金券ショップで商品券を購入したときの仕訳や消費税などの経理上の取り扱いについて

商品券やプリペイドカードなどを購入すると、レシートなどに「非課税」と記載されていますね。これは消費税がかからないということですが、商品券で買い物をするときは消費税がかかるものに使うことがほとんどです。商品券などの購入・使用はどのような経理上の処理をしたらよいのでしょうか。
今回は、商品券などを購入したときの取り扱いについて解説していきます。
[おすすめ]法人の会計業務をかんたんに!無料で使える「弥生会計 オンライン」
目次
- POINT
-
- 商品券の売買は消費そのものではないため、「物品切手等」として消費税が非課税になる
- 商品券などは購入時に「貯蔵品」とし、実際に使用したときにその内容に応じた勘定科目へ振り替える
- 決算・確定申告にあたっては未使用のものについて棚卸をする必要がある
物品切手等とは?
消費税が非課税とされている商品券やビール券、旅行券、プリペイドカード、ギフトカードやクオカードなど。これらは消費税法の上では「物品切手等」と呼ばれています。物品切手等とは、簡単に言うと券面額相当のモノやサービスの提供が受けられる引換券のことです。
物品切手等が非課税とされる理由ですが、そもそも消費税はモノやサービスの消費に対して課税されるものですから、引換が行われる前の物品切手等の売買を課税の対象とするのが消費税の趣旨になじまず適当でないからです。
このほか、物品切手等と似たようなものに「郵便切手類等」があります。
郵便切手類等とは、簡単に言うと、郵便局やコンビニなどの印紙売りさばき所(日本郵便株式会社が業務委託をしている店・窓口)で購入した切手や収入印紙や、地方自治体に収めた税金や使用料・手数料などの納付を行うための証票(収入証紙)のことを言います。
郵便切手類等は、販売される場所によって課税となるか非課税となるかが異なります。例えば、郵便局で郵便切手を買う場合は非課税ですし、コンビニで郵便切手などを扱っている場合も、基本的に郵便切手類販売所となっているため非課税となります。しかし、金券ショップで買う場合は消費税がかかります。
購入・使用時の仕訳
では、実際に商品券など物品切手等を購入・使用したときにはどのように仕訳したらよいでしょうか。取引ごとの仕訳例を見てみましょう。
商品券5,000円分を現金で購入した
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
商品券を購入した時点では、未使用で何に使われるかがわからないため「貯蔵品」として仕訳します。なお、小売業などで商品の決済に商品券を取り扱う場合などは「他店商品券」とすることもあります。
また、切手や乗車券などについて、簡便的に購入時に「通信費」や「旅費交通費」などと仕訳する場合がありますが、このときは後述する決算・確定申告時の注意点にご留意ください。
5,400円の雑貨を購入し、5,000円分の商品券を使用して差額の400円を現金で支払った
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 5,400 | 貯蔵品 | 5,000 |
現金 | 400 |
実際に商品券を使用したときに経費などの勘定科目に振り替える仕訳をします。
購入した商品券5,000円分を得意先への贈答用に使用した
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
接待交際費 | 5,000 | 貯蔵品 | 5,000 |
商品券を自社で使用しないで贈答した場合は、消費税のかからない取引として仕訳します。
購入した商品券5,000円分を金券ショップに4,500円で売却した
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金 | 4,500 | 貯蔵品 | 4,500 |
雑損失 | 500 | 貯蔵品 | 500 |
少し難しくなりますが、商品券をそのまま売却した場合は消費税が非課税となるため、非課税売上として仕訳をすることになります。このとき、非課税売上になるのは実際の売却額で、差額は消費税の対象外となるのです。なお、郵便切手や印紙を売却した場合は消費税がかかりますので課税売上として仕訳することになります。
決算・確定申告時の注意点
最後に決算・確定申告時に注意しておきたいことにふれておきましょう。決算対策などとして大量に商品券などを購入して経費にしているケースがありますが、決算においては次の点に注意しなければなりません。
- 自社で使用するものであっても未使用のものは「貯蔵品」にしなければなりません
- 贈答用に購入したものであっても、まだ相手先に配布していないものは「貯蔵品」にしなければなりません
このほか、切手や印紙などにつき、購入時に「貯蔵品」とせずに「通信費」や「租税公課」などとしている場合には、年度末に未使用のものがどのくらいあるかを棚卸して経費から「貯蔵品」に振り替える必要があります。
例えば未使用の切手が8,200円分あったら
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 | 8,200 | 通信費 | 8,200 |
……と仕訳します。
なお、物品切手等ではない事務用品や包装材料などの棚卸資産で、日常的に購入を繰り返すようなものの場合は、そのまま経費にしておいても構いません。
- 【関連記事】
- 年末に残った切手や収入印紙はどうするの?
まとめ
いかがでしょうか。物品切手等は購入したとき・使用したときの2段階で仕訳をする必要がありますから、使用したときに経費にすることを忘れないように、在庫管理もしっかりしておくことが大切ですね。
- 【関連記事】
- 消費税がかからない!? 「非課税取引」を徹底解説
photo:amanaimages