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資本金とは?会社設立時の資本金の決め方、払い込み方

株式会社や合同会社など会社設立の際に悩むのが資本金の額。

資本金が多い方が経営にゆとりができ、会社の信用もアップするのは事実。しかし、金融機関から借り入れた額を資本金にしたり、見せかけの資本金「見せ金」を作るのはNGです。今回は、そもそも資本金とは何か、ご自身の事業に適した会社設立時の資本金の決め方や、資本金の払い込み方をご紹介します。

POINT
  • 資本金とは、会社設立時の必要資金
  • 資本金の大きさは信頼につながるが、税額に注意
  • 資本金はオーナーの自己資金100%が理想

資本金とは、会社設立時の必要資金

資本金とは、会社が設立時に持っている運転資金のことです。会社設立後に活動資金として資本金を使うことができます。平成18年(2006年)の会社法施行によって、資本金が1円の会社も設立できるようになりました。しかし、それでは活動資金にはならず、資金を別に借入金などで確保しなくてはなりません。

資本金は「必要資金」に相当する額を確保すると、安心して経営に取り組むことができます。その目安は以下のように算定します。

  • 設備資金(事務所を借りる際の保証金、机やパソコンなどの購入費)
  • 運転資金(毎月の固定費や仕入金額、事業が軌道に乗るまで6カ月程想定する)
  • 借入返済(銀行などから融資を受けた場合の返済予定額。こちらも6カ月分程)

これらの必要資金は大雑把にではなく、事細かに書き出しておきましょう。実際に会社の営業が始まると、販売費や一般管理費など次々と諸経費が発生します。またすぐに売り上げがあったとして、掛け売りであれば現金が手もとに入ってくるのは翌月や翌々月です。その間にも家賃や給与など、支払いはどんどん発生するので、計算を怠るとまたたく間に資金不足に悩まされてしまいます。

資本金の大きさは信用につながるが税額に注意

営業先が初めて取引をする際、登記簿で会社の資本金の額を確認することがあります。また、会社設立後に法人口座を開設する場合、資本金300万円以上を条件とする大手銀行などもあります。金融機関から融資を受ける際にも、資本金の額が審査の可否や融資額に影響し、資本金の大きさは会社の信頼につながるのです。

かといって、無計画に大きな資本金で会社を設立すればいいというものではありません。資本金1,000万円を基準に支払う税額が異なります。

資本金と税金(例として千葉県千葉市に事業所等を有する法人の場合)
税目 資本金等の額 従業員数 税金
都道府県民税※1 1,000万円以下 従業員数は関係なし 20,000円
1,000万円超
1億円以下
50,000円
市町村民税※1 1,000万円以下 50人以下 50,000円
50人超 120,000円
1,000万円超
1億円以下
50人以下 130,000円
50人超 150,000円
税金 資本金 免税/課税期間 ※2
消費税 1,000万円未満 最大2年間免税
1,000万円以上 第1期から課税

※1 標準税率/均等割り
※2 消費税課税事業者選択届出書を提出していない場合

※都道府県民税均等割は「期末現在の資本金の額又は出資金の額」
※消費税の納税義務の免除は「その事業年度の開始の日における資本金等の額」

例えば従業員数50人以下、資本金1,000万円未満の会社であれば、年間の法人住民税(都道府県民税と市町村民税)は、年間11万円減額、消費税は設立から最大2年間免税され、大きな節税となるのです。

資本金の振込

会社設立時に定款認証が終わり次第、資本金振込をします。資本金振込とは、設立事項で決めた資本金の金額を発起人個人名義の銀行口座に振り込む手続きです。個人の預金と区別するために専用の口座を新たに開設するのが望ましいです。ここで発起人が銀行口座に所定の金額を間違いなく払込んだということを証明するために、通帳のコピーを作成します。これは払込証明書と、通帳の振り込み内容が記帳されているページの通帳コピーを綴じておいたものとなります。

資本金はオーナーの自己資金100%が理想

前章で、資本金の大きさが信用につながると紹介しました。かといって資本金を多額に見せるために、会社口座に資本金としていったん入金し、登記後にすぐ引き出す「見せ金」は厳禁です。登記されている資本金が嘘であれば「公正証書原本不実記載罪」に問われる場合もあります。融資を受けるために「見せ金」を行っても、金融機関の審査ですぐにばれてしまいます。

また、金融機関から借り入れした資金を資本金として計上することもできません。資本金はオーナーの自己資金や役員からの借入金、第三者からの出資などから調達するのが原則です。

出資者は出資した金額に応じて株式を受け取り、会社の議決権を持つことになります。資本金の大半を出資者からの出資金でまかなうと、オーナーよりも第三者が議決権を多く持ってしまうので注意が必要です。つまり第三者が資本金を半分以上出していれば、オーナーの会社でも経営権は第三者にあり、いつ代表取締役を解任されてもいい状況になってしまうのです。そうならないためにも、できる限り資本金はオーナーが全額用意するのが理想です。

このように、安定した会社運営、対外的な信用、節税効果を考慮し、資本金の額を決定することが大事です。会社を設立したら、資金繰りを安定させ、自分の思いどおりに会社を運営したいですね。その基本となる資本金の額、調達方法はじっくり考えて決断しましょう。

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photo:Getty Images

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