確定申告をしないとどうなる?申告義務がある人やリスクについて解説

2024/02/16更新

この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

一定の収入を得る個人事業主やフリーランスの人は、確定申告をする必要があります。しかし、中には自分が確定申告する必要があるのかわからなかったり、確定申告しなくてもばれなければ大丈夫と考えたりする人がいるかもしれません。
ここでは、どのような人に確定申告をする義務があるのか、また、無申告や申告漏れの場合、どのようなペナルティを受ける可能性があるのかを解説します。ほかにも、確定申告を忘れてしまった場合の対処法についても見ていきましょう。

個人事業主やフリーランスが確定申告をしないとどうなる?

個人事業主やフリーランスで、所得が48万円以下の人は確定申告の義務がありません。しかし、個人事業主やフリーランスが確定申告をしないと、デメリットが生じる場合があります。
具体的には、下記のようなデメリットがあります。

収入を証明することができない

個人事業主やフリーランスは、住宅ローンを組むときや新たに賃貸住宅を契約するときのほか、子供を保育園に入れるときなどに、確定申告書の控えを収入証明書の代わりとして使うことができます。
しかし、確定申告をしないと、自身の収入状況を証明することができないため、困ってしまう場合があるでしょう。

国民健康保険料の減額を受けることができない

国民健康保険料は、所得によっては減額される場合があります。しかし、確定申告をしないと、所得が不明であることから判定が不可能となり、減額を受けることができません。

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確定申告はどんな場合に必要になる?

事業が赤字になったり、退職してフリーランスになったりした場合、確定申告は必要になるのでしょうか。それぞれのケースについてご紹介します。

事業が赤字でも確定申告は必要?

事業を行っている人は、赤字で申告の義務が生じていなかったとしても、確定申告を行うのがおすすめです。
特に、確定申告のうち青色申告をした人は、赤字を3年間にわたって繰り越すことができる、「繰越控除」という制度を利用できます。個人事業主やフリーランスの場合、経営が安定しなかったり、初期投資に費用がかさんだりして、事業が赤字になってしまうこともあるでしょう。青色申告をすれば、翌年の利益から、その赤字分を相殺することができます。
例えば、事業で去年は100万円の赤字となり、今年は500万円の黒字になった場合、去年の赤字分を差し引き、400万円の黒字として税金を算出することができるため、所得税を減らすことができるのです。

青色申告ではほかにも、「繰戻し還付」という制度を利用できます。繰戻し還付が適用されると、赤字を前年などの儲け(黒字)から差し引いて、所得税の還付を受けることができます。

赤字の場合の確定申告については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

退職しても確定申告が必要?

会社を年の途中で退職してフリーランスになった場合、原則として元の会社は年末調整をしてくれないので、収入額によっては確定申告が必要になります。
なお、年の途中で退職した人が確定申告書を作成する際には、前職の源泉徴収票が必要になりますので、保管しておいてください。

確定申告が必要な人と不要な人についての詳細は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

確定申告していないことが税務署にわかってしまう理由

毎年、多くの人が確定申告を行う中で、「自分1人ぐらい申告をしなくてもばれないのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし、無申告はいくつかの理由で、税務署にわかってしまうことがあります。
続いては、確定申告の無申告が税務署にわかってしまう、代表的な理由について見ていきましょう。

税務調査でわかる

税務調査とは、納税者が税務申告をきちんと行っているかどうかを、税務署の調査官が訪問して調査するものです。個人事業主やフリーランスであっても、税務調査を受ける場合があります。
また、自身が税務調査の対象にならなくても、取引先に税務調査が入ったときに、無申告であることがわかる可能性があります。税務調査では、どこにどのような依頼をしているかということも、細かく調べられます。そこで「Aというフリーランスに仕事を依頼しているのに、Aは確定申告をしていない」ということがわかってしまうのです。

税務調査の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

支払調書からわかる

個人事業主やフリーランスが取引先から支払いを受けたとき、支払調書を受け取ることがあります。取引先は、この支払調書を税務署に提出する必要があります。
税務署は支払調書をもとに、報酬の支払先である個人が確定申告をしているかどうかをチェックするため、無申告がわかってしまうのです。

国税庁の重点施策によってわかる

国税庁は、経済・社会の変化に応じて、無申告を取り締まるための重点施策を実施します。年によっては、特定の事業を行う個人事業主やフリーランスを重点的に調査することもあるため、「ある時突然ばれてしまう」ということが起こりえるのです。

税務署へのタレコミでわかる

「人の口に戸は立てられぬ」ということわざがありますが、中には、税務署に誰かがタレコミをしたことで、無申告がばれてしまうことがあります。
だから内緒にしておこうということではありませんが、思わぬところから無申告がわかることは往々にしてあるのです。

