算の数値でもいいのですが、経費区分によって割合に上限があるので、予算配分に間違いがないように記入します。合計金額と補助金交付希望額に整合性があるように、注意して計算しました。
申請書の修正や不足書類があると受付してもらえず、再提出となります。締め切りギリギリに不備を指摘されると、提出が間に合わない場合もあります。締切日の1週間前ごろまでの提出を説明会で推奨されたということもあり、私も早めに提出しました。
認定支援機関への相談が必須、近所の信用金庫へ訪問
前述のとおり、提出書類のひとつに認定支援機関確認書があり、具体的な支援内容を、認定支援機関に記入してもらう必要があります。これは、関東経済産業局(※東京の場合)が認定する、専門家や金融機関の助言機関(認定支援機関)から、事業力強化に関する支援やアドバイスを得るためのものです。
【参考】
・中小企業庁:認定経営革新等支援機関
応募書類が大方まとまった締め切り3週間前の11月下旬、認定支援機関一覧のなかから近所の信用金庫を見つけて連絡し、創業補助金申請に関する支援を依頼しました。
担当者の方からは、応募書類の内容だけでなく、財務面についても金融機関の視点でアドバイスをもらうことに。「こんな内容では支援できないって怒られてしまうかも……」と、緊張しつつの訪問だったのですが、対応してくれた50代前後の融資課主任の男性は、優しく迎え入れてくれて新しく事業をやってみようとする私を「この地域は若い人が店をオープンする人も多く、私たちは新しい事業を始めたいという人を応援しています」と励ましてくれるような言葉をもらい、感激したのを覚えています。
書いていただいた書類の受け渡しで3回訪問し、補助金が交付された後にお礼にもうかがいました。その際には「今後、融資を検討する際に、有利になるから」と言われ、積立定期預金の契約をしてしまいました。
起業に関する日本の環境整備は遅れているとなにかの記事で見たことはあったのですが、私は補助金応募の過程でさまざまな機関のバックアップ体制を知り、アドバイスや励ましを受けることができました。これは今でも仕事をするうえで、大きな心の支えとなっています。
補助金申請代行サービスを利用すべきか否か
助成金や補助金への申請を代行するサービスが数多くあります。このようなサービスは社労士や行政書士、税理士事務所が行っていることが多いようです。私は、応募までの準備期間が短かく、これらのサービスを知ったのは応募締切の直前ということもあり、問い合わせをすることはありませんでした。
事業を成長させるためには、法人設立のための手続きや人事労務管理などは専門家にお任せして、事業主は本業に注力した方が良いと個人的には思っています。補助金申請のための書類作成は複雑で時間がかかり、2ヵ月ほどかかりました。始めようとした事業の本筋ではないことは私も実感しました。
補助金申請代行サービスを利用せずに採択されたことに当時は満足感がありましたが、本業を成功させるために体制づくりのひとつとして、申請代行のようなサービスも利用を検討すべきなのかもしれません。事業計画や収支計画は複数の人に見てもらい、自他ともに納得できるものだからこそ、事業はうまく進むのではないでしょうか。
次回、予定している記事では、採択決定から「事業完了報告書類」提出と面談、補助金の入金までについて、振り返ります。
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