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償却資産税とは? 償却資産申告書の書き方と納付方法

年末近くになると、市町村などから事業者に対して「償却資産申告書」が送られてくることがあります。初めて事業を営む方などにとって「償却資産税」とは耳慣れない名前の税金ですね。いったいどのような税金なのでしょうか。
今回は、償却資産税とはどのようなものなのか、また、償却資産報告書の書き方と納付方法について解説していきます。

POINT
  • 「償却資産税」は固定資産税の一種で、事業用の減価償却資産が対象
  • 償却資産申告書では税金の計算は行わず、保有資産を申告するのみ
  • 「償却資産税」の納付は窓口納付のほかに市町村によって口座振替などが選べる

そもそも償却資産税ってなに?

「固定資産税」と聞くと、土地や建物などの不動産が思い浮かぶでしょう。じつは、償却資産税も固定資産税の一種で、事業で使用される減価償却資産にかかる税金です。土地・建物の固定資産税と間違わないように、償却資産税と呼ばれています。償却資産税は1月1日現在の償却資産の所有者に対してその償却資産の所在地の市町村(東京23区は特例で東京都)で課税されます。

償却資産税は減価償却を加味した償却資産の評価額を基礎として、1.4%の税率で計算されます。ただし、償却資産税には免税点があり、その年の評価額が合計で150万円未満の場合には、償却資産税はかかりません。

具体的にどのようなものが対象になるかというと、次の6区分のものが対象となります。

構築物 舗装路面や門塀などの外構、看板(広告塔など)や受変電設備などがあたります。また、店舗や事務所を借りている場合の内装・造作等も対象になりますから注意しましょう
機械および装置 各種製造設備などの機械装置があたります
船舶 ボートや釣船、漁船、遊覧船等があたります
航空機 飛行機、ヘリコプター、グライダー等があたります
車両および運搬具 ブルドーザーなどの大型特殊自動車(自動車税、軽自動車税の対象となるものは除きます)
工具、器具及び備品 身近なものではパソコンやエアコン、応接セットや陳列棚、看板(ネオンサインや立て看板)などの器具備品があたります。業種によっては医療機器、測定工具や理容・美容機器なども該当してきます。

なお、以下の取り扱いにご注意ください。

①償却資産税の対象とならないもの

  • 購入代金等が10万円未満で消耗品費などとして経費にしたもの
  • 20万円未満で3年均等の一括償却を選択したもの

②償却資産税の対象となるもの

  • 青色申告で30万円未満の少額減価償却資産の特例の適用を受けて全額を償却したもの

償却資産申告書とは

さて、償却資産税のための申告書として、「償却資産申告書」があります。ここで特徴的なのが、「償却資産(税)申告書」ではないということです。「償却資産申告書」は1月1日にどのような償却資産を所有しているかを申告するもので、その申告書で税金の計算は行っていないのです。

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償却資産税は「賦課課税」という課税方式をとっていて、市町村側で償却資産税を決定して納税者に通知するようになっています。当然ですが、市町村側では事業者の償却資産の保有状況を把握することはできませんから、事業者が自分の保有する償却資産を申告するのですね。

償却資産申告書はその年1月31日までに提出しなければなりません。書面による提出、電子申告(eLTAX)による提出のどちらも可能で、その申告方式は2通りあります。

①一般方式

前年中に増加または減少した資産を申告する方式です。もちろん、初めて申告する場合には1月1日に保有している償却資産の全部について申告する必要があります。

記載方法は簡単で、増加したものであれば増加資産用の様式に資産の種類、名称等、数量、取得年月、取得価額、耐用年数、増加事由(新品や中古など)といった、帳簿付けの時の固定資産台帳と同じような事項を記載するだけで、特に計算などをしなくても大丈夫です。減少したものも同様で、減少資産用の様式に増加資産と同じように記載し、減少事由(売却や除却など)を選択するだけでよいのです。

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②電算処理方式

1月1日現在所有しているすべての償却資産について、事業者側で評価額等を計算して申告する方式です。

償却資産申告書が作成できるソフトなどで固定資産を管理している場合は、電算処理方式でよいですが、手書きで集計をする場合には増減した資産を書くだけで手間のかからない一般方式によることをお勧めします。

なお、償却資産申告書の様式は各市町村のホームページからダウンロードすることができます。
【参考(東京23区の場合)】東京都主税局:申請様式

償却資産税はどうやって納めるの?

償却資産申告書が送られてきても、そのときに納付書は入っていません。償却資産税はどのように納めるのでしょうか。

償却資産税は1月1日を賦課期日(税金がかかる日)として、納税者の申告に基づいて市町村が決定した税額についての納税通知書を納税者へ送付します。償却資産税の納期は年4回で4月、7月、12月、翌年2月を原則としますが、市町村の条例で納期が異なる場合もあります。例えば東京23区の場合は、6月、9月、12月、翌年2月となっています。

償却資産税の納付は市町村の役場や金融機関などの窓口での現金納付を基本としますが、市町村によってさまざまな納付方法に対応しています。

口座振替

事前に口座振替の依頼手続きをすることにより、指定した金融機関から、納期限に自動的に引き落として納付できる方法です。ご利用の金融機関が対象になっているかを確認する必要があり、また各納期で口座振替を開始できる締切があるので注意しましょう。当然ですが、口座振替日に十分な口座残高を確保しておく必要があります。

ペイジー納付

ペイジーマークのついている納付書であれば、金融機関・郵便局のペイジー対応ATMやネットバンキングなどでの納付が可能です。ただし、対応金融機関が限られていますので、ご利用の金融機関がその市町村のペイジー納付に対応しているかを確認する必要があります。

クレジットカード納付

市町村によってはクレジットカード納付に対応しているところがあります。カード決済については市町村が独自に用意しているサイトや「Yahoo! 公金支払い」などの外部サイトを利用するものなどさまざまです。窓口納付に比べて実際の引き落としまでの期間がありますので資金繰りがラクになりますが、決済手数料がかかる場合があります。また、自動引き落としではないため、納付のたびに手続きが必要ですから納期を忘れないように注意しましょう。

なお、それぞれの納付方法が可能かどうかは各市町村でご確認ください。

まとめ

いかがでしょうか。償却資産税の免税点が150万円未満ということから、備品等の設備投資が少ない業種のかたは税金がかからない場合が多いです。しかし、店舗や工場などで内装や機械など多額の設備投資をされる方は償却資産税を気にしておく必要がありますね。

photo:Getty Images

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