確定申告をしない場合に生じるリスク

確定申告の義務があるにもかかわらず、確定申告を行わなかった場合、どのようなリスクがあるのか、具体的にご紹介します。

無申告加算税を課される

無申告加算税とは、確定申告の期限後に申告をしたときや、無申告であったときなどに、納税額に応じて課される税金のことです。
無申告加算税の金額は、納税額が50万円までは納税額の15%、50万円を超える部分は納税額の20%が課されます。

ちなみに、税務署の調査通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税の課税割合が5%まで軽減されます。また、確定申告の期限後の申告であっても、「申告期限後、1ヵ月以内に自主的に申告している」「期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当する」など、すべての要件を満たしているときは、無申告加算税は課されない場合があります。

延滞税を課される

延滞税とは、納めるべき税金を納付期限までに納めない場合に追加で支払う税金のことです。

期限後申告の場合、上記無申告加算税の他に納税が遅れた日数分だけ延滞税が加算され、最高税率は年14.6%になります。計算は非常に複雑ですが、国税庁のウェブサイト新規タブで開くでシミュレーションすることができます。

所得税とともに住民税が徴収される

個人事業主やフリーランスの人が所得税の確定申告をすると、市区町村から住民税の納付書が送られてきます。しかし、所得税の確定申告をしなかった場合、納付書が送られてこないので住民税を納付していなかったというケースが起こりうるでしょう。
個人事業主やフリーランスの人が確定申告をしないと、税務調査を受けた際に、所得税だけでなく、住民税もいっしょに徴収される可能性があります。
なお、住民税についても、納付期限を過ぎると、最大で納税額の14.6%の延滞税が課される可能性があります。

売上が1,000万円を超えていた場合は消費税の納税も必要

個人事業主やフリーランスの人が納めるべき税金には、所得税のほかに、消費税もあります。消費税を納める必要があるのは、法人だけではありません。
前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えるなど、一定規模以上の事業を展開する個人事業主やフリーランスは、消費税を納める必要があります。なお、課税売上高とは、消費税が発生する取引に対する年間売上高のことです。
ちなみに、個人事業主やフリーランスで売上が1,000万円を超えた場合、「消費税課税事業者届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。

消費税の確定申告の詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

申告漏れや書類の不備があった場合、不正をした場合はどうなる?

最後に、確定申告の申告期限を忘れてしまっていた場合や、確定申告書類の間違いに気づいた場合の対処法をご紹介します。また、確定申告で不正をした場合のリスクについても紹介しましょう。

確定申告の申告期限を忘れていた場合

万一、確定申告を忘れてしまった場合、 なるべく早く自主的に申告を行うことで、ペナルティを最小限に抑えられる可能性があります。
「申告期限後、1ヵ月以内に自主的に申告している」「期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当する」など、すべての要件を満たしている場合、無申告加算税が課されない場合があります。

確定申告書類を提出した後に間違いに気づいた場合

確定申告書を提出した後で、確定申告書の控えを見直して、間違いに気づくということもあるでしょう。
法定申告期限までなら、新たな確定申告書を再提出することができます。

申告期限を過ぎて、さらに申告した所得税額が間違っていた場合

申告期限後に、申告した所得税額が間違っていたことに気づいた場合は、申告した税額が実際より少なかったか、多かったかで、とるべき対応が異なります。
税額を実際より少なく申告していたときは、税務署に「修正申告」を行ってください。修正申告書に必要事項を記入して、税務署に提出します。なお、税務署の調査通知を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の間違いを指摘されたりすると、過少申告加算税が課されます。

反対に、税額を実際より多く申告していたときは、納めすぎた税金の還付請求をすることが可能です。これを「更正の請求」といいます。更正の請求を行うときは、税務署に「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」を提出してください。

間違いに気づいた時点で、迅速に行動するようにしましょう。

確定申告で不正をした場合

みずからの意思で確定申告に際して何らかの不正をした場合、無申告のときの罰則よりも重い罰を受けることがあります。
例えば、悪質な隠蔽や偽装があった場合、重加算税が課される場合があります。重加算税とは納税額を仮装・隠蔽した場合に課される税金のことで、納税額の35~40%となります。
また、確定申告で不正をしたとき、最悪の場合「ほ脱」という罪に問われる可能性もあるでしょう。ほ脱は重犯罪であり、10年以上の懲役や1,000万円以下の罰金といった罰則が科される場合があります。

個人事業主やフリーランスは確定申告をして健全な経営を

義務があるのに確定申告をしないのは脱税行為です。一定の収入がある個人事業主やフリーランスの人は、しっかりと確定申告を行う必要があります。個人事業主やフリーランスの人が、確定申告を行うことで得られるメリットは大きなものです。
罰を受けたくないからやるという考えではなく、節税しつつ健全な経営を行うという考えで確定申告に臨むといいでしょう。

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この記事の監修税理士法人 MIRAI合同会計事務所

四谷と国分寺にオフィスのある税理士法人。税理士、社会保険労務士、行政書士等が在籍し確定申告の様々なご相談に対応可能。開業、法人設立の実績多数。
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