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経営力向上計画のメリットを確実に享受するための注意点

中小企業が税制優遇や金融支援など、国や金融機関等からメリットを受けることができる経営力向上計画の策定。今回は、経営力向上計画の税制優遇を確実に享受するために知っておくべき対象となる資産や事業者などについて詳しく説明していきます。

POINT
  • 税制優遇を受けることのできる資産の基準がある
  • 経営力向上計画の認定を受けられるのは「中小企業者等」に限られる
  • 原則として設備の取得前に経営力向上計画を策定する

対象資産、地域、業種について

前編でご説明したとおり、経営力向上計画の税制優遇には、以下の2つがあります。

  • ① 固定資産税が3年間半額
  • ② 法人税(または所得税)について、即時償却または取得価額の10%(※資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除

実は、どちらも税制優遇を受けることのできる資産が決まっていますので、それぞれ確認していきましょう。

①固定資産税が3年間半額

経営力向上計画の申請書に記載し新規取得することで、固定資産税が3年間半額となるためには、以下の(ア)(イ)の要件を満たすことについて、工業会等から証明書を取得する必要があります。

  • (ア) 一定期間内に販売されたモデルであること
  • (イ) 経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備であること

(ア)については、設備の種類ごとに定められていますし、最低価額の要件もありますので、下記の表で整理します。

設備の種類 最低価額 販売開始時期
機械装置 160万円以上 10年以内
測定工具・検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 30万円以上 6年以内
建物附属設備 60万円以上 14年以内

また、測定工具・検査工具、器具備品、建物附属設備については、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府の7都府県では、固定資産税の優遇を受けられる対象業種が定められています。

以下の各都府県のリストにおいて、非対象となっている業種の場合、上表に合致する設備であっても、固定資産税の優遇を受けることができませんので、注意が必要です。

【参考】中小企業庁:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府における業種リスト

②法人税(または所得税)について、即時償却または取得価額の10%(※資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除

法人税の税制優遇には、工業会等から証明書を取得した設備(生産性向上設備)に対するもの(A類型)と、事業者が自ら経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された設備(収益力強化設備)に対するもの(B類型)の2つのパターンがありますので、それぞれの対象設備を確認していきましょう。

なお、法人税の税制優遇は「経営強化税制」の範疇ですので、「経営者は知らなきゃ損! 空前絶後のボーナス税制「経営強化税制」ってなんだ!?」も参照ください。

A類型:生産性向上設備

A類型である生産性向上設備の対象となるためには、以下の(ア)(イ)の要件を満たすことについて、工業会等から証明書を取得する必要があります。

  • (ア) 一定期間内に販売されたモデルであること
  • (イ) 経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備であること

(ア)については、設備の種類ごとに定められていますし、最低価額の要件もありますので、下記の表で整理します。

設備の種類 最低価額 販売開始時期
機械装置 160万円以上 10年以内
測定工具・検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 30万円以上 6年以内
建物附属設備 60万円以上 14年以内
ソフトウエア (※) 70万円以上 5年以内

(※)設備の稼働状況の情報収集・分析・指示機能のあるもの

固定資産税の優遇措置の対象設備に、一定のソフトウエアが加わったと考えていただければ結構です。

B類型:収益力強化設備

B類型である収益力強化設備の対象となるためには、以下の(ア)の要件を満たす必要があります。

(ア) 年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備であること

つまり、経営力向上計画とは別に、投資利益率が5%以上となる投資計画を作成し、その計画に記載された設備であることを要するというわけです。

B類型:収益力強化設備については、販売開始時期の規定はありませんが、最低価額は設備の種類毎に以下のように定められています。

設備の種類 最低価額
機械装置 160万円以上
工具 30万円以上
器具備品 30万円以上
建物附属設備 60万円以上
ソフトウエア (※) 70万円以上

工具については測定工具・検査工具に限らず、すべての工具が対象となっています。なお、投資利益率は次の算式によって算定します。

投資利益率={(営業利益+減価償却費)の増加額}/設備投資額

分子は設備を取得する年度の翌年度以降3年度の平均額を利用します。

資産取得のタイミング

経営力を向上させる設備の取得は、経営力向上計画の認定後に取得することが原則となっています。したがって、経営力向上計画の各種メリットを享受するためには、設備の取得前から計画的に経営力向上計画を策定しなければなりません。

ただし、やむを得ず、原則に沿うことが困難な場合には、設備を取得した日から60日以内に経営力向上計画が受理されれば良い(経営力向上計画を申請すれば良い)という例外があります。

なお、法人税の優遇措置を受けようとする場合には、経営強化税制における設備取得時期のルールにも従う必要がありますので、詳しくは「経営者は知らなきゃ損! 空前絶後のボーナス税制「経営強化税制」ってなんだ!?」を御覧ください。

認定を受けられる「中小企業者等」について

経営力向上計画の認定を受けられるのは「中小企業者等」に限られています。中小企業者等の規模は以下の表のうち、資本金基準または従業員数基準のいずれかを満たすことが条件です。

中小企業者等 ・会社または個人事業主
・医業・歯科医業を主たる事業とする法人(医療法人等)
・社会福祉法人
・特定非営利活動法人
資本金 10億円以下
従業員数 2,000人以下 2,000人以下

さらに、「中小企業者等」は「中小企業者」とそれ以外の「中堅企業」とに分けられ、それぞれ適用できるメリットが異なりますので注意が必要です。

なお、中小企業者は以下のとおりです。こちらも、資本金または従業員数のどちらかで判断します。

例えば、資本金6,000万円の小売業者は、資本金基準だけで判断すると、中小企業者で無くなりますが、従業員数が50人以下であれば、中小企業者に該当することとなります。

製造業その他 卸売業 小売業 サービス業 政令指定業種
ゴム製品製造業 ソフトウエア業または情報処理サービス業 旅館業
資本金 3億円以下 1億円以下 5000万円以下 5000万円以下 3億円以下 3億円以下 5000万円以下
従業員数 300人以下 100人以下 50人以下 100人以下 900人以下 300人以下 200人以下

その他の注意点とまとめ

メリット盛りだくさん! 「経営力向上計画」って何?」と合わせ、以上でひととおりの説明をしました。最後に、これまでで説明しきれなかった注意点を2つ記載してまとめとしたいと思います。

注意点1 認定までの期間

計画の申請(受理)から認定までの標準的な処理期間は30日とされています。計画の事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合は45日ほどかかるとされていますので、余裕を持って申請するようにしましょう。

注意点2 認定の取り消し

経営力向上計画に基いて実施事項に取り組んだ結果、仮に目標が未達だったとしても認定は取り消されませんが、経営力向上計画にかかる事業が行われていない場合には、認定が取り消されることがあります。

いかがでしたでしょうか。少ない手続で、多くのメリットが受けられる経営力向上計画ですので、間違えることなく手続を行い、確実に認定を受けられるようにしておきましょう。

photo:Getty Images

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